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ドイツ語論文の実験の部 (2) 冠飾句と関係代名詞

今回はノーベル化学賞受賞者である Hans Meerwein の論文 Chem. Ber., 1957, 90, 841 の実験の部より、以前の文法項目で取り上げた冠飾句と、ついでに出てきた関係代名詞の例を記載する。

赤で冠飾句の部分を、青で関係代名詞とその先行詞、および関係文の動詞を示した。
もう一つ、助動詞 lassen については茶色で示した。

4-Brom-benzolsulfochlorid:
Eine
aus 43 g (0.25 Mol) 4-Brom-anilin, 85 ccm 36-proz. Salzsäure und 19 g (0.275 Mol) Natriumnitrit in 30 ccm Wasser bereitete Lösung von 4-Brom-benzol-diazoniumchlorid, die 9.5% freie Salzsäure enthält, läßt man in 200 ccm einer 30-proz. Lösung von Schwefeldioxyd in Eisessig, die mit einer konz. wäßrigen Lösung von 10 g Kupfer(II)-chlorid-dihydrat versetzt ist, einfließen.

(訳例)
4-ブロモベンゼンスルホクロリド:
4-ブロモアニリン 43 g (0.25 mol)、36% 塩酸 85 cm3、および水 30 cm3 中の亜硝酸ナトリウム 19 g (0.275 mol) から調製した 4-ブロモベンゼンジアゾニウムクロリドの溶液を、これは 9.5% の遊離塩酸を含むが、塩化銅(II)ニ水和物 10 g の濃水溶液と混合してある二酸化硫黄の 30% 氷酢酸溶液 200 cm3 に注ぎ込む。


赤で示した冠飾句は、"eine Lösung" の不定冠詞と名詞の間に入って修飾している。
複数の単語から構成される形容詞と思えばいい。
冠詞のすぐ後ろに名詞がなくても、あわてずに冠飾句部分を括弧でくくればわかりやすくなる。

冠飾句は、関係節を使って "Eine Lösung, die aus ... bereitet wird (または ist)." と書き換えることもできる。

ここでは "eine Lösung" を修飾する関係節が別にあるので、冠飾句を用いることで、2種類の別々の情報を同時に 「溶液」 の説明に盛り込むことができる。

動詞 "bereiten" が過去分詞 "bereitet" になっているので受動的意味で、
語尾は形容詞変 化と同じで、ここでは混合変化だから、女性単数4格名詞を修飾する "bereitete" になる。


関係文は副文なのでコンマで区切り、定動詞は最後に配置されるから、関係代名詞と動詞で挟んだ、いわゆる 「枠構造」 を見つければわかりやすい。

どちらの例も、先行詞 "Lösung" は女性単数、そして関係文内で主語となるから1格の "die" を使う。

ちなみに一番最初の先行詞 "Eine Lösung" は4格、次の先行詞 "einer Lösung" は3格。
そして、この文の形式上の主語は "man"。

2番目の関係文は "sein" を使った状態受動で、"versetzt ist" は 「○○されてある」。
ジアゾニウム塩溶液を調製する前 に、氷酢酸溶液をあらかじめ準備してあることが想像される。


助動詞としての lassen は zu なし不定詞と結んで、ここでは使役というよりも、容認・放置の 「○○させておく」 という意味でいいだろう。

この文では主語の "man" を訳出しないし、「氷酢酸溶液に流れ込むようにさせておく」 も変なので、「氷酢酸溶液に注ぎ込む」 とした。

この文の定動詞 "einfließen" は自動詞なので、先に4格とした "Eine ... Lösung" は、"lassen" の目的語とされ、意味上の主語でもある。

「注ぐ」 の他動詞は "gießen" や "schütten"、「流し込む」 なら "eingießen" を普通使う。
例えば、"Man gießt ..." や、"○ wird ... gegossen" とする。
こ の論文の別の化合物の合成法では、"gießen" を使っていた。

自動詞のときは "einfließen lassen" として、主語に man を用いて、同様の意味にするのだ。

(最終チェック・修正日 2006年08月29日)

テーマ : ドイツ語
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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