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フリーランス翻訳者としての取引先が1社増える予定

フリーランス翻訳者として取引先を獲得する方法は、トライアルを受ける以外にもいろいろとある。

翻訳者自身が情報を公開するサイトがあり、このときは化学専門の翻訳者を探していた外資系企業と直接契約できた。
英日翻訳のワード単価は、20円台前半であった。
CAT ツールのマッチ率により変動したが、入札案件の特許英日翻訳での7円よりも3倍以上と好条件だった。
ただし、約1年半後、その会社は買収されてしまい、私の取引も終了してしまった。

最近はツイッターなどの SNS 経由で取引が始まる場合もあるようだが、私はブログ経由で仕事を得たことがある。

ドイツ政府機関の原子力発電所関係の報告書について、概要をブログで紹介したところ、全訳してほしいという依頼が来た。
半年後をめどに英語版が出る予定だったが、内容を早く確認したいということで私が和訳した。
その後も原子力発電所関係の翻訳を何件か受注したのだが、東日本大震災の後に依頼は来なくなってしまった。

ドイツ語翻訳者は足りないためなのか、その後もブログのコメント欄に何度か連絡があった。
それがきっかけとなった1社は、副業翻訳時代も含めて今まで継続している。

医薬メーカー子会社の解散によって失業した後、専業翻訳者に移行できたのは、副業で経験を積んでいたからである。
元々、会社が今日消滅しても生きていけるように考えていた。
その時点で12年経過していて3社と取引していたので、退職金ゼロでも慌てることはなかった。

このような事例も、主流ではないが実際にあるので、翻訳者は積極的にネットで発信した方がよいと思う。

専業翻訳者となってからは、海外の翻訳会社1社と取引を開始した。
月に$100~500程度と少ないが、書籍代を稼ぐ程度の無理のない範囲で続けている。

今は翻訳会社で働いているので、個人事業主としての取引を積極的に増やそうとはしていない。
それでも先日、海外の翻訳会社から問い合わせがあったので、フリーランス翻訳者として登録することにした。

現時点では、その翻訳会社のアカウントをもらって、専用サイトで個人情報の登録をしているところだ。
当初は、翻訳料金として米ドルとユーロで提示したのだが、日本支社があるので日本円でもらえるようだ。

5月の連休中に受注できるだろうか。
英語以外の翻訳者は足りないので、可能な限り手伝いたいと思う。
そして70歳になっても続けられるようにしたいものだ。

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

COVID-19対策は朝令暮改で構わない

今回は科学者として、批判覚悟で私見を述べたい。
COVID-19対策は朝令暮改で構わないということだ。

対策や指示がコロコロ変わると、対応する方は混乱するし、どの情報を信じてよいのかわからなくなるかもしれない。
それでも、新事実が判明した時点で、一番可能性がある仮説に基づく対策に切り替えるという、対応力が求められる。

もし批判するならば、「以前はこう言っていたではないか」という矛盾点についてではなく、「新事実がわかったのに、まだ以前の知見に基づいた対策を続けるのか」という動きの鈍さについて、苦言を呈してほしいものだ。

自宅で待機・療養中に容体が急変する事例が増えるにつれて、「37.5度以上の発熱がおおむね4日以上」というPCR検査を受ける基準が間違っているという意見が増えているようだ。

そのような批判に対して、政府が任命した専門家の中には、「医師が必要と判断すればPCR検査を受けられるようになっている」、「絶対4日待てとは言っていない」などと、無責任だと言われそうな発言をする人もいる。

これは専門家側の発信の問題と同時に、受け手である一般の人々の側の理解の問題もある。
専門家は、自分が持っているデータの解釈について、一般の人々も同じレベルで理解すると勘違いして説明している。

一般の人々の側も、科学的知見は不変だと勘違いしているのか、前提となる状況が変わっているのに、「前と言っていることが違うじゃないか」などと不信感をあらわにする。

データに基づいた科学的議論をと言っても、科学は仮説を検証する作業なので、当初の仮説が現実のデータと合わないとわかったら、別の仮説を提示するのが当然のことだ。

そのため、初期の仮説をすでに捨てて、新しい知見に基づいた方針を発表しているのに、その違いをはっきり言わないため、あるいは、言わなくてもわかるだろうという姿勢のため、結局のところ、一般の人々に真意が伝わらない。

COVID-19 の症例報告が少ない時点では、従来の風邪症状と区別するには、仮説として、発熱日数の基準を設けることも考えられただろう。

ただし、発熱から2日くらいで一度平熱に戻った後、再び高熱となって悪化する症例がわかった時点で、最初の仮説を捨てて、発熱者はすべてPCR検査するという新たな方針に切り替えてもよかった。

その新しい方針に変えたならば、以前の指示はすべて破棄して、関係者の意識も完全に変えなければならなかった。
しかし、伝達方法が間違っていたのか、以前の指示が残ったままで、中途半端な対応が続いている。

政府が任命した専門家の話を直接聞いても、医学の専門教育を受けていない私たちには理解できないことも多い。
したがって、一般への説明が得意な研究者に広報も委ねるか、サイエンスコミュニケーターと呼ばれる人が間に入って説明した方がよい。

専門家が、「人との接触を8割削減」と言っていたのに、博士号を持っていない安倍首相は、深刻さを理解できなかったのか、それとも経済対策が気になったのか、あるいは、こうあってほしいという願望が邪魔したのか、「最低7割、極力8割」という自己流解釈をしてしまった。

大型連休を前にして「7割」を言わなくなったが、すでに「7割でもかまわない」と誤解した人々の行動を変えることは困難だ。

ドイツでは(また出羽守と言われそうだが)、物理で博士号を持つメルケル首相が、最新の科学的知見に基づいた対策をわかりやすく説明し、そしてキリスト者としての信仰から、人々の連帯を強めようとメッセージを出している。

ドイツでは、中国からの帰国者に気を付ければいいと思っていた段階から、最悪の事態を想定して準備していた。
大流行を抑え込むことはできなかったものの、検査体制と病床数が確保されていたこともあって、死亡率を低く抑えている。

準備していたからすぐに行動できたとも言えるが、状況が急変したときに外出禁止措置など大胆な対策を迷うことなく発動できる、その臨機応変な対応力が評価されている。

日本ではなぜか、最初に行った対策や仮説の維持にこだわり、状況が一変しているのにもかかわらず、その状況変化すらなかなか認めようとしないことが多い。
そして一貫性の方を重んじるのか、影響を受ける分野の反対を気にするのか、新たな対策を打ち出すことをためらってしまうようだ。

迷っている間に、状況は刻々と悪化を続けて、決断できなかったために被害がさらに拡大してしまう。
朝令暮改という批判を恐れずに、新しい事実がわかった時点で、全く逆の対策になったとしても、すぐに対応すべきだ。
やりすぎだと言われようが、死者が増えるなど縁起でもないと言われようが、最悪の事態に対処するためと言い張ればよい。

説明を聞く人々も、専門家が以前とは全く違うことを言い出したとしても、その矛盾点を批判するのではなく、状況が変わって仮説も新しくなったと理解して、情報を完全上書きして更新してほしい。

テーマ : 気になるニュース
ジャンル : ニュース

ドイツ語で「~をフォローする」  人3格 folgen は独和辞典に載るだろうか

新語が作られたり、既存の言葉に新たな用法が加わると、ある程度様子を見てから辞書に載ることになる。

そのため、例えば、ニュースに出てくる新語は、辞書にまだ載っていないことが多く、翻訳ではなくても、興味から読む場合でも、調査に時間がかかることがある。

英語だと、雑誌に「今月の時事英語」などの記事が掲載されることが多いので、常にチェックするようにしている。
ただ、ドイツ語では情報源が少なくなってしまうので、仕方なく英訳を探してから英語の情報源にあたることもある。

今回取り上げるのは、ソーシャルネットワークではおなじみのフォローするという動詞だ。

英語では follow(他動詞)で、英辞郎には14番目の語義として次のように説明されている。

14.〔ツイッターなどで投稿を〕フォローする◆他の人のツイート(つぶやき)を読むために登録すること

ドイツ語では、人3格 folgen(他動詞)で、ツイッターでフォローしているならば auf Twitter と、前置詞 auf を使う。

独和辞典にはまだ載っていないが、DUDEN には掲載されていた。

1e) in einem sozialen Netzwerk Nachrichten eines bestimmten Nutzers regelmäßig empfangen
ソーシャルネットワークで特定のユーザーの通知を定期的に受け取る
例:sie folgt ihm auf Twitter 彼女は彼を Twitter でフォローしている

