FC2ブログ

ファイザーの抗うつ剤Reboxetineは効果なしという論文が出た

私は数年前、パワハラの被害に遭ったときに、パキシルなどの抗うつ剤服用による治療を受けた経験がある。
また、現在の勤務先は医薬メーカー子会社なので、医薬品情報については、海外報道でも気になってチェックしてしまう。

日本では承認されていないが、ファイザー(Pfizer)の抗うつ剤 Reboxetine(レボキセチン)は無効であり、しかも有害である、という論文が出た。

レボキセチンが無効だと報告した British Medical Journal の論文は次の通り(無料でPDFもダウンロード可能)。
エディターのコメント記事などにもリンクしているので、興味がある人は参考にしてほしい。
www.bmj.com/content/341/bmj.c4737

結果の一部と、結論部分を、英文のままで引用しておく。
------------------------------
Results We analysed 13 acute treatment trials that were placebo controlled, SSRI controlled, or both, which included 4098 patients. … Published data overestimated the benefit of reboxetine versus placebo by up to 115% and reboxetine versus SSRIs by up to 23%, and also underestimated harm.

Conclusions
Reboxetine is, overall, an ineffective and potentially harmful antidepressant. Published evidence is affected by publication bias, underlining the urgent need for mandatory publication of trial data. 】
------------------------------

ファイザーが臨床データの一部しか公表しなかったことは、昨年から批判されており、今回の論文は全データを提出させて、レボキセチンの効果を再評価したことになる。
www.spiegel.de/wissenschaft/mensch/0,1518,629632,00.html

ファイザー10月14日時点、プレスリリースで何も公表していないが、後で引用するBBCの記事中には広報担当者の発言が出ている
www.pfizer.com/news/press_releases/pfizer_press_releases.jsp

日本語報道はほとんどなく、BioToday で取り上げていたが、記事は有料なので、外国語報道を探してみた。
www.biotoday.com/view.cfm

英語報道としては、レボキセチンが販売されているイギリスの、BBCと Guardian、Telegraph を引用しておこう。
www.bbc.co.uk/news/health-11521873
www.guardian.co.uk/business/2010/oct/13/reboxetine-pfizer-antidepressant-placebo-bmj
www.telegraph.co.uk/health/8051470/Antidepressant-ineffective-and-potentially-harmful.html

ドイツでも販売されているし、今回の論文は、ドイツの研究機関 IQWiG が中心となった調査なので、ドイツの報道から Süddeutsche Zeitung の記事を引用しておこう。
www.sueddeutsche.de/wissen/zurueckgehaltene-daten-irrefuehrung-durch-verschweigen-1.1011957

ここで紹介されている IQWiG は、独立した非営利研究機関なので、ファイザーのライバル会社の影響はないと考えてよい。
ドイツ語と英語のHPは、それぞれ次のとおり。
www.iqwig.de/index.2.html
www.iqwig.de/institute-for-quality-and-efficiency-in-health.2.en.html

そして、レボキセチンに関する IQWiG のプレスリリースと、報告書のリストは次の通り。
www.iqwig.de/index.1133.de.html
www.iqwig.de/iqwig-law-must-prescribe-obligation-to-publish.1133.en.html (英語)
www.iqwig.de/index.980.html

報告書は全部ドイツ語とのことなので、翻訳依頼があることを期待してしまう。

そんなことより、プラセボと比較して何も効果がないことを知っていて販売していたのだから、患者の落胆は大きいだろう。
他の抗うつ剤よりも高額だったこともあり、ファイザーは不正な利益を得たとして、訴訟リスクを負うことになる可能性もある。
まあ、他社を買収しているくらいだから潰れることはないと思うが、製薬会社の臨床試験データが信用できないという雰囲気が強まるのは困ったことだ。


ところで、レボキセチンは日本では未承認ではあるが、検索すると個人輸入のサイトなどがヒットする。
未承認新薬の審査を迅速に行うように要望する団体もあるが、今回の事例はどう扱うだろうか。

保険適用外として、医師の助言の下で臨床試験的に服用するのは個人の責任なのだろうが、日本で承認済みの抗うつ剤よりも効くと信じて輸入した人たちは、すぐに服用をやめて、主治医に相談してほしいものだ。

(最終チェック・修正日 2010年10月16日)

テーマ : うつ病(鬱病)、メンタルヘルス
ジャンル : 心と身体

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR