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化学英語: alkoxide と alcoholate はどちらもアニオン種

学術用語の定義も変わることがあり、古い文献を読むときには注意が必要なことも多い。
また、使用が推奨されていない用語であっても、特定の分野では使われ続けることもある。

化学専門の博士であっても、すべてを知っているわけではないので、学生時代の知識に頼らず、改訂の有無を含めて、慎重な調査を怠ってはならない。

今回は、alcoholアルコール)ROH の共役塩基であるアニオン種 RO- の名称を取り上げよう。
alkoxide(アルコキシド)alcoholate(アルコラート)の2種類あり、alkoxide の方が優先される。

具体的なアルコールとして、methanol(メタノール)CH3OH では、「ヒドロキシ化合物に由来するアニオン」の命名法を適用して以下のように命名する。

CH3O- methoxide(メトキシド)  
PIN(優先IUPAC名)
      methanolate(メタノラート)
GIN(一般IUPAC名)

どちらもアニオン種の名称なのだが、alcoholate には、「アルコール和物」という「溶媒和物」としての意味もある。
さらに、「酒精剤」という薬学用語もある(英語では spirit を使うことが多い)。

alcoholate は多義語なのだが、IUPAC では、alcoholate を溶媒和物に使ってはならないとしている。
語尾の -ate は、アニオンを表すことが多いからだ。

IUPAC の Gold Book の説明は次の通り。

Synonymous with alkoxides. Alcoholate should not be used for solvates derived from an alcohol such as CaCl2
nROH, for the ending -ate often occurs in names for anions.

そのため「アルコール和物」
を英語では alcohol adduct (アルコール付加物)と書くことが増えた。
「メタノール和物」であれば、methanol adduct だ。

それでも、最近の論文や特許であっても、アルコール和物の意味で alcoholate を使っていることがあるので、注意が必要だ。

逆に、IUPAC の定義に忠実にアニオン種の意味で alcoholate を使っているのに、「アルコール和物」と間違って和訳した特許も出願されていた。

誤訳をしないためには、構造式や本文の説明、そして実験の部も読んで、alcoholate がアニオン種なのかどうかを確認しなければならないだろう。

ところで、日本語版のウィキペディアでは、alcoholate の説明が間違っているように思われる。
ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%89
(2021年01月06日22時52分にアクセス)
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IUPAC命名法ではアルコキシドの別名としてアルコラート (alcoholate) という呼称も許容するが、アニオン種を表す場合はアルコラートと呼ぶことができない[1]。
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様々なサイトでそのまま引用されているのだが、これだけ広まってしまった場合、修正提案はどうしたらよいのだろうか。

テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

映画「博士と狂人」を観た

今日は文化の日の祝日ということで、話題の映画博士と狂人」(The Professor and the Madman)を観に行った。
公式サイトのリンクは次の通り。
hakase-kyojin.jp/

オックスフォード英語辞典の編纂秘話というだけではなく、キリスト教関係の雑誌や新聞などでも取り上げているように、罪の赦しや愛、神から与えられた使命などもテーマになっている。

私は科学者になりたい気持ちが強かったので、大学では理学部を受験した。
ただ、外国語も含めた言葉・言語への興味も同様に持っていて、新しい言葉の用例を集める仕事もしてみたいと思っていた。
なんだかコレクションのようにも見えるが、用例を集めて分類するというのも、大切な学問だと思う。

化学が専門で翻訳もしているのだから、自然科学系の用語集を作る仕事があれば参加してみたい。
英語を担当する人は山ほどいるだろうから、私はマイナー言語になりつつあるドイツ語を担当しよう。
最終的には学会の重鎮が監修することになるだろうが、名前が出なくても、コツコツ作業する仕事をしてみたいものだ。

「信徒の友」2020年10月号の「シネマへの招待」にも書いてあるように、辞典の用例として聖書の言葉が何度も引用されていた。

例えば、マレー博士と殺人犯マイナーとの友情については、箴言第27章17節が引用されている。

King James: 17 Iron sharpeneth iron;
      so a man sharpeneth the countenance of his friend.

