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Rosa Parks moment に「革命的な瞬間」という意味があるのか?

私は英日・独日翻訳者として仕事をしているが、専門は自然科学系(化学)なので、知らないことも多い。
今回の記事の話題も、正確な情報について、英語が専門の方からのコメントを求めたい。

自称1000万円翻訳者・浅野正憲のブログでは、本日3月30日も新規記事が投稿されている。
タイトルは、「突然、出てくる人名的表現について」で、比喩表現の話のようだ。

そのブログ記事で取り上げた表現と、本人による和訳の部分を下に示す(赤下線を加えた)。
RoseParks.jpg 

例文には、Rosa Parks moment という、有名な人名を含む表現が使われている。

この例文の前後が示されていないため、どのような文脈で使われているのか私にはわからないが、自称1000万円翻訳者の解釈では、革命的な瞬間を意味するそうだ。

以下に示す私の解釈とは異なる説明なので、私が間違っているのか、あるいは新たな意味が追加されたということなのか。
引用がないので判断できないが、浅野正憲が読んだ文章では、「革命的な瞬間」にすると文脈に合致するということか。

Rosa Parks さんは、アメリカ公民権運動を学ぶと必ず出てくる、バスの席を白人に譲らなかった話の主人公だ。
詳細については様々な文献を参考にしてほしい。

差別に対して抵抗したということから、例えば、乗り物や学校などの公共の場で、「差別されたと感じて、その差別に対してノーと主張した場面」を意味する表現として、Rosa Parks moment が新聞記事などでも使われている。

和訳するときには、人名の部分は消えてしまうが、「差別への抵抗を決意した瞬間である」になるだろうか。

超有名企業からのオファーが絶えず、年収1000万円超を継続し、1000人以上の受講生にノウハウを教えている、「センスがある」一流翻訳者なのだから、単なる思い込みで誤訳をしているはずはないだろう。

「差別に反対すること」を、「これまでの常識とは異なる革命的なこと」という意味にまで広げたということか。

本人が誤訳していないとすれば、元の文章で誤用しているのだろうか。

言葉は変化するものなので、誤用が定着することもあれば、似た状況などにも適用されて意味範囲が広がっていくこともある。
このような複数の、幅広い意味が共存している過渡的状況には、語学的興味がある。
辞書を作る人たちにも有益な情報なので、続報として具体的な引用をして説明してほしいものだ。

新聞や論文など、わずか10件程度の調査では結論を出せないので、英語が専門の方々の解釈を教えてほしい。

雑誌「英語教育」の Question Box に送ったら回答してもらえるだろうか。
例えば、「思い込み誤訳」が生じるメカニズムについてなど。

今回も自称1000万円翻訳者のブログ記事は、その真偽について各自が調査して判断すべきであるという、すばらしい教材となった。

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Libetyについて調べてみた

自称1000万円翻訳者・浅野正憲のブログでは、様々な話題を提供してくれている。
ただ、理解しにくい日本語であることに加えて、誤訳や誤記が含まれている記事が多いことが、SNSなどで指摘されている。

誰でもうっかり、誤訳や誤記をしてしまうが、気づいたときには恥ずかしくなって、すぐに修正するものだ。

しかし、1000万円翻訳者とは思えない誤訳の掲載を堂々と続けているので、本人は正しい和訳だと思い込んでいるのかもしれない。
自己流の「なんとなく翻訳」の例を見ているかのようだ。

本日3月28日に投稿された記事にも、誤記があることが、SNSで指摘されている。
その Twitter の一例と、ブログ記事の該当部分のスクリーンショットを以下に示しておこう(ブログのリンクは示さない)。
libety.jpg

ここで引用している2月18日の過去記事にも、「Libety」が2か所に書かれていた。
このときは、あるSNSでの「Libetyなんて単語はない」という指摘を見たためか、「Liberty」にいつの間にか修正していた。
しかし慌てたのか、2か所のうち1つだけを修正しており、修正を忘れた「Libety」が残ったままになっている。

せっかく1か月ほど前に再学習した単語なのに、今回も「Libety」と書いている。

受講生に勧めているオンライン辞書の英辞郎では、libetyを入力すると、該当する項目がないと表示され、代わりの候補としてlibertyが提案されるのに。

もしかすると、rがあいまい母音化していることに加えて、カタカナで書いた「リバティ」に影響されて、つづりからrが脱落しているのかもしれない。

超有名企業からのオファーが継続している1000万円翻訳者なのだから、何か根拠があってLibetyを使っているのかもしれない(嫌味です)。

もしかすると、21世紀の英語の発音では、rが完全に脱落すると予測して、Libetyという新しいつづりの規則を提案するために、わざと独自のつづりを編み出しているのかもしれない。

本人が翻訳者に必要な能力として、いつも強調している「検索力」で、その根拠を探してみよう。

最初は、Libetyという人名があると思って検索してみた。
すると、次のリンク先でわかるように、Libetyという姓が実在する。
渡航者名簿など、証拠書類もいくつか掲載されている。
www.ancestry.com/name-origin

もう少し調べてみると、「The Facts on File Dictionary of American Regionalisms」という書籍に記載があることがわかった。
Google Books のリンクは次の通り。
books.google.co.jp/books

18世紀にロンドン付近では、rがあいまい母音化して、aやahになっていたそうだ。
例えば、cardの発音が、caadのようになっていたわけだ。
アメリカに移住した人たちが、この方言? をそのまま使ったためか、「libety」という誤記も見られたそうだ。

【.. Anyway, New Englanders were constantly dropping their r's midway through the 18th century, which is why liberty is so often misspelled libety in early American documents. ..】

ミススペルと書いてあるので、ある程度使われていたlibetyであるが、次第に消滅したのだろう。

だから単なる誤記だと思うが、超有名企業からのオファーが絶えない翻訳者のネームバリューを利用して、独自の言葉を使うことで、約200年前の事象のリバイバルを狙っているのかもしれない(嫌味です)。

ところで、30年くらい前に、たしかBBC制作の英語史のドキュメンタリー番組で、母音の発音が変化してきたことについて聞いたことがあった。
ただ、つづりにまで影響した例については知らなかった。
このような雑学を提供してくれたのだから、今回のブログ記事には感謝しなければならないのかもしれない。

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「多文化共生時代に学ぶ英語」(英語教育2020年4月号・新連載)

大修館書店の英語教育という雑誌を、今年度も定期購読することにした。
最新号の目次は次のリンクから。
www.taishukan.co.jp/book/b506725.html

私は理科の教員免許(中学・高校)を持っているが、英語・外国語の免許は持っていない。
それでも、日本の英語教育の現状や、大学入試も含めて、これからどう変わろうとしているのか、情報を集めたいと思っている。

これから翻訳業界に入って来るであろう若者たちが、小学校からどういった英語教育を受けたのか、AI機械翻訳が実用化を目指して発展している時代に英語教育を受けた若者は、以前とは変化しているのかなど、様々な興味がある。

今年度の新連載にも興味がある。
新連載を読むために定期購読を決めたと言ってもよいだろう。

「はな先生の街文字探検 from Texas」では、街角でみかける看板や標識の話題がおもしろい。
「バウハウス開校100年 モダンデザインの源流 バウハウスとはなにか」は、ドイツの話題だ。
「『老人と海』で学ぶ英文法」では、作品の理解を深めるためという観点から文法を学ぶ。

そして、多文化共生時代に学ぶ英語(本名信行・青山学院大学名誉教授)に注目している。

大学の研究室では留学生を受け入れていたし、私もドイツ留学を経験しているので、多様な文化的背景を持つ人々が集まり、互いを尊重しながら協力して生活する社会を望んでいる。

その連載の目的について、冒頭部分をそのまま引用して紹介したい。

【21世紀が進むなかで,私たちはこれから多様な文化的背景を持つ人びとと,世界の各地でゆきかうようになるでしょう。このような社会では,文化的な違いに敬意をはらい,その違いを相互調整する態度と能力が求められます。この連載では英語学習・教育の観点から,これらに関わるいろいろな課題を考えます。】

グローバル化時代に適した新しい考え方として、「多様な民族,文化,宗教,言語,そして伝統と習慣に敬意をはらい,許容する心構え」が必要になる。

また、能力としては、「さまざまな違いを言語コミュニケーションで相互調整する能力」が示されている。

日本では、ネイティブに通じる英語を学びたい人も多いようだが、グローバル化した世界での多文化間英語コミュニケーションでは、「特定の文化的背景にのみ依拠することはできない」。

そのため、英語学習自体が、これまでとは異なる新たな次元の課題を持つことになる。
グローバル化時代に求められる英語コミュニケーション能力として、以下の3つが挙げられている。
(1)他者を理解する能力
(2)自己を説明する能力
(3)多様性を相互調整するコミュニケーション能力

同じ国に住んでいる日本人同士でも困難なことを、英語を使う場面でも実践しなければならないのだ。
だから、英語の発音、語句、文法を勉強するだけではなく、世界の歴史や文化、地理などの勉強も必要になる。
加えて、相手の母国語が英語に与える影響を理解するためにも、英語以外の言語の知識も必要になる。

言語・外国語を学習するという態度ではなく、ことばを使ってどのようにコミュニケーションを成立させるのかを学習するという、新たな考え方で臨むべきだろう。

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雑誌「英語教育」(大修館書店)を定期購読することにした

特許翻訳の仕事とは直接関係ないが、大修館書店の雑誌「英語教育」を2019年5月号から定期購読することにした。
本日は別に注文した2019年4月号を紀伊国屋書店で受け取った。

これからの翻訳者育成を考えるためにも、学校での英語教育の現状を知っておくことは無駄ではないだろう。
実際には、ドイツ語特許翻訳者の育成を手伝うことになるだろうが、英語教育の方法を事例として知っておきたいこともある。

これまでも、小学校英語の導入など、大きな変化があったときに購入していたが、定期購読は初めてである。
定期購読を決めた理由は、読みたい新連載が始まったからである。

1)「グローバル人材」の条件 勝又美智雄
2)翻訳者の世界 - 言葉と格闘する人々 斎藤兆史
3)AI技術と外国語学習の未来 川添愛
4)黒田龍之助先生の鳩が出ますよ! 黒田龍之助
5)英語史のツボ

最初の3つの連載は、私の現在の仕事にも関連する内容が出てくるかもしれない。
連載初回ということで、AIのことも概論のようなものなので、5月号以降に注目したい。

4)は気楽に読めるエッセイと感じている。
「今月の標語」というものがあり、4月号は 「AIが あっても英語を 学びたい」だ。
今後の記事で紹介される、授業の様子も楽しみだ。

5)は、今回は「なぜ3単現に-sをつけるのか」だ。
動詞の語尾変化を古英語から近代英語まで比較して、そして歴史的背景も含めて、学校では習わなかった知識が得られる。
これも特許翻訳とは関係ないが、こういった知識も語学好きには魅力的な話題なのだ。

気になる記事があれば、今後も紹介したい。

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「英語教育幻想」(久保田竜子著、ちくま新書)

2020年度から、大学入学共通テストの英語ではスピーキングテストを課すことになり、さらに民間委託や民間資格試験の利用も検討されている。

単に英語教育産業が儲かるだけではないかと思うのだが、世間一般では、英語ができないと就職で不利になるだとか、半ば脅されて勉強している人が多いような気もする。
しかも、文章を読解することよりも、英会話ができる方がレベルが高いとも思われているようだ。

大学で研究していたとき、海外からの留学生や博士研究員も在籍しているので、英会話ができる方が望ましいが、それよりも英語論文の内容を正確に理解できる能力の方が重要だ。

大学入試の変更と共に高校英語教育も変わり、英語論文の読解力が低い学生が増えるのではないかと心配している。

その懸念と直接の関係はないかもしれないが、今月読んでいる新書は、「英語教育幻想」(久保田竜子著、ちくま新書)である。

まだ全部読んでいないが、取り上げられた10の幻想を列挙して、そのうち気になるいくつかの幻想については本文を短く引用して、情報提供としたい(後日追記予定)。

幻想1 アメリカ・イギリス英語こそが正当な英語である

幻想2 ことばはネイティブスピーカーから学ぶのが一番だ

(p.050-051) レポートや論文の場合、全体の構成や議論の進め方、さらに論理性などの点で、効果的な文章を書くことが求められます。その能力自体は、ネイティブ・ノンネイティブという立場と無関係です。… 話しことばと異なり、書く能力は教育を受けることによって習得するからです。したがって、母語でアカデミック・ライティングに長けていれば、その能力は、英語にも転移するはずです。

幻想3 英語のネイティブスピーカーは白人だ
幻想4 英語を学ぶことは欧米の社会や文化を知ることにつながる
幻想5 それぞれの国の文化や言語には独特さがある
幻想6 英語ができれば世界中だれとでも意思疎通できる
幻想7 英語力は社会的・経済的成功をもたらす

(p.159) インタビューに応じてくれた駐在員は全員、グローバルビジネスにおける英語の重要性ならびに必要性を認識していました。… ことばができなければ仕事ができない、あるいは就職できないわけでもないのです。結局、ことばができるできないにかかわらず、仕事をこなして結果を出すことが最重要だからなのです。

幻想8 英語学習は幼少期からできるだけ早く始めた方がよい
(p.197) 外国語学習の場合、年少者は習得に有利であるとは言えないことがわかりました。習得の度合いは、学習開始年齢よりも他の要因に影響されています。とくに、学習の量・質・集中度を高めることの方が、年齢の要因より重要だということもわかってきました。

幻想9 英語は英語で学んだ方がよい
(p.211) 海外の応用言語学の潮流は、言語習得における母語の役割を重んじる傾向にあります。… 目標言語を介して教科内容を学ぶイマージョン教育であっても、母語の役割は重要視されています。授業を英語で行えば英語の習得が促進されるという確証はありません。

幻想10 英語を学習する目的は英語が使えるようになることだ

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CNNの杉田水脈衆院議員に関する記事で victim-blame という単語を知る

自民党議員の不適切発言は、以前から数多く知られているが、特に今週は、「新潮45」という雑誌の朝日新聞批判特集に掲載された、杉田水脈議員の極端な意見が注目されている。

その記事は、買い物途中に書店に寄って立ち読みしたが、雑な書き方をしているので、購入する気は起きなかった。
多文化共生社会だとか、ダイバーシティという概念は、杉田議員が望む日本社会を破壊すると信じているようだ。
岩波の「世界」などで今後引用されて、そのときに再度読む必要があれば、近くの図書館に行って、コピーすればよいだろう。

この杉田議員の LGBT 批判の雑誌記事について、CNNでは7月26日に英語記事になっている。
edition.cnn.com/2018/07/25/asia/japanese-politician-criticism-intl/index.html

この記事を読んで、victim-blame (被害者を批判する、被害者たたきをする)という動詞を初めて知った。

元々は、victim-blaming 被害者たたき(被害者にも過失があると批判すること)という名詞があり、これから逆に動詞が作られた。
三人称現在単数形は、victim-blames、現在分詞は、victim-blaming、過去形・過去分詞は、victim-blamed

杉田議員を紹介している部分を引用しておこう(太字・色付けは私が行った)。

Sugita, who belongs to Japanese Prime Minister Shinzo Abe's ruling Liberal Democratic Party (LDP), is no stranger to controversial statements.

She has previously denied the existence of comfort women, victim-blamed the leader of Japan's MeToo movement, and garners more than her fair share of media attention for a junior lawmaker, according to Temple University professor Jeff Kingston.


杉田議員が、どういった被害者たたきをしているのか、それはBBCでも放送されたということで、知っている人も多いだろう。
この記事では、被害者の個人名を出すことなく、the leader of Japan's MeToo movement という表現で代替し、しかも、日本でも MeToo 運動が起きていることも伝えている。

科学論文や特許明細書では、絶対に出会わないと思われる単語であったが、杉田議員のおかげで知ることができた。
仕事とは無関係に、英語もドイツ語も、そして勉強を中断しているノルウェー語でも、雑学レベルでもよいから、コツコツと知識を仕入れていこう。

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「英単語の世界」(寺澤盾著・中公新書)

翻訳専業となってから忙しい日々であったが、今月は少し時間的余裕があったので、英語関連の新書を読んだ。

寺澤盾著、中公新書の 
英単語の世界 多義語と意味変化から見る である。
www.chuko.co.jp/shinsho/2016/11/102407.html

【英語は世界中の言語から多くの語彙を吸収し、既存の英単語も新しい意味を獲得してきた。boot(長靴)に「コンピュータの起動」の意味が生じ、固定して動かない状態を指したfastが「速い」を意味するようになるなど、一見理解しがたい変化もある。しかし、こうした変化は、ランダムにおこったのではなく、何らかの連想関係が存在するのだ。英単語の多様な意味をつなぐものとは何か。その秘密に迫る。】

目次は次のとおり。

第1章 もっとも語義の多い英単語は? -多義語のさまざまな意味-
第2章 a hand of bananas はどんな手? -「似ているもの」で喩える-
第3章 bottle を飲み干す -「近くにあるもの」で指し示す-
第4章 quite a few はなぜ「たくさん」? -意味変化の原因-
第5章 you は多義語 -機能語の多様な意味を繋ぐ-
第6章 トイレを表す語彙の変遷 -意味のエコロジー-
終章  一語一義主義 -多義語と英単語学習-

英語に限らず、外国語の学習時に大変なのは、1つの単語にさまざまな意味が存在することである。
元の意味から、類似のものに意味が拡大したり、他の意味に変化したり、分野によって使い方が違ったり。
私もドイツ留学中に、辞書の一番目に出てくる語義だと思い込んでしまい、誤解してしまった経験がある。

ただし、その多様な意味は、互いに無関係ではなく、異なる語義を繋ぐ糸のようなものがある。
第1章で最初に例示されている hand では、「手」という意味との関連が理解しやすい語義が紹介されている。

1 手 2 手助け 3 所有、管理 4 (時計の)針 5 人手、労働者 6 持ち札 7 筆跡 8 拍手 9 バナナの房 10 [サッカー] ハンド …

「手」が関わる「筆跡」や「拍手」などの他に、「手に形が似ている」という類推から「バナナの房」という意味が加わっていることが面白い。
この隠喩・メタファーは、第2章でも取り上げられ、身体部分を表す語の例として、eye や head などが紹介されている。

第3章では、換喩・メトニミーが取り上げられ、hand が「筆跡」の意味に転用されたことを紹介している。
これは、文字を書いているときに、書いている手と文字、つまり筆跡が空間的に近接していることに基づいている。
また、「ボトルを飲み干す」では、「ボトルの中の飲料を飲み干す」ことであるが、「ボトル」だけで、その中にある飲料のことであることは類推可能である。

第4章では、意味が変化する3つの原因として、「社会に関わる要因」、「言語使用者に関わる要因」、「言語に関わる要因」を紹介している。
「社会に関わる要因」では、新しい概念や事物を表す必要性から、これまでの語に新しい意味を付け加えること。
最近のIT関連では、cloud 「クラウド」が挙げられる。

「言語使用者に関わる要因」では、タブーを表す婉曲表現や、ある語が次第に差別的意味を持つ例が紹介されている。


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学校英語クイズ(ドイツ紙 Süddeutsche Zeitung から)

ドイツ語と英語は、同じゲルマン諸語の系統で親戚だと言われているが、文法は全く異なるので、英語の次にドイツ語を勉強する人は、誤解に基づく先入観を捨てることが必要だ。

自然科学系研究者は今でもドイツ語論文を読む機会があるにもかかわらず、「ドイツ語は英語に似ているから辞書で単語を調べれば意味はわかる」などと言って、基礎文法すら確認しない人もいる。
まあ、実験操作の説明のように、自分の経験が理解を助ける場合は、単語の意味を並べて眺めていれば、なんとなくわかるかもしれない。
しかし、「試薬を2時間かけて加えた」という説明を、「試薬を加えてから2時間反応させた」と誤解していた人もいるので、専門家ならば研究に必要な言語として最低2か国語、できれば3か国語を学んでほしいものだ。

繰り返すが、英語とドイツ語は異なる言語なので、高等教育を受けたドイツ人であっても、正確な英語を使える人は1%程度だという。
それでも、コミュニケーションがとれるだけの英語力を持つ人は多く、英語能力指数は世界第14位で、日本の第26位よりも上で、「高い」グループに入っている(日本はフランスやロシアよりも上だから、そんなに悲観することもない)。
www.efjapan.co.jp/epi/

EU市民ならば原則として、EU域内の国ならばどこでも働くことができるので、英語を身につけてドイツから出ようという人もいる。
そんな風潮を反映しているのかどうかは知らないが、ドイツ紙の Süddeutsche Zeitung では、英語クイズが出題されている。

今月の英語クイズは、「Do you speak Schulenglisch? (学校英語を話しますか)」で、学校で習う基礎文法のクイズになっている。
全部で15問あるが、そのうち5問を引用するので、各問題の選択肢A・B・Cのうち、どれが正しいのか考えてみてほしい。
15問全部を解きたい人は、次のリンクを参照。
quiz.sueddeutsche.de/quiz/2081640481-englisch-quiz/1

1.
A. Twenty years ago Tom married July and was moving into her house.
B. Twenty years ago Tom married July and had moved into her house.
C. Twenty years ago Tom married July and moved into her house.

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「英語を使うお仕事」(英語教育2012年8月号)

大修館書店の雑誌「英語教育」は、特集記事に翻訳などの気になるものがあれば購入している。
plaza.taishukan.co.jp/shop/Product/List

8月号の特集は、「英語を使うお仕事」ということで、もちろん翻訳も入っている。
特集の目次は以下のリンクを参照してほしい。
その中から気になった記事を引用しておこう。
plaza.taishukan.co.jp/shop/Product/Detail/71208

・【理系研究職】 研究開発で世界をリードするために(村田賢一)
・【技術翻訳】 言葉は文化:日英文化間を旅行する毎日(松澤圭子)
・【研究所】 グローバルの前に日本代表として(宮田輝子)
・【翻訳家】 苦手な英語を訳すということ(池田香代子)

私は民間企業の研究員で、英語を毎日使っているといっても、実験ノートへり記録や、論文・特許を読むのが主体だ。
たまに外部に出す資料として、実験手順のまとめ(実験の部)を代筆することがあるくらい。

他には、年に1回または2回ほど参加する学会で、外国人研究者の招待講演で英語発表を聴くくらい。
ごく最近、実際に英語を話したのは、海外メーカー製反応装置のデモに来ていた英国人に、「こんな反応は実施可能かどうか」と質問しただけ。
どこかの英会話教室や文部科学省が宣伝するような、「英語ができないと仕事もできない」という実感は全くない。

英語を一番多く話したのは、大学・大学院・ポスドク時代で、留学生や観光客相手だ。
自転車のパンク修理をしてもらっている間、自転車を買いに来た留学生に、私が代理で英語で接客した。
「試乗できますよ。」や、「この値段は消費税抜きです。」だけでなく、「来週火曜日まで取り置きしておきます。」など。

うまくできなかったことも確かにあり、観光客から食べ放題のピザ屋の場所を質問されたが、私はその店を知らなかった。
また、これは英語ではないが、ドイツ人教授夫人の観光案内を任されたとき、美術館や寺院で、ドイツ語でどう説明するのか悩んだ。
語学能力の問題もあるが、上記【研究所】の記事にもあるように、日本や住んでいる街の歴史・文化といった知識の方が大切なこともある。

一番に気になったのは、ドイツ語翻訳家の池田さんの記事である。
私は英語とドイツ語の両方を担当しているので、共感する部分もあったし、翻訳裏話のような話題も面白かった。

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木星の衛星Europaの和名は「エウロパ」に統一してほしい

翻訳の仕事をしていなくても、外国語の辞書を使うことは多いし、日本語を読むときも国語辞典や漢和辞典で確認することがある。
たいていの人は、専門家が辞書を編纂したのだから、その記載内容を信じてしまうだろう。
しかし私は、高校生のときに読んだ岩波新書、「英和辞典うらおもて」の影響だけでなく、実際に複数の辞書を比較した経験から、辞書の記述を鵜呑みにしないようにしている。

これまでも何度か、ニュース翻訳での誤訳や、オンライン辞書などでの疑問点を指摘してきたが、今回は木星の衛星 Euorpa(エウロパ)を取り上げよう。

Europa は、英語の発音に由来する「ユーロパ」と呼ばれることもあるが、天文用語では「エウロパ」と決めている。

ただ、「dwarf planet」を「矮惑星」ではなく「準惑星」としたように、専門家が決めた用語について、納得できないこともある。
自分なりのこだわりはあったとしても、他人とコミュニケーションするためには、統一した用語を使うことになる。

和訳ニュースでの誤訳を指摘したとき、担当した翻訳者はオンライン辞書だけを使っていた場合が多かった。
納期に追われる翻訳では、調査時間が足りないのはわかるが、複数の辞書を使うことが望ましい。

人気のある無料オンライン英語辞書として、アルクのトップページから検索できる、英辞郎 on the Webがある。
www.alc.co.jp/

そこで、「Europa」を検索すると、語義説明では「ユーロパ」、その他の例文などでは「エウロパ」と不統一だった。
無料だから不統一なのかと思い、月315円のPro版を申し込んでみたが、検索結果は同じだった。

Europa 名 2. 《宇宙》ユーロパ◆木星の衛星
Europa's surface エウロパ表面

…under the icy surface of Jupiter's moon, Europa, …
…木星の衛星エウロパの氷状の地表の下に…】

Pro版は初回契約月は無料なので損はしていないが、期待したものではなかったので、即刻解約することにした。
この件は、「誤植の報告」として修正依頼を出したが、改訂されるかどうかは、しばらく待たないと判明しない。


私が年間契約している有料オンライン辞書サービスは、研究社のKODで、複数の辞書を同時に検索対象にできる。
オプションで、オックスフォード英英辞典などが追加できるので、利用者の希望する組み合わせを選ぶことが可能だ。

kod.kenkyusha.co.jp/service/

ところが、Europa については、残念な結果となり、研究社に改訂の要請をすることになってしまった。

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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