機械翻訳のポストエディットは楽な作業ではない
化学の専門書もあったので合計金額は約3万4千円と月予算を超えてしまった。
来月は海外翻訳会社から多めに入金予定なので買いすぎたかもしれない。
辞書や専門書を買うために海外取引をしているようなものだ。
翻訳関連では、4月20日発売の「新版 産業翻訳パーフェクトガイド」を購入した。
出版社のリンクは次の通り。
tsuhon.jp/book/10113
税込み2千円未満でこれだけの情報が得られるのだから、怪しい翻訳講座に入会する前に読んでほしいものだ。
それで最初に読んだのは、いつものことだが機械翻訳に関する Part 5 だ。
その中でも146ページからの「ここまで来ている! 翻訳会社×MTPE」での囲み記事「翻訳者とMTPEへの理解」が気になった。
その一部を引用しよう。
「『Google翻訳を使えば、翻訳者になれる』という浅はかな思いと、翻訳ビジネスへの無理解、社会人としてのモラルの低下が根深いと感じています。(中略)ポストエディットという名称自体が『ちょっとした手直し』のイメージを与えてしまっていると危惧しています。」
翻訳すべき分量が増えているのに、翻訳者の人数は急には増やせないのだから、業務改善の手段の一つとして、ある程度の割合を機械翻訳で処理することは合理的だろう。
機械翻訳の出力をそのまま使うことは無理なので、最終的には人間翻訳者がポストエディット作業をして完成品を納品するのは当然のことだ。
ただ、人間ではあり得ないエラーが含まれているので、ポストエディット作業は意外とストレスがかかる作業だ。
タイピング時間が削減されても、エラーの修正に時間がかかるので、作業時間の短縮は10%~20%と期待したほど削減されない。
それなのに、ポストエディットは人手翻訳より楽な作業だろうという誤解が広まっているためなのか、料金を30%以上減額しようとするクライアントもいるようだ。
作業効率が上がって納期が短縮されるのならば、その時間分の料金を下げようという理屈はあるのだろう。
ただ本来は、最終的に納品した翻訳の品質に対して報酬を支払うべきだと思う。
しかし現状ではコストダウンが主目的なので、ワード数から単純計算しており、モチベーションが下がる原因の一つかもしれない。
ポストエディットは楽な作業ではないし、最終的に納品する翻訳の品質は人手翻訳と同等でなければならない。
ただ、訳文をゼロから作るわけではなので、ポストエディットは翻訳ではないと言う翻訳者もいた。
そのような発言も影響したのか、ポストエディットをレベルが低い作業と感じている人もいるという。
私は元々理系研究者ということなのか、新しい技術を導入することに興味があるので、機械翻訳+MTPEも検証しながらできるだけ取り入れようと思っている。
検証期限を3年と決めて、もし使えないと分かれば、従来の人手翻訳に戻ればいいと思う。
新技術導入の目的は、品質を維持したまま業務改善をすることだ。
それが一貫していれば、ポストエディットを楽な作業だとか、コストダウンの口実にするという発想は生まれないと思う。
まあ、全員が同じ考え方になることもあり得ないので、様々な問題を生みながら、玉石混交の業界となってしまうのだろうか。
70歳まで続けたいと思っているのだが、その頃にはどうなっていることだろうか。
自称1000万円翻訳者の浅野正憲は、在宅翻訳を勧めるブログの過去記事に、自身の誤訳を堂々と掲載したままにしている。誰が見ても誤訳というか、なんとなく翻訳をしているのだが、修正も削除もしないということは、本人は自分の訳文が正しいと思い込んでいるのだろう。これまでの経歴や翻訳者を目指した経緯については断片的な情報しかないが、自分の能力を客観的に分析できていないようだ。ただ、訳文をゼロから構築することが...
機械翻訳のポストエディットは単なる編集作業ではない
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