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「科学立国のつまづき」:日本経済新聞(2月27日朝刊9面)

日本経済新聞の連載・コラム 「ニッポンこの20年 長期停滞から何を学ぶ」 は、第5部として 「揺らぐ土台」 というキーワードを選んだ。
www.nikkei.com/news/topic/

本日2月27日の記事は、「科学立国のつまづき 既得権残り政策生かせず」 で、博士号取得者の活用が不十分であることも指摘している。

私は元々、高校理科教員を目指していたが、教師として教える前に、まずは好きな化学で博士号を取得して、授業で使う実験教材などを自分で開発できる能力もつけようと考えていた。
ただし、ある事件をきっかけに、教員になることはやめたが、その次は研究者として生きていくことを目指した。

私が大
学院在学中にちょうど、 「科学技術立国」 という言葉が出現し、研究費や奨学金が増えてきた。
建設国債を財源にするという科学振興策には疑問を持っていたものの、私は大学等で研究職に就けると信じて博士号を取り、ポスドクも4年間続けた。
しかし、ある事件をきっかけに、アカデミックに残ることはあきらめ、研究職派遣会社に登録して、民間企業で働くことにした。

日経記事の後半では、【博士の育成策も破綻している。毎年生まれる約1万6000人の博士のうち、3分の1が企業に就職し、3分の1が大学で職を得るか、非正規雇用のポストドクターとして大学で働く。残る3分の1は「行方不明」。研究プロジェクトの終了後に解雇された若手研究者は行き場を失い、フリーター化している。】 とある。

私は学術振興会海外特別研究員だったが、帰国後の所属先を届け出る規定を無視しており、統計上は  「行方不明」 である。
海外に派遣された場合のみ、自分の職場と自宅連絡先について、定年退職するまで届け出る義務を課すのは変だ。
それに、学術振興会を批判する投書が雑誌に掲載されたため、彼らも私の情報など抹殺したいはずだろうし。


また、専門性は高いが、視野が狭くて使いづらい」として、企業は博士を雇用したがらない。】 は、企業の本音だ。
昔は縁故採用ということで、有名教授が無理矢理頼んで就職させることも多かったが、今ではわずかな事例となった。
確かに、勤務先で50代以上の博士社員の様子を見ると、研究はできるが、企業の求めるミッションを理解していない自己流博士社員が多いと感じる。

当時の文部省が労働省に対して、博士号取得者を採用するように通達を出してほしいと頼んだが、無視されてしまった。
博士倍増を言い出した有馬氏は、「アメリカ並みに博士を増やせば日本は良くなる。」 と言っていた。
しかし、なかなか就職できないことを指摘されると、「私も3年くらいは無職のようなものだった。頑張れ。」 と言うだけ。
さらには、「人数を増やせばレベルの低い博士も増えるだろう。ただ、底辺が広がれば、氷山の一角は大きくなる。」 と、当事者の博士号取得者の将来など、全く考えていなかったことを自ら話している。

博士の就職難は深刻で、結局は税金の無駄使いになってしまった。


サイエンス・サポート・アソシエーションの榎本英介代表のコメントが掲載されている。
結果として「大学はお金をかけて育てた若手研究者を即戦力としてだけ利用し、使い捨てにしている」と、若手支援で活動する
NPO法人の榎木英介代表は言う。

この
サイエンス・サポート・アソシエーションと、事業分離前から関係するサイエンス・コミュニケーションのHPは次の通り。
sci-support.org/
scicom.jp/


記事の最後には次のようにあり、やはり科学が文化として根付いていない日本では、博士の活用などどうでもよく、
「科学技術立国」 を口実にして、各省庁が科学技術予算の分捕り合戦をしただけ。
大学発ベンチャーの失敗例も含めて、産学協同で世界をリードするなど夢物語だった。


安倍政権で内閣特別顧問を務めた黒川清・東大名誉教授は「一部の政策だけ欧米流をまねても、社会の仕組みが変わらなくては矛盾が生ずるばかりだ」と指摘する。

例えば若手だけが非正規雇用で流動化する一方、定年延長で教授の在職は長いまま。科技基本計画は戦略投資が建前だが、現実には役所の要求を束ねたにすぎない。

官庁や大学の既得権益を壊さず、付け焼き刃で欧米流を取り入れてきたツケが回ったといえる

ノーベル賞を受賞すれば熱狂する割に、自然科学の基礎研究の重要性について、日本国民は官僚も政治家も含めて、本当に理解してはいないのだ。
こんな国は元々、環境の変化に適応できないのだから、衰退しようが破滅しようが、どうでもいいのではないか。

テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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