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「外国語 知らない奴ほど 口を出す」(黒田龍之助、英語教育2020年3月号)

「英語教育」という雑誌は、副業翻訳を始めた頃から、特集記事に興味があるときに購入していた。
そして今年度は、連載記事を読みたいので定期購読をした。
来年度も面白そうな連載があるので、そのまま継続することにした。

今年度最後の3月号で面白かった記事の1つは、「英語史のツボ なぜアメリカ英語とイギリス英語は異なっているのか」。
これまでの連載も含めて、知っていたからといって翻訳の仕事が増えるわけでもないが、素朴な疑問について、「ああ、そうだったのか」と納得して、知識が増えるのは単純に楽しいことだ。

もう1つ、定期購読を決めた連載があり、それは「黒田龍之助先生の鳩が出ますよ!」だ。
「英語教育」という雑誌なのに、英語以外の話題が出てくることも面白い。

そして、コラムの内容を反映した「今月の標語」は、外国語 知らない奴ほど 口を出すだ。

これは、翻訳業界の一部で話題の、自称1000万円翻訳者の話ではなく、英語の早期教育だとか、文法が重要だとか、世間が英語そのものではなく、英語教育の話が好きなことを揶揄している。

その標語の下には、次のように書いてある。

【〇〇語は難しいらしいとか、xx語は就職に有利などと、外国語について根拠不明なデマが飛び交う。そんなデマに迷ってしまう生徒に、いろんな外国語を学ぶのはいいことなんだと、教師は自信を持って伝えてほしい。】

今回の記事では、高校の英語教師の話が紹介されている。
大学への進学を希望する生徒に、もっといろんな外国語を勉強してほしいと伝えているそうだ。
私も英語以外の外国語を学ぶ楽しさを知ってほしいので、黒田教授や、この英語教師の主張を支持したい。

【ロシア語教師でも、英語教師でも、どんな外国語の教師でもいいんだけど、いろんな方向に興味の広がる生徒を応援したい。自分の専門を押し付けるんじゃなくて、世の中にはいろんな言語があって、英語のほかにもすばらしい世界があることを伝えるのも、外国語教師の務めじゃないかな。】

以前にも書いたが、英語圏への留学を目指していた人にも、「英語が完璧でもないのに、どうして他の言語を学ぶ暇があるのか」と言われたことがある。

また、研究室でも、「今は論文はほとんど英語だ。英語だけ勉強すればいい。ドイツ語は英語に似ているから辞書を見ればわかる」という反論まであった。

英語以外に勉強した外国語で、仕事で使っているのはドイツ語だけなのだが、挨拶表現だけでも覚えている外国語があると、パーティーなどで外国の研究者や留学生との会話も楽しめるだろう。

ドイツ留学の面接のとき、申請書類に記入した外国語知識について質問があった。
指導教授から、「かじった程度でもいいから全部書け」と言われたので、「英語・ドイツ語・中国語・スペイン語」と書いたが、予想外の質問に困惑した。

それでも、とっさに、「日本に留学する研究者とは英語だけで会話してもよいが、家族も含めて受け入れる姿勢を示すためには、相手の言語を知っていた方が良い」と答えた。
その後、審査員から指導教授に連絡があり、国際交流の推進に貢献できる人材と判断されたため、ドイツ留学が決まったそうだ。

数年前に始めたノルウェー語では、どうしても確認したかったニュースの詳細について、ノルウェーの新聞で確認できたし、ノルウェーマイルという距離の表現を知ったり、雑学も増えて楽しい。

これからも英語至上主義の人から反論されることがあっても、いろいろな外国語を知っていることが純粋に楽しいと主張していきたい。


ニューズウィーク日本版3月3日号の特集は、「AI時代の英語学習」。www.newsweekjapan.jp/magazine/264408.php機械翻訳・自動翻訳には、賛否両論があり、最近も新型コロナウイルス関係で厚生労働省の英訳が使えないということが話題になっている。使えるかどうか、仕事の効率を上げるために何に注意すべきか、などの議論は、既に各方面で行われているので、今回は取り上げない。今回の特集記事で興味を持ったのは、23ページ後...
「英語しかできない人のリスク」(AI時代の英語学習、ニューズウィーク日本版3月3日号)

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

ベンゼンをベンゾールと呼ぶのはもうやめよう

(最終チェック・修正日 2018年09月06日)

有機化学を勉強すると、芳香族化合物で必ずベンゼンを学ぶ。
6個の炭素原子が六角形の環を作るように互いに結合しているのが特徴だ。

化合物の名前は、昔から使われている慣用名や通称、別名などがたくさんあるので、混乱することもある。
ベンゼンでも、ドイツ語の Benzol に由来すると言われる「ベンゾール」を使う人がまだいる。

独和辞典で Benzol の訳語に 「ベンゾール、ベンゼン」と掲載しているためか、ドイツ語特許の和訳でも、「ベンゾール」と書いているものを見かける。

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追記(9月6日):
「ベンゾール」を使わないということについて、私が最近知ったと決めつけて非難する変なコメントがあったため、一応追記しておこう。
その勘違いのコメントは、「エンゾール」という誤記で始まり、漢字変換ミスも多いので、投稿者の名誉のために非公開とする。

化学の研究を始めてから約30年になるが、論文を読むだけではなく、自分で発表するためにも英語での命名法、そして日本語表記も、その変更も含めて学んできた。

この記事で指摘しているのは、「ベンゾール」は化合物名ではないのに、まだ使っている人がいること、そして化学論文では使われないのに、特許ではいまだに通用していることを指摘したものだ。

では実例として、ドイツ語特許(DE 10 2006 016 258 A)の和訳(特開2016-41813)を引用しておこう。
請求項4で、反応に使用する溶媒を列挙しているところで、ドイツ語オリジナルの Benzol が、和訳で「ベンゾール」になっている。

ドイツ語オリジナル: ... als Lösungsmittel ... BenzolToluolXylole ...

和訳:…溶媒として、…ベンゾール、トルエン、キシロール
------------


50年前ならばベンゾールでも我慢するが、21世紀になっても「ベンゾール」と呼ぶのはやめてほしい。
現在、「ベンゾール」は、「粗製ベンゼン(ベンゼンを主成分とする芳香族炭化水素混合物)」を指す。
化学と工業化学で用語が違うという意見もあるが、統一しないと混乱を招くだけである。

IUPAC 2013 勧告では、「ベンゼン(benzene)」のみが、優先IUPAC名(PIN、preferred IUPAC name)として使用できる。

慣用的に使われてきた名称のうち、benzene などは、変えない方が混乱が少ないため、保存名(retained name)となり、そして PIN になっている。

無置換の母体ベンゼンは、CnHn の分子式を持つ非置換単環炭化水素のポリエン(アンヌレン、annulene)ではあるが、[6]アンヌレン([6]annulene)とは呼ばないことになっている。

そして、「ベンゾール」は、別名としても出てくることはないから、日本だけの特殊な現象かもしれない。

日本の有名企業が出願した日本語での特許でも、未だに「ベンゾール」を使っている。
置換したベンゼン誘導体も、「〇〇ベンゾール」と書いていることもある。

例えば、ブロモベンゼン(Bromobenzene)が「ブロムベンゾール」(特開2009-242824、請求項4)。

また、あるグローバル企業は、「ベンゾール」を使っているうえに、置換基の位置番号があり得ないものになっている。

特開2017-78047 の段落番号【0093】に出てくる化合物 「1,8-ジメチルベンゾール-2,4-ジイソシアネート」は、「1,6-ジメチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート」ではないだろうか。

過去の出願を参考にしているうちに、誰かが「6」を「8」とタイプミスして、そのままコピーして使いまわしているのかもしれない。

また、その企業は、英語で出願した US4,431,700 で、benzol を使っている(2番目のカラムの最後)。
... 1-methylbenzol-2,4-diisocyanate, 1,3-dimethylbenzol-2,4-diisocyanate, ...

以前の出願と同じ表現にしたのかもしれないが、化学系・薬学系学会が共同して特許庁に申し出て、「ベンゾール」を追放してもよいのではないか。

特許は学術論文とは違うと言われそうだが、混乱が生じないように考えてほしいものだ。

(最終チェック・修正日 2017年08月21日)私がこれまで利用してきた独和辞典は3種類である。小学館独和大辞典第2版と大修館書店マイスター独和辞典3版は、紙の辞書である。三省堂クラウン独和辞典は、三省堂ウェブディクショナリーの有料会員で利用しているが、検索結果を見ると、改革以前の正書法であったため、最新版ではないと思われる。辞書によって編集方針が異なることと、新正書法を採用するかどうかも分かれるため、訳...
訳語などの比較のために独和辞典を追加購入


テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

ノーベル賞受賞者大村教授のアルファベット表記はŌmura

ノーベル財団の2015年ノーベル医学生理学賞についての記事では、大村智教授の名前のアルファベット表記は 「Satoshi Ōmura」 と、「オオ」という長音の表記が 「Ō」 になっている。
www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2015/

【The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2015 was divided, one half jointly to William C. Campbell and Satoshi Ōmura "for their discoveries concerning a novel therapy against infections caused by roundworm parasites" and the other half to Youyou Tu "for her discoveries concerning a novel therapy against Malaria".】

北里研究所のサイトでも、
「Satoshi Ōmura」 になっていて、
論文での著者名も 「Satoshi Ōmura」 にしている
www.satoshi-omura.info/index.html

そのためノーベル財団では、本人が使っている表記を尊重して、Omura でもなく、Oomura でもなく、Ohmura でもないのだ。

ノーベル財団の発表を元に記事を書いているメディアも Ōmura にしていることが多い。
例えば、ドイツのZEIT紙の記事は次の通り。
www.zeit.de/wissen/gesundheit/2015-10/medizin-nobelpreis-fuer-infektionsforscher-campbell-mura-und-tu

【Den Nobelpreis 2015 in der Kategorie Medizin/Physiologie teilen sich der irische und der japanische Parasiten-Forscher William C. Campbell und Satoshi Ōmura mit der Wissenschaftlerin Youyou Tu aus China.】

しかし、Ō という文字が扱いにくいためなのか、ドイツのSPIEGEL誌では、Omura である。
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/nobelpreis-medizin-2015-geht-an-william-c-campbell-satoshi-omura-youyou-tu-a-1056187.html

【Der gebürtige Ire William C. Campbell sowie der Japaner Satoshi Omura erhalten die Hälfte des Preises für ihre Arbeit an einer Therapie gegen Infektionen mit Fadenwürmern.】

それでもGuardian紙は、英語の標準フォントになくても、 Ōmura にしている。
www.theguardian.com/science/2015/oct/05/william-c-campbell-satoshi-omura-and-youyou-tu-win-nobel-prize-in-medicine

【Two other researchers, 80-year-old Satoshi Ōmura, an expert in soil microbes at Kitasato University, and William Campbell, an Irish-born parasitologist at Drew University in New Jersey, share the other half of the prize, for the discovery of avermectin, a treatment for roundworm parasites.】

メディアでの表記はこのくらいにして、一番気になっているのは、大村教授のパスポートでの表記がどうなっているかだ。
ノーベル財団からの招待状には Ōmura と書かれるはずだが、パスポートの表記と食い違うと困るのではないか。

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テーマ : 日本語と国語
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「英語学習は早いほど良いのか」(バトラー後藤裕子著、岩波新書)

お盆休み明けから読んだ岩波新書新刊は、バトラー後藤裕子著、「英語学習は早いほど良いのか」だ。

【子どもたちに早くから英語を学ばせようというプレッシャーが強まっている.
「早く始めるほど良い」という神話はどこからきたのか? 大人になったら手遅れなのか? 
言語習得と年齢の関係についての研究の跡をたどり,問題点をあぶり出す.
早期開始よりも重要な要素とは何か,誰がどのように教えるのがよいのだろうか.】

