fc2ブログ

スイスの原発事業者団体事務所で手紙爆弾が爆発(グリーンピースは関与を否定)

福島第一原発での事故が報じられてから、世界各国で原子力発電への依存について、様々な議論が始まっている。
これから建設しようとしている国は、計画の一時凍結や見直しをしているし、老朽化原発を持つアメリカやヨーロッパなどでは、運転可能期間の延長が議論の的になっている。

ドイツではメルケル首相が、原発延命措置の見直しをすばやく宣言したにもかかわらず、州議会選挙の結果にまで影響した。
環境団体が主導する原発反対デモも各地で行われていて、特にヨーロッパでは、脱原発の動きが再び盛り上がるかもしれない。

原発反対の動きが激しくなる中、電力の40%(2008年)を原子力発電でまかなっているスイスで、手紙爆弾テロが発生した。

AFPの英語記事と日本語記事、地元スイスのテレビ局のニュース、そしてドイツの報道は次の通り
www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5g3P7nYQSkQCpwCG2f0un64U-D3Pg (英語)
www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2793591/7029184 (日本語)
www.tagesschau.sf.tv/Nachrichten/Archiv/2011/03/31/Schweiz/Olten-Briefbombe-bei-Schweizer-Atom-Lobby-explodiert (ドイツ語)
www.spiegel.de/politik/ausland/0,1518,754233,00.html (ドイツ語)

ここでは情報量が多いAFP英語記事を元にして、スイスやドイツでの報道で補足しておこう。

警察の発表によると、スイス北部のオルテン(Olten)にある原子力発電事業者団体の Swissnuclear のオフィスで午前8時15分頃、開封しようとした手紙が爆発し、女性2名が軽傷を負ったという。
爆破が起きた部屋には、他に3名の従業員がいたものの、怪我はなかった。

この爆弾テロの背景には、反原発などの政治的意図があると言われているが、詳細は不明である。

爆弾テロの標的となった Swissnuclear のHP(ドイツ語)は次の通りで、福島第一原発の情報へのリンクはあるが、この爆弾テロについては何も報告していない。
www.swissnuclear.ch/de/home.html

スイスで2か所の原発を運転している Alpiq 社に対して、限発新設に反対するグリーンピース・スイスが、3月17日に抗議文を送っていた。
それに対する Alpiq 社側の回答文書は、22日に既に示されており、政府との交渉の場にグリーンピースも参加できるようにするとも書いてあった。
www.alpiq.com/de/images/antwortbrief-alpiq-an-greenpeace-de_tcm96-85381.pdf

しかし、この内容に納得しなかったのか、原発の新設計画即時停止を求めて、ドラム缶をたたくデモが Alpiq 社前で行われた。
www.alpiq.com/de/news-storys/pressemitteilungen/press_releases.jsp (Alpiq 社のプレスリリース)
www.greenpeace.org/switzerland/de/News_Stories/Newsblog/jhes-ende-fr-trommel-aktion/blog/34028 (グリーンピース・スイスのブログ)

30人で行われたこのデモはすぐに終わったようだが、HPを見ると、 Alpiq 社へ抗議メールを送る運動を展開している。
www.greenpeace.org/switzerland/de/Kampagnen/Stromzukunft-Schweiz/Atomstrom/Atomkraft-in-der-Schweiz/Unsere-Forderung/Mail---ALPIQ/

手紙爆弾が届いた31日に、近くでグリーンピースがデモをしていたので、事件との関連性が疑われた。
AFP英語記事によると、取材に対してグリーンピース側は、手紙爆弾とは無関係であることを主張している。

また、AFP英語記事最後には、電力会社 Axpo の Heinz Karrer 社長の発言が引用されている。
福島第一原発の事故後の今は、原発新設について考えることはできないと言っている。
インタビューしたスイスの新聞とは、Tages Anzeiger Online(3月20日)。
www.tagesanzeiger.ch/wirtschaft/unternehmen-und-konjunktur/AxpoChef-denkt-an-Strategiewechsel/story/15087164

このような見直しの機運が生まれている状況で、あえて爆弾テロという手段を選んだ犯人の目的はまだ不明だが、原発新設停止ではなく、現在運転中の原発も含めて、原発の全廃を要求しているのかもしれない。

犯行声明が出るのかどうかわからないが、日本国内での抗議運動も含めて、今後の報道をチェックしておこう。

テーマ : 海外ニュース
ジャンル : ニュース

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR