カプシドとキャプシド 学術用語(訳語)の不統一?
(最終チェック・修正日 2022年10月15日)
去年のバイオ系特許の翻訳で、ウイルスの殻タンパク質のことを 「カプシド」 とした。
ドイツ語は Kapsid、英語は capsid で、日本語では字訳して 「カプシド」 となるわけだ。
ところが先週、化学系の雑誌で、「キャプシド」 となっているのを見た。
編集部に問い合わせをすると、次のような回答があった。
[お問い合わせいただきましたcapsidの訳語ですが,文部省学術用語集「植物学編」では「キャプシド」です.小社の教科書類や雑誌は,これに従い「キャプシド」を採用しています.]
その出版社に期待したことは、用語の不統一があるのかどうかを、まず示すことだった。
根拠に学術用語集を出されても、分野が違うと訳語が変わることもあるからだ。
学術用語集は分野ごとに編纂されており、遺伝学編も「キャプシド」だった。
ただ、医学編や動物学編もあり、「キャプシド」か「カプシド」かは、まだ確認していない。
「キャプシド」は、英語の発音を基に、カタカナ表記に音訳したものであり、「カプシド」は、英語の綴りを機械的にカタカナに対応させた字訳である。
学会によって、字訳や音訳の規則が違う可能性もあり、用語の不統一が生まれるのかもしれない。
他の訳語の不統一の例を挙げよう(まだ改訂されていないことを前提として)。
化学では stir を 「かき混ぜる」 と訳す。
同じ語なのに、化学工学では 「撹拌する」 と訳す。
化学も化学工学も、扱う物質や実験操作は同じなのに、使う言葉が違うのだ。
語学でも、言語によって文法用語が微妙に異なることもあるから、どの分野でも起ることなのだろう。
統一しようと思っても、学会同士の意地の張り合いもあるから、いつまでも決まらないかもしれない。
去年のバイオ系特許の翻訳で、ウイルスの殻タンパク質のことを 「カプシド」 とした。
ドイツ語は Kapsid、英語は capsid で、日本語では字訳して 「カプシド」 となるわけだ。
ところが先週、化学系の雑誌で、「キャプシド」 となっているのを見た。
編集部に問い合わせをすると、次のような回答があった。
[お問い合わせいただきましたcapsidの訳語ですが,文部省学術用語集「植物学編」では「キャプシド」です.小社の教科書類や雑誌は,これに従い「キャプシド」を採用しています.]
その出版社に期待したことは、用語の不統一があるのかどうかを、まず示すことだった。
根拠に学術用語集を出されても、分野が違うと訳語が変わることもあるからだ。
学術用語集は分野ごとに編纂されており、遺伝学編も「キャプシド」だった。
ただ、医学編や動物学編もあり、「キャプシド」か「カプシド」かは、まだ確認していない。
「キャプシド」は、英語の発音を基に、カタカナ表記に音訳したものであり、「カプシド」は、英語の綴りを機械的にカタカナに対応させた字訳である。
学会によって、字訳や音訳の規則が違う可能性もあり、用語の不統一が生まれるのかもしれない。
他の訳語の不統一の例を挙げよう(まだ改訂されていないことを前提として)。
化学では stir を 「かき混ぜる」 と訳す。
同じ語なのに、化学工学では 「撹拌する」 と訳す。
化学も化学工学も、扱う物質や実験操作は同じなのに、使う言葉が違うのだ。
語学でも、言語によって文法用語が微妙に異なることもあるから、どの分野でも起ることなのだろう。
統一しようと思っても、学会同士の意地の張り合いもあるから、いつまでも決まらないかもしれない。