FC2ブログ

「漢字三昧」(阿辻哲次著、光文社新書)

最近までずっと本棚に置いてあった、5年前に買った新書を読んだ。
阿辻哲次著、「漢字三昧」(光文社新書)である。

著者は京都大学教授で、漢字に関する著作も多く、漢字能力検定にも関わっている。
この新書は、読みやすい漢字コラムという印象がした。

章立ては次の通り。

第一章 知っててエラいか? 難字・奇字

第二章 誰知るや、漢字の総数
第三章 『中華字海』 - 八万五千五百六十八字の“海”を泳ぐ
第四章 漢字が生まれるメカニズム
第五章 部首法、痛し痒し
第六章 異体字 - 混乱の“張本人”


私は小学3年から書道を習い、中国切手も集め、中学3年から漢文を独学し、
高校2年と3年では中国語も独学したので、漢字は好きな方だ。

翻訳をするようになってからは、日本語表現で必須の漢字の使い分けについて、より気にするようになった。

加えて、漢字仮名混じり文では漢字の割合をどうするのか、常用漢字外はどう扱うのかも気になっている。

第一章の話題に関係するが、テレビの漢字クイズ・雑学クイズで、難読漢字が出てくると反発してしまう。

どうも日本では、日常使うことのない漢字を知っていることが、知性のバロメーターになったようだ。

数学の定理を忘れても日常生活では困らないだろうが、漢字が読めないと無学者の烙印を押されてしまう。


何でも知っている 「生き字引」 も個性の一つだろうが、私は研究者タイプなので、

既存の知識を暗記する暇があったら、新しい現象を発見する方を優先したい。

他人よりたくさん知っているというのは、自己満足であったり、ウンチク自慢にはなるだろうが、

メールや手紙で使っても、他人がその漢字の読みを知らなければ、コミュニケーションには役立たない。

また、携帯電話やワープロでも、一生使わないと思われる漢字が多数登録されているが、
辞典と同様に、可能な限り多くを収録することが、良いことだと勘違いしているわけだ。

なんだか、英単語はたくさん覚えたけれども、英作文ができないことに通じるように思えた。


それに、5万以上の漢字を収録している漢和辞典があっても、古典を読むときだけ出てくる漢字も多く、
現代社会では全く必要としない漢字が大半を占めているから、2千字を勉強すれば足りるのではないか。

日本語を使っていく限り、漢字を使うことになるのだが、漢字検定1級を目指すようなことはせず、
使用頻度の高い漢字を正確に使い、そして文章の中身で知性を判断してもらえるようにしたい。


ところで、著者の名前の 「阿辻」 であるが、「辻」 のしんにょうは点が2つとのことだ。

私のXPパソコンでは、点が2つのフォントは登録されていなかった。
著者本人が、点の数は気にしないというので、「辻」 のままで書いてある。

以前は外字登録といって、24×24の升目を塗りつぶして、自分でつくったフォントを登録できた。

活字には2点しんにょうの 「辻」 はあるが、今のパソコンでは新しいフォントを使っているのだろう。

テーマ : ことば
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR