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auのiDeCoに移管を検討中

現在運用している確定拠出年金個人型(iDeCo)は、日本生命で契約している。
現時点での拠出額は約310万円で、資産評価額は約370万円だから、約60万円の評価益が出ている。

今後も月2万3千円の拠出を60歳になるまで続けると、評価額が最低でも600万円になると見込んでいる。
現在検討されているとおりに、65歳まで加入期間が延長されると、評価額は750~800万円になると想定している。

このまま日本生命で続けてもよいのだが、auもiDeCoを始めたので、移管申し込み用紙を請求した。
auのiDeCoのサイトは次の通り。
ideco.kddi-am.com/

運営管理手数料が0円なので、日本生命よりも月313円だけ多く投資できる。
さらに残高に応じてポイントがもらえるので、少し得をする。

運用商品の投資信託は4種類で、投資に慣れている人から見ると、あまり魅力的ではない。
まあそれでも、私が選ぶとすれば、auスマート・ベーシック(安定成長)だ。
www.kddi-am.com/funds/1002/

国内債券の割合が50%と多すぎると感じるが、信託報酬の年率を考えるとベーシックの商品から選ぶことになる。

日本生命のiDeCoでは、4種類のインデックス型投資信託を組み合わせている。
日経225(25%)・外国株式(40%)・外国債券(25%)・グローバルREIT(10%)である。

auスマート・ベーシックで安定的な運用をして、値上がりよりも節税を優先してもよいだろう。
NISAもあるし、外国債券に直接投資してもよいので、auで運用商品が増えなくてもかまわないだろう。

キャンペーン期間は6月30日までなので、書類が届いてからゆっくり考えることにしよう。

テーマ : 個人型確定拠出年金・401k
ジャンル : 株式・投資・マネー

「通訳者・翻訳者がやるべきこと」(通訳翻訳ジャーナル2019年春号)

定期購読している「通訳翻訳ジャーナル」2019年春号が届いた。
書店では明日21日発売だが、いつも1日前に郵便で届くので、少し得した気分だ。

そして今回の号の特集は、
今もこれからも、求められる人材になるために - 「通訳者・翻訳者がやるべきこと
tsuhon.jp/book/7290

私が関わる翻訳分野では、やはり最近話題の機械翻訳への対応が挙げられている。
実際に英日特許翻訳では、機械翻訳+ポストエディットのプロジェクトに参加しているので興味がある。
これから特許翻訳に取り組もうという翻訳者もいるので、今後の予測と共に、読むべき記事だと思う。

本日読んだのは次の2つ。
1) 井口耕二 「道を拓く 何をどう考え、どちらに進むべきなのか」
2) 河野弘毅 「機械翻訳の時代に活躍できる人材になるために」

1) については、執筆者のブログでも紹介している。
buckeye.way-nifty.com/translator/2019/02/post-0853.html

他の媒体と同様に、この記事でも機械翻訳に対する私見が書かれている。
「自分の道は自分で選ぶ」ということで、機械翻訳を使わないことを選んでいるのであって、他の翻訳者が有名翻訳者の私見をそのまま信じ込むことがないことを祈りたい。

機械翻訳を選ばなかった理由として、本当のところはわからないとしながらも、「MTの出力文を読み続けると言語感覚が狂う、という意見もある」と紹介している。

この「言語感覚が狂う」ということについて、データがないためわからないとしながらも、「私は狂うはずだと思っているが、意外なほど狂わないのかもしれない。」と書いており、機械翻訳に反対している人たちのような断言は避けているようだ。

それでも、「翻訳メモリーさえ使わないのだから、機械翻訳を使うことはありえない。… 機械翻訳のおかしな出力文を大量に読んで言語感覚が狂ったら致命的だとも思っている。」と書いている。

また、記事の冒頭にあるように、「MT+PEも(実際のところどうかは別として)コストダウンの口実になるので業界がMT導入に流れていくのは避けられないだろう。」ともある。

機械翻訳の導入による影響については、機械翻訳を使うことを選んだ人たちが行えばよいということなのかもしれないが、翻訳業界が可能な限りまとまって、学術的に研究し、そして翻訳者の育成も含めて、取り組むべきではないだろうか。

2) は、実際に機械翻訳を利用している人の記事なので、これから取り組もうとする翻訳者には有益だろう。

機械翻訳は今後も性能の向上が続くと考えられ、最近は大量の言語データの対訳コーパスが得られなくても、高い翻訳性能を実現する技術が研究されている。

また、アダプディブな機械翻訳エンジンという新技術では、ニューラル機械翻訳エンジンに追加のトレーニングを施して、個別の領域に特化してMTの性能を改善しようとしている。

機械翻訳の利用については、様々な立場の人が情報を発信しているが、どの情報も鵜呑みにすることなく、発言者の立場や意図に注意する必要もある。

人間と機械が役割分担するという新しい働き方に対応するとしても、それでも高い翻訳能力を有する人材が必要だ。
ただし、現在のような翻訳者の仕事とは変わるかもしれない。
アダプディブな機械翻訳エンジンを最適化するには、機械に学習させる対訳データの内容を吟味したり、パラメーターを調整するなど、翻訳者の経験をベースとした新しい職種が生まれるかもしれない。

私は、作業の効率化が実現できるならば、機械翻訳を積極的に利用したいと考えている。
ポストエディットが面倒な場合もあるが、それでも10%~20%の効率化が実現している。

また、機械翻訳の導入によって、特許技術内容を理解せずになんとなく翻訳をしている人や、誤訳を指摘しても直さない人、推敲せずに納品してしまう人などは、翻訳業界から退場することになるかもしれない。

日々の業務で忙しいが、英語・ドイツ語がわかる化学者として、これからも活躍できるように努力しよう。

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

e-Taxによる確定申告で還付金支払い手続きは2月21開始

今回の確定申告からe-Taxを利用することにした。

スマートフォンをマイナンバーカードのICカードリーダライタとして使用する場合、利用者識別番号の関連付けが必要だが、次のサイトで紹介されているように、まずはマイナポータルで登録しなければならない。
naoyu.net/problem-solving-of-mynumber-at-e-tax/

国税庁HPでは周知していないためか、e-Taxで確定申告書を作成する前に、このような登録のトラブルで苦労し、時間を無駄にしたと感じている人も多いことだろう。

登録の問題をなんとか解決して、私は2月1日に確定申告書を提出した。
そして確定申告の受付開始日の本日2月18日、19時少し前に通知メールが届いた。

ログインして還付金処理状況を確認すると、還付金予定額19,599円で申告通りであった。
振込先銀行口座の確認も終了している。
支払い手続きの開始は、2月21日となっていて、翌22日には入金するものと思われる。
今月支払うガス代と電気代よりは多いので、得したと思うようにしたい。

勤務先の年末調整と合計すると約7万2千円が戻ってきた。
今後の予算としては、年末調整を5万5千円、確定申告による還付を1万5千円としておこう。

青色申告にしている翻訳料金収入は、大半が源泉徴収がない海外の翻訳会社からだ。
そのため、還付が今回よりも多くなることはないだろう。

今後も青色申告をするし、特定口座の損益通算、そして寄付金控除など年末調整の対象外の控除もあるので、還付金が早く戻ってくるe-Taxを利用しよう。

2018年分の確定申告を、今回はe-Taxを利用して、本日2月1日の夜に提出した。所得は、給与と事業を合わせて約623万円で、還付予定額は19,599円。NPO法人の寄付金額は81,000円あって、たくさん還付されると期待したが、税額控除は、課税される所得税の25%までなので、上限の22,400円となった。豪ドル建て投資信託の売却が損失扱いとなったので、これを繰越申告して、今後の特定口座で売却益の...
e-Taxで初めて確定申告をした

テーマ : 税金
ジャンル : ファイナンス

ファイルを電子メールで送るのに「郵送してください」と和訳してあった

私は大学で有機化学の研究をしたため、ドイツ語の論文や専門書を読む必要があった。
そのため、現在は、英語・ドイツ語の両方で翻訳の仕事ができるようになった。

しかし、日本では、ドイツ語はマイナー言語の扱いとのことで、ドイツ語翻訳者は足りない。
様々な機会を利用して、英語翻訳者に対して、ドイツ語翻訳に参入するように促してみたが、なかなか増えない。
フリーランスの登録翻訳者を募集しても、
既に他社で専属となっているのか、一緒に仕事ができる人が、なかなか見つからない。

トライアル課題で大丈夫そうだと思っても、実際に依頼してみると、特許の技術内容が正確に理解できていないことに加えて、勘違いやケアレスミスが多い人もいる。

たぶん、CATツールを使用するときの弊害と思われるが、一文ごとに分割されているため、前後の文脈を無視した和訳をする人もいる。
文書全体の流れを把握していれば、推敲の時点で解釈のミスに気付くはずなのに、そのまま納品してしまう人もいる。

最近もあるマニュアルのドイツ語和訳のチェックで、単語の意味を取り違えている和訳に遭遇した。
その実例をそのまま掲載できないので、一部修正して引用しておこう。

Alle Dokumente müssen an folgende Adresse gemailt werden:
(セグメント区切り)
mailto: abc@xyz.com

作成したファイルを、次のセグメントに出てくる電子メールアドレス宛に、電子メールで提出するのだが、和訳では「以下の住所に郵送してください」となっていた。

ドイツ語の動詞 mailen は、自動詞と他動詞の両方の用法があるが、いずれも 「電子メールを送る」 という意味だ。

ドイツ語の mailen に対応する英語の動詞は、e-mail である。
つづりが似ているアメリカ英語の動詞 mail には、「郵送する」という意味があるが、イギリス英語では post を使う。
そしてドイツ語で 「郵送する」 は、通常、et4 per Post schicken / senden を使う。

mailen という動詞はアメリカ英語の mail と同じ意味だと勘違いしたとしても、次のセグメントは電子メールアドレスであり、その後も郵便で送るための宛先住所は出てこないのだから、気付くはずなのに残念なことだ。

やはり、CATツールを使用して一文ごとに分割されていると、そのセグメントのみに注目しすぎて、文書全体での文同士の関係を無視するような意識が生まれるのかもしれない。

私は副業翻訳を始めてから、約8年後にCATツールを使う案件を受注するようになった。
その前は、PDFなどで提供された原文を印刷して、それを見ながらワードに和訳を打ち込んでいたので、文書全体を見ながら翻訳することを学んだと思う。
そのためなのか、CATツールを使うようになってからも、推敲の時点で間違いに気付くことができるのだと思う。
だから他者の翻訳チェックもできるし、機械翻訳のポストエディットもできるのだと思う。

今回の事例で一般化するのは早いが、CATツールを使う前に、昔ながらの紙に印刷した原稿を読んで翻訳するトレーニングも必要なのではないかと思う。

また、PC画面を見ながら翻訳作業するときに、目の動きも含めて、人間の認知機能はどのように働いているのかや、ツールや機械翻訳が提示した訳例や用語を見たときにどのような反応をするのかなど、より科学的な研究も進めて、翻訳者にフィードバックしてほしいものだ。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

ドナー休暇制度がある職場を増やそう

白血病を発症した選手のニュースの後、骨髄バンクへの問い合わせが急増したそうだ。
骨髄バンクのHPにはつながりにくい状況が続いている。
電車内の広告でも、以前からドナーが足りないことを伝えていたが、全国的なニュースの影響は大きいものだ。

私は大学院博士後期課程2年のときに、献血のついでに骨髄バンクにドナー登録した。
このときは両親が同意してくれたので登録できた。
この同意については、本人だけではなく、家族も真剣に考えてほしい。

ドナー登録をしても、実際に選ばれて提供することになると、家族や勤務先などが一転して反対し、最終同意したのにキャンセルする人もいるそうだ。
そうなると、既に移植の準備に入っていた患者は、骨髄がもらえないので、命を失うことになってしまう。

私の場合、登録して3か月後に候補となり、意思確認や健康診断のため、研究の合間に実験室を抜け出して、同じ大学の医学部付属病院に行った。
そのときは他のドナー候補も見つかり、私は補欠となった。

私がドナー登録したことについて、研究室内では反対者もいた。
直接指導を受けていた助教授からは、「学会などで忙しい時期に当たると困る」 と言われてしまい、これは少々ショックだった。
また、学生の中には、「謝礼がもらえないのに、どうして赤の他人を助けるのか」 などと言う者もいた。

実際にドナーになったのは、ドイツ留学から帰国した年だった。
留学中は登録保留だったため、帰国直後に現住所の連絡と共に、保留解除をした。
すると手続きから3か月後にドナー候補に選ばれ、その年の11月に骨髄提供した。
このときは大学非常勤研究員で、勤務時間管理もあいまいだったため、日中に抜け出しても問題にならなかった。

その後、派遣社員として登録して、転居の準備をしていたところ、ドナー候補に選ばれた。
転居の連絡をして、派遣社員として勤務を開始したが、有給休暇がなかったので、欠勤して健康診断をした。
このときは、コーディネートがそれ以上進むことはなかったが、派遣先企業の総務が興味を示し、骨髄バンクから資料を取り寄せて勉強していた。

その後、派遣先が変わるたびに、事前打ち合わせのときに、骨髄バンクに登録していることも話した。
選ばれる確率は低いが、もし候補になれば有給休暇を取得するということを、最初に言いたかったからだ。
ドナー休暇制度がある企業では、派遣社員がそのように申し出ても、否定的な言葉は出なかった。

しかし、ドナー休暇制度がない化学メーカーで面談をしたとき、研究所長は、「そんなことで仕事を休むのか」と、無理解であった。
他の派遣先が見つからずに、そこで働くことにしたが、他にも嫌なことがあって、1年で派遣先を変更した。
実験中に正社員が怪我をしたのだが、労災申請させないように圧力をかけたからだ。
社員の命を守ろうとしない、労働者の権利を無視するような職場では、骨髄ドナーの意義も理解されないのだ。

今の翻訳会社は小規模企業のため、ドナー休暇制度はなく、通常の有給休暇で対応することになるだろう。

末梢血幹細胞移植が始まってから、2回目のドナーになる確率は上がったと思ったが、これまで連絡はない。
ドナーの年齢上限に近づいているので、もうドナーになることはないのかもしれない。

現在、ボランティア休暇も含めて、ドナー休暇制度がある企業・団体のリストは次の通り。
www.jmdp.or.jp/help_us/support/post_81.html

就職や転職のときに、参考にしてはどうだろうか。

テーマ : 働き方
ジャンル : 就職・お仕事

家賃保証会社の審査で銀行預金残高50万円が必要なのか?

社会保険労務士試験に合格した弟は、通信教育の指定講習を受講しているところだが、就職先は決まっていない。
定職に就いていないということで、賃貸アパートの契約更新で面倒なことになっている。

これまでは母が連帯保証人になっていたが、今回の更新では拒否されてしまった。
アパートの家賃収入があるものの、高齢で主な収入は年金だし、所得金額は非課税レベルなので、不動産会社は嫌がっているのだろう。

ということで、私が代わりに連帯保証人になるかどうか確認したところ、家賃保証会社を利用することになった。
弟は日雇い派遣や短期アルバイトの収入はあるが、審査では無職扱いのようだ。
失業率の調査では、月に1日でも働いて収入があれば失業者ではないのに。

そして家賃保証会社からは、銀行通帳のコピーを提示するように求められたそうだ。
当初は、光熱費の支払い状況や仕送りがあることを証明するだけでよいと思っていた。
しかし、口座残高を最低50万円にしてほしいと連絡が来たという。

弟への仕送りなどを母と折半しているが、このような臨時の事態に備えるために、定期預金で90万円(10万円×9本)を残していた。

すぐに送金するために、大和ネクスト銀行の10万円×3本を解約し、私の預金から20万円を加えて、合計50万円を弟の口座に振り込んだ。

今回立て替えたことになる20万円は、
5月に予定している住友生命の個人年金保険料の支払いに使う予定だった。
そこで、横浜銀行の定期預金を満期日解約に変更して、来月以降に受け取ることにする。
横浜銀行の金利上乗せキャンペーンで預けた定期預金だが、既に最初の満期日を過ぎて通常金利に戻っているので、解約してもかまわない。

家賃保証会社としては、滞納リスクのある者を避けたいのだろうが、50万円の口座残高が必要という条件が妥当なのだろうか。
これから転居するならば、敷金なども含めて契約時に支払う金額を持っているかどうかを確認するのかもしれない。
ただ、これまで滞納していない実績がある入居者の更新なのに、新規契約と同様に扱うのは不思議だ。

このような条件を付けると、今後は賃貸契約を断られる人が増えるのではないだろうか。
非正規雇用が増え、アンダークラスと呼ばれる低所得者層が増加しているのだから。
やはり月5万円程度のベーシックインカムを導入して、住まいだけは確保できるようにしてほしい。
弱者を切り捨てずに、連帯する社会になってほしいものだ。


弟は社会保険労務士に合格したが、新しい仕事を見つけたわけではないので、転居することもなく、同じアパートの賃貸契約を更新する予定である。同じ建物の別の部屋の募集では、家賃が約2万円安くなっていたので、仲介不動産会社に対して、同程度の引き下げを要望することにした。所有者が嫌がったのかどうかは不明だが、1万円の減額にしかならなかった。次回2年後に更新する場合は、更に5千円下げると言っているそうだが、今回...
弟のアパート賃貸契約の連帯保証人になれるだろうか


テーマ : 住まい
ジャンル : ライフ

機械翻訳の導入と同時に翻訳者の養成も必要ではないか

ニューラル機械翻訳(NMT)では、人間と同じ種類の「原文内容の歪曲」というエラーに加えて、「不適切/一致しない訳語」というエラーが同程度発生するという特徴がある。

NMTでは原文全体の文脈は無視しているため、複数の訳語がランダムに出現することが多く、ポストエディット(PE)という独特の後処理工程が必須である。
このPEにどれだけ手間がかかるのか、PEをすれば人手翻訳と同等の品質が保証できるのか、などの課題がある。

NMTの出力結果に対するPEは、人手翻訳に対するチェックとは異なる作業なので、翻訳とは異なるという意識で行う必要がある。
そのため、PE作業を専門とするポストエディターの養成カリキュラムを開発しなければならない。
そのカリキュラムを利用して、人手翻訳をしている翻訳者がポストエディターという新業態に移行できるように教育したり、外国語大学などの学生を翻訳者兼ポストエディターとして育成することになるだろう。

現在、翻訳者として働いている人たちは、私も含めて、このPEに対応できるかどうか、あるいは、PEを受け入れるかどうかを決断する日が来る。
ただ、優秀な翻訳者であっても、PEは翻訳とは異なる作業なので、誰でも向いているわけではない。
PEに向いていない人、そしてNMTを受け入れたくない人は、人手翻訳が必要な高度な題材に取り組むことになるだろう。

ただ、ポストエディターを養成するとしても、翻訳者としてのトレーニングが不要になることはないだろう。

ある実験では、NMTの出力結果に引きずられて、適切な訳が思い浮かばなくなった被験者もいた。
また、知らない単語の意味を調べる必要がなくなって楽だ、と感じた被験者もおり、安易な作業という先入観が生まれると危険だ。

だから、NMTの出力結果は翻訳ではなく、計算結果が並んでいるだけだと、健全に疑う意識を持って、自ら正しい翻訳を生み出す力を持っている必要がある。

PEもできる優秀な特許翻訳者が望まれているが、国家レベルで養成しているわけでもなく、外国語を専攻した大学生が特許翻訳者を目指しているという話もあまり聞かない。

外国語関連の大学や学部で説明会をしている翻訳会社もあるが、文系学生にとっては、特許の技術内容が理解できないのか、あまり興味を持ってもらえないそうだ。

大学や企業の研究者の第二の人生として、特許翻訳者という道もあることを宣伝してもいるようだが、英語翻訳者ばかりのようで、ドイツ語はヨーロッパで主要言語なのに人気がない。

私の会社でも、ドイツ語特許翻訳者としての経歴がある人材を募集しているが、元々人数が少ないのか、既に他社の専属となっているのか、ほとんど集まらない。

私はドイツ語特許翻訳のセミナーにも参加しているが、参加者の中で実際にドイツ語特許翻訳をしている人はわずかである。

特許翻訳者の人数が少ないから、養成にも時間と手間がかかるから、その代わりにNMTを導入するというのは、危険な選択だろう。
翻訳者が足りないということは、PEもできる人材もまた足りなくなり、チェックをすり抜けた低品質翻訳を大量に生み出してしまうという、負のスパイラルを加速することになるのかもしれない。

社内で独日担当が私1人なので、ドイツ語NMTを導入して生産性を上げたいと思っているが、できればフリーランス登録をしている翻訳者にも参加してほしい。
しかし、依頼できそうなのは1人か2人しかいないのが現状だ。

頼めないレベルの人というのは、実はNMTと同じくらいの頻度でエラーを発生させて、しかも推敲せずに納品してしまう人だ。
このレベルの人をポストエディターとして育成しようとしても、人手翻訳を頼んだときに、原文の文脈を考慮しない誤訳、訳語の不統一、数字の転記ミス、請求項で「前記」が漏れている、などを多発しているのだから、NMTの出力結果を修正できないだろう。

つまり、NMTを導入するには、優秀な翻訳者の確保とポストエディターの養成が同時進行で必要ということだ。

そして、ドイツ語特許翻訳者が確保できない場合、ドイツ語NMTを導入してもPEができないので、英訳ができてから英語翻訳者が和訳するという、現在でも問題と思われる重訳が増えるのではないだろうか。

オリジナルがドイツ語特許であっても、英語の方が単価が安いことに加えて、クライアント側にドイツ語を知っている人材がいない場合、納品物の検品ができないので、英訳の使用を希望するかもしれない。

その英訳が人手翻訳であっても、NMT+PEであっても、誤訳・誤記などが残っているリスクがある。
先日も、英訳された特許を和訳していて、どうしても内容が理解できないという部分があった。
それでオリジナルのドイツ語特許を調べてみると、英訳時に誤訳していたり、化合物名が間違っていたことが判明した。

NMTでは原文の文脈を無視しているので、誤記にも対応できない。
人間のように、「この表現は何だか変だな」という違和感を持つこともない。
だから、特許の内容を反映していない表現に出会っても、人間のように、「オリジナルのドイツ語を調べてみよう」という反応はしない。

大学で研究しているとき、「化学者は英語だけではなく、最低もう1つ別の外国語で論文を読めた方がよい」と主張していたが、賛同する人はごくわずかであった。
英語だけ勉強すればよいと思っている人が多いため、今後もドイツ語など非英語人材を確保することは困難であろう。
その少ない非英語人材の中から、特許翻訳を目指す人がどれだけ生まれるであろうか。
日本語がわかるドイツ語ネイティブに期待することになるのだろうか。

翻訳業界全体で協力して人材育成をしなければ、NMTが発達しても、日本では導入不可能ということになるかもしれない。


ニューラル機械翻訳(NMT)が登場してから、翻訳者の仕事がなくなると言う人が現れるようになった。実際には、人手翻訳と同様に、NMTでも誤訳や訳抜けが発生するため、ポストエディット(PE)という後処理作業が必須である。どのような種類のエラーが発生するのか、「通訳翻訳ジャーナル」2018年春号の40ページに掲載された記事を参照してほしい。山田優・関西大学教授の報告では、人手翻訳で一番多かったエラーは、...
機械翻訳とポストエディット(PE)


機械翻訳とポストエディット(PE)

ニューラル機械翻訳(NMT)が登場してから、翻訳者の仕事がなくなると言う人が現れるようになった。
実際には、人手翻訳と同様に、NMTでも誤訳や訳抜けが発生するため、ポストエディット(PE)という後処理作業が必須である。

どのような種類のエラーが発生するのか、「通訳翻訳ジャーナル」2018年春号の40ページに掲載された記事を参照してほしい。
山田優・関西大学教授の報告では、人手翻訳で一番多かったエラーは、「原文内容の歪曲」であった。

この歪曲では、単なる不注意による誤訳もあるが、原文内容を理解しているのに、より適切な訳を求めて修正するときに、言外の意味などを推測して、結果的に改悪してしまうものも含んでいる。

NMTでは、この「原文内容の歪曲」に加えて、「不適切/一致しない訳語」が同程度出現するという。
NMTでは、原文全体を見ていないし、単語相互の関連性を計算しているだけなので、セグメントごとに訳語が変わることも多い。

また、最近出版された「翻訳事典2019-2020」の機械翻訳批判記事? でも、NMTの問題点として、この種のエラー発生を強調しているようだ。

私は業務で、英日特許翻訳の案件で機械翻訳を利用して、PEを毎日していている。
確かに、長文での訳抜けや重訳の出現、数字があちこちに移動したり、PE作業の負担は予想よりも多いという印象だ。

それでも平均すると、最初から人手翻訳をしてタイピングするよりは、10~20%の時間短縮が実現されていると感じている。
この作業負担感についての論文数は、まだ少ないものの、機械翻訳+PEでの効率改善が10~20%のレベルであることは、多くの翻訳者に同意してもらえることだろう。

人手翻訳とは異なるNMTのエラーの癖があるため、PEに向く人材についての検討や、どのような点に注意してPEを行うべきなのかという研究も行われている。
www.fellow-academy.com/fellow/pages/tramaga/backnumber/388.jsp
honyakukenkyu.sakura.ne.jp/shotai_vol10/No_10-004-Yamada.pdf

ただ、PEという作業自体は、これまでの翻訳とは全く異なる業務内容となるため、PEをいくらこなしたとしても、翻訳者にはなれないとも言われている。
PEの作業に関する研究では、NMTの出力結果に引きずられて適訳が思い浮かばなくなったという、被験者の感想も明らかになっている。

それで、通訳翻訳ジャーナルでも、翻訳事典でも指摘されていることだが、これから人間がどのように翻訳に関わるのかというと、NMTでは対応できない部分である。
つまり、原文全体を読んで内容を把握し、筆者の意図をくみ取り、読者が理解しやすい適切な訳文を考えることだ。

また、NMTは原文の誤記に対応できない。
翻訳不能として原文ママで単語を残してしまったり、無理やり似たような単語に置き換えたとしても、それが誤訳だとはNMT自体は認識しない。

PEで全てのエラーを修正するとしても、正確な翻訳ができる翻訳者が参加して、正しい訳例としてフィードバックして、NMTに再学習させなければならないだろう。

しかし、機械翻訳+PEをコスト削減の口実に使おうという依頼者がいるのも事実であり、単価切り下げに加担したくない翻訳者が多く、協力が得られない恐れがある。
そのため、実力のない人がPEを受注して、低品質の翻訳が出回る恐れもある。

機械翻訳+PEという新しい業務形態の導入を阻止したい人もいるかもしれないが、どのようにすれば業務の改善ができるのかという視点でも検証を重ねて、PEに対応したカリキュラムを開発し、それと同時に多言語の翻訳者を養成する具体策も検討してほしいものだ。

ところで、翻訳事典2019-2020の40ページ、下から7行目に、「エントロビー」とある。
これは、正しくは、「エントロピー」である。

トップクラスの翻訳者が書いた原稿に誤記があったのか、編集作業による誤植なのかは不明だが、校正作業でも見落とされ、人間がいくら努力してもミスをしてしまう存在であることを再認識した。

今後は他者の翻訳者の協力も得て、独日の機械翻訳を検証したいものだ。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

特許翻訳者の人数は不明?

小泉純一郎・元首相が「知的財産立国」を宣言したのは、2002年であり、もうすぐ20年になろうとしている。
その間、知的財産推進計画などが策定され、人材の育成も行われたそうだ。

育成すべき知的財産関連の人材の中には、特許専門の翻訳者も入っている。
それで関連する審議会では、人材の現状について把握しているのかどうか探してみた。

すると、以下のリンクで公開されている資料では、特許翻訳者の人数は不明とあった。
www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kenrihogo/dai9/9bessi5.pdf

別の資料でも人数は不明とあるが、この場合は「数百名規模」という概算が載っている。
www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/ip/haihu18/siryo6.pdf

翻訳会社の登録翻訳者の人数から推測できるかもしれないが、他に信頼できる統計が見つからないので、人数についてなんとも言えない。
「数百名規模」というのが知財関係の専門家の共通認識ならば、特許翻訳者が足りないという私の感想も間違っていないのかもしれない。

優秀な翻訳者の確保が必要と言われてきたが、実際に特許翻訳者の養成がどのように行われているのか、その具体例はほとんど聞いたことがない。

特許事務所や翻訳会社でのOJTが一番多いのかもしれないが、私のように、メーカー研究者がリストラ後に特許翻訳者に転職するような、異業種からの参入については、どのように把握されているのだろうか。

セミナーを開催したり、翻訳学校で指導しても、特許翻訳者が増えないだとか、特許翻訳者を募集しても集まらないとか、特許翻訳者が足りないから機械翻訳を導入しようとか、そのような話をする前に、実際に特許翻訳者が何人働いているのか、言語別にデータを集めて議論したいものだ。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

豪ドル建て債券を久しぶりに購入した

奨学金返済が終わり、1月末にPaypal残高が$2000を超えたので、外貨建て債券の投資を再開することにした。

当初は、2018年12月に三井住友銀行グリーンボンド(豪ドル)を購入する予定であったが、SMBC日興証券でも、三井住友銀行でも、すぐに完売してしまった。

SMBC日興証券で豪ドル外貨MMFを購入して準備していたが、次の債券が出るまで、そのまま残すことになった。

そして本日2月8日から、クレディ・アグリコルCIBグリーンボンドが販売されることになった。
販売用資料は次のリンク。
www.smbc.co.jp/kojin/saiken/resources/pdf/saikenTF01_20190206.pdf

今回は即完売ということはなく、SMBC日興証券で豪ドル建て$1000を購入できた。
昼休みにログインして約定を確認したついでに、取引画面を見たところ、オンライントレード販売分は、この時点で完売していた。

今回のグリーンボンドにはニュージーランドドル建てもあり、現時点でまだ購入可能だが、同一発行体では分散したことにならないので、見送ることにした。

それに加えて、3月末までに予想される支出として、弟のアパート契約更新に関する費用の他、花粉対策の空気清浄機の買い替え、教会の役員に選出された場合にスーツの新調などがあるため、外貨投資を急がない方がよい。

次回は、Paypal残高が$600程度になってから、7月頃に検討しようと思う。
それまでは少額の積立を続けて、外貨MMFをある程度増やしておこう。


弟への仕送りがまだ続くが、日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金返済が今月で終わることもあり、投資金額を少しずつ増やすことを計画している。世間では、冬のボーナスの話が出ているようだが、私の勤務先の賞与支給月は12月ではないので、金融機関がいろいろなキャンペーンを実施しても、あまり関係ない。それでも、年末調整でいくらか戻ってくるし、来年1月末までに PayPal の残高がUS$2000を超える予定なので、...
三井住友銀行グリーンボンドはすぐに完売してしまった

テーマ : 投資日記
ジャンル : 株式・投資・マネー

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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