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マグロの水銀含有量が健康被害をもたらすレベルだという

魚介類の重金属汚染(水銀・カドミウム)は、日本では水俣病の記憶があるためか、話題にすることはタブーのようだ。
水俣病の後、水銀を利用する工業的生産方法が日本ではことごとく廃止され、コストの高い製造法に切り替わった。
その後も、東京湾のヘドロや工場跡地の土壌から、高濃度の水銀が検出されては、散発的に騒ぎとなった。
ただ、2007年に 「水銀汚染に関するマジソン宣言」 が出たが、日本政府が何かコメントしたという記憶はない。
厚生労働省は最近、魚介類摂取量の目安を発表しているが、消費者団体の指摘で渋々出したと批判された。

水俣病の過去を持つ日本は水銀アレルギーとも言われており、これを利用したネガティブキャンペーンも有名だ。
ごく最近の例では、「水銀まみれのイルカ肉は食用にできない」 というものだ。
確かに肝臓や腎臓、肺などの内臓は推奨しにくいが、赤肉 100 g を月1回くらいなら、それほど怖がることもない。

それに比べて、マグロ類の汚染状況については情報が少なく、過剰消費をあおることを優先しているようだ。
いつの間にか日本では、「安いマグロをたくさん食べたい」 という欲望が満たされるようになった。
マグロの漁獲規制が話題となるたびに回転すし屋では、「マグロが食べられるのは今のうちかもしれないよ」 と消費をあおる。
グルメツアーやホテルのランチバイキングでも、「マグロづくし」 などと称して、ここでも過剰消費をあおっている。

私はマグロは赤身は食べるがトロは苦手で、好きなのはサケ、ハマチ、アジ、タイ、アナゴで、多品種を愉しみたい。
マグロをほとんど食べないのは、マグロ漁獲制限を主張するWWFの会員だからだが、水銀のことも気になるから。
魚介類はヨウ素やセレンなどの微量元素の供給源だが、マグロ以外の魚や海藻を食べればいいだろう。

BSEや鳥インフルエンザの問題で、畜肉をやめて魚を食べる人が欧米では増えたという。
ただ、日本人に比べて大量に食べてしまうため、牛肉の代わりにマグロステーキを毎日食べたアメリカ人が、水銀中毒による神経系疾患で苦しんでいるとも報道されたことがある。

そんな背景もあってか、2008年にはアメリカで販売されているマグロが危険レベルの水銀を含むと報道された。
しかし、アメリカの話は日本と関係ないということなのか、日本政府は静観しているという。
www.afpbb.com/article/economy/2341416/2557780

そして4月21日のAFP記事でも、アメリカで販売されているマグロについて、DNA分析で種を特定したうえで、WHOなどの基準を超える危険なレベルの水銀が検出されたとある。
www.afpbb.com/article/life-culture/health/2720117/5646422

この報道の元になった論文は Biological Letters の速報版に出ており、無料ダウンロードできる。
種や部位ごとに測定値が一覧表や分布図になっているので、論文で実際に確認してほしい。
rsbl.royalsocietypublishing.org/content/early/2010/04/13/rsbl.2010.0156.abstract

筆頭著者の Jacob H. Lowenstein 博士が所属する、アメリカ自然史博物館(AMNH)の発表は次の通り。
www.amnh.org/news/2010/04/some-tunas-harbor-more-mercury-according-to-new-museum-research/

博士らはこの研究結果から、FDAなどがマグロ類の摂取基準を、見直しや新規設定するように要望している。
論文を読んだ限りでは、マグロ保護のために消費を抑えよう、という意図はないと思う。
ただ、イルカでの例もあるように、研究結果や測定値が独り歩きする可能性はあるので、冷静な対応が必要だ。

日本語報道が少ないので、しばらくしてから確認してみよう。
英語報道はたくさんあるので、ここでは私が読んだドイツ語報道(ZEIT ONLINE)を引用しておこう。
www.zeit.de/wissen/umwelt/2010-04/erde-sd-thunfisch-quecksilber

テーマ : お魚料理
ジャンル : グルメ

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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