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ドイツ語は科学言語として生き残るべきか?

自然科学分野の国際会議では、使用する公式言語は英語となっている。
専門誌もほとんど英語ばかりとなり、ドイツ語などで投稿できる雑誌は、ごくわずかとなった。
スイスの化学誌 Helvetica Chimica Acta は、今でも英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語が可能だが、ここ3年は英語のみ。

ドイツの化学誌 Angewandte Chemie は、ドイツ語版と英語版(International Edition)を発行しているが、これは稀な例だ。
ドイツ留学中は当然ながら、図書館にはドイツ国内向けのドイツ語版しか置いていなかった。

私の研究分野では、過去の論文を読もうとすると、約半分がドイツ語論文だったし、有機合成やNMRの専門書を探したら、ドイツ語しかなかったということも経験している。

そのため私は、「科学者ならドイツ語を理解してほしい」 と思うのだが、必ずしも皆がドイツ語を勉強しているわけでもないし、私が 「ロシアの雑誌に英語版があってよかった」 と感じるように、「ドイツ語でなく英語でよかった」 と思う人も多いだろう。

ドイツ人のプライドというのか、哲学や科学の分野では、ドイツ語は英語よりも論理的に表現できると言い張っている。
まあ確かに、格変化や接続法など、英語にない特徴を生かして、あいまいさが残らない文章を書けることはある。
ただしそのことと、世界中の研究者に論文を読んでもらえるかどうかは別の話だ。

研究室の学生の中にも、「英語だけでも大変なのに、ドイツ語論文なんか読む暇はない」 と言っていた者がいた。
同様にアメリカ人の中にも、英語以外の言語を知らない人も多いので、読んでもらえないリスクがある。

ただし、アインシュタインはドイツ語圏で生まれているが、重要な研究論文のほとんどは英語で書いた。
まあアインシュタインは、状況に応じて国籍も変えているから、特にドイツ語へのこだわりはなかっただろう。
それでも、できるだけ多くの研究者に読んでもらうには、残念ながら英語で論文を書くのが無難ということになる。

そうは言ってもドイツには、科学言語としてのドイツ語を守ろうという研究グループが存在している。
www.adawis.de/

その研究グループ長が ZEIT ONLINE に意見を寄せている。
www.zeit.de/wissen/2010-04/deutsch-forschungssprache

国際的に英語が主流となっていることから、ドイツ国内の研究現場や学会でも、英語のみを使うことが増えてきた。
しかし、オランダ・スウェーデン・ノルウェーでの研究では、母国語ではなく英語を使うと、意思疎通に問題が生じるだけではなく、深い思考や理解を妨げるとのことだ。

そこでドイツ国内では、ドイツ語も科学言語として使うべきだと主張している。
そのためにはまた、英語の専門用語などをドイツ語に翻訳することも必要だとしている。
(詳細は省略。連休中にゆっくり読もう。)


それに対して、英語でもかまわないという大学教授の反論も掲載されている。
ドイツ語に翻訳が困難な用語はそのまま使えばいいし、科学技術分野では既に英語が共通語になっているから問題ない。
科学の新しい概念は英語でのみ発表されるし、他国の研究者との交流でも、英語のみが使われるのが現状だ。
(詳細は省略。これも連休中にゆっくり読もう。)

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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