世界のほとんどの国で使用されているのに、日本では未承認の医薬品やワクチンが、なぜか多数ある。
表向きには、日本国内での治験が進んでいないとされているが、代わりに中国などでの治験結果があるので使えるはずだ。
国内製薬会社のほとんどが、厚生労働省からキャリア官僚を役員として受け入れており、その見返りなのか、海外で定評のある医薬品やワクチンの承認が遅れている。
最近話題となったポリオワクチンでも、副作用がない不活性化ワクチンは未承認である。
導入円滑化という名目で検討会が発足し、来年度予算でも概算要求されているが、待てない親たちは、健康保険が利用できない個人輸入ワクチンで子どもに接種をしている。
www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/ (厚生労働省・ポリオワクチンのページ)
GSK(グラクソ・スミス・クライン、GlaxoSmithKline)のワクチン Synflorix も、世界の約85か国で使用されている肺炎球菌感染症用のワクチン(中耳炎にも効果あり)だが、これも日本未承認。
他社のワクチンで代替できるが、副作用問題の観点からも、複数のワクチンを選択肢として持つことは、リスク分散になるはずだ。
しかし、GSKの Synflorix については、アルゼンチンでの治験手続きに問題があり、罰金100万ペソ(約1800万円)が課されたため、日本での承認がさらに遅れる要因になるかもしれない。
GSKのプレスリリースにはないため、英語記事2本とドイツ語記事1本を引用しておこう。
www.gsk.com/media/archive.htm (GSKのプレスリリース)
edition.cnn.com/2012/01/03/world/americas/argentina-drug-company-fined/index.html (CNN英語記事)
www.bloomberg.com/news/2012-01-03/glaxo-to-appeal-fines-in-argentina-case-over-synflorix-trial.html (ブルームバーグ英語記事)
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,807111,00.html (SPIEGEL Online ドイツ語記事) 続きを読む
テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース
昨年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故の影響で、年賀状を控える人が増えたようだ。
また、年賀状を出すことに決めても、「謹賀新年」を使ってよいかどうかなど、あいさつ文の書き方に迷う人も多かったという。
私は寄付金5円付きの年賀はがきを使ったものの、今回は年賀状ではなく、「寒中お見舞い」という形式にした。
「東日本大震災被災地の早期復興の実現と、平穏な生活が一日でも早く戻るように祈っています。」 と添えて。
子どもの頃から知っている三陸の風景が一変し、知人の訃報が届き、そして派遣社員として勤務した会社が福島第一原発に近くて操業停止となった。
そのため地震後2か月くらいは、週末に外出する気力もなく、昼間なのにベッドに横になることも多かった。
今はなんとか持ち直して、仕事も以前と同様にできるようになったものの、東北地方が見捨てられるという恐怖が残っている。
そのため年賀状ではなく寒中お見舞いにした方が、私の近況報告もしやすくなると思い、時期をずらして出すことにした。
正月3が日が明けた後、1月5日投函にしたので、土曜日には届くだろう。
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テーマ : お正月
ジャンル : ライフ
沖縄県石垣島/石垣市と言うと、私はWWF会員としてサンゴ礁保護の寄付活動をしていて、「しらほサンゴ村」の村民である。
沖縄で学会があるときに、石垣島まで行こうと思っていたが、残念ながらまだ一度も研究センターを訪問していない。
www.wwf.or.jp/shiraho/
その石垣市に行政区分として所属する「尖閣諸島」は、私有地となっているが、国が借り上げている。
私有地であるし、国・海上保安庁が管理をしているのだから、勝手に上陸すると不法侵入ということになる。
それでもあえて上陸を試みる人たちがいる。
正月中の1月3日の朝に、海上保安庁の忠告を無視して、石垣市議など4人が上陸したことが確認された。
メディアによって表現は違うが、市議たちは「魚釣りをする」だとか、「視察をする」などの言い訳、つまり嘘を言ったようだ。
朝日新聞の記事から、中国の反応も含めて引用しておく。
www.asahi.com/national/update/0103/SEB201201030003.html
【沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島に3日午前、同市の市議ら4人が上陸したのを第11管区海上保安本部(那覇市)の巡視船が確認した。島を管理する国の許可なく上陸したとして、県警は軽犯罪法違反の疑いで今後事情を聴く方針。
…上陸したのは石垣市の仲間均市議や仲嶺忠師市議ら4人。午前9時半ごろから正午前にかけて、島の南西側に上陸し、海岸を歩くなどしていたという。上陸の前には、市議らの乗った漁船に海上保安官が立ち入り検査をしたが、その際は「上陸はしない。漁に行くだけだ」と答えていたという。…】
www.asahi.com/national/update/0103/TKY201201030225.html
【沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島に同市議ら4人が上陸したことについて、中国外務省は3日、「中国政府は日本側に対し、厳正な申し入れと抗議をした」との談話を発表した。談話は尖閣諸島を「中国固有の領土」としたうえで、「中国政府の領土と主権を守る決意は固く揺るぎないものだ」と強調した。】
石垣市の話なので、地元紙の琉球新報からも引用しておこう。
ryukyushimpo.jp/news/storyid-185849-storytopic-1.html
【石垣市議会議員2人を含む計4人が3日午前、尖閣諸島の魚釣島に上陸したことが分かった。関係者によると、上陸した市議は仲間均市議と仲嶺忠師市議の2人。仲間市議は2日夜の出航前、本紙の取材に「調査目的で尖閣諸島に向かう」と回答していた。】
軽犯罪法違反の疑いということだが、上陸を目的にしていることは、仲間均市議の公式HPやブログではっきりしている。
個人の思想を否定するつもりはないが、上陸許可を得るという地道な法的手続きの努力を続けずに、強行上陸する行為は許しがたい。 続きを読む
テーマ : ニュース
ジャンル : ニュース
ヨーロッパの漁業は大西洋、地中海、北海、バルト海で主に行われているが、EU以外のヨーロッパ諸国だけではなく、北アフリカ諸国やトルコなどとも漁獲割り当て交渉をしなければならない。
大西洋と地中海でのクロマグロは、資源管理をするはずだったのに、実効性がないという批判もあり、禁漁の提案も出るようになった。
また、タラも乱獲による資源量減少が危惧されていて、他のニシンやサバも含めて、EUとノルウェーとの交渉がなかなか決まらなかったり、さらにアイスランドなども絡んでくると、漁獲割り当て交渉は長丁場となったり、決裂したりする。
参考として、EU・ノルウェー・アイスランドの漁業関係部署のHPを紹介しておく。
ec.europa.eu/fisheries/index_en.htm (EU)
www.regjeringen.no/en/dep/fkd.html (英語版。情報量はノルウェー語ページの方が多い。)
www.regjeringen.no/en/dep/fkd.html (英語版。)
EUではトロール漁法規制などの乱獲防止策を協議しているが、加盟国全会一致が原則なので、現時点で最大の問題であるユーロ危機への対応と同様に、混乱した状態のまま延々と交渉することになるだろう。
EU漁業委員会で2012年の漁獲割当が決まったのは、2011年12月になってからだ。
www.fis.com/fis/worldnews/worldnews.asp
決まるのも遅いし、割当量だけでなく操業日も減らされていて、例えば次の記事のようにイギリスの漁業関係者は憤っている。
www.guardian.co.uk/environment/2011/dec/17/fishing-industry-lands-controversial-deal
そんななかで、乱獲によって減少したタラ資源量がバルト海東部で回復していることが判明した。
そしてスウェーデンのタラ漁業は、その責任ある管理手法が評価されることになり、2011年6月にMSC認定を受けるまでになった。
www.msc.org/newsroom-ja/news/first-swedish-cod-fishery-receives-msc-certification
【スウェーデン東部バルト海のタラ漁業が、責任ある管理と資源の回復によって、MSCエコラベルを取得しました。
たった数年前にほぼ資源の崩壊の危機にあったタラ漁業が、現在、回復し、持続的で良好に管理されている漁業として認証されました。…
このタラ漁は、1年のうち7月と8月の禁漁期を除く10ヶ月にわたりバルト海東部のボーンホルムで底魚底引き、フィッシュ・トラップ、延縄によって行われています。主な水揚げ港は、スウェーデン南東部沿岸のカールスクローとシムリスハムンで、どちらの町も商業漁業の長い歴史を持っています。水揚げ後のタラは、地元市場に生で売られるか、輸出用に加工されます。
…】
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テーマ : 環境問題
ジャンル : ニュース
日本では第二次大戦前から核物理学の基礎研究が行われていて、戦時中は原爆開発が試みられたこともある。
敗戦後に一時中断していた研究は、原子力平和利用の名の下で再開した。
アメリカからの濃縮ウラン受入のために日本原子力研究所が設立され、研究用原子炉の開発を始め、さらに実用化も検討していた。
研究の進展が遅いことに業を煮やしたのか、それとも日米同盟推進の主役になりたかったのか、中曽根康弘(当時・改進党議員)が政治主導の原子力開発を推進するため、「学者の頬を札束でひっぱたいて目を覚まさせる」という主旨の発言をした(ただし本人は否定しているが)。
そして原子力関係予算を成立させ、日本の原子力開発は政治主導という不穏な状況に変化した。
純粋な科学研究の発展ではなく、政治主導の国策体制となった時点で、金の力で全てが決まる時代が始まった。
そして電力会社や原子力関係機関、そして関係省庁が形成する強固な「原子力村」が、どのように国民をだましてきたのか、これまで何度も指摘され、そして原発および再処理施設などの危険性が何度も警告されてきた。
しかし、国民の多くは国家プロパガンダに騙され、「あたかも原発が存在していないかのような日常生活」をおくってきた。
ところが2011年3月11日以降は状況が一変し、「原子力村」に対する抗議活動が盛んになってきた。
そして反原発関連の書籍も急に増え、これまで沈黙させられていた声、無視されてきた声が、国民に届くようになってきた。
ここでは最近の資料として、岩波書店の雑誌「科学」(2011年12月号)の特集「核と原発」、そして角川SSC新書の「まやかしの安全の国」(田辺文也著)を挙げておきたい。
そして2012年元旦の朝日新聞の記事では、原子力村の金の力が、原子力安全委員会にも及んでいたことが指摘されている。
www.asahi.com/national/update/1231/OSK201112310119.html
【東京電力福島第一原子力発電所の事故時、中立的な立場で国や電力事業者を指導する権限を持つ内閣府原子力安全委員会の安全委員と非常勤の審査委員だった89人のうち、班目(まだらめ)春樹委員長を含む3割近くの24人が2010年度までの5年間に、原子力関連の企業・業界団体から計約8500万円の寄付を受けていた。朝日新聞の調べで分かった。
うち11人は原発メーカーや、審査対象となる電力会社・核燃料製造会社からも受け取っていた。
原子力業界では企業と研究者の間で共同・受託研究も多く、資金面で様々なつながりがあるとされる。中でも寄付は使途の報告義務がなく、研究者が扱いやすい金銭支援だ。安全委の委員へのその詳細が明らかになるのは初めて。委員らは影響を否定している。】
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テーマ : 原発事故
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