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アマゾンカワイルカ保護をしているコロンビアが捕鯨反対国としてIWCに加盟

2007年5月に、コロンビアが捕鯨反対国としてIWC(国際捕鯨委員会)に加盟するという話が出た。
しかしこの情報は、WWFコロンビア発の話題であり、コロンビア政府にはIWC加盟の意向があるというだけのものだった。
そしてIWC公式HPで新規加盟国を調べても、コロンビアが加盟したという記載は、これまで一度もなかった。

約4年前のこの話を、私は既に忘れていたが、今週3月22日にコロンビアがIWCに加盟したことが発表されていた。
IWCの Latest News に、【Colombia joins the IWC (89)】 とあり、これで加盟国数は89となった。
www.iwcoffice.org/other/newadditions.htm

コロンビアではこれまでも、アマゾンカワイルカの保護活動が行われていた。
IWCでは捕鯨対象種だけではなく、クジラ・イルカ類の問題を広く扱っているので、アマゾンカワイルカ保護の国際協力のために、コロンビアが加盟しても不思議ではない。

また、コロンビアの太平洋岸近くでは、毎年6月から11月にかけて、ザトウクジラが子育てをしている。
そこで他の国と協調して、ホエールウォッチング観光に取り組んでいるそうだ。

ただしコロンビアは、ラテンアメリカ反捕鯨国で構成する Buenos Aires Group に参加していたから、IWCでも反捕鯨国として行動するはずだ。
ちなみに、昨年5月の Buenos Aires Group の会合に関して、AFPの英語記事は次の通り。
www.france24.com/en/20100518-latin-america-anti-whaling-countries-meet-ahead-iwc-event

この Buenos Aires Group の参加国のうち9か国が今年2月に、日本の南極海調査捕鯨に対して、非致死的調査を求める声明を出していた。
例えば、Merco Press の英語記事は次の通り。
en.mercopress.com/2011/02/15/latinamerican-countries-call-on-japan-to-cease-scientific-whaling

南米では、主にザトウクジラを対象とするホエールウォッチング観光を推進している。
日本の調査捕鯨ではクロミンククジラとナガスクジラが対象で、ザトウクジラは捕獲しないから、彼らの批判は的外れと感じる人もいるだろう。

しかし日本政府・水産庁は2007年に、南極海でザトウクジラ50頭を捕獲すると断言していた。
実際には、その前の2005/06年調査から、ザトウクジラ捕獲を行う計画であったが、捕獲実績はなかった。

ザトウクジラ捕獲を宣言したものの、反捕鯨国や保護団体からの執拗な抗議を受けたためか、捕獲中止を発表することになった。
噂では、IWC正常化交渉の開始を取引条件にして、ザトウクジラ捕獲を中止したと言われている。

これが契機となったためか、IWC正常化のための作業部会設置や、商業捕鯨再開のための議長提案など、これまでと異なる動きがあったものの、日本政府・水産庁、そして捕鯨サークルの予測を超えた反発も招いた。

それはシーシェパード(SSCS)の妨害行為が、顕著にエスカレートしたことではないだろうか。
ザトウクジラ捕獲を発表するまでは、グリーンピースも含めて、比較的小規模な妨害行為であった。
SSCSは発煙筒を投げ込むなど、確かに危険な行為をしていたが、それでも最近の執拗な妨害行為と比べれば小規模だった。

ザトウクジラについては、旧ソビエト連邦での違法捕鯨の記録が見つかっている。
この違法捕鯨の影響なのか、一部海域ではザトウクジラ生息数の回復が、予測より遅いのではないかと指摘されている。

生息数の回復状況がまだ把握されていないことと、観光資源としての有用性を重視すると、日本政府・水産庁のザトウクジラ捕獲宣言は、反捕鯨国と保護団体を激怒させただけだったようだ。

ただ、別の見方をすると、わざと反捕鯨国やSSCSなどを刺激することによって、調査捕鯨について日本国民に印象付けることを狙ったのではないだろうか。
調査捕鯨の捕獲枠拡大後、思惑どおりに鯨肉消費が伸びないことに焦ったため、ナショナリズム喚起のために、そして予算確保のために、SSCSの妨害行為を利用しようとしたのではないだろうか。
SSCSの妨害行為のおかげで、対策費として約3億円の補正予算が2年連続で獲得でき、そして3年目からは本予算に組み込まれることになった。

官僚にとって最重要なのは、事業の継続と予算確保による、自分の職場の保持である。
ところが、今季のSSCSの妨害行為はさらにエスカレートしたためか、調査打ち切りという事態となった。
www.jfa.maff.go.jp/j/whale/w_dai24zi/pdf/110302.pdf

SSCSに対する憂さ晴らしのような声明にしか聞こえないが、こんな事態を招いたきっかけは自分たちなのだと気づいてほしい。


ついでだが、水産庁HPの 「捕鯨の部屋」 では、IWCについての記載は更新されておらず、加盟国数のところは、【83カ国(平成20年12月時点)】 である。
www.jfa.maff.go.jp/j/whale/w_thinking/index.html#1

SSCS批判で忙しいのかもしれないが、加盟国数が増えているのだから、このくらいは随時更新してほしいものだ。

テーマ : 博物学・自然・生き物
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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