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「中学レベルから学び直す40~50代の英語術」(週刊東洋経済2023年4月1日特大号)

昨日発売の週刊東洋経済2023年4月1日特大号は、英語学習の特集なので購入した。
その内容を紹介するリンクは次の通り。
str.toyokeizai.net/magazine/toyo/20230327/

保存版だという特集のタイトルは、中学レベルから学び直す40~50代の英語術」だ。
第2特集の子供の英語についても興味があるので、それも併せて時間のあるときにゆっくり読んでみよう。

それで、最初に読んだのは、NHK英語講座 視聴を習慣に
NHKの語学講座は、特に英語ではさまざまなニーズに合わせた講座があるので、語学学習の習慣づけをするには最適なものだと思う。

テキストの価格を考えると、高額の教室に通うよりもコスパは抜群によい。
特に、一人でコツコツ勉強するタイプの人には合っている教材だ。
放送時間が15分と短いものでも、何度も発音練習をしたり、単語や文法を調べたりなど、独学の努力をすればかなり効果があるはずだ。

そして、次に読んだのは、機械翻訳の話題が気になるので、Google翻訳とDeepLを使いこなせ!だ。
これを読むために購入したようなものだ。

英語の学び直しをしているビジネスマン向けの説明なのだが、機械翻訳の欠点については触れていないことが気になった。

高精度であってもエラーは発生するので、誤訳に気付くだけの英語力が必要だ。
出力された日本語訳だけを読むのではなく、元の英語と並べて読んで、少しでも変だなと感じたところは念入りに調べるようにすべきだ。

別のところで機械翻訳について学習済みであることを前提にしているのかもしれない。
それでも、この記事の後半では ChatGPT の注意点を記載しているのだから、機械翻訳でも一言指摘してほしかった。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

「英語と中国語 10年後の勝者は」(五味洋治、小学館新書)

外国語に関する書籍ということで、「英語と中国語 10年後の勝者は」(五味洋治、小学館新書)を購入した。
小学館のサイトでの紹介は次のリンクから。
www.shogakukan.co.jp/books/09825441

言語の覇権争いにも興味があるのだが、「第5章 日本語は役に立たない言語になったのか」のなかで、機械翻訳についても触れているので購入した。

言葉の壁を乗り越えるテクノロジーとして、機械翻訳、AI翻訳が取り上げられている。

著者は日韓・韓日翻訳を例示して、現在の精度が90%以上であり、今後100%に近い精度になると予測されているため、「韓国語の翻訳者を目指す若い人は夢を諦めた方がいいのだろうか」という問いを持っている。

それに対して通訳者の矢野百合子さんが答えている。
「当分AIは人間に取って代われません」とのことだ。
人の言語活動には不合理な「揺らぎ」があり、状況に応じて使い分けできる人間の通訳・翻訳者の方が有利だという。

それでも翻訳では、「とりあえずAIで訳してみて、おかしなところがあるものだけを、ヒトの翻訳者に依頼する」ようになると予測している。

内容や難易度によってすみ分けすることになりそうだが、機械翻訳を使う場合には、おかしな翻訳だと気付くかどうかが重要だろう。

原文を参照しながら読んだときに、変だなと気付くにも語学の知識が必要だし、流暢に見えるように体裁を整えた機械翻訳の出力に惑わされないことも大切だ。

10年後どうなっているのか少々不安でもあるが、生き残る翻訳者でありたいものだ。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

「数学研究とフランス語」(科学 2023年2月号)

岩波書店の雑誌「科学」は、読みたい記事が掲載されている号だけ注文している。
2023年2月号の特集は「電池の科学」だ。
固体電池など、特許翻訳で必要な知識が得られると考えて購入した。

特集以外で気になったのは、「数学者の思案9 数学研究とフランス語」(河東泰之・東京大学大学院)だ。

数学では今でもフランス語で論文を書く人が多いという。
30年くらい前の文献では、もっとフランス語のものが多いので、フランス語が読めないと不便だとのこと。
それで、ドイツ語の論文を読んだのは1回だけだという。

私が専門の化学では、たまたま研究していた分野でドイツ人が多く、1990年代でもドイツ語文献が3割強あった。
逆に私の経験では、フランス語文献を読んだのは、原料合成の参考にするための2回だけ。
今はほとんど英語のみで論文が出るので、最新の研究に限定すれば、ドイツ語を知らなくてもなんとかなりそうだ。

そのような英語中心に変化したためなのか、東京大学教養学部のカリキュラム改革では理系教員の多くが、英語だけで十分だから第2外国語を必修から外す、という主張をしたそうだ。

しかし、数学ではフランス語が重要なので、数学の教員が反対して、第2外国語の必修が維持されたという。

私が旧帝大理学部に入学したとき、英語に加えて第2外国語が必修で、数学と物理ではフランス語選択者が多かった。
私は化学だったので、高校生のときからドイツ語を選択するつもりでいた。

情報収集能力を高めるためにも、若手研究者も英語以外の外国語を身につけてほしいものだ。


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ジャンル : 学問・文化・芸術

英語教員の「第2外国語」(英語教育2022年8月号)

今日7月14日は、雑誌「英語教育」(大修館書店)8月号の発売日だ。
昨年度末で定期購読をやめたので、読みたい記事があるときだけ購入している。

それで8月号を購入するきっかけとなった特集記事は2つある。
第1特集 私の英語学習ルーティン/第3特集 英語教員の「第2外国語」
特に第3特集は、黒田龍之助責任編集とあるので気になった。

私は特別な生徒ではなかったが、英語以外の外国語に興味を持つ同様の生徒は一定数いるはずだ。
大学で学ぶ外国語のことを質問する生徒もいるだろう。
英語教員も様々な外国語を知っていた方がアドバイスもできるし、英語の見方がよりフラットになるという利点もあるだろう。

英語教員が英語以外の外国語を選ぶ方法として、英語の授業で使える外国語を勧めている。
英語はゲルマン系ということでドイツ語でもいいし、語彙の面ではフランス語やスペイン語も候補になる。
語源の面ではラテン語や古典ギリシャ語を紹介できればカッコイイ。
様々な文字も生徒の興味を引くはずだ。

少しかじる程度でも様々な知識が増えるのは楽しいものだが、これまで出会った人の中には、「大学受験に関係ない」、「英語がまだ完璧でもないのにどうして別の外国語を学ぶのか」、「英語以外の論文は読まない」などと、私とは正反対の考えの人もいた。

英語以外の広大な世界が目の前にあるのに、なんともったいないことか。

私は小学生のときから切手収集をしていて、中学生になってからは海外短波放送を聴いていたこともあり、いろいろな外国語の文字や音には興味があった。

両親が関西出身で、私は東北地方で生まれたので、毎日複数の方言を聞いていたことも影響していただろう。

小学3年から始めた書道では中国製の道具を使っていたし、高校2年のときには漢詩の韻を確認したくなって中国語を学び始めた。
共通一次試験の前にはリラックスするために、中央人民広播電台の番組開始アナウンスを聞き取って漢字に直す練習もしていた。

高校3年のときには、大学で化学を専攻しようと思ったので、化学ならドイツ語という単純な理由で始めた。
ドイツ語を始めたもうひとつの理由は、受験英語に疲れたため、試験と無関係の勉強をしたかったからだ。

中国語とドイツ語を勉強したおかげなのか、語学センスが向上したようで、英語と古典、特に漢文の成績が上がった。
旧帝大二次試験では、数学で解答できたのは6問中1問の (1) のみとボロボロだったのに、理科2科目と英語だけで合格したようなものだ。

そして大学では第2外国語でドイツ語を選択し、その後も興味をもったスペイン語もかじった。
ドイツ留学の面接のときには英語以外の語学を学んでいることについて質問があった。
「研究者とは英語で話せばよいが、家族を含めて受け入れるためには、その国の言葉を知っていた方がよい」という主旨の返答をした。

仕事で使うのは英語とドイツ語だけだが、環境関連で興味を持ったノルウェー語とアイスランド語もかじった。
プロテスタントなので、ラテン語、古典ギリシャ語、古典ヘブライ語の本も買った(少しめくってみただけ)。
東北地方出身ということもあり、アイヌ語の本も買った。

こんな生徒もいるはずなので、体育の授業で様々なスポーツに触れるように、半年ごとに違う外国語を学んでみて、自分に合う言葉を探してもよいのではないか。

英語教員が生徒と一緒になって新人の気持ちで第2外国語に取り組んでもよいのではないか。

そのようにして語学好きを増やせば、英語ばかりを特別視する人も減るだろうし、英語以外の翻訳者も増えるのではないかと思う。

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「初級ウクライナ語文法」増刷中

不定期ではあるが、主に仕事で使う英語とドイツ語、そして興味のある言葉に関する書籍を探している。

今日はドイツ語関連の新刊がないかどうか、三修社のサイトにアクセスしてみた。
すると、初級ウクライナ語文法(黒田 龍之助 著)が品切れで増刷中だと知った。
www.sanshusha.co.jp/np/isbn/9784384058642/

3月17日付けのお知らせは次の通り。

【現在お問い合わせを多数いただいております『初級ウクライナ語文法』は、品切れのため増刷対応中です。
増刷出来は4月中旬頃を予定しております。
ご不便をおかけしますが、何卒ご了承ください。
〈電子版〉もございます。】

この1か月間、戦争という望まない状況ではあるが、ウクライナ語を見聞きする機会が増えた。
画面に映る言葉であったり、話している言葉であったり、ロシア語との違いであったり、興味を持つ人が増えたのだろう。

私は現時点では、ウクライナ語に手を伸ばす余裕がない。
それでも Google立ち読みにアクセスしてみた。

すると 22ページの例文にある「砂糖」цукор の発音「ツーコる」が、ドイツ語の Zucker 「ツッカー」 に似ていると感じた。
語源はどうなのか、生活必需品なら似ているのか、いろいろと興味がわいてくる。

翻訳の仕事に直接関係ないことでも、資料として手元に置いて、常に刺激を受けたいものだ。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

JISは「日本産業規格」

(最終チェック・修正日 2022年09月29日)

法律や規則の改正に伴って用語が変更されることもある。
ただし、新しい用語がすぐに浸透するわけではなく、新旧用語の併存状態が続くこともある。

日本の標準化規格の JIS (Japanese Industrial Standard) は、以前は日本工業規格と呼んでいた。
最近、日本産業規格に変更されたという話を聞いたことがあった。

いつもは略語の JIS ばかり使っていて、うろ覚えだったので、経済産業省のサイトで確認してみた。
すると、JIS法改正に伴って、2019年7月1日から新名称の「日本産業規格」を使うことになっていた。
www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/jisho/jis.html

標準化の対象範囲がデータやサービスなどに広がったため、「日本産業規格」に変えて対応したということだ。

もう2年以上経過しているが、2021年出願でも「日本工業規格」と書いてある特許を見た。
既に対応して「日本産業規格」と書いている特許もあるので、現時点では併存している状況だ。

それで、最近発行された三省堂国語辞典第8版を見ると、日本工業規格と日本産業規格の両方が見出し語になっている。

日本工業規格の説明では、日本産業規格を参照するように書いてある。
そして日本産業規格の説明には、「日本工業規格を改めたもの」とあるので、今は日本産業規格を使うことが明らかになっている。

それでは、Japanese Industrial Standard から英文和訳をする人は、どちらを選択するだろうか。

例えば、研究社のオンライン辞書サービス KOD で JIS を検索すると、「日本工業規格」のみだ。
データは随時更新されているが、「日本産業規格」はまだ採用されていない。

私が有料で契約している化学情報協会の JAICI Science Dictionary Pro でも、残念ながら「日本工業規格」だった。
【追記(9月29日):本日夕方に検索してみると、「日本産業規格」が登録されていた。】

では、英辞郎ではどうかというと、「日本産業規格」になっている。
名称の変更についても記載がある。

有料サービスの方が古いというのも困るので、「日本産業規格」の採録の要望を出さないといけないのかもしれない。
とりあえず、「日本工業規格」と書いている人に出会ったら、「日本産業規格」に修正するように提案しよう。

テーマ : 雑学・情報
ジャンル : 学問・文化・芸術

新政権ではアイヌ語も取り上げてほしいものだ

今月のニュースでは自民党総裁選挙の話題が多くなっている。
いろいろな政策が公約として掲げられているが、これは自民党内の選挙なので、党内右派を意識した発言が多いように感じる。

河野太郎議員の出馬表明会見での、「日本の特徴は皇室と日本語」には驚いた。
わざわざこんなことを宣言しなければならないほど、自民党は窮屈な政党になったということか。

多文化共生社会を目指すのであれば、「先住民族の権利を尊重して、まずはアイヌ語の日本国憲法も教科書に載せる」くらいのことを言ってもよさそうだが、選択制夫婦別姓も認めない勢力が強いので、無理かもしれない。

ノルウェーでは、と言うと、「また欧米を礼賛する出羽守が出てきた」と批判されそうだが、政府ウェブサイトは少数民族のサーミ語でも記載されている。

各省庁のプレスリリースではサーミ語バージョンがない場合もあるが、新型コロナウイルスの情報など重要なものはノルウェー語とサーミ語で発信している。

ウポポイが開館して、説明文はアイヌ語だし、記念切手も発行されて、アイヌ文化・アイヌ語が注目されていると思っていた。

しかし、東京オリンピック開会式の当初案でもアイヌ民族の舞踊は排除され、無視しているわけではないが受け入れることもない、という冷たい態度を和人は示した。

そんな雰囲気の7月に購入した書籍の1つは、白水社の「ニューエクスプレス+ アイヌ語」

白水社のサイトは次のリンクから。
www.hakusuisha.co.jp/book/b584600.html

東北地方で生まれたことも関係するが、小学生の頃からアイヌ語には興味を持っていた。
国立大学付属小学校の実験授業ということなのか、社会の授業では東北地方の観点から日本史を学んでいた。
その中でアイヌ語由来と思われる地名や名詞が例示されることはあった。
www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0310dan.pdf (遠野物語とアイヌ語地名)

ただ、残念ながら、体系的にアイヌ語を学ぶ機会はなかった。

それでも近年、白水社のニュースエクスプレスシリーズを含めて、マイナー言語を日本語の解説で勉強できるという幸せな環境となってきた。

仕事で使う英語とドイツ語、そして情報収集の幅を広げるためのノルウェー語とアイスランド語、また聖書を読むための古典ヘブライ語・古典ギリシャ語・ラテン語が優先かもしれないが、定年後も続ける語学学習の1つにアイヌ語を入れておきたい。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

化学用語 orthogonal protection オルソゴナル保護/直交保護

最新の研究成果は、ほとんど英語で発表されている。
新しい概念についても英語で命名されるので、日本語で解説記事を書こうとするときに、学会指定の訳語がないため苦労することもある。

その例の1つとして、orthogonal protection を取り上げよう。

これは 1977 年に Merrifield らがアミノ基の新規保護基を報告したときに使った用語だ。
複数の保護基のうち特定の保護基について、化学選択的な脱保護条件を説明するために orthogonal を使った。

orthogonal を英和辞典で調べると、数学用語で直交のと書いてある。
ただし、保護基の脱保護条件の場合は、互いに独立のと解釈した方がよい。

つまり、保護基Aの脱保護条件aと、保護基Bの脱保護条件bとは、反応機構が異なるため、保護基Aは脱保護条件bで影響を受けず、かつ、保護基Bは脱保護条件aで影響を受けない。

英語論文(J. Am. Chem. Soc., 1977, 99, 7363)を読めば orthogonal protection の意味は理解できる。
ただ、日本語でどのように書くのか、当初は苦労したようだ。

有機合成化学協会誌、1978年、740ページの総説「ペプチド合成における保護基最近の進歩」(塩入孝之)を例示しよう。
www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/36/9/36_9_740/_pdf/-char/ja

【そこでMerrifieldら6) は "Orthogonal Protection" (直交保護とでも訳すべきか)ということを提唱している。】

その後、この直訳の「直交保護」が使われてきたようだが、最近はカタカナ表記の「オルソゴナル保護/オルトゴナル保護」が主流になっているようだ。
www.jstage.jst.go.jp/article/bag/3/1/3_KJ00008767707/_pdf
www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi/74/9/74_915/_pdf/-char/ja

その分野の専門家ならば、漢字の「直交」でもカタカナの「オルソゴナル」でも、選択的反応のコンセプトであることを前提に使っているので誤解はしないだろう。

ただ、有機合成に慣れてない人は、「直交」から別の印象を持ってしまうかもしれない。
カタカナの「オルソゴナル」の方が元の英語の意味にたどり着きやすいので、無難な表記かもしれない。

漢字を使って意味を表現する工夫も大切だが、カタカナ表記の便利さも捨てがたい。
これからも同様の例を探してみよう。

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ジャンル : 学問・文化・芸術

多言語同時学習のすすめ

今日のテレビニュースで一番気になったのは、バイリンガルよりもトリリンガルの方が新しい言語を早く習得するというものだ。
朝日新聞4月3日の記事で、ハフポストでも同じ記事が読める。

朝日新聞のオンライン版では会員専用記事なので、無料でアクセスできるハフポストの記事の方を、次のリンクから参照してほい。
www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6067ddbfc5b6832c79374a3b

ハフポストの記事中には、朝日新聞の記事にはない論文のリンクもある。
その論文のリンクは次の通り。
www.nature.com/articles/s41598-021-86710-4.pdf

それで、記事中で一番注目したのは、東京大学・酒井邦嘉教授の次の発言だ。

【酒井さんは「多言語話者のほうが脳をダイナミックに使える。英語に触れる時、さらに別の言語と同時に学ぶのが自然で有効な方法だ」と話した。】

これは、私が以前から主張している多言語同時学習のすすめの考え方を補強するかもしれない。

学校でも社会人となっても、最重要外国語として英語が例示されるが、同時に他の言語も勉強した方が語学センスが磨かれて、最終的には多言語を理解する有益な人材となると私は信じている。

私は受験英語の勉強に疲れたこともあり、趣味で高校2年から中国語を習い、3年生になってからドイツ語を始めた。

海外短波放送を聴くことも趣味だったので、中国・中央人民広播電台の海外向けラジオ放送の開始アナウンスを聴いて、全部漢字にするという独自の練習もしていた。

すると不思議なことに、英語と漢文の成績も向上し、共通一次試験では数学よりも英語と国語の点数の方が高かった。
「理系なのに語学系が得意なのはおかしい」とまで言われたが、旧帝大二次試験では、数学に頼らずに理科(化学・物理)と英語で点数を稼いで合格できた。

ドイツに留学できたのも、今は翻訳者として仕事をしていることも、高校以来の多言語同時学習が関連していると思う。

英語だけを極めたいという人に無理強いはしないが、他の言語の知識があった方が楽しいということを、時間のあるときに思い出してほしいものだ。



石井啓一郎著、扶桑社新書の 「マルチリンガルの外国語学習法」  を読んだ。 副題は、「ある翻訳家の『語学』心覚え」。 www.fusosha.co.jp/book/2010/06165.php 【「十数カ国語を操る日本人」は、いかに「語学」してきたのか? 英語、フランス語、イタリア語、ペルシア語、トルコ語…。多くの外国語に携わってきた経験から見えた「日本人が外国語を学ぶ」こととは? 「言語横断」な語学論!】 はじめに ~ つねに未熟な外国...
「マルチリンガルの外国語学習法」(石井啓一郎著、扶桑社新書)


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英語 fur、ドイツ語 Fell:「毛皮」でなく「被毛」

岩手大学農学部などの研究チームが、ネコのマタタビ反応の謎を解明した。
岩手大学と京都大学のプレスリリースのリンクは、それぞれ以下の通り。
www.iwate-u.ac.jp/cat-research/2021/01/003871.html(岩手大学)
www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-01-21 (京都大学)

ScienceAdvances に掲載された論文のリンクは次の通りで、無料で読める。
advances.sciencemag.org/content/7/4/eabd9135

また、ドイツの新聞 Süddeutsche Zeitung の記事のリンクは次の通り。
www.sueddeutsche.de/wissen/katzen-minze-muecken-1.5181764

ここでは、マタタビの話ではなく、マタタビの成分(ネペタラクトール)をこすりつける体の部分の言葉を取り上げたい。

この化学物質はネコの顔や頭の体毛に付着するわけだが、英語論文では fur、ドイツ語記事では Fell を使っている。

毛皮と和訳してしまうと、どうしてもはいだ毛皮毛皮製品をイメージしてしまう人もいるだろうから、別の訳語を探してみた。


リーダーズ英和辞典では毛衣が最初に載っている。
独和辞典だと、動物の毛獣皮毛皮ばかりで、他にふさわしい訳語は見つからなかった。

これは独断だが、英和辞典にも独和辞典にもなかった、岩手大学のプレスリリースでの被毛がふさわしいと思う。
辞書に載っているかどうかよりも、研究者が実際に使っている用語を採用する方がよいと思う。

マタタビの話ではないが、医薬メーカー子会社で社内報の編集を手伝っていたとき、「広辞苑に載っていない言葉を使っている」という指摘を受けたことがある。
そのときは私が調査して、「厚生労働省の文書に出てくる用語です。リンクは次の通り」と、実験の合間に説明をすることになった。

今回の「被毛」も、似たような指摘を受けるかもしれないが、常に根拠を示すことができるように、ブログ記事にすることも含めて、資料を残しておこうと思う。

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プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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