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「アイスランド産ナガスクジラ肉は低品質」という自然保護団体のレポート

国際捕鯨委員会(IWC)の年次会合の時期になると、各自然保護団体・反捕鯨団体が、日本などの捕鯨国の実態を告発するレポートを発表することがよくある。

今年は、クジラ・イルカ保護団体のWDCSが、自然保護団体EIA(the Environmental Investigation Agency)と共同で、アイスランドの捕鯨と、日本へのナガスクジラ肉輸出に関するレポートを出している。
そのレポートと関係記事は次の通り。
www.wdcs.org/submissions_bin/iceland_whaling_trade_report.pdf
www.wdcs.org/stop/killing_trade/trade_report.php
www.eia-international.org/cgi/news/news.cgi

アイスランドのメディアでは 「共同船舶の協力により日本に輸出」 と報じたこともあったが、水産庁に問い合わせてみても、「私企業の商行為についてはわからない。国内流通も把握していない。」 という回答だけ。

アイスランドからのナガスクジラ肉輸入に共同船舶が関わっているのか、それとも協力会社を利用して輸入しているのか、あるいは2008年と同様に、休眠会社だったアジア商事をまだ利用しているのか。
そして日本国内では、どのような流通ルートでアイスランド産ナガスクジラ肉が販売されているのか、ほとんど情報がなかった。

グリーンピース・ジャパンが調べたこともあったが、最近は別の件で忙しいようなので、今回のレポートを参考にしよう。
EIAは今年2月から3月にかけて来日し、実際に鯨肉を扱っている複数の業者にインタビューをしている。

このレポートで得た新情報は、「アイスランドの冷凍鯨肉は質が悪い」、「横浜にあるMisaka商事が輸入業務をしている」 の2点だ。

EIAの調査は、宮城県、大阪、岩手県、和歌山県、兵庫県、下関市、東京で実施された。
ただし和歌山県では、太地町でのもめごとの件もあるため、誰も輸入鯨肉について話そうとしなかったそうだ。
和歌山県では、輸入に共同船舶が関係していると言う業者もいたが、その事実は確認できなかったという。

岩手県大槌町の加工場では取材に応じてもらえず、東京本社でも鯨肉輸入については話したがらなかったそうだ。
後で社長がEIAに電話することを約束してもらえたが、その後、一度も連絡はなかったそうだ。


他の地域でのインタビューで共通しているのは、アイスランド産ナガスクジラ肉は安いものの、その品質は悪いということだ。
アイスランドでは沖合で捕獲後、1日ほどかけて港に戻って解体し、それから日本向けに冷凍保管している。
日本の調査捕鯨のように捕鯨母船上ですぐに解体・冷凍することはないため、冷凍するまでに時間が経過したことが、品質低下につながったと推測される。

下関市の業者は、300kgを入手したそうだが、品質が悪いために100kgから200kgを捨てたそうだ。
また、低品質のため、刺身用(生食用)としては販売できなかったという。
別の業者も、アイスランド産ナガスクジラ肉(冷凍)の低品質と、日本の鯨肉よりも安いことを指摘している。


以前、アイスランドのテレビニュースでは、ナガスクジラの解体に立ち会う日本人の姿が映っていた。
ナイフで肉の一部を切り取っていたから、生肉での品質を確認していたのだろう。

それに本格的に輸入する前年に、3kgだけ輸入した記録がある。
これは細菌検査用などのサンプルに使ったと思われるが、このときに解凍後の品質も調べたはずだ。

そのときに合格していても、本格輸入後に品質が悪いという指摘が多いのならば、消費者のためにも取り扱いを中止すべきだろう。

それとも、安く入手できて便利だから、という単純な理由で販売しているのだろうか。
インターネット通販では 「激安」 などと表示していることがあるが、生食に向かない低品質ということを伏せて販売するのは、消費者保護の観点から問題となるだろう。


また、輸入業務をしている会社が、横浜にある 「Misaka商事」 ということも判明した(Misakaの日本語表記は不明)。
2009年5月に資本金250万円で設立された会社で、水産物の輸出入業務を行う会社として登記されている。
アイスランド産ナガスクジラ肉の輸入しかしないためか、アパートの一室が会社の登記住所である。
水産庁と税関に出す書類を作成するだけだから、役員と管理職を合わせて、4人から5人の小さな会社である。
そして意外なことに、2008年に60トンを輸入した時に使われた休眠会社・アジア商事の Tejima 氏が会社代表だという。

この会社は、アイスランド Hvalur 社のロフトソンに頼まれた Sakaguchi 氏が、ナガスクジラ肉輸入のために、友人と一緒に設立したそうだ。
そして Misaka商事は、アイスランド産ナガスクジラ肉を輸入する唯一の会社であるという。
加えて、南極海調査捕鯨の早期切り上げにより、ナガスクジラ肉の販売が増えると期待しているそうだ。
1トンのナガスクジラ肉を売ると、約150万円の利益が入るという。

ただ、インタビューした別の業者の中には、アイスランドがEUに加盟すれば捕鯨禁止になりそうだから、試験的に取り扱っているだけという話をしている者もいた。



他にも、ラトビアへの輸出など、国際条約違反問題も取り上げているので、興味がある人は読んでみてほしい。



捕鯨賛成派から見れば、反捕鯨団体のレポートなど価値はないと言いたいのかもしれないが、否定したいならば同じ業者にインタビューして、真実を報告をしてほしいものだ。

テーマ : 食品・食べ物・食生活
ジャンル : ライフ

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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