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ロックされたセグメントも翻訳対象だったなんて

(最終チェック・修正日 2020年04月03日)

自宅から一歩も出ない生活が1週間続いている。
玄関のドアを開けたのは、月曜日に書籍が届いたときに、受取のために開けた1回のみ。

食料品の買い物をしたのは先週の木曜日だ。
以前からストックしていたレトルト食品もあるので、今月前半は特に困らない。
まあ、明日金曜日にパックのサラダなどを購入して、週末だけでも変化のある食事をしようと思う。

外出が規制されている国が多いが、海外の翻訳会社からの仕事は継続している。
昨日は、20時頃までに翻訳ができるので、チェックをしてほしいという依頼が来た。

ドイツメーカーの取扱説明書で、2200ワード程度である。
2時間くらいでできそうなので受注した。

ところが、22時まで待っても何も連絡が来ない。
まあ、Translation will be ready by .. と書いてあったので、厳密なスケジュールではなかったのかもしれない。
寝ている間に届くだろうと考えて、翌朝早起きすればよいと思い、早めに寝た。

そして今朝、メールチェックすると何もない。
ということで、担当者に問い合わせメールを送った。
すると、この時点で翻訳済みファイルが届いていないという。

実際に届いたのは、10時少し前と、予定の約13時間後だった。
この遅延の影響で納期が変更されたが、それでも間に合わないので、さらに1時間延ばしてもらった。

昼休みに30分ほどチェックして、残りは終業後に行った。
用語の不統一に加えて、専門用語の間違い、原文の意味から離れすぎた意訳もあったが、なんとか納期までに提出できた。

夕食をとってのんびりしていたら、ロックされたセグメントも翻訳対象だというメールが届いた。
クライアントが間違えてロックしていたそうだ。

時間がないので、翻訳者に戻すのではなく、チェッカーの私がついでに和訳してほしいとのことだ。
私のせいではないし、困ったものだと思ったが、わずか6ワードなので、すぐに和訳して返信した。
まあ、様々なことを経験しているので、この程度のことではイライラしない。

今週末もチェック案件があるが、イレギュラーなことが起きないことを祈ろう。
そのような心配よりも、このような状況下で、仕事があることに感謝しようと思う。

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結晶学: orthorhombic は「直方晶系」

私は翻訳会社の社内翻訳者として、英日・独日特許翻訳を行っている。
翻訳者になる前の専門は化学であるが、自然科学系全般は、参考資料を読み込めば何とか理解できるので、様々な分野の和訳に取り組んでいる。

最近翻訳した材料系のドイツ語特許では、結晶学の用語が出てくるので、念のため確認しながら和訳した。
化学でもX線構造解析などで結晶の知識は必要だが、すべての事項を暗記しているわけでもなく、時間が許す限り気になることは調べている。

作製した材料の結晶学的特徴として、ドイツ語では orthorhombisch
と書いてあった。
英語ではよく似た綴りで、orthorhombic である。
以下では、わかりやすくするために、この英語での専門用語についてメモしておきたい。

結論から記すと、日本結晶学会が提案した新しい訳語の「直方晶系」とすべきである。

日本結晶学会の2014年の総会決議に関するリンクは次の通り。
crsj.jp/activity/orthorhombic.html

研究社のオンライン辞書KODで検索すると、複数の辞書で、いずれも斜方晶系のであった。

そして、ネットで「斜方晶」や「斜方晶構造」などを検索したところ、日本結晶学会が直方晶系を使うように提案していたことを知った。

ということで、クライアントに連絡するための翻訳メモには、念のため、「直方晶系」という訳語を採用したことを記入した。

常に様々な分野の情報を集めていても、最新の動向をすべて把握しているわけではないので、仕事をするときには、心配性と言われようが、1つずつ丁寧に用語の確認をしていきたい。

このように用語の改訂が行われたが、最新の特許であっても、未だに「斜方晶系」が使われている。
ほぼ同じ時期に出願された、同一企業の特許なのに、「斜方晶系」と書いてあるものと、「直方晶系」と書いているものがある。
以前の出願と統一したのかもしれないが、できるだけ最新の用語を使ってほしいものだ。

ちなみに、一般的によく使われるオンライン辞書の英辞郎でも検索すると、以下のスクリーンショットに示すように、斜方晶系直方晶系の両方が掲載されている。

英辞郎を過大に評価する人もいるようなので、複数の情報源で確認することの重要性を指摘しておきたい。

直方晶

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指定範囲以外を翻訳してしまったが

昨夜23時35分、ヨーロッパの翻訳会社から、短いドイツ語和訳の依頼メールが来た。
こんなときでも翻訳会社は、ネットがあれば稼動できるということだ。

数週間前に納品した製品カタログの和訳の続きで、変更した部分の和訳をしてほしいそうだ。

このメーカーは、カタログや取扱説明書を常に更新しているのか、数ワードから100ワード程度を変更したり追加するごとに、細切れで和訳を発注している。

とりあえず、翌朝に和訳するとだけ返信して寝た。

今朝、朝食後にメールに記載されたドイツ語文について、ワードファイルの作成も含めて、10分くらいで和訳した。

納品して終わったかと思ったら、翻訳対象ではない部分を和訳していたと、連絡が来た。

翻訳対象は、3ワードの語句のみであった。

翻訳のための参考として、その語句の説明文が並べて書いてあり、私はその説明文の方を翻訳対象と勘違いして和訳してしまったのだ。

ということで、翻訳対象の3ワードの語句を和訳して、ワードファイルを作り直して再納品した。

夜になって、翻訳料金の計算書がメールで届いた。
すると、3ワードではなく、不要のはずの説明文を含んだ、27ワードで計算されていた。

詳細は書いていなかったが、翻訳対象を誤解してしまう依頼メールだったということで、多めに支払うことになったのかもしれない。

また、これまで、1ワードの案件でも対応したことがあるし、納品後にクライアントが原稿を修正して再翻訳となっても、文句を言わずに作業したこともあるので、多めに払って良い関係を継続したいのかもしれない。

翻訳会社社員としていつまで働くかわからないので、再びフリーランスになっても大丈夫なように、多方面で信頼関係を築いていきたいものだ。

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2ワードのドイツ語和訳を受注した

新型コロナウイルスCOVID-19の流行で、翻訳業界も影響を受けるのではないかと心配されている。

これまでも、例えば、リーマンショックのときは、クライアントの都合という理由で、ワード単価が20~30%下がった。
ドイツ語和訳では、ワード単価15円が一般的だったのに、12~13円になってしまった。
また、東日本大震災の後は、私の場合、ワード単価は変わらなかったが、依頼数が減ってしまった。

いずれの場合も、当時の本業は医薬メーカー研究員であり、副業翻訳だったので、生活には困ることはなかった。
ただし今は翻訳会社の社員なので、会社の売上が減ると、私の収入にも影響がでるのではないかと心配している。

勤務時間以外には、以前から取引している3社の仕事を受けていて、年間予算としては少なめに見積もって40万円にしている。
そしてオンライン辞書の使用料や書籍代に充当するのが目的だ。

空き時間にできる案件が主体になるので、ワード数が多い場合には、翻訳ではなくてチェッカーとして受注することが多い。
逆に、ワード数が少ない案件ならば、たとえ1ワードの翻訳であっても、積極的に受注している。
外国の翻訳会社からの受注が主体になるが、少額でもコツコツ積み重ねれば、日本円換算で月2~5万円にはなる。

ということで、今日も2ワードのドイツ語和訳案件を受注した。
エンドクライアントは、スイスのメーカーである。
スイスでは28日現在、COVID-19の感染者数が1万人を超えているが、それでも可能な業務は続けているということだ。

内容は、以前翻訳した取扱説明書について、適用する国を追加したので、その国名を日本語に翻訳するものだ。
わざわざ外注しなくてもよさそうなものだが、業務範囲をきちんと切り分けて、翻訳はプロに依頼するという方針は評価したい。

4月にはドイツのメーカーの取扱説明書について、和訳のチェックをする予定になっている。
案件の増減についてははっきりしないが、減ったときでも依頼されるような翻訳者でありたいものだ。

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論文・特許ならば機械翻訳を使って読んでもよいのではないか

最近の翻訳業務では、ニューラル機械翻訳(NMT)が発展しているため、その出力を用いたポストエディット(PE)を行うことがある。
技術の進歩は驚くほどであるが、NMTの精度がいかに向上しても、翻訳文を読むのは人間なのだから、必ず人間がPEをして完成品とすべきである。

しかし、NMTの出力をそのまま例示して、これでは使えないなどと言う人もいる。
確かに、原文を読解するための語学知識がない人は、NMTの誤訳・訳抜けに気づかないため、100%の精度が求められるだろう。

それでも、業務効率化のために、NMTの癖を知った上で、積極的に導入する翻訳者も存在する。
例えば、化学系の場合、長い化合物名や数値の入力は面倒なので、自動的に和訳に反映される方が楽だ。

PEは意外と疲れる作業ではあるが、人間に翻訳を依頼しても、完成度が60~90%と、機械翻訳と同程度のこともあるので、これまでのチェッカーの仕事と同じものだと割り切っている。

翻訳の仕事で使うだけではなく、例えば、研究者が論文を読むときに活用できるのではないだろうか。

以前、大学の研究室で、ドイツ語論文が読めないという学生が質問に来たことがある。
概要を和訳しながら説明したところ、数分経ってから、ある化合物の融点だけを知りたいと言い出した。
それなら最初から言ってくれ、と文句を言いたくなるが、ドイツ語を知らない学生でも、機械翻訳で和訳して「融点」の個所を探せばよい。
そのようにキーワードを基にして情報をスキャンしてから、詳しい実験内容や論文中の説明を知りたければ、その部分の和訳を依頼すればよい。

では実際に、化合物名を含むドイツ語文について、機械翻訳はどのような和訳を出力するのか例示しておこう。

例文1(Organische Chemie, p. 35)

So ist 3-Methylpentan aus 1-Brom-3-methylpentan über 3-Methylpentylmagnesiumbromid zugänglich.

したがって、3-メチルペンタンは、1-ブロモ-3-メチルペンタンから3-メチルペンチルブロミドを介して得られる。


DeepL (2020.03.25)
したがって、1-ブロモ-3-メチルペンタンからの3-メチルペンタンは、3-メチルペンチルマグネシウムブロマイドを介してアクセス可能である。

Google (2020.03.25)
したがって、1-ブロモ-3-メチルペンタンからの3-メチルペンタンは、3-メチルペンチルマグネシウムブロミドを介してアクセスできます。

いずれもPEで修正が必要になるが、そのままでも理解可能だ。
以前は、化合物名に位置番号やハイフンが複数あると、出力が崩れることがあったが、ここ2年くらいで大幅に改善されている。

もう少し複雑な化合物名を含む実験の部を試してみよう。

例文2(DE10 2017 008 794 A1, p. 18, Beispiel 1)

4,4,5,5-Tetramethyl-2-[5"-n-octyl-(2,2':5',2"-terthiophen)-5-yl]-1,3,2-dioxaborolan (2,27 g, 4,665 mmol), 1,7,8-Trifluornaphthalen-2-yltrifluormethansulfonat (1,69 g, 5,132 mmol), Pd(PPh3)4 (270 mg, 0,233 mmol) und K2CO3 (2,58 g, 18,66 mmol) in 23 ml eines Lösungsmittelsystems von 5:5:2 Toluol/THF/H2O werden unter Rückfluss erhitzt und 18 h lang gerührt.

