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「ニッポンの博士 量産の時代 上」 日本経済新聞2005年9月19日朝刊

日本経済新聞 2005年9月19日朝刊の科学面に、
ニッポンの博士 量産の時代 上  研究職離れ 新天地で開花
という記事が掲載された。

研究職ではなく、特許事務所や教育職に転じた博士の例が紹介されている。

日本では多様なキャリアパスの構築ができておらず、研究職以外の就職先を、本人の適性に合わせて考える機会が少ないのではないか。

キャリアコンサルタントは通常民間企業の転職を扱っているが、これからは博士に特化したコンサルタント業務も必要ではないか。
大学教授は、自分の研究分野を推進する弟子がほしいわけで、本人のキャリアを親身になって考えることは少ない。

日本の博士が大学志向であることが指摘されており、
確かに民間企業の面接では、派遣就業の面談も含めて、

「ここでは大学のような研究はしませんが大丈夫ですか?」 だとか、「受託合成ですので、自分では興味のない反応でも大丈夫ですか?」、「大学のポストが見つかれば、すぐ退職するのでしょうね。」 などと聞かれる。

私は自分の能力が発揮でき、社会に貢献できればかまわないので、
大学だけしかないとか、ベンチャー志向だけということはない。

ただ、民間企業に専念とは言っていないので、
「別の仕事が見つかれば、すぐ転職するのか?」 と、誤解されてしまうかもしれないが。

有馬文部大臣(当時)が、「
博士の数を倍増すれば日本はよくなる」 と言い、奨学金も増えて博士の人数は激増した。
それに伴って常勤研究職に就けない博士が増えたが、無責任な有馬氏は、「私も3年間は無職みたいなものだった。頑張れ。」 と発言した。

この博士倍増計画は、「氷山の理論」 に基づいたものであろう。
「博士の人数を増やす = 氷山が大きくなる」 と、水面上に出る部分が大きくなる。
すなわち、「一握りの優秀な博士が増える」 ということだ。
そして水面下にある氷山の大部分は、常勤職が見つからない大量の不遇な博士に相当する。


30代後半から40代になって、本人が適性に気づくまで放置するのは無責任ではないか。

いくら自分で道を切り開けと言われても、研究者になることだけを求められて大学院に進学したわけだから、多様な選択肢を知らずに博士号取得まで突っ走ってしまうのだ。

「科学技術立国」 と言って多額の予算を研究者養成にも使っている。
税金や建設国債を使って、フリーターみたいな博士を量産しただけでは、これまでの無駄なダムや高速道路の公共事業と変わらない。


以前も科学技術予算について批判の投書をしたところ、
私の指導教授が学界のある重鎮より 「あいつを黙らせろ。」 と怒られた。

「科学技術予算を増やしてもよいと国民がやっと思い始めている。

予算配分などに不公平などがあるのは誰でも知っている。
ただし、国民にわざわざ知らせて、予算削減の口実を与えていけない。」 とのことだった。

実験データを捏造・改ざんする研究者も増えてきたので、
科学技術予算および決算に加えて、業績や倫理面も調査する機関が必要だろう。

博士にだけ倫理感を求めるわけではないが、公金を使って養成したのだから、まともな人間にはなってほしいものだ。

追記:
2005年09月26日朝刊
ニッポンの博士量産の時代(中)企業に飛び込む――経営センスを磨く。

2005年10月03日朝刊
ニッポンの博士量産の時代(下)茨城県科学技術振興財団理事 長江崎玲於奈氏。
ニッポンの博士量産の時代(下)日立製作所副社長中村道治 氏、異分野学び視野広げよ。」

(最終チェック・修正日 2010年03月28日)

テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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