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スターバックス(アメリカ)のストロベリーフラペチーノには昆虫由来色素E120が入っている

USA Today の記事によると、スターバックス(アメリカ)のストロベリーフラペチーノに、昆虫由来の色素が食品添加物として使われていることに完全菜食主義者が抗議しているそうだ。
www.usatoday.com/money/industries/food/story/2012-03-28/starbucks-strawberry-frappuccino-beetle-juice/53839006/1

この色素は、E120 またはカルミン、コチニールとも呼ばれ、認可された食品添加物だが、この件を紹介している 
ABC News のブログでは、昆虫由来なので言葉遊びのように、スターバックス(Starbucks)のことを Starbuggs と書いている。
abcnews.go.com/blogs/business/2012/03/starbuggs-strawberry-frappuccino-colored-by-insects/
(注:「虫」は bug なので Starbugs としている記事もあるがが、文字数を合わせるために buggs にした思われる。または、もしかすると訴訟リスク回避のために、わざと buggs としたのかもしれない。)

この記事はドイツのメディアでも引用されている。
www.sueddeutsche.de/wissen/lebensmittel-starbuggs-ein-lausiger-skandal-1.1322500

スターバックス(アメリカ)のHPにある、対象製品の説明は次の通りだが、食品添加物については認可されたものを使用しているとだけで、コチニールが入っているとは書いていない。
www.starbucks.com/menu/drinks/frappuccino-blended-beverages/strawberries-and-creme-frappuccino-blended-creme


アレルゲンについての情報を知りたい人は、店舗のバリスタに直接質問するか、または電話で問い合わせることになる。
【Allergen information is currently unavailable online for our beverage selections. We are actively working to bring that information to you. If you have an allergen concern, please feel free to ask our baristas to check the ingredient labels or call 1-800-235-2883 for more information. 】

また、プレスリリースには、この記事に関して何も出ていない。


食品添加物として認可されているものの、いかなる動物由来製品をも避けたい完全菜食主義者や、過去にアレルギー症状を経験した人たちは、「スターバックスの食品スキャンダル」と感じている。

日本のスターバックスコーヒージャパンに電話したところ、日本で販売予定のストロベリーフラペチーノには、コチニールを使用しない、との回答があった。

他のフード類では、コチニールを使用している可能性があるため、公表できるかどうかも含めた調査を依頼した。
このブログでは調査結果を書かないつもりなので、この色素が気になるならば、個別に問い合わせてほしい。

また今回はアメリカでの話であって、しかも、完全菜食主義者の人たちが動物由来製品を使っていることに抗議しているのであり、「虫を使ってフラペチーノを作った」などという変な噂に惑わされないでほしい。

Daily Mail Online の記事の見出しが、わざとセンセーショナルな表現になっているので、誤解が生じているようだ。
www.dailymail.co.uk/femail/article-2120796/Starbucks-admits-Strawberry-Frappuccino-contains-crushed-bugs.html

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テーマ : 食品・食べ物・食生活
ジャンル : ライフ

アフガニスタン派遣米軍兵士乱射事件は抗マラリア薬の副作用が原因か?

3月11日にアフガニスタン南部で、アメリカ陸軍の Robert Bales 2等軍曹が銃を乱射して、民間人16人を殺害した。
この軍曹は現在、アメリカ本土の基地内にある収容施設に移送されている。
今後は軍事法廷において、殺人容疑で起訴されることになったが、弁護側はPTSDなどの精神疾患を主張している。

例えば、朝日新聞の記事は次の通り。
www.asahi.com/international/update/0311/TKY201203110352.html (3月12日、乱射事件の記事)
www.asahi.com/international/reuters/RTR201203250001.html (3月25日、訴追の記事)
【[カブール 23日 ロイター] 米軍は23日、アフガニスタン南部カンダハル州で地元住民17人を射殺したなどとして、殺人と殺人未遂の容疑でロバート・ベイルズ2等軍曹(38)を訴追した。有罪となれば、死刑の可能性もあるという。

…司法手続きは所属地であるワシントン州タコマ近郊のルイス・マッコード基地で行われる予定。

弁護士は容疑者が「事件を覚えていない」としており、裁判では4度にわたるイラクなどへの派遣で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患ったと主張するとみられている。】

海外メディアでは、抗マラリア薬(Mefloquine、メフロキン)の副作用の疑いがあると報じている。
www.dailymail.co.uk/news/article-2120577/Was-Staff-Sgt-Robert-Bales-given-anti-malaria-drug-known-cause-psychotic-episodes-Afghan-massacre-Pentagon-ordered-emergency-review-drug-days-shooting.html
www.sueddeutsche.de/wissen/amoklauf-in-afghanistan-wahnvorstellungen-als-nebenwirkung-1.1319342

この抗マラリア薬は以前、Lariam(ラリアム)という名称でロシュが販売していたが、重篤な副作用問題のため2009年に撤退した。
今はジェネリック医薬メーカーが製造・販売している。
例えば日本では、久光製薬がメファキンの名称で販売しており、添付文書は次の通り。
www.hisamitsu.co.jp/medical/data/mephaquin_t.pdf

めまいや嘔吐だけでなく、深刻な事例としてパニック発作や錯乱、自殺願望などが報告されている。

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テーマ : 医療・健康
ジャンル : ニュース

原文英語のタイプミスまで修正するのも翻訳者の仕事?

現在作業している外資系メーカーのデータベース翻訳は、受注後に担当するファイルが追加されたこともあり、4月末までかかる予定だ。
この翻訳プロジェクトは、英語で書かれた製品カタログなどの内容を、すべて日本語に翻訳するものだ。
カタログは毎年改訂されるし、新製品も次々と出てくるので、この仕事は終わることがないだろう。

いくら外資系メーカーとは言っても、日本支社では日本国内の企業や研究機関などが主要顧客のため、カタログや新製品紹介パンフレットを日本語で作成する方が望ましい。

研究機関には外国人留学生やポスドクがいるし、日本企業でも日本人だけが働いているわけではないが、「日本支社」なのだから、HPも含めて日本語での情報発信が求められる。

このプロジェクトの納期はのんびりしているし、直接契約のためワード単価も高いので、大量の案件でも優先して受注している。見積もり段階では、主にワード総数をまず見て、次にファイルの一部をざっと見て、翻訳内容のレベルを確認している。
そして納期までに翻訳可能だと判断すれば、受注の意思があることを伝える。

私は有機化学の研究者なので、実験であまり触れることがない、無機化学や高分子化学、生化学の知識が足りないと感じている。
それでも博士号取得者なのだから、参考書を読むなどして補強し、原文英語に疑問点があれば、複数の論文で確認することもある。

専門用語のチェックのために、生化学辞典や生物学辞典などを調べるのは当然だが、原文英語が間違っているときは、推測や調査に時間がかかることがあるので困る。

タイプミスも含めて、英語の間違いを日本人が指摘するというのは、なんだか変な話だが、まあこれも翻訳者の仕事の一部だと割り切って考えている。
ワード単価が一番低い7円の案件のときでも、化合物名や病名のスペルミスなどの他にも、英語で申請した特許なのに、フランス語やドイツ語の単語が混ざっていることまで指摘したことがある。
副業ということで余裕があるからかもしれないが、信頼してもらうためにも、細かい配慮をしているという姿勢を示すことは大切だ。

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テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

秋田のペレットストーブの灰からチェルノブイリ由来のセシウム137を検出

東京電力福島第一原発の事故に由来する放射性セシウム汚染問題は、今後何十年も続く環境汚染である。
首都圏ではいくつかの自治体で、ごみ焼却灰における高濃度汚染に悩んでいる。
土壌汚染の測定結果や除染などについて、緊急シンポジウムを追加開催している学会もある。

昨年夏には、被災地の松を燃やすかどうかで、賛否両論入り乱れての一騒動があった。
今週は秋田で、ペレットストーブの灰から放射性セシウム137が検出されたことが騒ぎとなっている。

地元紙の秋田魁新報の記事と、秋田県横手市森林組合公式ブログを引用しておこう。
www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp (3月18日の記事)
www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp (3月20日の記事)
hshinrin.blog14.fc2.com/blog-entry-739.html (森林組合のブログ記事)

【大館市の木質ペレット製造業者が市内の事業所などから回収したペレットストーブの焼却灰の一部から、1キロ当たり千ベクレルを超える放射性物質が検出されたことが17日、分かった。

業者は、ペレットに放射性物質が含まれていた可能性があると指摘。「原料の一部に北欧産の輸入材を使ったおがくずが含まれていた。その中に(1986年の)チェルノブイリ原発事故で汚染されたものがあった可能性がある」としているが、どの製造工程で混入したか不明。回収した灰は数キロ程度で、業者が市内のペレット製造施設内で保管している。】

【大館市の木質ペレット製造業者の製品の焼却灰から1キロ当たり千ベクレルを超える放射性物質が検出された問題で、市は19日、汚染の可能性があるペレットが本年度400トン生産され、県内11市町で既に販売されていたと発表した。原因は原料に使われていたスウェーデン産のアカマツであることも分かった。業者が製品と灰の自主回収を進めている。】

大館市のHPでは公式ツイッターも含めて、3月21日時点で、残念ながら何も情報はない。
www.city.odate.akita.jp/

具体的な数値(1300 Bq/kg)については、河北新報の記事を引用しておこう。
www.kahoku.co.jp/news/2012/03/20120320t43014.htm
【秋田県大館市は19日、暖房の燃料に使われる木材加工品「ペレット」の焼却灰から1キログラム当たり1300ベクレルの放射性セシウム137が検出されたと発表した。

国の基準では、1キログラム当たり8千ベクレル以下なら通常のゴミと同じように埋め立てが可能。肥料などとして使用する場合の暫定許容値は同400ベクレル。】

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テーマ : 環境問題
ジャンル : ニュース

東京電力は日本原子力学会特別セッションでも津波だけが原発事故の主原因と主張

今朝もデータベース翻訳を始めたが、1時間くらいで疲れてしまい、休憩することにした。

昨日19日から福井大学で、日本原子力学会の春年会が開催されているので、関連ニュースを探してみた。
すると、福島第一原発事故の特別セッションで東京電力が発表していたことを知った。
www.aesj.or.jp/meeting/2012s/j/J12Spr_TOP.html (学会の案内)
www.aesj.or.jp/meeting/2012s/j/J12Spr_specialsession.html (3月19日、福島第一原子力発電所事故特別セッション)
【第2部 福島第一原子力発電所事故対応の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(東京電力)福田俊彦

第3部 福島第一原子力発電所事故対応技術セッション(その1)
(1)福島第一原子力発電所事故 1)事故後の取り組みと今後の中長期計画 ・・・・・・・・・・・・・・・(東京電力)山下和彦
(2)福島第一原子力発電所事故 2)地震・津波の影響について  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(東京電力)土方勝一郎
(3)福島第一原子力発電所事故 3)事故時の対応状況とプラント挙動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(東京電力)宮田浩一 】

この特別セッションの内容について、福井新聞の記事から抜粋しておこう。
www.fukuishimbun.co.jp/localnews/earthquake/33698.html
【…東京電力福島第1原発事故を受けた特別セッションでは、東電が福島での事故対応や事故時のプラントの動き、地震・津波の影響などを報告。「想定したシビアアクシデント(過酷事故)を超える事故に対する備えが十分ではなかった」と謝罪した。同学会は6月末を目途に、福島事故の進展を技術的な見知からまとめる方針を示した。

…特別セッションには会員や一般聴衆ら約500人が参加。東電の福田俊彦原子力品質・安全部長はプラントパラメーターの解析結果などから「地震発生から津波到達までの間、プラントの安全性は維持できていた」と指摘。過酷事故に至った主な原因は地震ではない―とあらためて説明した。

一方、燃料損傷に伴い被覆菅の金属ジルコニウムと水蒸気が化学反応し発生した水素が、原子炉格納容器から原子炉建屋内に漏れて水素爆発を起こすことは予想していなかったと強調。想定を超える重大事故への備えが不十分で、安全対策に不備があったと認めた。
…】

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テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

スターバックスが新しい焙煎法の豆を販売開始したがエスティマブレンドは消えてしまった

スターバックスのコーヒーは苦すぎるという人がいたためか、新しい焙煎法の豆が3月15日から発売されている。
ニュースでも取り上げられていたが、「ブロンドロースト」の2種類である。
www.starbucks.co.jp/press_release/pr2011-766.php

【「スターバックス® ブロンド ロースト」は、これまでスターバックスの代名詞として親しまれてきた深煎りのコーヒーより浅めの新しい焙煎カテゴリーです。この新しいカテゴリーの開発に際し、高品質なアラビカ種コーヒー豆を用いた約80通りの組み合わせの中から、最適なブレンドを考案。41年の歴史に裏打ちされたスターバックス独自の焙煎技術により、「ブロンド」というネーミングに象徴される、軽やかなコクと穏やかな風味を引き出しました。 既存商品に比べ浅めの焙煎で、上質な味わい深いコーヒーをお楽しみいただけます