フォローする相手は、人3格ということだが、最近は bot もあるので、物3格も可能だ。
例えば、オリオン座の赤色巨星ベテルギウスの Twitter アカウント @betelbot がある。

Süddeutsche Zeitung の記事から引用しよう。
www.sueddeutsche.de/wissen/beteigeuze-stern-betelgeuse-1.4887442

Zu den Errungenschaften der Moderne gehört, dass man auf sozialen Netzwerken nicht nur Menschen3 folgen kann, sondern auch Sternen3.
ソーシャルネットワークで人間だけではなく、星までもフォローできるのが、現代社会の偉業の1つである。

DUDEN に掲載されたのだから、これから改訂される独和辞典には載せてほしいものだ。

テーマ : ドイツ語
ジャンル : 学問・文化・芸術

特別給付金10万円は個人年金保険料に充当しよう

1人当たり10万円を配ることになり、テレビなどでは「休業補償ではなく、見舞金のようなもの」と説明している人もいた。

確認すると、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の特別給付金(仮称)ということなので、お金を循環させようという意図だろう。

私は確定申告をe-Taxで行っているので、マイナンバーカードを持っている。
マイナポータルで申請するということで、サイトを確認すると、次のような準備中の案内が出ていた。
myna.go.jp/SCK0101_01_001/SCK0101_01_001_InitDiscsys.form

マイナポータル 
連休明けと思われるが、申請できるようになったらすぐに手続きして、5月中にもらえるようにしたい。

しかし、高所得者には不要だとか、身分が保障された公務員は辞退しろなど、いろいろと騒ぐ人が出てきた。
それに対して、申請して寄付する、地元商店で使うなど、意義ある使い道について主張する人も多い。
まあ、人それぞれ、使いたいことに使えば、全国で平均化されるのではないだろうか。

私は何に使うかというと、5月に年払いする個人年金保険料約18万円に充当しようと思っている。
他にないのかと言われそうだが、直近で一番大きな支払いを優先したい。

差額の8万円は、ちょうど積立定期の残高と同じだから調達できる。
また、4月末で PayPal の残高が約$790になるので、これを日本円にして約8万円を確保してもよいだろう。

もし給付金が間に合わなければ、5月給与で払っておいて、10万円は6月の生活費ということにしよう。

いずれにしても、個人年金保険料の支払いのために、他の消費を節約する必要はないだろう。
そのため、いつも通りに食料品も書籍も購入するので、私が世の中に流すお金は変わらない。

この給付金で寄付をすることはなさそうだが、使わなくて済みそうな翻訳料金を、後日寄付に回すこともできる。
また、寄付以外にも、空気清浄機を買い替えたり、世の中にお金が流れるようにできる。
だから、私のように収入が減っていない人でも、10万円を受け取る意味はあるのではないか。

テーマ : マネー・貯金
ジャンル : ライフ

ドイツ語名詞の単数形・複数形: 古細菌 Archaeon / Archaeen

調べている途中のことだが、忘れないようにメモしておこう。

現在受け入れられている主流の生物の分類では、3つのドメインがある。
真核生物、細菌、そして古細菌だ。
ドイツ語では、真核生物-Eukaryota、細菌-Bakterien、古細菌-Archaeen

古細菌の Archaeen は複数形で、単数形は Archaeon となり、中性名詞。
一応、格変化を示しておこう。
単数複数
1格 das Archaeon die Archaeen
2格 des Archaeons der Archaeen
3格 dem Archaeon den Archaeen
4格 das Archaeon die Archaeen

カリフォルニア沖の海底から見つかった新種の古細菌の記事を読んだ。
エタンを代謝する新しい古細菌
 Ethanoperedens thermophilum の発見を報じた Max-Planck 研究所のプレスリリースは次のリンクから。
www.mpg.de/14666477/0409-mbio-064278-neue-erdgas-fresser-an-heissen-quellen-entdeckt

また、その発見に関する論文は次のリンクから。
mbio.asm.org/content/mbio/11/2/e00600-20.full.pdf

それで、何を調べようとしているかというと、プレスリリースに出てくる Archaee についてだ。
これは誤記なのか、それとも新たに使われるようになった単数形なのかどうかを、これからドイツ語ネイティブに質問しようと思っている。

