日本電産社長は労働基準法を無視する人権侵害主義者か
(最終チェック・修正日 2008年05月01日)
企業では最近、コンプライアンス研修や人権研修、環境研修などの実施が当然となっている。
そして、パワーハラスメントも、人権侵害として認知されるようになってきた。
労働環境の改善を目指して、ワーク・ライフ・バランスという考え方も、よく聞くようになった。
残業の削減や、有給休暇の取得が奨励され、効率的に働くことが求められるようにもなった。
私はドイツ人ほど休むわけではないが、危険物や毒物を扱う仕事中は集中力を使うため、週休2日だけではストレス解消に足りず、有給休暇を毎月平均して1日は取得する方が望ましい。
私は脳波に異常があり、9歳までは毎年2回くらい、熱性けいれんで意識不明となっていた。
5年ほどの投薬治療により、脳波は正常になったものの、その後もストレスでの発熱は続いている。
それに骨髄移植のドナーとなって実際に提供してからは、健康であることの幸せを感じており、
仕事で無茶をして、わざわざ不健康になることがバカらしくなってきた。
だから、よほどのことがない限り残業はしないし、無茶な要求をする会社での勤務は続かない。
派遣社員でも正社員でも、すぐに辞めた会社は、人権無視だと感じたからである。
5月1日はメーデーで、私の勤務先は休みだが、たいていの会社は就業日とのことで、最近のメーデーの集会は、直近の週末に実施されるようになった。
26日に行われた今年のメーデー中央大会で、連合の高木剛会長は、「休みたいなら辞めればよい」と発言したとされる日本電産・永守重信社長を批判した。
連合HPに掲載された、高木会長の挨拶全文は次のとおり。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2008/20080426_1209016677.html#01
来賓の舛添大臣は、「労働関係法令はきちんと遵守してもらわないといけない。
きちんと調査し、指導すべきは指導し、法律にもとるものがあれば厳正に処分する」 と約束した。
23日の朝日新聞の報道は次のとおりで、(人権侵害によって)業績が好調だと自画自賛している。
[「休みたいならやめればいい」――。日本電産の永守重信社長は23日、記者会見で「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」と持論を展開。10年間で売上高が6倍超という成長の原動力が社員の「ハードワーク」にあることを強調した。
今後も積極的な買収戦略を進め、10年度に売上高1兆円、15年度に2兆円に押し上げる青写真も披露。
「成長しているからこそ休みが無くても優秀な技術者がどんどん転職してきてくれている」と現路線に自信をみせた。]
つまり、世界をリードする最新技術を開発できる場が提供されるならば、健康を維持できる労働条件よりも、給料やボーナスの金額の方が優先ということか。
「日経ビジネス」2003年1月27日号の 「もっと働け日本人」 という特集記事を思い出した。
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/227/227804.html
永守社長が長時間働きたいなら、それは個人の自由裁量なのだからかまわないだろう。
ただしその持論や人生観を、社員に強要したならば、それはパワーハラスメントという人権侵害だ。
それに休日返上で働くということは、労働基準法を無視する会社であると公言したわけだ。
労働基準監督署が調査し、残業や休日勤務の実態と、有給休暇取得状況を公開してほしいものだ。
業績が急成長して投資家は楽しいだろうが、人権侵害で得られた利益を配分されるのは、納得できない。
何度も書いているが、私はある化学メーカーに派遣社員として勤務したときに、長時間残業を拒んだ。
派遣契約では残業は月15時間までだったし、派遣会社の三六協定でも月42時間が上限だ。
すると直属の上司からは、「残業しない者に重要な仕事をさせるわけにはいかない。」 や、「他部署から応援も来ているのに、派遣社員が定時帰宅したとなると問題視される。」 などと言われ、そのまた上司からは、「残業は無制限だ。法律なんかクソ食らえだ。」 と暴言を浴びせられた。
そして、「金を払っていれば合法だ。他の派遣社員はもっと残業しているぞ。」 とまで言われた。
その後は本当に楽な合成ばかりで、実験補助のような扱いであった。
しかし新入社員が結果を出さないということで、私が手伝うことになり、1ヶ月で改良合成法を示した。
いくら長時間労働をしても、アイデアがなければ、何も問題は解決しない。
日本電産のHPは次のとおりだが、採用情報には 「休日を取得するな」 とはどこにも書いていない。
それどころか、「家庭と仕事の両立支援制度」を実施していると紹介している。
http://www.nidec.co.jp/ir/index.html
加えて、「CSR憲章」 まであることに、驚いてしまった。
http://www.nidec.co.jp/news/indexdata/2008/0417-002/CMFStandard1_content_view
[3)人権の尊重
当社は、強制労働や児童労働が無く、社員一人ひとりがお互いの個性を認め合い人権が尊重される
差別の無い職場環境を目指します。
4)労働安全と衛生
当社は、会社と社員の協力のもと、職場における社員の安全と健康を確保し、
社員がその能力を十分に発揮できる職場環境の形成に取り組みます。]
社長がそんなにハードワークを求めているのであれば、実際にどのくらい労働しているのか、
そして疾患を抱える社員がどのくらい少ないのか、そして満足している社員の声も公開すればいい。
こんな人権無視の会社ならば、胃潰瘍で入院した回数を自慢する社員がいそうだ。
今回の報道について、日本電産には問い合わせメールを送ったが、回答は期待していない。
こんな会社の株は絶対に買わないし、その製品もなるべく使わないようにしたいものだ。
追記(4月28日):
日本電産から、朝日新聞の記事について、発表があった。
http://www.nidec.co.jp/news/indexdata/2008/0428/CMFStandard1_content_view
最初から、この文書のような表現で、適切に説明していればよかったのではないか。
朝日新聞の記者が誤解したとしても、こんなにも極端に違う解釈にはならないと思う。
それに、朝日新聞が報道してから4日後に反論するのは遅すぎる。
合併交渉などのスクープ記事では、その日のうちにプレスリリースが出ることと大違いだ。
26日に連合会長が批判して、ネット上でも話題となったため、仕方なく発表したように見えてしまう。
もしかすると、担当部署がしっかり休みを取っているので、対応が遅れたのだろうか。
追記2(5月1日):
なぜか今日は、日本電産のサイトに接続できない。
「www.nidec.co.jp という名前のサーバが見つかりませんでした。」 というメッセージが出る。
メーデーということで、何かサイバー攻撃でもあったのだろうか。
企業では最近、コンプライアンス研修や人権研修、環境研修などの実施が当然となっている。
そして、パワーハラスメントも、人権侵害として認知されるようになってきた。
労働環境の改善を目指して、ワーク・ライフ・バランスという考え方も、よく聞くようになった。
残業の削減や、有給休暇の取得が奨励され、効率的に働くことが求められるようにもなった。
私はドイツ人ほど休むわけではないが、危険物や毒物を扱う仕事中は集中力を使うため、週休2日だけではストレス解消に足りず、有給休暇を毎月平均して1日は取得する方が望ましい。
私は脳波に異常があり、9歳までは毎年2回くらい、熱性けいれんで意識不明となっていた。
5年ほどの投薬治療により、脳波は正常になったものの、その後もストレスでの発熱は続いている。
それに骨髄移植のドナーとなって実際に提供してからは、健康であることの幸せを感じており、
仕事で無茶をして、わざわざ不健康になることがバカらしくなってきた。
だから、よほどのことがない限り残業はしないし、無茶な要求をする会社での勤務は続かない。
派遣社員でも正社員でも、すぐに辞めた会社は、人権無視だと感じたからである。
5月1日はメーデーで、私の勤務先は休みだが、たいていの会社は就業日とのことで、最近のメーデーの集会は、直近の週末に実施されるようになった。
26日に行われた今年のメーデー中央大会で、連合の高木剛会長は、「休みたいなら辞めればよい」と発言したとされる日本電産・永守重信社長を批判した。
連合HPに掲載された、高木会長の挨拶全文は次のとおり。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2008/20080426_1209016677.html#01
来賓の舛添大臣は、「労働関係法令はきちんと遵守してもらわないといけない。
きちんと調査し、指導すべきは指導し、法律にもとるものがあれば厳正に処分する」 と約束した。
23日の朝日新聞の報道は次のとおりで、(人権侵害によって)業績が好調だと自画自賛している。
[「休みたいならやめればいい」――。日本電産の永守重信社長は23日、記者会見で「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」と持論を展開。10年間で売上高が6倍超という成長の原動力が社員の「ハードワーク」にあることを強調した。
