ドイツの腸管出血性大腸菌による食中毒で最初の死亡者発生
5月第2週からドイツ北部で、腸管出血性大腸菌(EHEC)による食中毒が発生し、患者数は1週間で300人を超えている。
そしてニーダーザクセン州で、15日から入院していた83歳の女性患者が、22日に死亡していたことが発表された。
今回の食中毒事故で最初の犠牲者である。
ドイツ国内の報道は例えば次の通り。
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,764576,00.html
www.abendblatt.de/hamburg/kommunales/article1900520/Darmkeim-fordert-das-erste-Todesopfer.html
英語記事はまだ少ないが、euronews、AFPの他に、ドイツの国際放送局DWの英語ニュースを参照してほしい。
www.euronews.net/2011/05/24/dangerous-e-coli-strain-found-in-germany/
www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5hwuIRVUhQuPHp_E3Abn4mPYSMxvQ
www.dw-world.de/dw/article/0,,15100725,00.html
死亡した女性患者が、他の疾患を持っていたのかどうかは現時点では不明のため、EHECの毒素が死亡原因かどうか、これから検査されるだろう。
そして、どういった食品が汚染されていたのか、感染経路は依然として特定されておらず、調査が続行されている。
日本企業が多いデュッセルドルフでも既に8名の患者が確認されており、Robert-Koch 研究所の発表では南部と東部でも患者が発生しており、ドイツ全土に広がるのではないかと懸念されている。
www.rki.de/
また、感染の拡大が速すぎることや、患者が成人女性に偏っていることが前例にないとのことで、新しい亜株ではないかと推測されている。
つまり、O157といった既知のEHECではなさそうだということで、事実であれば非常に恐ろしいことだ。
(追記(5月27日):このEHECの型は遺伝子解析の結果、ハンブルクでの患者の場合は、O104:H4と確認された。
www.hamburg.de/bgv/pressemitteilungen/nofl/2916018/2011-05-26-bgv-salatgurken-ehec.html
www.aerztezeitung.de/news/article/656320/ehec-gurken-spanien-wehrt.html)
そしてニーダーザクセン州で、15日から入院していた83歳の女性患者が、22日に死亡していたことが発表された。
今回の食中毒事故で最初の犠牲者である。
ドイツ国内の報道は例えば次の通り。
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,764576,00.html
www.abendblatt.de/hamburg/kommunales/article1900520/Darmkeim-fordert-das-erste-Todesopfer.html
英語記事はまだ少ないが、euronews、AFPの他に、ドイツの国際放送局DWの英語ニュースを参照してほしい。
www.euronews.net/2011/05/24/dangerous-e-coli-strain-found-in-germany/
www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5hwuIRVUhQuPHp_E3Abn4mPYSMxvQ
www.dw-world.de/dw/article/0,,15100725,00.html
死亡した女性患者が、他の疾患を持っていたのかどうかは現時点では不明のため、EHECの毒素が死亡原因かどうか、これから検査されるだろう。
そして、どういった食品が汚染されていたのか、感染経路は依然として特定されておらず、調査が続行されている。
日本企業が多いデュッセルドルフでも既に8名の患者が確認されており、Robert-Koch 研究所の発表では南部と東部でも患者が発生しており、ドイツ全土に広がるのではないかと懸念されている。
www.rki.de/
また、感染の拡大が速すぎることや、患者が成人女性に偏っていることが前例にないとのことで、新しい亜株ではないかと推測されている。
つまり、O157といった既知のEHECではなさそうだということで、事実であれば非常に恐ろしいことだ。
(追記(5月27日):このEHECの型は遺伝子解析の結果、ハンブルクでの患者の場合は、O104:H4と確認された。
www.hamburg.de/bgv/pressemitteilungen/nofl/2916018/2011-05-26-bgv-salatgurken-ehec.html
www.aerztezeitung.de/news/article/656320/ehec-gurken-spanien-wehrt.html)
腸管出血性大腸菌(EHEC)のO111による食中毒が、ある外食チェーン店で頻発して、連日報道されている。今回のユッケ食中毒事件では死者が出たためなのか、そのチェーン店運営会社や取引先の食肉加工会社は、メディアスクラムだけでなく、ネット上でも袋だたきに遭っている。大事件に発展したユッケ食中毒事件だが、その後も各地でEHECのO111やO157を原因菌とする食中毒事故は続いている。生肉使用の基準に満た...
ドイツ北部でも腸管出血性大腸菌が原因の食中毒が発生している
ドイツでは毎年、800人から1000人のEHEC食中毒患者が発生しているそうだが、清潔好きのドイツ人にしては意外である。
ただ、痛んだ肉を混ぜた成形肉を販売した事件や、露店販売の肉製品が病原菌で汚染されていたという前例はあった。
また、衛生管理の悪いレストランを告発するテレビ番組もあるくらいなので、ドイツのどこでも感染するリスクはあるわけだ。
以前も書いたが、あるパーティーで生の挽肉を出されたとき、私は一度だけ試してみたが、その後は食べないことにした。
魚を生で食べる日本人が生肉を食べないため、あるドイツ人の同僚から質問されたが、生肉には危険なバクテリアが含まれていると理由を述べた。
その同僚も私と同意見で、いくら新鮮な肉であっても、食中毒リスクの高い生肉を食べる気はしないと言っていた。
ドイツに住むのであれば日本人も、今回の食中毒事故など、日常生活に大きな影響を与えるニュースについて、ドイツ語で理解できないと困るだろう。
私のドイツ留学中には、ネスレの食品に毒を入れたという脅迫事件が連続していた。
それでもある日本人教授は、短期の滞在だからドイツ語は勉強しないと言っていた。
これは食品の話ではないが、留学先の大学を会場にして、ナチスの戦争犯罪に関する写真展が開催されることになった。
このとき開催反対派のビラが撒かれたことや、支持派と反対派のデモがあるという噂を耳にし、危険を察知した私は外出を控えた。
すると双方のデモ隊が大学前で鉢合わせし、突然殴り合いを始めてしまい、監視していた警官も警棒で征圧することになり、現場は大混乱となった。
また、失業率が高く、ネオナチなどの外国人排斥思想がはびこっている街では、外国人留学生が地下鉄ホームや電車内で襲われることもある。
加えて日本人の場合、パスポートが闇市場で高く売れるということで、特に注意が必要だとも言われている。
ドイツに観光旅行に行く日本人は今年も多いだろうが、いろいろと危険が伴うことを意識してほしいものだ。
追記(5月25日):
フランクフルトでの患者19名は全員、コンサルタント会社 PricewaterhouseCoopers の社員食堂で食事をしていたという共通点が見つかった。
食材提供会社などの流通ルートをさかのぼって調査する予定だが、他の地域ではまだ不明である。
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,764530,00.html
今の時期はイチゴとアスパラガスが旬のために原因と推測されたこともあるが、患者が若い女性に集中していることを説明できない。
現在は、今回のEHECの遺伝子解析を進めており、新亜種なのかどうかを検証するとのことだ。
この記事を書いている間に、死亡患者数は合計3名となった。
追記(5月26日):
25日発表の情報では、ローベルト・コッホ研究所と連邦リスク研究所の調査で、ドイツ北部産の野菜(トマト・キュウリ・レタスなどサラダ用葉物野菜)や果物が汚染されていた可能性が高く、サラダなど生のまま食べるために感染したと推測されている。
www.bmelv.de/SharedDocs/Standardartikel/Ernaehrung/SichereLebensmittel/Hygiene/EHECStudieErgebnisse.html
www.rki.de/
www.bfr.bund.de/de/a-z_index/ehec___enterohaemorrhagische_escherichia_coli-5233.html
ドイツ北部産の野菜を食べる場合は、よく洗うことに加えて、70℃以上に加熱することを推奨している。
つまり対策としては、生野菜サラダは避けて、ボイルした温野菜サラダや、焼き野菜サラダにして食べることになる。
別の産地の野菜ならば大丈夫かと思ったが、スペイン産キュウリからは基準を超える残留農薬が検出されるという、別の問題も発生している。
既に患者3名が死亡したことに加えて、5月中の患者発生数が、過去の年間発生数に迫っており、ドイツ全土への拡大が心配されている。
ハンブルクの病院でも、現在入院中の患者が回復せずに死亡することを懸念している。
追記(5月27日):
感染原因となった野菜のうちキュウリは、スペイン産であることが判明した。
有機農法で野菜を生産する2社のキュウリが汚染されていたとされたが、ドイツ産の野菜についても調査は継続中である。
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,765035,00.html
このスペインの2社からのキュウリは、ドイツの様々な大規模スーパーマーケットチェーンで販売されていた。
そのため、最初はドイツ北部だけの発生と思われていたのに、すぐにドイツ全土で患者が発生したわけだ。
有機農法ということで、堆肥の作り方が悪かったのか、出荷前の病原菌検査などが不完全だったのか、調査は続くだろう。
また、このEHECの型は遺伝子解析の結果、ハンブルクでの患者の場合は、O104と確認された。
www.hamburg.de/bgv/pressemitteilungen/nofl/2916018/2011-05-26-bgv-salatgurken-ehec.html
ただ、O104による大規模食中毒事故の発生例は知られておらず、今後の研究結果を待つしかないだろう。
追記(6月1日):
結局のところ、スペイン産キュウリの生産地では汚染されていないことが判明し、感染経路の調査は振り出しに戻った。
www.sueddeutsche.de/wirtschaft/gurken-sind-nicht-infektionsquelle-ehec-vorwuerfe-spanien-prueft-rechtliche-schritte-1.1104127