23 mL の 5:5:2 トルエン/THF/H2O の溶媒系中の 4,4,5,5-テトラメチル-2-[5''-n-オクチル-(2,2':5',2''-テルチオフェン)-5-イル]-1,3,2-ジオキサボロラン (2.27 g, 4.665 mmol)、1,7,8-トリフルオロナフタレン-2-イル=トリフルオロメタンスルホナート (1.69 g, 5.132 mmol)、Pd(PPh3)4 (270 mg, 0.233 mmol) および K2CO3 (2.58 g, 18.66 mmol) を還流下で加熱し、18時間撹拌する。


DeepL (2020.03.25)

4,4,5,5-テトラメチル-2-[5"-N-オクチル-(2,2'. 5',2"-テルチオフェン)-5-イル]-1,3,2-ジオキサボロラン(2.27g, 4.665mmol)、1,7,8-トリフルオロメタンスルホン酸(1.69g, 5.132mmol)、Pd(PPh3)4(270mg, 0.233mmol)、およびK2CO3(2.58g, 18.66mmol)を、5の溶媒系23mlに溶解した。 5:2トルエン/THF/H2Oを還流下で加熱し、18時間撹拌する。

改善前のNMTと同様に、なぜか「トリフルオロナフタレン」が消失し、溶媒の組成のところも崩れてしまった。
ちなみに、1,7,8-Trifluornaphthalen-2-yltrifluormethansulfonat のみを和訳させると、正しい出力になる。
まあ、化合物名などは英語と綴りが近いので、ドイツ語文法を知らなくても、修正はできるだろう。

Google (2020.03.25)

4,4,5,5-テトラメチル-2- [5 "-n-オクチル-(2,2 ':5'、2"-ターチオフェン)-5-イル] -1,3,2-ジオキサボロラン(2、 27 g、4.665 mmol)、1,7,8-トリフルオロナフタレン-2-イルトリフルオロメタンスルホナート(1.69 g、5.132 mmol)、Pd(PPh3)4(270 mg、0.233 mmol)およびK2CO3(2.58 g、18 66ミリモル)の5:5:2のトルエン/ THF / H 2 Oの23mlの溶媒系中、還流下で加熱し、18時間撹拌する。

厳密には、主に化合物名や数値でのPEが必要だが、ドイツ語原文が理解できなくても、この和訳だけで実験はできそうだ。

ドイツ語の論文・特許を読みたいという研究者がどれくらいいるのか不明だが、PEを原文ワード単価3~5円で受注すれば、需要はあるだろうか。

テーマ : ドイツ語
ジャンル : 学問・文化・芸術

「安達」は「あだち」ではなく「安全達示」の略称です

日本人の外国語学習の話題では、特に英語でよく聞く話として、「ネイティブ信仰」というものがある。
日英翻訳でも、「ネイティブが英訳しています」ということを宣伝文句にしていることもある。

しかし、母語の英語は得意かもしれないが、日本語の解釈が母国語レベルという人は、本当は少ないのではないか。
日本語ネイティブの自分が、英日・独日翻訳をするときのことを考えれば、容易に理解できるだろう。

ということで、日本語原文の解釈を確認するために、ネイティブの日英・日独翻訳のチェックもしている。

これまでも様々な誤解の事例を示してきた。
今回も、日本語原文の解釈で迷っていた例を取り上げたい。

今月受注した日英翻訳のチェック案件は、ある企業の安全関連の規程の英訳である。
英訳のワードファイルを開くと、翻訳者のコメントがいくつか入っていた。

そのうちの1つは、「安達」について確認してほしいとのことだった。
翻訳者は、とりあえず地名や人名の読み方である「あだち」と考えて、Adachiにしていた。
不明点があっても空欄にはできないため、何か書いておこうという対応は仕方ない。

この「安達」は、実際には「安達2」など、数字と組み合わせて一覧表に書かれていた。
表の一番上の項目を見ると、「達示番号」と書いてあった。

翻訳対象は安全関連の文書なので、「安達」は、「安全達示」の略称であると判断した。
ということで、Safety Noticeの英訳を提案して、コメントの返信に記載した。

この翻訳会社では、コメント機能で修正を提案するのみで、ネイティブの英訳そのものを書き換えてはいけないことになっている。
以前、ある翻訳者が、「一方的に修正された」と腹を立てて、非常に面倒なトラブルになったからだそうだ。

ところで、私が過去に勤務した複数の大学でも会社でも、「達示」という言葉は使っていなかった。
したがって、「安全達示」という表現を見たこともないし、「安達」という略称も見たことがない。
いわゆる、「お役所言葉」なのだろうか。
常識だと言う人もいるかもしれないが、理系研究者には無縁の言葉かもしれない。

このクライアントにとっては、自社内で以前から使っている用語だから、略称の「安達」を理解しない人がいるとは考えたこともないだろう。

まあ今回は、すぐに推測できたからよいが、その社内だけの用語というものがあるので、困惑することも多い。
クライアントによっては、略語の一覧を依頼時に添付してくれることもあるし、古いバージョンの取扱説明書を渡してくれることもある。
しかし、納品後に、「社内で使っている用語と違う」と言い出すクライアントもいるのが事実だ。

今回も、日本人が英訳をチェックして良かったという事例である。
翻訳会社が宣伝するときには、「ネイティブ英訳+日本人チェッカーによる品質保証」と、セットで書いてほしいものだ。

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初めての翻訳案件で機械翻訳のポストエディットは危険だ

自称1000万円翻訳者の浅野正憲が運営する「翻訳の学校」は、テレビ番組でも宣伝するなど、関係者のストレスを高めるばかりだ。
宣伝用のブログでも、連日、様々な投稿や報告が掲載されている。

そして今日、3月18日の投稿では、初めて仕事を獲得したという受講者のメッセージが公開されていた。
しかし、よく読むと、初めての受注案件で勝手がわからず、困惑している様子だ。

そのメッセージ部分のスクリーンショットを下に示す。

翻訳の学校PE

Trados には機械翻訳エンジンを組み込むことができる。
この受講者は、許可を得て Google Cloud Translation API を入れることにしたそうだ。

ただし、次のような機密性に関する警告メッセージが出たので、自分では判断できず、不安になって、メンバーたちに質問をしているようだ

フリーランスとして自立してやっていく覚悟はあるのだろうか。
Trados_GoogleAPI.jpg 
ブログの運営担当者は、内容を精査せずに、受講者が実案件を受注した宣伝に使えると思って掲載したのだろうか。
それとも、「翻訳の学校」とは無関係の人たちにも向けて、助けてほしいと発信しているのだろうか(コメント投稿欄があるので)。
このような初心者のために、お金を取って講師も雇い、サポート体制を用意していたのではないのか。

最近、「翻訳の学校」では、機械翻訳の出力を修正することも教えていると言われていた。
しかし、翻訳初心者が、最初の案件でポストエディットをするのは危険すぎる

ポストエディットを担当できる能力については、まだ議論の途中であるが、従来の人手翻訳の経験が長い翻訳者が担当する方が無難ではないか。

加えて、機械翻訳の出力の癖を熟知していて、人間とは異なるエラー、例えば、文脈を無視した誤訳の連続、訳語の揺れなどで、ストレスがかかって予想外に疲れることも理解している人が担当すべきだ。

経験が浅い人の場合、機械翻訳の出力が意外と読みやすいため、そのまま信じてしまい、誤訳や訳抜けに気づかない危険性がある。
また、知らない単語でも、既に和訳が出力されているので、辞書で確認する手間が省けると勘違いする人もいる。

私は仕事で機械翻訳を使用する前にチェッカーも経験していることもあって、ポストエディット作業への適応は早かったと思う。
ただ、ポストエディット時に少しでも気を抜くと、エラーに気づかないことがあり、2回目の推敲で慌てて修正することもある。

数値や化合物名などの面倒なタイピングの手間は少し減ったかもしれないが、文脈に合っているか、訳抜けはないか、用語は統一できているかなど、細かい点に注意する必要があり、それほど楽な作業になったとは感じていない。

この投稿の翻訳初心者が失敗しないことよりも、クライアントに損害が出ないかどうかが心配だ。

考えすぎかもしれないが、日本人が信用されなくなったら、ヨーロッパの大学で翻訳の学位を取得した人だけをスカウトするようになるかもしれない。

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翻訳で使用する用語辞典を指定されました

(最終チェック・修正日 2020年03月18日)

翻訳をするときに必要な参考資料といえば、辞書である。
基本的な単語であっても、うっかりミスをしたくないので、辞書で確認することが多い。
翻訳者は、細かいことでも注意深く調べてしまうものだが、心配性なのかもしれない。

専門分野であっても、あらゆる事項を暗記しているわけではないし、学会が用語を改訂することもあるので、最新の辞書を揃えておくことが必要だ。

紙の辞書も毎日使っているが、随時更新されるオンライン辞書で、最新の情報を確認することも増えた。

使用頻度の高いオンライン辞書の1つは、日本医学会の医学用語辞典Web版だ。
病気や細胞、組織などの名称は、なかなか暗記できないし、つづりが似ている用語もあるので、毎回確認している。
一般公開されているので、次のリンクで確認してほしい。
jams.med.or.jp/dic/mdic.html

CATツールを使うときに用語集が添付されていることもあるが、何も情報がないことも多く、翻訳者自身が適切な辞書を探して適用している。
しかし、納品後にクライアントから、「社内で使用している用語と違う」というクレームが来たことがある。
しかたなく修正して再納品するのだが、「時間が無駄になるのだから、最初に指定してくれ」と言いたい。

それとは逆に、今週末の連休で作業予定の日英翻訳チェックでは、用語一覧が PDF で既に届いている。
検索可能になっているし、自分で探す手間も省けたので楽だと思った。

どの分野の案件なのか、それは今回も公開しないことにする。
どのような資料なのか、はっきりした方が理解しやすいと思うが、少々我慢してほしい。

ある業界団体が編纂した「〇〇技術用語辞典」というものがあり、巻末には5か国語用語一覧が掲載されている。
その一覧は、添付の CD-ROM に PDF として保存されている。
そして今回の案件の参考資料として、その PDF が提供された。

英訳ファイルがまだ届かないので、その用語辞典についてネット検索してみた。
すると、改訂版が最近発売されたことを知った。
さらに、5か国語用語の対訳については、その業界団体のHPで、相互に検索可能であると判明した。

翻訳会社から送られた資料は、約10年前のものだ。
改訂版の説明を読むと、この10年間の変化に対応して見直したとあった。
実際に、削除した用語もあれば、追加された用語もあった。

もらった用語集が10年前のものと判明したので、改訂版を検索して使うのかどうか、念のため翻訳会社の担当者に問い合わせメールを送った。

まだ返答はないが、すでにネイティブ翻訳者が英訳を始めているので、古い用語集でチェックすることになるだろう。
【追記(3月18日):担当者から回答があり、古い版のままでかまわないことになった。】

クライアントが指定した用語集が古いのだから、翻訳者がそこまで気を遣わなくてもかまわないのかもしれない。
それでも、細かいことが気になるのが翻訳者なので、こんなことでも確認したくなるのだ。

コロナウイルスのために三連休も遠出はできそうもないから、日英翻訳チェックに十分時間をかけることにしよう。

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1000ページを超える特許を和訳する人は見つかるだろうか

特許翻訳の案件を受注するかどうか決めるとき、まずは特許の内容を理解できるか確認する。
私は化学専門だが、医薬、バイオ、機械、精密機器、IT、自動車など、参考書を読みながら理解できるものはできるだけ受注するようにしている。

内容は理解できても、ワード数を見て納期に間に合わなければ、無理せずに断ることもある。
1日の処理量が最大2500ワードだとしても、調査に時間がかかることもあり、1日1000ワード程度に落ち込む場合もあるからだ。

平均の目安としては、1週間で1万ワードと想定してもよいだろう。
提示された特許のワード数から、翻訳にかかる日数を概算し、それにチェックの日数を加算して判断している。

もし、短納期で数万ワードの案件を頼まれた場合、翻訳会社では複数の翻訳者に分割して依頼することが多い。
その案件のために、臨時で翻訳者を募集して対応することもある。
全員の翻訳が揃ったところで、チェッカーが用語や表現の統一もすることになる。

数万ワードならばなんとか対応できそうだが、あまりにも多すぎて、受注をためらうこともある。
今月見た特許は、約28万ワードで、1100ページを超えるものだった。
WIPOのサイトからPDFをダウンロードしてみたら数分かかった。

化学系なので、化合物の置換基の説明や実験の部では類似の表現も多く、数値だけの表もあるので、新規に和訳するワード数は、実際には20万ワード以下になると思われる。

ワード単価10円で単純計算すると、料金は200万円だ。
ただ、1人で対応すると4か月かかる想定なので、最低5人で分割して1か月以内に納品するのが通常の対応だろう。
1人当たり最低で40万円であれば、急に募集しても翻訳者は見つかるかもしれない。

それでも、打診があったときにすぐ、同じレベルの翻訳者を5人探しても見つかるかどうか不明で、しかも1か月間専念してもらえるという保証はない。

ということで、批判はあるが、機械翻訳を導入することも必要ではないだろうか。
完璧ではないことはわかっているものの、化合物名や数値だけでも、きちんと和訳に反映されていれば、ポストエディットは楽になる。

ポストエディットの作業時間短縮効果は、平均して約20%と期待したほどではないが、それでも全部人手翻訳するよりは早く終わるはずだ。

ポストエディットを依頼しなかった翻訳者は、他の案件を担当できるので、翻訳会社としても安心だ。

今日見た特許は、1年くらいしたら和訳が公開されるかもしれない。
本当に和訳されたかどうか、数か月ごとに追跡してみよう。

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QAレポートを確認してほしいという注意事項

新型コロナウイルス対策として、外出を減らしている。
日曜日には教会の用事があるので、長時間外出することになるが、他の曜日は、主に月曜日と金曜日にのみ買い物をしている。

今日も外出せずに自宅でテレビを見ていたら、海外の翻訳会社から100ワードを少し超える程度のドイツ語和訳案件を頼まれた。
用事もなくて暇だし、分野が医療関係なので受注した。

メールに記載の注意事項を読むと、CATツールのQAレポートを必ず確認してほしいと、大きなフォントサイズで目立つように書いてあった。

通常の手順として、和訳をした後、推敲時にはQAレポートに表示されたエラーメッセージを確認して、必要な修正を行う。

ただし、数値を転記するだけの場合に、「翻訳されていない」だったり、April を「4月」と和訳すると、「原文にない数字が追加された」といったエラーメッセージが出ることもある。
このような場合には、ignore を選択して、エラー数の表示が0になるようにする。

そのような当然の作業なのだが、他の翻訳者で従わなかった人がいたようだ。
メールには、we found some serious number mismatch issue in previous tasks とも書いてあったので。

エンドクライアントを確認すると、これまでに担当したことがない医療機器メーカーだった。
ということで、QAレポートを確認せずに、エラーを解消せずに納品してしまったのは、私ではない(と思っている)。

この翻訳会社に登録しているドイツ語翻訳者の人数は不明だが、私が断ったときに代わりが見つからなかったこともあるので、常に足りないのだろう。

チェッカーとしての案件を受注したときの印象では、安定した和訳を提供できる翻訳者は、全体の6割程度ではないかと思われる。

日本人で確保できない場合には、ヨーロッパで日本語を勉強している人を探した方がよいのかもしれない。
ヨーロッパの大学では翻訳で学位も取れるし、ドイツには語学専門のギムナジウムもあるから。

大半の日本人が英語だけに注目している間に、ドイツ語などの他言語の翻訳者は、日本人以外ばかりになるかもしれない。

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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