「スターバックス® ブロンド ロースト」 として 3月15日 (木) に発売する商品は、『スターバックス® ライトノート ブレンド』と、『スターバックス ウィロー ブレンド』 の2種類。ホールビーン (コーヒー豆)、スターバックス ヴィア® コーヒーエッセンス、ドリップコーヒーなどの商品形態で、全国のスターバックス店舗、及びスーパーやコンビニエンスストアにて販売致します。
…】

ということで、週末の朝食用コーヒーとして、試しにライトノートブレンドを100g注文した。
牛乳を混ぜて飲むことを伝えると、酸味があるウィローブレンドではなく、ライトノートブレンドを勧められた。

ついでに、フェアトレードのエスティマブレンドも100g注文したのだが、3月15日に販売終了とのことだった。
在庫がなくなりしだい、販売停止の措置となっていたとのことでがっかりした。

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テーマ : コーヒー
ジャンル : グルメ

abhanden

abhanden
副 ((ふつう次の成句で)) 〔jm.〕 abhanden kommen 〔…にとって〕失われる<紛失する>

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テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

班目(通称デタラメ)原子力安全委員会委員長が辞任したいと本音を漏らしたそうだ

原発メーカー東芝の元社員で、現在は東京大学教授である班目(通称デタラメ)春樹・原子力安全委員会委員長が、辞任したいという意向を表明したという。
4月に発足する予定だった原子力規制庁は、法律の成立が遅れているため、原子力安全委員会は存続することになる。
3月末で終わると思っていたのに、いつまで続くのかわからないということで班目委員長は、もう辞めたいと本音を漏らしたという。

しかし3月12日の記者ブリーフィングでは、誰にも相談していなかったことを告白し、しかも「本音を漏らした」と、またまたアホ発言をしてしまった。
www.nsc.go.jp/briefing/info.html
www.nsc.go.jp/info/20120312.pdf
【…冒頭のあいさつで申し上げましたけれども、今、避難している方々のお気持ちなんかを考えたら、私なんかが決して言ってはいけないことかもしれませんけれども、ちょっとさすがに、私自身も精神的にも少しやや限界かなと思っているところもあって、どこかでは区切りを付けたいなと思っているというところもあると。

ただ、原子力安全委員の人事というのは、これは国会の同意が必要なもので、非常に重たいものだと思っていますので、これについては、よく相談してからでないと決められないということは、私自身よく承知しています。
ちょっと、金曜日にちらっと本音を漏らしてしまいましたけれども、まだ、誰にも相談してない状況でございますので、ちょっとこれから考えさせていただきたいというのが本当のところでございます。】

このブリーフィングについての報道として、朝日新聞を引用しておこう。
www.asahi.com/national/update/0312/TKY201203120543.html
【内閣府の原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は12日、「精神的にも少しやや限界かなと思っている。どこかで区切りをつけたい」と述べ、4月1日に予定される原子力規制庁の発足が遅れた場合でも、3月末で退任する意向を明らかにした。】

事故後の2011年5月24日の衆院復興特別委員会で、参考人として呼ばれた時、委員長を解任するという意見が出た。
しかし班目委員長は、【職務を全うすることが使命だ。ここで逃げたら末代までの名折れ。この問題にとことん付き合いたい】と反論していたが、もう限界ということか。

まあ、たまたま委員長の順番が回ってきただけだし、審査書類などの点検をするだけだったのに、原発事故後は連日、記者たちから厳しい質問を浴びせられ続けたから、「精神的にも…限界」と口をすべらせても当然だろう。

原発事故を特集したNHKの番組でも、「3月11日の前に戻りたい。なかったことにしてほしい。」 という主旨の本音を語っていた。


プルトニウムが大好きな大橋弘忠・東京大学教授は、複数の審議会や委員会に名を連ねているが、東京電力福島第一原発での事故後に表に出なくなった。九州電力・玄海原発に関するやらせメール事件後も、誰かに止められているのか、全く発言がない。自説に自信を持つ研究者であれば、出光一哉・九州大学教授と一緒に堂々とテレビに出て、プルトニウム利用の明るい未来を語ればいいだろう。その代わりに、班目(まだらめ・通称デタラメ...
班目(通称デタラメ)原子力安全委員会委員長が福島第一原発は崖っぷちの設計だったと述べた


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テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

福島第一原発から放出されたプルトニウム241を検出

独立行政法人・放射線医学総合研究所(放医研)の研究チームでは、福島第一原発事故で放出された放射性核種の分析研究も、継続的に行っている。
www.nirs.go.jp/index.shtml

世間一般では、事故直後は放射性ヨウ素、そして今は放射性セシウムに関心が集まっているが、放医研では不揮発性のウランの分析結果も学術誌で発表している。

共同通信の配信記事によると、放医研は福島県内の土壌から、原発事故由来のプルトニウム241を検出したそうだ。
www.47news.jp/47topics/e/226454.php
【放射線医学総合研究所(千葉市)は、東京電力福島第1原発から北西や南に20~32キロ離れた福島県内の3地点で、事故で放出されたとみられるプルトニウム241を初めて検出したと、8日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に発表した。

人体に影響のないレベルだが、プルトニウム241は他の同位体に比べて半減期が14年と比較的短く、崩壊してできるアメリシウム241は土壌を経由して主に豆類に取り込まれやすい。放医研は「内部被ばくを避けるためにも 原発20キロ圏内での分布状況を確かめる必要がある」としている。

同位体の比率から今回の事故が原因と分かった。
…】

Scientific Reports 電子版に掲載された英語論文は、無料でダウンロードできる。
プルトニウムの他の同位体、239、240との比を比較すると、長崎に投下されたプルトニウム型原爆や過去の核実験、そしてチェルノブイリ事故由来とも異なることからも、福島第一原発から放出されたと結論付けられている。
また、崩壊により生じるアメリシウム241が今後増加し、特にマメ科植物に蓄積されることが懸念されている。
www.nature.com/srep/2012/120308/srep00304/full/srep00304.html

朝日新聞の記事から、追加された情報を中心に引用しておこう。
www.asahi.com/national/update/0308/TKY201203080724.html
【…浪江町と飯舘村の落葉の層から1キロあたりそれぞれ34.8ベクレルと20.2ベクレル、Jヴィレッジの表土から1キロ当たり4.52ベクレルのプルトニウム241を検出した。プルトニウム241は、アルファ線やガンマ線を出すアメリシウム241(半減期432.7年)に変わる。

研究グループの田上恵子・放医研主任研究員は「大気圏内核実験が盛んに行われていた1963年当時の放射性降下物のデータから推定すると、今回のプルトニウム241の検出量は当時と同程度かそれ以下。特別な対策は必要ない」と話す。】

両方の記事では、気になる相違点がある。
論文では、アメリシウム241による内部被ばくを避けるために、さらに詳しい調査が必要だとしている。
しかし朝日新聞の取材に対して、共著者である田上主任研究員は、「特別な対策は必要ない」と矛盾している。
論文の主著者は、鄭建(ツン・ジェン)主任研究員なのに、研究グループ内で意見対立があるのだろうか。

今回は4か所しかサンプル採取ができなかったので、放射性セシウムと同様に、もっと濃度が高い場所、つまりホットスポットが見つかるかもしれない。
過去の大気圏核実験によるフォールアウト(降下物)よりも少ないとは言っても、22世紀になっても残る放射性核種であり、
放射性セシウムと同様に、その動向を追跡調査すべきだろう。

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テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

今季の南極海調査捕鯨も目標捕獲数未達成だが開始当初の頭数に戻っただけ

今季の南極海調査捕鯨は、22億円を超える補正予算まで投入したのに、シーシェパード(SSCS)の妨害行為を食い止めることができず、捕獲頭数はクロミンククジラ266頭、ナガスクジラ1頭で終了した。
前回は途中で切り上げているので、今回は最後まで粘ったのは予算をつぎ込んだ成果なのかもしれない。

AFP日本語記事では、水産庁の発表としてSSCSの妨害の他に悪天候も影響したとあるが、鹿野農林水産大臣の会見では悪天候を強調したいという印象を受けた。
SSCS対策費を何年も追加投入しているのに完全阻止できていないが、一定の効果があったと言うことで対策費の継続投入をもくろんでいるようだ。

AFP日本語記事は次の通り。
www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2863995/8616870
【水産庁は9日、…調査捕鯨船団が帰国の途についたと発表した。悪天候や反捕鯨団体の妨害などのため、捕獲できたクジラの数はミンククジラ266頭、ナガスクジラ1頭の計267頭…。