今後も積極的な買収戦略を進め、10年度に売上高1兆円、15年度に2兆円に押し上げる青写真も披露。
「成長しているからこそ休みが無くても優秀な技術者がどんどん転職してきてくれている」と現路線に自信をみせた。]
つまり、世界をリードする最新技術を開発できる場が提供されるならば、健康を維持できる労働条件よりも、給料やボーナスの金額の方が優先ということか。
「日経ビジネス」2003年1月27日号の 「もっと働け日本人」 という特集記事を思い出した。
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/227/227804.html
永守社長が長時間働きたいなら、それは個人の自由裁量なのだからかまわないだろう。
ただしその持論や人生観を、社員に強要したならば、それはパワーハラスメントという人権侵害だ。
それに休日返上で働くということは、労働基準法を無視する会社であると公言したわけだ。
労働基準監督署が調査し、残業や休日勤務の実態と、有給休暇取得状況を公開してほしいものだ。
業績が急成長して投資家は楽しいだろうが、人権侵害で得られた利益を配分されるのは、納得できない。
何度も書いているが、私はある化学メーカーに派遣社員として勤務したときに、長時間残業を拒んだ。
派遣契約では残業は月15時間までだったし、派遣会社の三六協定でも月42時間が上限だ。
すると直属の上司からは、「残業しない者に重要な仕事をさせるわけにはいかない。」 や、「他部署から応援も来ているのに、派遣社員が定時帰宅したとなると問題視される。」 などと言われ、そのまた上司からは、「残業は無制限だ。法律なんかクソ食らえだ。」 と暴言を浴びせられた。
そして、「金を払っていれば合法だ。他の派遣社員はもっと残業しているぞ。」 とまで言われた。
その後は本当に楽な合成ばかりで、実験補助のような扱いであった。
しかし新入社員が結果を出さないということで、私が手伝うことになり、1ヶ月で改良合成法を示した。
いくら長時間労働をしても、アイデアがなければ、何も問題は解決しない。
日本電産のHPは次のとおりだが、採用情報には 「休日を取得するな」 とはどこにも書いていない。
それどころか、「家庭と仕事の両立支援制度」を実施していると紹介している。
http://www.nidec.co.jp/ir/index.html
加えて、「CSR憲章」 まであることに、驚いてしまった。
http://www.nidec.co.jp/news/indexdata/2008/0417-002/CMFStandard1_content_view
[3)人権の尊重
当社は、強制労働や児童労働が無く、社員一人ひとりがお互いの個性を認め合い人権が尊重される
差別の無い職場環境を目指します。
4)労働安全と衛生
当社は、会社と社員の協力のもと、職場における社員の安全と健康を確保し、
社員がその能力を十分に発揮できる職場環境の形成に取り組みます。]
社長がそんなにハードワークを求めているのであれば、実際にどのくらい労働しているのか、
そして疾患を抱える社員がどのくらい少ないのか、そして満足している社員の声も公開すればいい。
こんな人権無視の会社ならば、胃潰瘍で入院した回数を自慢する社員がいそうだ。
今回の報道について、日本電産には問い合わせメールを送ったが、回答は期待していない。
こんな会社の株は絶対に買わないし、その製品もなるべく使わないようにしたいものだ。
追記(4月28日):
日本電産から、朝日新聞の記事について、発表があった。
http://www.nidec.co.jp/news/indexdata/2008/0428/CMFStandard1_content_view
最初から、この文書のような表現で、適切に説明していればよかったのではないか。
朝日新聞の記者が誤解したとしても、こんなにも極端に違う解釈にはならないと思う。
それに、朝日新聞が報道してから4日後に反論するのは遅すぎる。
合併交渉などのスクープ記事では、その日のうちにプレスリリースが出ることと大違いだ。
26日に連合会長が批判して、ネット上でも話題となったため、仕方なく発表したように見えてしまう。
もしかすると、担当部署がしっかり休みを取っているので、対応が遅れたのだろうか。
追記2(5月1日):
なぜか今日は、日本電産のサイトに接続できない。
「www.nidec.co.jp という名前のサーバが見つかりませんでした。」 というメッセージが出る。
メーデーということで、何かサイバー攻撃でもあったのだろうか。