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鉄分豊富なクジラの排泄物は藻の栄養源(南極海表層部の鉄循環)

日本の南極海調査捕鯨は科学的調査と言いながら、単に鯨肉を調達するための擬似商業捕鯨と批判されている。
日本鯨類研究所(鯨研)が唱える調査目的の一つに、南極海生態系の解明があるが、特に重要な成果は見られないようだ。
icrwhale.org/03-A-a-01.htm
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【第2の目的は、南極海の生態系の中で鯨類の果たす役割の実証である。南極海生態系は比較的単純で研究しやすく、鯨類はこの生態系の大きな構成要素の一員であり、食物連鎖の最高位に位置している。また、南極海生態系の解明は国際的な関心も高い。従って、鯨類の南極海生態系で果たす役割を実証する調査は、国際的に大きな貢献をすることにもなる。】
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ところが、クジラを含む食物連鎖を通じた元素の循環について、鯨研が世界をリードする論文を発表したという話は、
私が調べた範囲だが、残念ながら聞かない。
他の研究者によって、死んだクジラが深海底に沈むことで炭素が隔離されることや、深海の生態系にとってクジラの死体が重要な意味を持つことが示されている。

そして次に引用するAFP記事のように、クジラの排泄物は鉄分が豊富で、藻にとって重要な栄養分になっていることが、オーストラリアの研究者により示された。

www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2721001/5664799


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【クジラの排泄物の大部分は餌のオキアミからできたものだが、海洋植物にとって優れた肥料であることが分かったという。科学者のスティーブ・ニコル(Steve Nicol)氏は「オキアミは鉄分を豊富に含んでい る。クジラが排泄すると鉄分が海に還り、海水中の栄養分が増えて新たな食物連鎖が始まる」と説明する。

この研究はクジラの数が増えると海中の植物が増え、その結果として海洋の二酸化炭素吸収量が増えることを示唆している。鉄分は藻などの海洋植物にとって 不可欠の栄養素だが、南極海ではその濃度は低い。】
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研究者が所属する Australian Antarctic Division の発表は次の通り。
www.aad.gov.au/default.asp

また、ロイター通信の英語記事は次の通り。
www.reuters.com/article/idUSTRE63M0PG20100423

海洋表層部の鉄分は、まず藻に吸収されるが、藻が食べられずに死んでそのまま海底に沈んでしまうと、鉄分は隔離されてしまう。
藻を食べるオキアミに鉄分が移行し、そしてアザラシやペンギン、クジラを通して、排泄物に含まれる形で再び海洋表層部に戻り、海洋表層部での鉄の持続的循環が生まれるという。

研究者はインタビューに対して、鉄の循環について明らかにしたことを述べているだけだが、AFP記事だけではなく、ロイター通信のリード部分でも、「温暖化を防ぐCO固定につながる」 と拡大解釈している。

「クジラを保護して数が増えればCOが減る」 というのは、「風が吹けば桶屋がもうかる」 という話である。
こういった強調は先日の、「大型鯨類は海の森林」 という話でもあったことだ。
まあ、科学者の話を大きく膨らませることはよくあるので、これ自体は驚きはしないが、困った問題ではある。
化石燃料からの転換やエネルギー効率の向上、森林保護など、人為的要因を改善することに注力してほしい。

テーマ : 博物学・自然・生き物
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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