反捕鯨団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society、SSCS)」は今季も捕鯨シーズンを通じて、…妨害工作を続け、捕鯨船側は放水で応じた。水産庁では、こうした妨害が捕獲頭数の低下に大きく影響したとしている。】

鹿野大臣の記者会見(3月9日)は次の通りで、抜粋して掲載する。
www.maff.go.jp/j/press-conf/min/120309.html
【記者:…調査捕鯨なんですけれども、調査が終了したということですが、…目標頭数など、定めておると思いますが、その成果も踏まえて、振り返っていかがでしたでしょうか。

大臣:…目標頭数までいきませんでした。えぇ、まあ、そういう意味で、天候等はですね、非常に、まあ、不順であったということもございます。まあ、そういう意味で、今後ですね、いろいろと調査の状況につきましてですね、分析をしながら、今後、どうしていくかということも含めてですね、検討していきたいと、こう思っております。

記者:その妨害活動への対処という点ではいかがでしたでしょうか。

大臣:…今回は、安全の確保というものを、非常に重きをなしてですね、調査捕鯨に出発してもらったわけでありますけどね、そういう点では、関係の省庁の協力も得てですね、安全は確保されたと、こういうふうに、まあ、思っておりますが、さらに、これからもですね、当然、この、安全の確保と、船団の安全の確保というのは、大変重要な課題でありますので、今後の具体的な検討課題のひとつでもあると思っております。

記者:ただ、去年、170頭で、今年、まあ、260頭と、目標を大幅に、ずっと下回り続けているんですが、あの、まあ、シー・シェパードに対するですね、対策が、ちゃんと打ち出せない中で、「今後、続けていく必要があるのか」、「意義があるのか」っていうような声もあがってきそうなんですが。

大臣:えぇ、ですから、今、申し上げますとおりにですね、シー・シェパードの妨害活動等々、あるいは、まあ、天候がですね、非常に、恵まれなかったというようなこと等々、まあ、そういう中で、いわゆる、この調査というふうなものがですね、実質的に、どうであったのかというふうなことについての分析を、これからやっていかなきゃならんと思っております。

記者:まあ、去年は、中止に追い込まれたわけですけども、まあ、今回、その、まあ、目標下回ったとはいえ、期間は、まあ、最後まで、調査ができたということは、どういうところに要因があったということですか。

大臣:やはり、安全のですね、対策というふうなものについてですね、「関係省庁の協力を得る」、というふうなことは、ひとつの成果としてですね、あったんじゃないかと思っております。それから、もうひとつは、やはり、関係国に対してもですね、実効ある措置を、この、妨害活動は、もう、「我々としては、許されない」と、いうことで、妨害活動に対しての実効ある措置を講じてもらいたいというふうなことも、あらゆる機会を通して申し上げてきました。そういう意味では、そういう安全対策についてのですね、いわゆる取組というふうなものの成果は、あったと、こう思っております。しかし、今後、どうするかということは、また、具体的なかたちで、当然、検討していかなきゃならないことだと思っております。】

平成23年度第三次補正予算では、「鯨類捕獲調査安定化推進対策」の名目で、22億円強が投入されている。
www.jfa.maff.go.jp/j/budget/23_hosei/pdf/9-2.pdf

補正予算は東日本大震災の復興対策が名目なので、【反捕鯨団体の妨害活動に対する対策を強化することにより、今年度の南極海鯨類捕獲調査を安定的に実施し、これを通じて、石巻周辺地域の復旧・復興につなげます。】とわざわざ書いている。

ただ、SSCS対策に22億円も投入して調査捕鯨を継続するよりも、石巻周辺漁港に小規模でもよいから、製氷機や冷蔵・冷凍庫を備えた水産加工場を建てる方が先ではないだろうか。

ところで、今季の捕獲頭数は、調査捕鯨開始時の頭数に戻っただけだし、今は北西太平洋と沿岸での調査捕鯨も追加しているのだから、鯨肉消費量が増加していないのに無理に南極まで行かなくてもいいと思う。

850頭のクロミンククジラを捕獲しなければ生態調査ができないのであれば、この2年間の少ない頭数での結果と比較した、まともな学術論文を出してほしいものだ。

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テーマ : 環境問題
ジャンル : ニュース

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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