エジプト人女性殺害事件でドイツで研究する外国人は減るだろうか
私がドイツに留学した10年前にも、確かに外国人嫌いの雰囲気を感じることは、たまにあった。
(日本も似たようなものだが)
入国時に私は日本人だからなのかすぐに通してもらえたが、別の列の中東からの便で到着した人たちは、 パスポートの写真と本人の顔とを、5回以上も見比べながら、やっと通してもらえていた。
日本は第二次大戦での同じ敗戦国だし、日本に戻って仕事をするだろうと思われていたためか、 他のアジア人、中国人、韓国人、ベトナム人に対してよりも、一般的には親切な扱いを受けたと思う。
それでも、「日本人は金持ち」 という誤解には困ったこともあったが。
(日本も似たようなものだが)
入国時に私は日本人だからなのかすぐに通してもらえたが、別の列の中東からの便で到着した人たちは、 パスポートの写真と本人の顔とを、5回以上も見比べながら、やっと通してもらえていた。
日本は第二次大戦での同じ敗戦国だし、日本に戻って仕事をするだろうと思われていたためか、 他のアジア人、中国人、韓国人、ベトナム人に対してよりも、一般的には親切な扱いを受けたと思う。
それでも、「日本人は金持ち」 という誤解には困ったこともあったが。
まあ、大学の街では、元々外国人も多いので、ドイツ人の方も慣れていたのかもしれない。
ただし、特にイスラム系の人たちは、郊外の集合住宅にまとまって住んでいて、中心街では見かけなかった。
それに加えてニュースでは、ベルリンで中国人留学生が襲われただとか、ある大学研究室でも、 中国人ポスドクのお茶に毒が入っていたという事件もあり、暗い気持ちになったことがある。
その中国人ポスドクは、土日も実験して成果を出していたので、同僚のドイツ人から妬まれたそうだ。
ドイツ人やキリスト教の習慣を乱す者を許さない、という意識もあるようだ。
その後の世界情勢の変化もあって、ドイツでも特に旧東ドイツ地域で、外国人排斥運動が盛んになっている。
そんななかでドレスデンでは、裁判所内で原告のエジプト人女性が、被告のドイツ人男性に刺殺された。
共同通信の配信記事は次の通り。
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009071301000139.html
【ドイツ東部ドレスデンでスカーフをかぶったイスラム教徒のエジプト人女性が刺殺される事件があり、 エジプト国内外で「イスラム差別が背景にある」と反発を呼んでいる。
薬剤師マルワ・シェルビニさん(31)はスカーフを理由に「テロリスト」などと侮辱されたとして、 隣人でロシア生まれのドイツ人の男(28)を提訴。その審理が行われていた法廷で1日、この男に突然刺殺された。妊娠3カ月だった。】
ドイツの報道として Die ZEIT を見ると、被害者が薬剤師ということもあり、 エジプトではドイツ製医薬品のボイコットをすると言っているようだ。
http://www.zeit.de/online/2009/28/islamophobie-ist-kein-phantom
そしてこの事件も含めて、特に旧東ドイツ地域に住む外国人研究者の安全が脅かされているという。
http://www.zeit.de/2009/30/Kommentar-Dresden-Attentat
今回の被害者の夫は、細胞生物学の研究で博士号を取るため、家族を連れてドイツに来ていたそうだ。
これが初めての事件ではなく、ハレでは韓国人研究者が市電内で暴行された。
またエチオピア人研究者は、市内でスキンヘッドの男にひじ打ちされた。
マックスプランク研究所では、研究者の半分が外国人だが、この事件の後では、 優秀な外国人研究者が、ドレスデンやライプチヒでは研究したくないと断っているそうだ。
そこで研究所では、外国人研究者の住居探しを手伝い、安全な地域に住めるようにしている。
また、郊外の研究施設まで安全に通勤できるようにと、タクシー券を配っているところまである。
優秀な外国人研究者を呼ばなければ、ドイツの大学・研究所のレベルは維持できないのは確かだ。
そのためにアジア、アフリカ、ラテンアメリカまでスカウトに行っている。
2年間暮らしたドイツが、多様性を受け入れる社会であってほしい。
ところで日本はどうだろうか。
外国人研究者にとって暮らしやすい国なのか、これからも考えていきたい。
追記(7月21日):
7月20日にドイツの市民団体 Volkssolidarit?t が、旧東ドイツ人へのアンケート調査結果を発表した。
ドイツ再統一から20年経ち、民主主義は評価しているものの、現状には不満を持っている。
http://www.volkssolidaritaet.de/cms/Themen_und_Menschen-p-1425/Studie_20_Jahre_seit_1989-p-14474.html
この発表を受けた新聞記事では、「旧東ドイツ人の41%が外国人嫌い」 と書いている。
http://www.sueddeutsche.de/politik/743/481216/text/
また失業率が高いためか、ドイツ連邦軍の海外派遣部隊では、旧東ドイツ出身者が過半数だ。
http://www.sueddeutsche.de/politik/811/481284/text/
(最終チェック・修正日 2009年07月21日)
ただし、特にイスラム系の人たちは、郊外の集合住宅にまとまって住んでいて、中心街では見かけなかった。
それに加えてニュースでは、ベルリンで中国人留学生が襲われただとか、ある大学研究室でも、 中国人ポスドクのお茶に毒が入っていたという事件もあり、暗い気持ちになったことがある。
その中国人ポスドクは、土日も実験して成果を出していたので、同僚のドイツ人から妬まれたそうだ。
ドイツ人やキリスト教の習慣を乱す者を許さない、という意識もあるようだ。
その後の世界情勢の変化もあって、ドイツでも特に旧東ドイツ地域で、外国人排斥運動が盛んになっている。
そんななかでドレスデンでは、裁判所内で原告のエジプト人女性が、被告のドイツ人男性に刺殺された。
共同通信の配信記事は次の通り。
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009071301000139.html
【ドイツ東部ドレスデンでスカーフをかぶったイスラム教徒のエジプト人女性が刺殺される事件があり、 エジプト国内外で「イスラム差別が背景にある」と反発を呼んでいる。
薬剤師マルワ・シェルビニさん(31)はスカーフを理由に「テロリスト」などと侮辱されたとして、 隣人でロシア生まれのドイツ人の男(28)を提訴。その審理が行われていた法廷で1日、この男に突然刺殺された。妊娠3カ月だった。】
ドイツの報道として Die ZEIT を見ると、被害者が薬剤師ということもあり、 エジプトではドイツ製医薬品のボイコットをすると言っているようだ。
http://www.zeit.de/online/2009/28/islamophobie-ist-kein-phantom
そしてこの事件も含めて、特に旧東ドイツ地域に住む外国人研究者の安全が脅かされているという。
http://www.zeit.de/2009/30/Kommentar-Dresden-Attentat
今回の被害者の夫は、細胞生物学の研究で博士号を取るため、家族を連れてドイツに来ていたそうだ。
これが初めての事件ではなく、ハレでは韓国人研究者が市電内で暴行された。
またエチオピア人研究者は、市内でスキンヘッドの男にひじ打ちされた。
マックスプランク研究所では、研究者の半分が外国人だが、この事件の後では、 優秀な外国人研究者が、ドレスデンやライプチヒでは研究したくないと断っているそうだ。
そこで研究所では、外国人研究者の住居探しを手伝い、安全な地域に住めるようにしている。
また、郊外の研究施設まで安全に通勤できるようにと、タクシー券を配っているところまである。
優秀な外国人研究者を呼ばなければ、ドイツの大学・研究所のレベルは維持できないのは確かだ。
そのためにアジア、アフリカ、ラテンアメリカまでスカウトに行っている。
2年間暮らしたドイツが、多様性を受け入れる社会であってほしい。
ところで日本はどうだろうか。
外国人研究者にとって暮らしやすい国なのか、これからも考えていきたい。
追記(7月21日):
7月20日にドイツの市民団体 Volkssolidarit?t が、旧東ドイツ人へのアンケート調査結果を発表した。
ドイツ再統一から20年経ち、民主主義は評価しているものの、現状には不満を持っている。
http://www.volkssolidaritaet.de/cms/Themen_und_Menschen-p-1425/Studie_20_Jahre_seit_1989-p-14474.html
この発表を受けた新聞記事では、「旧東ドイツ人の41%が外国人嫌い」 と書いている。
http://www.sueddeutsche.de/politik/743/481216/text/
また失業率が高いためか、ドイツ連邦軍の海外派遣部隊では、旧東ドイツ出身者が過半数だ。
http://www.sueddeutsche.de/politik/811/481284/text/
(最終チェック・修正日 2009年07月21日)