目次は次の通り。

第1章 逃したらもう終わり? -臨界期仮説を考える
第2章 母語の習得と年齢  -ことばを学ぶ機会を奪われた子どもたち
第3章 第二言語習得にタイムリミットはあるのか
第4章 習得年齢による右下がりの線 -先行研究の落とし穴
第5章 第二言語学習のサクセス・ストーリー
第6章 外国語学習における年齢の問題
第7章 早期英語教育を考える

書店に行くと、早期英語教育を勧める書籍や雑誌が目につき、英語ができないと就職で不利になり、生きていけないかのような、強迫観念にとらわれているように思える。
早期教育を勧める前提として、「言語学習の開始は早ければ早い方がよい」というものがあり、「臨界期」という概念が理論的根拠として紹介されることが多い。
しかし、臨界期という概念は、動物行動学の「刷り込み現象」を人間の言語習得に応用したもので、未だに「仮説」としか言えないものだ。
臨界期の定義も研究者によってばらついているし、対象とする言語能力のとらえ方も様々なアプローチがあり、定まっていない。

移民入国時の年齢が、第二言語の音声や文法の習得状況に関係するのかどうか、という研究も行われているが、言語能力だい判定の方法について信頼性や妥当性に問題があることが指摘されている。
また、同じ5年間という習得期間を設定できたとしても、学習者が得られるインプットの量や質、それに第二言語を習得しようという動機など、統制できない変数がたくさんある。

学習開始年齢が上がると、母語話者レベルに到達する割合は確かに減少しているが、臨界期が存在すると断定できるような明確な境界はないようだ。
それに第5章で紹介されている「語学の達人」のように、思春期以降に習得を開始したのに、母語話者レベルに到達した事例がある。

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テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

「英語の害毒」(永井忠孝著、新潮新書)

2011年度に小学校の学習指導要領が改訂され、5年・6年での外国語活動が必修化された。
文部科学省では、「小学校外国語活動サイト」を開設して宣伝している。
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gaikokugo/

「外国語活動」と言っているが、実質的に「英語」を学ぶことになっている。
「グローバル化に対応」し、「東京オリンピック・パラリンピックを見据え」て、新たな英語教育を進めるそうだ。

そして巷では、英語ができないと就職も不利になって生きていけない、などの不安をあおる言葉が氾濫している。
人々を不安にさせて英語だけを勉強するようにと、極端な方向に向かわせて得をするのは、英語教育産業関係者とアメリカ好きの人たちだ。

私は研究で英語の論文や特許を毎日読むので、英語の勉強をやめろとまでは言わないが、英語至上主義のリスクは感じている。
ということで、英語関連の書籍で読むのは、たいていは英語学習の危険性を説くものだ。

今月読んだ書籍は、永井忠孝著、「英語の害毒」(新潮新書)である。
www.shinchosha.co.jp/book/610624/
【日本人の多くは英語を必須能力と捉えている。会話重視の教育はさらに低年齢化し、「日本語禁止」の企業まで登場する始末だ。それが「自発的な植民地化」への道だとも知らず――。本書では、気鋭の言語学者がデータに基づき英語の脅威を徹底検証する。「企業は新人に英語力など求めていない」「アジアなまりの英語こそ世界で通用する」等、意外な事実も満載。英語信仰の呪縛から解き放たれること必至の画期的考察!】

目次は以下の通り。

一章 英語の誤解――英語は本当に必要か
二章 英語の幻想――どんな英語をどれだけ学ぶべきか
三章 英語の損得――日本人はなぜ英語が好きなのか
四章 英語の危険――日本が英語の国になったら
五章 英語教育への提言

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テーマ : 英語
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ドイツ語記事を読むにもスタートレックの知識が必要だ

外国語の新聞や雑誌の記事を読むとき、様々な背景知識が必要だということは、よく聞く話だ。
私がよく読む英語やドイツ語の場合も、単語の語源や、慣用表現の元をさかのぼると、聖書やギリシャ神話、イソップ物語であることも多い。

例えば、最近読んだベルリンフィルのプログラムでは、「呼吸の合うピアニストを大切に思っている」という表現を調べていて、旧約聖書の詩編91編が由来だと知った。
www.berliner-philharmoniker.de/konzerte/kalender/details/20450/
【.. – und wird doch vom Orchester auf Händen getragen

独和辞典に出ている形で示すと、
jn. auf Händen tragen で、直訳は「…を両手にのせて運ぶ」だが、「…を愛情をこめて大事にする」という意味で使う。

前置きが長くなってしまうが、プロテスタントの私は、この詩編91編のメッセージが気に入ったので、ここでドイツ語と日本語の聖書を引用して、紹介しておきたい。

まずは、ルター訳ドイツ語聖書の1984年改訂版・2006年新正書法版から、Psalm 91: 11-12。

11 Denn er hat seinen Engeln befohlen,
      dass sie dich behüten auf allen deinen Wegen,
12 dass sie dich auf den Händen tragen
      und du deinen Fuß nicht an einen Stein stoßest.

続いて、新共同訳聖書から、詩編91編11~12節。

11 主はあなたのために、御使いに命じて
  あなたの道のどこにおいても守らせてくださる。
12 彼らはあなたをその手にのせて運び
  足が石に当たらないように守る。

そして今週読んだ、ハッブル宇宙望遠鏡打ち上げ25週年の記事では、イントロ部分でスタートレック・ヴォイジャーの知識が必要である。
SPIEGEL誌の記事のリンクと、最初の部分を引用しておこう。
www.spiegel.de/einestages/hubble-teleskop-startete-vor-25-jahren-das-auge-der-menschheit-a-1029712.html

Sternzeit 51268.4. Vielleicht ist diese Route eine Abkürzung? Ein schnellerer Weg nach Hause? Fähnrich Harry Kim, Leutnant Tuvok, Seven-of-Nine und Schiffskoch Neelix studieren die Sternenkarte im astrometrischen Labor. Das Raumschiff "Voyager" ist 70.000 Lichtjahre von der Erde entfernt im Delta-Quadranten der Milchstraße gestrandet. …】

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テーマ : ドイツ語
ジャンル : 学問・文化・芸術

「1兆(10の12乗)」は英語では「Trillion」だがドイツ語では「Billion」になる

外国語を学んでいると、数の表し方である「命数法」が異なるため、瞬時に換算できないこともある。
今回取り上げる Billion と Trillion は有名な例で、語源は同じなのに、時代や国によって表す数が変わることもある。
言葉は変化するものなので、いろいろと面倒なことがあるが、それも多言語学習の楽しみと思うようにしている。

科学誌 Science の3月21日号に、人間は1兆種類を超える嗅覚刺激を区別できる、という論文が掲載された。

英語の論文タイトルは次の通り。
「Humans Can Discriminate More than 1 Trillion Olfactory Stimuli」
www.sciencemag.org/content/343/6177/1370

この論文を紹介するドイツの SPIEGEL Online の見出しは次の通り。
「Hochrechnung: Menschen unterscheiden eine Billion Gerüche」
www.spiegel.de/wissenschaft/mensch/sinnesorgan-nase-unterscheidet-eine-billion-gerueche-a-959971.html

日本語の1兆(1012、10の12乗、1,000,000,000,000)は、現在の英語では Trillion、ドイツ語では Billion となる。
語源の説明を読むと、ドイツ語の Billion は 「bi.. + Million」とあり、100万(106)の2乗ということで、1兆(1012)になる。
そして Trillion は 100万の3乗だから、100京(1018)になる。

ヨーロッパではたいてい同じだが、英語圏ではアメリカでの表現に合わせて、Trillion を1兆(1012)に変えた。
3桁ずつ区切る方式なので、英語での Billion は 100万(106)から3桁上で、10億(109)のことだ。
ドイツ語での 10億は Milliarde と異なる。

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ジャンル : 学問・文化・芸術

「外国語をはじめる前に」(黒田龍之助著、ちくまプリマー新書)

ちくまプリマー新書の「外国語をはじめる前に」は、1年半前に出版された本だが、意見が似ている黒田龍之助氏の著書ということで、年明け最初に読む本に選んだ。
www.chikumashobo.co.jp/product/9784480688835/