プレスリリース中に次のように書かれている。

Die neu entdeckte Archaee bekam den Namen Ethanoperedens thermophilum, ..
新たに発見された古細菌には、Ethanoperedens thermophilum という名称が付けられ、…

動詞 bakam (bekommen の過去形)は、主語が単数形の場合の人称変化だ。
発見された古細菌は1種類なので、その意味からも、主語 die .. Archaee は単数形と考えられる。
単数形ということは、die Archaee は、女性名詞ということになってしまう。

die Archaee が複数形であれば、動詞の人称変化は bekamen になるはずだ。

他の箇所に出てくる Archaeen は、確かに複数形である。
関係代名詞も複数1格の die で、動詞も複数形での人称変化 abbauen になっている。

Archaeen, die das Erdgas abbauen, ..
天然ガスを異化する古細菌、…

このプレスリリースでは、単数形を die Archaee としているのだろうか。
-e で終わる女性名詞の複数形を作るとき、単数形の語尾に -n を付けることが多い。
そのため、その逆に、複数形の Archaeen から最後の -n を削除すれば、単数形 Archaee になるということか。

動詞の人称変化を間違えることは少ないと思うので、古細菌の単数形を Archaee とした可能性は高いだろう

ラテン語やギリシャ語といった古典語に由来する名詞では、このようにして名詞の性が揺れる、つまり、元々は中性名詞だったのに、女性名詞としても使われるようになるのかもしれない。

細菌も、複数形は Bakterien で、単数形には中性名詞の Bakterium と女性名詞の Bakterie の2種類ある。

-um、-ium で終わる中性名詞では、-um を取って -en を加えるという、面倒なルールだ。
だから、女性名詞の Bakterie / Bakterien の方が覚えやすい。
ただし、女性名詞の Bakterie は、普通は複数で使用すると小学館・独和大辞典第2版には書いてある。

細菌 Bakterie / Bakterien から類推して、古細菌 Archaee / Archaeen になったのかもしれない。

また、別のサイトでは、単数形 Archaeon と複数形 Archaeen の両方を使っている記事があった。
www.wissenschaft.de/umwelt-natur/unser-ur-urahn-war-ein-archaeon/

この記事では、もう1つの複数形 Archaea も使われている。

もう少し用例を集めてから、連休中にでも考えよう。

テーマ : ドイツ語
ジャンル : 学問・文化・芸術

ドイツでCOVID-19ワクチンの臨床試験開始

本日4月22日、ドイツのパウル・エールリッヒ研究所が、新型コロナウイルス (SARS-Cワクチンの臨床試験を許可したことを発表した。

研究所のプレスリリースは次のリンクから。
www.pei.de/DE/newsroom/pm/jahr/2020/08-erste-klinische-pruefung-sars-cov-2-impfstoff-in-deutschland.html(ドイツ語)
www.pei.de/EN/newsroom/press-releases/year/2020/08-first-clinical-trial-sars-cov-2-germany.html (英語)

アメリカのファイザー(Pfizer)と共同研究をしている BioNTech(バイオNテック)のプレスリリースは次のリンクから。
investors.biontech.de/de/news-releases/news-release-details/biontech-und-pfizer-geben-genehmigung-des-paul-ehrlich-instituts (ドイツ語)
investors.biontech.de/news-releases/news-release-details/biontech-and-pfizer-announce-regulatory-approval-german (英語)

審査のプロセスはわずか4日と迅速であった。

このワクチン開発プロジェクトの名称はLightspeed(光速)」であり、その名の通りに開発スピードも速かったが、臨床試験の許可決定も光速級だ。

フェーズ1の臨床試験では、ドイツで健康な成人200名(18~55歳)に、4種類のmRNAワクチン候補物質を、1μg~100μgで投与する。
その結果を確認してから、フェーズ2に進む予定だ。

ドイツでは別のベンチャーの CureVac(キュアバック)もmRNAワクチンの開発を進めている。
3月にワクチン候補の発見について発表しているので、今後の展開に期待したい。
www.curevac.com/news/curevac-focuses-on-the-development-of-mrna-based-coronavirus-vaccine-to-protect-people-worldwide

ドイツ政府は国際基金に、SARS-CoV-2 ワクチン開発のために1億4千万ユーロを追加拠出している。
日本政府も、不良品続出のアベノマスクよりも、ワクチン開発研究に追加拠出した方が有意義ではないか。
アビガン増産という話もあるが、一点突破に賭けるのではなく、あらゆる可能性を取り入れるべきだ。

もしかすると今年中に、mRNAワクチンの関連特許の翻訳案件が発生するかもしれない。
ドイツ語のプレスリリースを読んで、ワクチン関係の単語を調べて準備しておこう。

テーマ : コロナウイルス感染症
ジャンル : ニュース

ジェンダーにまつわる表現について(英語教育2020年5月号)

多文化共生社会では職場でも学校でも、あらゆる場面で多様性への対応が重要である。

日本では内閣府に男女共同参画局を設けて、様々な取り組みを進めているが、2019年のジェンダーギャップ指数が世界で121位で、下から数えた方が早いという残念な現状である。

ここで海外の先進国に学ぼうという主張をするとき、「北欧では」とか、「ドイツでは」という例示をするためか、「出羽守」と揶揄されることも多い。

それでも、ダイバーシティ・インクルージョンという考え方を取り入れて、社会意識の変革を進める方が日本の将来のためになるならば、「出羽守」と冷やかされても主張を続けたい。

今回参考にしたのは、英語教育2020年5月号の連載記事多文化共生時代に学ぶ英語 第2回だ。
タイトルは、ダイバーシティ・マネジメントの課題 -ジェンダーにまつわる表現を例に

ジェンダーの言語問題として、現代英語では、両方の性にかかわることがらを、一方の性を表す言葉で代表してはならないとしている。

化学関係の国際会議に参加したとき、プログラムには chairman ではなく chairperson と書いてあった。
また、everyoneeverbody を受ける代名詞では he or she を使っていたが、最近は they が使われるようになった。
ただ、記事中にはなかったが、第三の性で they を使うようになったので、今後も工夫は続くだろう。

有名な言葉として、All men are created equal. が例示されている。
これも、男性を意識させる men ではなく、all men and women / all people / we / all of us が推奨されている。

英語の包括的な言い方として、排他的な言い方をしない、そして、平等ではない言い方をしない、が挙げられている。

排他的な言い方とは、例えば、Employees are welcome to bring their wives and children. では、男性従業員に宛てたとしか思われない。

また、同列ではない、平等ではない言い方とは、例えば、a female doctor など、わざわざ「女性」であることを書く表現だ。

日本語でも、最近は「きょうだい」と平仮名書きにして、男女両方を含むように工夫するようになった。
新約聖書でも、新しい聖書協会共同訳では、以前の「兄弟たち」という呼びかけを「きょうだいたち」に変えた。
ドイツ語聖書のように、「兄弟姉妹たち」にすることも可能だが、「きょうだいたち」の方がより平等な言い方だろう。

ところで、翻訳者は常日頃、外国の情報や文化に触れているのだから、ジェンダーの言語問題はクリアしているだろうか。
これまでの経験や先入観もあって、女性差別をしているつもりはなくても、「目に見えない侵害」をしているかもしれない。

私の反省も含めて、以下に例示したい。

ある特許翻訳のセミナーで高齢のベテラン講師が、「女性は電気や物理が苦手だから、特許の内容理解に苦労する人が多い」と発言した。

まあ確かに、大学の理系学部で男女比を見ると、生物系や薬学系で女性の割合が多くなる場合もあるが、圧倒的に男性が多い。
さらに、ノーベル賞受賞者を自然科学3賞で見ると、ほとんど男性研究者だ。

そのような現実はあるし、文系学部を卒業した女性が翻訳者になる割合は多いだろうから、そのベテラン講師の発言は一般的なものかもしれない。

しかし、多文化共生時代を実現するために活躍するはずの翻訳者が、あえて「男性」翻訳者と強調したいが、ジェンダー偏向の意識を変えるように努力しなければならないだろう。

確かに、社会の意識が変わらなければ、使う言葉も変わらないので、翻訳者が頑張ったところで無意味かもしれない。
それでも、聖書の「きょうだいたち」のように、翻訳で示すことで、それを読む人たちに影響を及ぼすことはできるのではないか。

もう1つ例示したいのは、自称1000万円翻訳者の浅野正憲がブログでよく書いている、「在宅翻訳は女性におすすめ」という表現だ。
4月21日の記事「英語を使う職業ピックアップ!女性に人気の職業も公開!」から、一部を引用しよう。

ジェンダー表現 

さすが、ジェンダーギャップ指数が121位の日本社会だ。
女性が子育てをして、外で働けないから在宅でできることを探そう、というジェンダー偏向表現が堂々と掲載されている。
これは、浅野正憲が運営する翻訳講座の公式ブログなのだから、個人的感想では片づけられない。

しかも、運営者情報をクリックすると、Trans Innovation という翻訳会社(ダミー?)のサイトに誘導されるのだから、このようなジェンダー偏向の表現を会社として認めていることになる。

この記事には、「翻訳者とは、異なる言語の文章を他の言語におきかえる仕事です。」とも書いている。
単に置き換えるだけならば、機械翻訳を使えばよい。

人間の翻訳者に求められているのは、翻訳対象の言語を使っている社会の文化的背景も理解して、その表現を尊重しながら、別の言語でふさわしい表現を見つけることだ。

無意識にジェンダー偏向表現を使ってしまう自称翻訳者は、多文化共生社会で生き残れるだろうか。

他の翻訳者の SNS などを見ても、翻訳者を目指す女性を罵倒する投稿もある。
本音を言って、ストレス発散なのかもしれないが、多文化共生社会では信頼されなくなるだろう。

テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

原文誤記を修正する能力を高めて機械翻訳に対抗しよう

機械翻訳(MT)とその後処理であるポストエディット(PE)を用いて、特許翻訳を行うようになってきた。
様々な問題点が指摘されているものの、特徴を理解してうまく利用すれば、業務の効率化が期待できそうだ。

MTがさらに発展して、人間翻訳者がPEをするようになっても、単なる後処理ではなく、原文誤記の指摘と修正提案の能力が同様に期待されることになるだろう。

MTでは元々、文章の意味を理解しないため、原文誤記という判断もできない。
単純なスペルミスだと、類似の単語を推測しているのか、正しいスペルの単語に修正した訳文出力になることもある。
ただ、存在しない単語の場合、原文ママで出力されたり、カタカナ表記になったり、無理やり作った訳文出力になることが多い。

私の勤務先では、登録フリーランス翻訳者にもPEを行ってもらい、さらに社内でチェックして、納品できる品質にしている。
自分でも反省しているが、MTのミスを見逃していることがあるので、別の人がPE結果をチェックすべきだ。

ということで、MTを導入してもチェックの手間は変わらないので、作業時間の短縮は10%~20%程度なのだ。

今回のバイオ系特許英和翻訳のチェックでも、PEを依頼したフリーランス翻訳者は、ほとんどの専門用語の調査はできていたが、不明点について原文誤記という判断ができていなかった。

その原文誤記とは、具体的には、遺伝子を導入するベクターの説明に出てきた min-circle だ。
結論から言えば、正しくは mini-circle で、日本語ではカタカナ表記のミニサークル

実は、私はこの専門用語を知らなかった。
有機化学の研究で博士号を持ち、ドイツ留学をしていても、バイオ系の情報をすべて把握しているわけではない。
それでもこれまでの翻訳の経験もあって、正しい訳語にたどり着くことができた。

MTの和訳出力結果では、最小円になっていた。
MTは文脈を理解しないので、「最小円」がバイオ系特許としては不適切な和訳であるとは判断しないし、無理やり和訳を作って取り繕ってしまうのだ。

PEを行った翻訳者は、「最小円はおかしい」と気付いたのだが、「調査したが訳も語義も見つからなかった」とコメントし、原文ママでmin-circleを和訳に入れていた。

定訳が存在しない新概念ならば、カタカナ表記にすることも考えるが、語義も不明では納品できないので再調査した。
また、誤記の場合でも、単純なスペルミスならば修正してよいとクライアントから言われているので、正しいスペルを確定する必要がある。

「min-circle」で検索しても、プラスミドやベクターに関係する文書はヒットしない。

そこで、原文誤記なのだろうと予想して、min を外してベクター プラスミド サークルで検索した。
すると、研究用試薬商社のサイトがヒットし、ミニサークル作製用製品 Minicircle DNA Systemの情報が得られた。
www.funakoshi.co.jp/contents/4900

確認すると、minicircle の説明が掲載されており、今回のバイオ系特許の内容に合致する。

さらに、科研費の研究成果報告書と原生動物学雑誌の論文で確認した。
kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-25660001/25660001seika.pdf(mini-circle、科研費報告書)
protistology.jp/journal/jjp43/02Kitada.pdf(minicircle、原生動物学雑誌)

そこで、クライアントへの翻訳メモには、原文誤記を指摘して、正しいスペルから和訳をミニサークルに修正した。

納期ギリギリまで努力したと思うが、調査しても不明というときには、原文誤記であると判断して、調査のやり方を工夫してほしい。

MTは原文誤記であっても無理やり和訳するし、不明点を解決しようと調査することもない。
だから人間翻訳者がPEをしなければ、納品できるようなレベルにはならないのだ。

そして、語学能力だけではなく、検索も含めた調査能力を高めることが、仕事を任せられる翻訳者となるために必要だ。
私も完璧ではないので、日々努力しようと思う。


私は英日/独日翻訳者として登録している。ドイツ語の案件に取り組んでいるときには、英日翻訳の案件が来ても同時にはできないので、代わりに外注のフリーランス翻訳者が和訳したものをチェックしている。このチェックでの経験について、具体的な特許を示すことはできないのだが、一部改変してメモしておきたい。そのフリーランス翻訳者は、ある化合物名について、「化学物質のデータベースなどで検索したが見つからなかった」とい...
検索しても見つかりませんでした ⇒ 原文誤記です

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機械翻訳のポストエディットは単なる編集作業ではない

自称1000万円翻訳者の浅野正憲は、在宅翻訳を勧めるブログの過去記事に、自身の誤訳を堂々と掲載したままにしている。

誰が見ても誤訳というか、なんとなく翻訳をしているのだが、修正も削除もしないということは、本人は自分の訳文が正しいと思い込んでいるのだろう。
これまでの経歴や翻訳者を目指した経緯については断片的な情報しかないが、自分の能力を客観的に分析できていないようだ。

ただ、訳文をゼロから構築することができないことに気づき始めたのか、最近は機械翻訳(MT)の出力の手直し、つまりポストエディット(PE)も講座受講生に教えているという。

しかし、ポストエディターの資格に相当しないレベルの者が教えているので、使えない中途半端な人材を増殖させているだけだ。

トラックバックした記事に引用したように、3月18日に掲載された記事では、初めての案件でMTPEをすることになった受講生が、Trados の設定で困って助けを求めているメールを紹介している。

そのメールのスクリーンショットについて、下に再度掲載しておこう。
セキュリティに関しても、ポストエディターとしての教育をまともに受けていないことが明らかだ。


翻訳の学校PE2 

このような恥ずかしい事態を公表して、自身の翻訳講座の宣伝になっていると思っているのだろうか。

反省することもなく、以下の Twitter などで批判されているように、PEが翻訳よりも楽な作業だと嘘をついて、受講生をさらに獲得しようとしている

翻訳者とポストエディターの能力について、批判はあるが、ISO規格が定められている。
例えば、言語処理学会での次の発表を参考にしてほしい。

www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2017/pdf_dir/D7-1.pdf

これに加えて、例えば、雑誌の通訳翻訳ジャーナルではこれまでに何度もMTに関する記事も掲載してきた。
本当に翻訳者を目指すなら、バックナンバーを入手して、多様な情報源を参考にしてほしい。

来月5月21日発売予定の2020年夏号の特集は、どうなる? どうする? 機械翻訳2020だ。
この特集のために、私の勤務先もアンケートに協力しているし、掲載されるかどうかは不明だが、ドイツ語について私も回答している。

実際にMTを使ってPEをしている翻訳会社・翻訳者がアンケートに回答しているので、この特集を読めば、浅野正憲の言っていることが嘘だとわかるだろう。

また、発売したばかりの新版 特許翻訳完全ガイドブックでもMTを取り上げている。
特許が苦手な浅野正憲の講座では紹介しないだろうが、PEが単なる編集作業ではないことを理解できるはずだ。

PEをするには、語学能力の習得だけではなく、MTの癖も学ばないといけない。
人間が犯さない変なミスばかりではなく、人間と同じ種類のミスも出力するから、うっかりすると気づかない。
MTのミスをすべて修正するには、ゼロから訳文を創り上げる能力が必要だ

そのため、翻訳対象分野の専門知識に加えて、翻訳者としての経験が最低でも2年、できれば5年は必要だ。
そして、人間翻訳(HT)のチェックをした経験も必須ではないかと思う。

これはMTの利用を促進したい側の責任でもあるが、MTによって翻訳作業が楽になるという誤解が広まってしまった。
普及のためには少々大げさな宣伝文句で注目を集めたかったのかもしれなが、PEができるようになるには、まずは従来の翻訳を学ぶ必要がある。

MTの使い方を熟知していれば、翻訳作業にうまく取り込めるだろうが、初心者はMT出力を信じてしまうリスクがあるので使ってはならない。

私もあるセミナーで質問を受けて、「翻訳の練習のためにMTを使ってはならない。MTのミスを指摘できるレベルまで勉強してから使うべき」と回答したことがある。

昨年11月のAAMTでも、ヨーロッパの事例紹介で、PEをやりたがる翻訳者は少ないという話が出た。
日本でもPEは不人気で、翻訳者の募集よりも困難である。

従来のHTに比べて、例えば、化学の特許ならば、長い化合物名や測定データのタイピングから解放される利点はあるものの、文脈と無関係の訳文を見て思考が止まったり、どこまで修正するかで迷ったり、意外とストレスが溜まる作業だ。

苦労する割には、翻訳料金の値下げをしようとするクライアントもいるそうなので、PEは人気がない。
しかも、能力が高い翻訳者でなければできない仕事なのに、優秀な人材ほどPEを望んでいない。

ということで、ポストエディターを確保できない翻訳会社が多いため、初心者をだまして人数を集めて売り込もうということなのか。
人数だけ集めても、まともな仕事ができずに多大な損害が出て、賠償することになるだろう。

文部科学省では、「英語が使える日本人の育成」と言っていたことがあったが、翻訳者の養成などの具体的なことは、業界に丸投げされている。
ヨーロッパのように大学で翻訳の学位を与えるようにしないと、人材育成が進まず、今後の翻訳需要に対応できないだろう。

近い将来、翻訳者もポストエディターも、日本語ネイティブでは人材が確保できなくなり、外国で日本語がわかる翻訳者を集めることになるかもしれない。


自称1000万円翻訳者の浅野正憲が運営する「翻訳の学校」は、テレビ番組でも宣伝するなど、関係者のストレスを高めるばかりだ。宣伝用のブログでも、連日、様々な投稿や報告が掲載されている。そして今日、3月18日の投稿では、初めて仕事を獲得したという受講者のメッセージが公開されていた。しかし、よく読むと、初めての受注案件で勝手がわからず、困惑している様子だ。そのメッセージ部分のスクリーンショットを下に示す...
初めての翻訳案件で機械翻訳のポストエディットは危険だ


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【科学ドイツ語】 II 動詞 4-4  規則変化動詞4 passen(三基本形+現在人称変化)

【科学ドイツ語】 II 動詞 4-4  規則変化動詞4 passen(三基本形+現在人称変化)

II-4-4 規則変化動詞(弱変化動詞)の三基本形と現在人称変化 その4 passen(適合する)


規則変化動詞 passen の三基本形は、passen - passte / paßte - gepasst / gepaßt

最新の正書法では -ss- とするが、旧正書法の -ß- と書いている文献も見られる。
例えば、三修社・アクセス独和辞典第3版は -ss-、小学館・独和大辞典第2版は -ß-
旧正書法で書かれた過去の文献を読むときには注意したい。

語幹が短母音-ss で終わる動詞の現在人称変化では、du -t の省略形になる(-st-t)。
小学館・独和大辞典第2版の動詞変化番号表では⦅03⦆。

⦅02⦆の動詞と同様に古くは du -est が用いられ、現代でも詩などで見られる。

passen 適合する
hassen 憎む
küssen キスをする

代表例として、passen の直接法現在人称変化を下の表に示す。

passen 自動詞 適合する
 ich passe
 du passt / (旧) paßt
 man passt / (旧) paßt
 wir passen
 ihr passt / (旧) paßt
 sie passen

例文II-4-4a ():

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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