(最終チェック・修正日 2011年06月01日)
ただ、痛んだ肉を混ぜた成形肉を販売した事件や、露店販売の肉製品が病原菌で汚染されていたという前例はあった。
また、衛生管理の悪いレストランを告発するテレビ番組もあるくらいなので、ドイツのどこでも感染するリスクはあるわけだ。
以前も書いたが、あるパーティーで生の挽肉を出されたとき、私は一度だけ試してみたが、その後は食べないことにした。
魚を生で食べる日本人が生肉を食べないため、あるドイツ人の同僚から質問されたが、生肉には危険なバクテリアが含まれていると理由を述べた。
その同僚も私と同意見で、いくら新鮮な肉であっても、食中毒リスクの高い生肉を食べる気はしないと言っていた。
ドイツに住むのであれば日本人も、今回の食中毒事故など、日常生活に大きな影響を与えるニュースについて、ドイツ語で理解できないと困るだろう。
私のドイツ留学中には、ネスレの食品に毒を入れたという脅迫事件が連続していた。
それでもある日本人教授は、短期の滞在だからドイツ語は勉強しないと言っていた。
これは食品の話ではないが、留学先の大学を会場にして、ナチスの戦争犯罪に関する写真展が開催されることになった。
このとき開催反対派のビラが撒かれたことや、支持派と反対派のデモがあるという噂を耳にし、危険を察知した私は外出を控えた。
すると双方のデモ隊が大学前で鉢合わせし、突然殴り合いを始めてしまい、監視していた警官も警棒で征圧することになり、現場は大混乱となった。
また、失業率が高く、ネオナチなどの外国人排斥思想がはびこっている街では、外国人留学生が地下鉄ホームや電車内で襲われることもある。
加えて日本人の場合、パスポートが闇市場で高く売れるということで、特に注意が必要だとも言われている。
ドイツに観光旅行に行く日本人は今年も多いだろうが、いろいろと危険が伴うことを意識してほしいものだ。
追記(5月25日):
フランクフルトでの患者19名は全員、コンサルタント会社 PricewaterhouseCoopers の社員食堂で食事をしていたという共通点が見つかった。
食材提供会社などの流通ルートをさかのぼって調査する予定だが、他の地域ではまだ不明である。
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,764530,00.html
今の時期はイチゴとアスパラガスが旬のために原因と推測されたこともあるが、患者が若い女性に集中していることを説明できない。
現在は、今回のEHECの遺伝子解析を進めており、新亜種なのかどうかを検証するとのことだ。
この記事を書いている間に、死亡患者数は合計3名となった。
追記(5月26日):
25日発表の情報では、ローベルト・コッホ研究所と連邦リスク研究所の調査で、ドイツ北部産の野菜(トマト・キュウリ・レタスなどサラダ用葉物野菜)や果物が汚染されていた可能性が高く、サラダなど生のまま食べるために感染したと推測されている。
www.bmelv.de/SharedDocs/Standardartikel/Ernaehrung/SichereLebensmittel/Hygiene/EHECStudieErgebnisse.html
www.rki.de/
www.bfr.bund.de/de/a-z_index/ehec___enterohaemorrhagische_escherichia_coli-5233.html
ドイツ北部産の野菜を食べる場合は、よく洗うことに加えて、70℃以上に加熱することを推奨している。
つまり対策としては、生野菜サラダは避けて、ボイルした温野菜サラダや、焼き野菜サラダにして食べることになる。
別の産地の野菜ならば大丈夫かと思ったが、スペイン産キュウリからは基準を超える残留農薬が検出されるという、別の問題も発生している。
既に患者3名が死亡したことに加えて、5月中の患者発生数が、過去の年間発生数に迫っており、ドイツ全土への拡大が心配されている。
ハンブルクの病院でも、現在入院中の患者が回復せずに死亡することを懸念している。
追記(5月27日):
感染原因となった野菜のうちキュウリは、スペイン産であることが判明した。
有機農法で野菜を生産する2社のキュウリが汚染されていたとされたが、ドイツ産の野菜についても調査は継続中である。
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,765035,00.html
このスペインの2社からのキュウリは、ドイツの様々な大規模スーパーマーケットチェーンで販売されていた。
そのため、最初はドイツ北部だけの発生と思われていたのに、すぐにドイツ全土で患者が発生したわけだ。
有機農法ということで、堆肥の作り方が悪かったのか、出荷前の病原菌検査などが不完全だったのか、調査は続くだろう。
また、このEHECの型は遺伝子解析の結果、ハンブルクでの患者の場合は、O104と確認された。
www.hamburg.de/bgv/pressemitteilungen/nofl/2916018/2011-05-26-bgv-salatgurken-ehec.html
ただ、O104による大規模食中毒事故の発生例は知られておらず、今後の研究結果を待つしかないだろう。
追記(6月1日):
結局のところ、スペイン産キュウリの生産地では汚染されていないことが判明し、感染経路の調査は振り出しに戻った。
www.sueddeutsche.de/wirtschaft/gurken-sind-nicht-infektionsquelle-ehec-vorwuerfe-spanien-prueft-rechtliche-schritte-1.1104127
(最終チェック・修正日 2011年06月01日)