【何度チャレンジしても挫折してしまう外国語学習。その原因は語学をはじめる前の準備がたりなかったから。
文法、発音から留学、仕事まで知っておきたい最初の一冊。】

目次は以下の通り。

第1章  当たり前のことを確認する―外国語の基本
第2章  発音がすべてじゃない―外国語と発音
第3章  「単語」より「語」といいたいが―外国語と単語
第4章  文法は乗り越えられるか?―外国語と文法
第5章  「約束は約束だ」は無意味か―外国語と意味
第6章  言語はお互い似ていることがある―外国語と系統
第7章  どんな言語にも過去がある―外国語と歴史
第8章  ことばの違いは楽しいが…―外国語と方言
第9章  検定試験と留学は絶対に必要か―外国語と実力
第10章 通訳のほかにも仕事はある―外国語と職業

本書は外国語学部での講義をもとにして、高校生・大学生を主な対象に書かれているが、英語以外の外国語に興味を持つ人すべてに参考となるだろう。

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テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

英語リスニング試験ではICプレーヤーの使用を見直してほしい

今年もセンター試験の時期となり、英語リスニング試験で毎回問題となるのが、ICプレーヤーの不具合である。

朝日新聞の記事は次の通り。
www.asahi.com/articles/ASG1L6HDRG1LTIPE01T.html
【大学入試センター試験は初日の18日、英語のリスニングで、機器の不具合などから全国で計93人が試験を中断してやり直した
…開始直前にICプレーヤーを床に落とし、音声メモリーが飛び出たため、試験終了後に受けた。】

日本経済新聞の記事は次の通り。
www.nikkei.com/article/DGXNASDG1802H_Y4A110C1CC1000/
【志願者の92.6%にあたる51万9176人が受験した英語のリスニングでは、79会場でICプレーヤーの不具合などがあり、計93人が中断箇所からテストをやり直した。リスニングのやり直しは昨年より17人増えた。】

リスニングのやり直しが、すべて機器の不具合や、操作ミスによるとすると、不具合発生率は 0.018%。
やり直しができるのだから、この数字を無視できるくらい少ないと考える人もいるだろう。
ただ、緊張した雰囲気の中で不具合に遭遇した受験生にとっては、いくらやり直しできるとしても、動揺してしまうはずだ。

機器の不具合や操作ミスという、英語能力とは無関係のことで、受験生を振り回すのはやめてほしい
英語を特別視する誰かの利益や願望のために、機器メーカーや受験産業にお金を落とすために、センター試験を利用しないでほしい。

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テーマ : 大学受験
ジャンル : 学校・教育

木星に関する天文記事でニンニクの話が出るのはなぜ?

ヨーロッパの新聞・雑誌を読むときに必要な基礎知識として、聖書の他にも、ギリシャ・ローマ神話やイソップ物語が挙げられる。
その基礎知識がないと、イントロ部分で意味がわからず、つまづいてしまうことになる。
まあ、わからない部分は飛ばして読んでもかまわないが、その引用についていろいろと調べることは、雑学の楽しみがあり、そして語学の勉強にもつながる。

冬の星座、ふたご座を見上げると、その中央付近に一等星よりも明るい目立つ星がある。
それは木星で、1月6日に衝となり、観望の好機ということで、紹介する天文記事がいくつか出ている。

ドイツの新聞 Süddeutsche Zeitung の天文記事では、木星の話なのに、なぜかゼウスとニンニクについても調べることになった。
www.sueddeutsche.de/wissen/sternenhimmel-hoellenplanet-mit-knoblauchduft-1.1855129

記事のタイトルは、"Höllenplanet mit Knoblauchduft (ニンニク臭がする地獄の惑星)" で、リード部分を読んでも「ニンニク臭」については何もわからなかった。
本文を読み進めて、木星大気の成分についての説明で、ニンニク臭がするホスフィン(PH3)が出てきて、やっとタイトルが理解できた。

ということで書き出しの、"Ein Hauch von Knoblauch umweht den Göttervater. (ニンニクの香りが神々の父を包んでいる。)" も、ホスフィンを含む大気のことを言っていることがやっと理解できた。

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プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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