新共同訳: 17 鉄は鉄をもって研磨する。
      人はその友によって研磨される。

聖書協会共同訳: 17 鉄は鉄で研がれ
        人はその友人の人格で研がれる。


今後、翻訳以外の仕事をすることになるのかどうかわからないが、神様から与えられた使命が何かを問いながら、呼ばれたところで働くという意識で、コツコツと一生続けていきたい。

テーマ : 聖書・キリスト教
ジャンル : 学問・文化・芸術

英語: serum といっても「血清」ではない

今月担当した英語特許和訳のチェックで、見慣れた単語が意外な意味を持つことを知った。
それは serum

最近は医薬関係の特許が続いていたので、serum が出てくると反射的に血清と思ってしまう。

今回の特許は、医薬品を皮膚に塗布する装置に関するものなので、医薬関係で「血清」と条件反射したのかもしれない。

ただし、その装置は、保湿剤やクリームを塗布するにも使えるとのことで、その説明の場合、「血清」では違和感がある。

それで医薬品から離れて、化粧品関係の用語を調べてみると、serum美容液、セラムとのことだ。

例えば、次のリンクから、美容液【ビヨウエキ、serum】の説明で確認してほしい。
www.cosmeconcier.jp/w/145

もう少し調べてみると、化粧品メーカーのサイトだけではなく、通販サイトでも「セラム」と書いている。
美容液を購入するのは、女性の方が多いと思われるので、女性翻訳者であれば間違わなかったと思う。

今回の翻訳者は、医薬特許ということに引きずられ、そして男性だったから「血清」にしたのかもしれない。

私も化粧品にはほとんど興味がないので、「セラム」という用語を初めて知った。
serum には他にもいろいろな意味があるので、今後も多義語には気を付けよう。

以前もマスカラの特許を読んだことがあるが、使ったことがないので図面を見ても特徴が実感できなかった。
まあ、実在するものを指す用語だから、調査して判明したのでよかったと思うことにしよう。

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英語の多義語: compound は「化合物」だけではない

勤務先の翻訳会社での仕事の1つとして、英日特許翻訳のトライアル課題の作成と訳文の評価がある。
私は化学者なので、担当する分野は化学や医薬がほとんどだ。

課題を作成するときは、なるべく1年以内に公開されたUS特許またはWO特許から探して、しかも日本特許庁に和訳が提出されていないことを確認している。

それでも似ている表現はあるので、類似特許を検索すれば、専門用語の和訳を参考にできる場合もあるだろう。
もし一般的な辞書にない専門用語であれば、それは調査力を測るためのキーワードとなる。

また、基本的な単語であっても、多義語の場合は、適切な訳語を選択しているかどうかを評価ポイントにできる。

そのような評価ポイントになる専門用語や多義語を含む箇所を選んでいるが、別にそれは意地悪な引っ掛け問題を作っているわけではない。
特許翻訳では日常的に出会うものなので、それを省く方が不自然だ。

これまでにいくつかトライアル課題を作成してみて、compound という普通の名詞が意外にも難しい単語であることを知った。

具体的な公報番号は出せないが、ビタミン類とアスピリンとの合剤(配合剤)の特許である。

合剤とは、複数の医薬成分を1つの薬剤に配合したものだ。
英語では combination を使うことが多いようだが、この特許では compound を使っていた。

出題者としては出願人の意図を推測して、合剤配合剤複合剤という、普通の辞書には載っていない訳語を想定していた。
ところが、混合物複方、そして化合物と、翻訳者ごとに異なる訳語になっていた。

そのうち、化合物」と誤訳した翻訳者を不合格とした。
実際には医薬の話だが、化学系特許と伝えたためか、「化学ならば compound は化合物だ」と判断したのかもしれない。

また、この翻訳者は誤訳しただけではなく、図面を確認していないと推測したのも、不合格の理由である。
課題文に図面は添付していなかったが、公報番号は知らせてあり、必要に応じてダウンロードして確認するように注意事項に書いておいた。

図面には錠剤の模式図があって、その錠剤内部には、ビタミンを含有するカプセルが埋め込まれている。
そのカプセルの周りがアスピリンを含む部分であるから、図面からも化合物では変だと気付くことはできたはずだ。

カプセル化することで有効成分が消化管内で溶け出す時間をずらすことができるのが特徴だ。
その特徴を反映するように訳語を考えることも、翻訳者には求められている。

その特許には、以下のように、combination も含むバリエーションが出てくる。

1) a vitamin and aspirin compound
2) a vitamin/aspirin compound
3) a compound comprising a vitamin and aspirin
4) a compound dosage comprising a vitamin and aspirin
5) a combination of vitamins and aspirin


図面を見ずに訳していても、基本的な化学の知識として、化合物の定義を知っていれば、途中で「化合物では変だな」と気付くと思われる。
もし気付かなくても、5) の combination が出てきたときに、「やはり化合物では変だ」と気付いてほしかった。
そして図面を確認して、「これは複合物かな?」などと考えることを期待していた。

他の請求項などの面倒な構文はきちんと和訳しているのに、あまりにももったいないことだ。

「その程度の誤訳ならばチェック時に修正すればいい」と言われそうだが、複数の候補者がいるときに優先はできない。
それよりも、化合物では変だなと感じなかったことと、図面を確認しなかったことが不安要素なのだ。

私もこれまで、すべてのトライアルに合格したわけではない。
不合格だと落ち込んでしまうものだが、地道な学習を積み重ねて、諦めずに取り組み続けてほしい。

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多様なコミュニケーション・スタイル: ネイティブのようには話さない?

今日届いた雑誌「英語教育」2020年6月号で最初に読んだ記事は、「多文化共生時代に学ぶ英語」の第3回。
タイトルは、多様なコミュニケーション・スタイルだ。

世界の人々が英語を使う現代では、コミュニケーション・スタイルも、その人の文化的背景に影響される。
そのため、文化差を無視して、ネイティブのように使いなさいと言うことはできない。

そのコミュニケーション・スタイルについて記事では2種類挙げている。
フレーム・ファーストメイン・ファーストだ。

フレーム・ファーストは、日本人も含めてアジア圏で中心となるスタイルだ。
「まず枠組みを言い、それから要点を言う」

そのため、あれこれと状況の説明が延々続いて、なかなか本題にたどり着かないというもどかしさがある。

メイン・ファーストは、英語ネイティブのイギリス人やアメリカ人が好むスタイルだ。
「まず要点を言い、それから枠組みを言う」

最初にテーマがはっきりするので、聞き手側も話題についていきやすいし、質問などもしやすくなる。

研究現場では、英語で学会発表や論文執筆することを意識して、日本語での発表でも結論を先に言ってからその根拠を説明するようにと、教えられることが多い。

研究室での発表をフレーム・ファーストにしてしまうと、その研究で一体何をしたかったのか最後まで分からず、聞いていてつらくなる。

ただし、メイン・ファーストの方がよいと一方的に決めつけてはならない。
同じことを言うのに、必ず別の言い方があることを意識しながら、英語も学習しなければならない。
ネイティブのように英語を使うべきだという、言語的自己中心主義にならないように気を付けたい。

また、相手が何を言いたいのか理解するように努力して、文化的背景の違いを乗り越えて、コミュニケーションを維持しようと、柔軟な態度で応じることも必要だ。

誤解や行き違いを解消するために、ネイティブのやり方に統一するというのは本末転倒だ。
多文化共生社会で英語を使うのだから、どのスタイルが正しいということはなく、双方が譲り合いながらコミュニケーションを維持すべきである。

ネイティブのように外国語を操りたいと思うこともあるが、そのようなテクニックよりも、相手を思いやりながらコミュニケーションを維持する姿勢を身につけたいものだ。

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ピリオドを見落として化合物名を間違えた学生

大学受験の科目に英語を課しているところは多い。
それは、大学で学問をするには、英語の資料を読むことが必要になるからだ。

日本人ノーベル賞受賞者が増えていることでもわかるように、最先端の研究が日本でも行われており、一流の研究者が書いた日本語での論文や書籍を読むことができる。

それでも、全世界で行われている最先端の研究を把握するには、どうしても英語論文を読む必要がある。
ざっと目を通す論文も含めて、年間で100報程度では少ないと言われているし。

私が在籍していた国立大学では、ある年のB日程試験で受験科目数を削減して、英語を課さなかったことがあった。
すると、受験科目になかったためか、英語が苦手な学生が増えてしまったと、指導教授が嘆いていた。
ということもあり、どのような日程の試験でも、英語は全学部で課すことに戻された。

英語が受験科目であっても、英語が得意な学生ばかりではない。

専門教育が始まると、参考図書として英語で書かれた新刊の専門書が指定されるが、半年くらい経って日本語での訳書が出回るようになると、英語原書を読もうとはしなくなる学生もいる。

翻訳をした有名教授を批判するつもりはないが、私はある専門書で訳抜けを発見した経験がある。
他にも、誤訳を指摘されて、重版のときに改訂された訳書もある。
だから、疑問点があったときに、オリジナルの英語書籍で確認できる語学力は最低限必要だ。

前置きが長くなったが、オリジナルの情報を確認しない学生は実在する。
しかも、確認するように促されてオリジナルの英語論文を読んでも、ピリオドを見落として、間違った化合物名を信じていた学生もいた。

私が短期間在籍したある大学の研究室では、天然物の全合成研究をしていた。
前任の大学院生から引き継いだテーマで、その日本語での発表資料には、「〇〇ノリドA」という目的化合物の名称が書いてあった。
引き継いだ学生は、「〇〇ノリドA」を信じてそのまま使っていた。

指導教授からは、「本当に〇〇ノリドAなんて化合物があるのか。AがあるならBは何だ」と質問されていたが、その学生は「先輩が使っていたから」と返答した。

その指導教授も意地悪なのか、正しい化合物名を教えずに放置した。
その教授の性格から推測すると、卒論発表などの機会に間違いを指摘して恥をかかせるためか、間違いを書いたから卒業取り消しという嫌がらせをしようとしたのかもしれない。

その学生から相談された私は、「その大学院生が引用した英語論文を確認して」と指示した。
その英語論文のタイトルにも出てくる名称だが、「〇〇ノリドAで正しいはずだ」という。

そこで私が見ると、その学生も含めて、ピリオドを見落としていたことがわかった。

そのタイトルは、「...nolide. A Novel Sesquiterpene Isolated From ...」

化合物名は「〇〇ノリドA」ではなく、「〇〇ノリド」だ。
学生たちが化合物名の一部と思っていた「A」は、不定冠詞だったのだ。

...nolide の後のピリオドが小さくて見落としたのか、それとも、「××A」という別の天然物の名称につられたのか、または、英語が苦手な学生は不定冠詞を理解できていないということか。

しかも、論文の本文中には「...nolide」だけで、「...nolide A」は出てこない。
ということは、研究発表のイントロで使うためだけに用意した資料であり、中身は読んでいないことになる。

まあ、英語が苦手な学生だから、本当に必要になるまでは、なるべく読まずに済ませようということだったのだろう。

英語の学習指導要領を変えたり、大学入試をいじろうとしているが、コミュニケーション能力ばかり注目するのではなく、読む力を確実に持つような指導もしてほしいものだ。

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Rosa Parks moment に「革命的な瞬間」という意味があるのか?

私は英日・独日翻訳者として仕事をしているが、専門は自然科学系(化学)なので、知らないことも多い。
今回の記事の話題も、正確な情報について、英語が専門の方からのコメントを求めたい。

自称1000万円翻訳者・浅野正憲のブログでは、本日3月30日も新規記事が投稿されている。
タイトルは、「突然、出てくる人名的表現について」で、比喩表現の話のようだ。

そのブログ記事で取り上げた表現と、本人による和訳の部分を下に示す(赤下線を加えた)。
RoseParks.jpg 

例文には、Rosa Parks moment という、有名な人名を含む表現が使われている。

この例文の前後が示されていないため、どのような文脈で使われているのか私にはわからないが、自称1000万円翻訳者の解釈では、革命的な瞬間を意味するそうだ。

以下に示す私の解釈とは異なる説明なので、私が間違っているのか、あるいは新たな意味が追加されたということなのか。
引用がないので判断できないが、浅野正憲が読んだ文章では、「革命的な瞬間」にすると文脈に合致するということか。

Rosa Parks さんは、アメリカ公民権運動を学ぶと必ず出てくる、バスの席を白人に譲らなかった話の主人公だ。
詳細については様々な文献を参考にしてほしい。

差別に対して抵抗したということから、例えば、乗り物や学校などの公共の場で、「差別されたと感じて、その差別に対してノーと主張した場面」を意味する表現として、Rosa Parks moment が新聞記事などでも使われている。

和訳するときには、人名の部分は消えてしまうが、「差別への抵抗を決意した瞬間である」になるだろうか。

超有名企業からのオファーが絶えず、年収1000万円超を継続し、1000人以上の受講生にノウハウを教えている、「センスがある」一流翻訳者なのだから、単なる思い込みで誤訳をしているはずはないだろう。

「差別に反対すること」を、「これまでの常識とは異なる革命的なこと」という意味にまで広げたということか。

本人が誤訳していないとすれば、元の文章で誤用しているのだろうか。

言葉は変化するものなので、誤用が定着することもあれば、似た状況などにも適用されて意味範囲が広がっていくこともある。
このような複数の、幅広い意味が共存している過渡的状況には、語学的興味がある。
辞書を作る人たちにも有益な情報なので、続報として具体的な引用をして説明してほしいものだ。

新聞や論文など、わずか10件程度の調査では結論を出せないので、英語が専門の方々の解釈を教えてほしい。

雑誌「英語教育」の Question Box に送ったら回答してもらえるだろうか。
例えば、「思い込み誤訳」が生じるメカニズムについてなど。

今回も自称1000万円翻訳者のブログ記事は、その真偽について各自が調査して判断すべきであるという、すばらしい教材となった。

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Libetyについて調べてみた

自称1000万円翻訳者・浅野正憲のブログでは、様々な話題を提供してくれている。
ただ、理解しにくい日本語であることに加えて、誤訳や誤記が含まれている記事が多いことが、SNSなどで指摘されている。

誰でもうっかり、誤訳や誤記をしてしまうが、気づいたときには恥ずかしくなって、すぐに修正するものだ。

しかし、1000万円翻訳者とは思えない誤訳の掲載を堂々と続けているので、本人は正しい和訳だと思い込んでいるのかもしれない。
自己流の「なんとなく翻訳」の例を見ているかのようだ。

本日3月28日に投稿された記事にも、誤記があることが、SNSで指摘されている。
その Twitter の一例と、ブログ記事の該当部分のスクリーンショットを以下に示しておこう(ブログのリンクは示さない)。
libety.jpg

ここで引用している2月18日の過去記事にも、「Libety」が2か所に書かれていた。
このときは、あるSNSでの「Libetyなんて単語はない」という指摘を見たためか、「Liberty」にいつの間にか修正していた。
しかし慌てたのか、2か所のうち1つだけを修正しており、修正を忘れた「Libety」が残ったままになっている。

せっかく1か月ほど前に再学習した単語なのに、今回も「Libety」と書いている。

受講生に勧めているオンライン辞書の英辞郎では、libetyを入力すると、該当する項目がないと表示され、代わりの候補としてlibertyが提案されるのに。

もしかすると、rがあいまい母音化していることに加えて、カタカナで書いた「リバティ」に影響されて、つづりからrが脱落しているのかもしれない。

超有名企業からのオファーが継続している1000万円翻訳者なのだから、何か根拠があってLibetyを使っているのかもしれない(嫌味です)。

もしかすると、21世紀の英語の発音では、rが完全に脱落すると予測して、Libetyという新しいつづりの規則を提案するために、わざと独自のつづりを編み出しているのかもしれない。

本人が翻訳者に必要な能力として、いつも強調している「検索力」で、その根拠を探してみよう。

最初は、Libetyという人名があると思って検索してみた。
すると、次のリンク先でわかるように、Libetyという姓が実在する。
渡航者名簿など、証拠書類もいくつか掲載されている。
www.ancestry.com/name-origin

もう少し調べてみると、「The Facts on File Dictionary of American Regionalisms」という書籍に記載があることがわかった。
Google Books のリンクは次の通り。
books.google.co.jp/books

18世紀にロンドン付近では、rがあいまい母音化して、aやahになっていたそうだ。
例えば、cardの発音が、caadのようになっていたわけだ。
アメリカに移住した人たちが、この方言? をそのまま使ったためか、「libety」という誤記も見られたそうだ。

【.. Anyway, New Englanders were constantly dropping their r's midway through the 18th century, which is why liberty is so often misspelled libety in early American documents. ..】

ミススペルと書いてあるので、ある程度使われていたlibetyであるが、次第に消滅したのだろう。

だから単なる誤記だと思うが、超有名企業からのオファーが絶えない翻訳者のネームバリューを利用して、独自の言葉を使うことで、約200年前の事象のリバイバルを狙っているのかもしれない(嫌味です)。

ところで、30年くらい前に、たしかBBC制作の英語史のドキュメンタリー番組で、母音の発音が変化してきたことについて聞いたことがあった。
ただ、つづりにまで影響した例については知らなかった。
このような雑学を提供してくれたのだから、今回のブログ記事には感謝しなければならないのかもしれない。

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「多文化共生時代に学ぶ英語」(英語教育2020年4月号・新連載)

大修館書店の英語教育という雑誌を、今年度も定期購読することにした。
最新号の目次は次のリンクから。
www.taishukan.co.jp/book/b506725.html

私は理科の教員免許(中学・高校)を持っているが、英語・外国語の免許は持っていない。
それでも、日本の英語教育の現状や、大学入試も含めて、これからどう変わろうとしているのか、情報を集めたいと思っている。

これから翻訳業界に入って来るであろう若者たちが、小学校からどういった英語教育を受けたのか、AI機械翻訳が実用化を目指して発展している時代に英語教育を受けた若者は、以前とは変化しているのかなど、様々な興味がある。

今年度の新連載にも興味がある。
新連載を読むために定期購読を決めたと言ってもよいだろう。

「はな先生の街文字探検 from Texas」では、街角でみかける看板や標識の話題がおもしろい。
「バウハウス開校100年 モダンデザインの源流 バウハウスとはなにか」は、ドイツの話題だ。
「『老人と海』で学ぶ英文法」では、作品の理解を深めるためという観点から文法を学ぶ。

そして、多文化共生時代に学ぶ英語(本名信行・青山学院大学名誉教授)に注目している。

大学の研究室では留学生を受け入れていたし、私もドイツ留学を経験しているので、多様な文化的背景を持つ人々が集まり、互いを尊重しながら協力して生活する社会を望んでいる。

その連載の目的について、冒頭部分をそのまま引用して紹介したい。

【21世紀が進むなかで,私たちはこれから多様な文化的背景を持つ人びとと,世界の各地でゆきかうようになるでしょう。このような社会では,文化的な違いに敬意をはらい,その違いを相互調整する態度と能力が求められます。この連載では英語学習・教育の観点から,これらに関わるいろいろな課題を考えます。】

グローバル化時代に適した新しい考え方として、「多様な民族,文化,宗教,言語,そして伝統と習慣に敬意をはらい,許容する心構え」が必要になる。

また、能力としては、「さまざまな違いを言語コミュニケーションで相互調整する能力」が示されている。

日本では、ネイティブに通じる英語を学びたい人も多いようだが、グローバル化した世界での多文化間英語コミュニケーションでは、「特定の文化的背景にのみ依拠することはできない」。

そのため、英語学習自体が、これまでとは異なる新たな次元の課題を持つことになる。
グローバル化時代に求められる英語コミュニケーション能力として、以下の3つが挙げられている。
(1)他者を理解する能力
(2)自己を説明する能力
(3)多様性を相互調整するコミュニケーション能力

同じ国に住んでいる日本人同士でも困難なことを、英語を使う場面でも実践しなければならないのだ。
だから、英語の発音、語句、文法を勉強するだけではなく、世界の歴史や文化、地理などの勉強も必要になる。
加えて、相手の母国語が英語に与える影響を理解するためにも、英語以外の言語の知識も必要になる。

言語・外国語を学習するという態度ではなく、ことばを使ってどのようにコミュニケーションを成立させるのかを学習するという、新たな考え方で臨むべきだろう。

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雑誌「英語教育」(大修館書店)を定期購読することにした

特許翻訳の仕事とは直接関係ないが、大修館書店の雑誌「英語教育」を2019年5月号から定期購読することにした。
本日は別に注文した2019年4月号を紀伊国屋書店で受け取った。

これからの翻訳者育成を考えるためにも、学校での英語教育の現状を知っておくことは無駄ではないだろう。
実際には、ドイツ語特許翻訳者の育成を手伝うことになるだろうが、英語教育の方法を事例として知っておきたいこともある。

これまでも、小学校英語の導入など、大きな変化があったときに購入していたが、定期購読は初めてである。
定期購読を決めた理由は、読みたい新連載が始まったからである。

1)「グローバル人材」の条件 勝又美智雄
2)翻訳者の世界 - 言葉と格闘する人々 斎藤兆史
3)AI技術と外国語学習の未来 川添愛
4)黒田龍之助先生の鳩が出ますよ! 黒田龍之助
5)英語史のツボ

最初の3つの連載は、私の現在の仕事にも関連する内容が出てくるかもしれない。
連載初回ということで、AIのことも概論のようなものなので、5月号以降に注目したい。

4)は気楽に読めるエッセイと感じている。
「今月の標語」というものがあり、4月号は 「AIが あっても英語を 学びたい」だ。
今後の記事で紹介される、授業の様子も楽しみだ。

5)は、今回は「なぜ3単現に-sをつけるのか」だ。
動詞の語尾変化を古英語から近代英語まで比較して、そして歴史的背景も含めて、学校では習わなかった知識が得られる。
これも特許翻訳とは関係ないが、こういった知識も語学好きには魅力的な話題なのだ。

気になる記事があれば、今後も紹介したい。

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プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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