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ノルウェーでの爆弾テロ・銃乱射事件の容疑者は移民受入反対論者

7月23日の朝は、いつものようにauひかりTVでBBCワールドニュースを選択した。
すると、ノルウェーの首都オスロでの爆弾テロについて、首相と法務大臣の記者会見が、英語同時通訳で中継されていた。
英語、ドイツ語、ノルウェー語のメディアを検索して、とんでもない凄惨な事件だと理解した。
その後、ウート島(Utøya; Utoeya)での与党労働党(AUF)のサマーキャンプで、銃乱射事件が起きたと続報が入り、ノルウェー人の容疑者が逮捕された(素直に投降した容疑者を射殺しないところが、人権優先のノルウェーらしいかもしれない)。
(注:øya (oeya) は「島」という意味のため、ここでは「ウート島」とした。)

英語報道として、BBCの特設サイトと、記事のいくつかを引用しておこう。
www.bbc.co.uk/news/world-europe-14261716
www.bbc.co.uk/news/world-europe-14260297
www.bbc.co.uk/news/world-europe-14260195

ドイツ語報道として、例えば SPIEGEL Online の記事は次の通り。
www.spiegel.de/politik/ausland/0,1518,776134,00.html

また、ノルウェー語報道としてNRKの記事、そしてノルウェー政府HPから、首相の23日のスピーチを引用しておこう。
www.nrk.no/nyheter/norge/1.7723633
www.nrk.no/nyheter/norge/1.7724120
www.regjeringen.no/en/dep/ud/Whats-new/news/2011/transcript-of-the-prime-ministers-speech.html

最初の爆弾テロは自動車爆弾が使用されたと推測され、アルカイダ系イスラム過激派勢力のテロだという説も流れた。
ノルウェー軍はアフガニスタンに派遣されており、またリビアの攻撃にもNATO軍として参加しているなど、報復の可能性はあった。
しかし、労働党サマーキャンプ襲撃事件の容疑者 Anders Behring Breivik(オンダース・ベーリンク・ブライヴィーク)のプロフィールから、イスラム過激派ではなく、極右思想に染まったキリスト教原理主義の移民排斥主義者の犯行と報道されている。

(注:容疑者名のカタカナ表記は、ノルウェーのNRKニュースを聴いて採用した。「オンダース」という発音を紹介しているサイトもあるが、他のネイティブ録音のMP3ファイルでは 「アンネシュ」 の他に 「オンネシュ」 や「アネーシュ」、 「アンデシュ」 もあり、それぞれ方言の可能性もある。今後、確認したい。
姓の発音では、二重母音 ei は 「アイ」 なので、NHKのアンネシュ・ブライビークが一番近い。他のメディアはアンネシュ・ブレイビクとしている。
注2(8月15日):容疑者名のカタカナ表記は今後、VGテレビのアナウンスを参考にして、アネシュ・ブライビッキとしたい。)


今回襲撃された、労働党(AUF)のウート島サマーキャンプの紹介サイトは次の通り。
auf.no/-/page/show/utoya

この事件の直後から、Wikipedia では今回の事件に関するコンテンツが、容疑者の情報も含めて随時更新されている。
ブライビーク容疑者は、右派のノルウェー進歩党(FpU)で活動していたが、より極右思想に染まって脱退していた。
FpUは、事件の被害者と家族に対して弔辞を発表している。
fpu.no/2011/07/vi-kondolerer/

容疑者は、野菜などを栽培する園芸農家と称して、最近6トンの化学肥料を購入しており、この化学肥料から爆弾を製造したのではないかと疑われているが、販売業者は通常の購入量だと言っている。

ただ、以前からネット上に極右的書き込みをしたり、直前には犯行予告と思われる書き込みもしていた。
www.nrk.no/nyheter/norge/1.7724781
www.nrk.no/nyheter/norge/1.7724818

一応、日本語報道として、NHKのニュースを引用しておこう。
www3.nhk.or.jp/news/html/20110723/t10014411861000.html
【…
オスロで22日、首相府など政府の建物が集中する地区で大きな爆発があり、7人が死亡しました。現場では建物の外壁が大破し、割れた窓ガラスやがれきが広い範囲に散乱しており、警察は爆弾テロとみて捜査しています。さらにその2時間後には、30キロ余り離れたオスロ郊外のウートオイヤ島で開かれていた、与党・労働党の青年大会の会場で、男が銃を乱射し、地元警察によりますと、これまでに85人が死亡しました。大会には当時、10代から30代の若者およそ700人が参加していて、目撃者によりますと、警察官の制服を着た男が、若者たちに声をかけ、集まってきたところで突然、持っていた自動小銃を乱射したということです。警察は、現場にいたノルウェー人の32歳の男を発砲の疑いで逮捕しました。…ノルウェーの国営テレビは、男はアンネシュ・ブライビーク容疑者で、オスロ市内の男のアパートが警察の家宅捜索を受けたと伝えています。…容疑者の男がウェブサイトに行った書き込みなどから「極右の傾向がある」としています。また、ストルテンベルグ首相は、23日記者会見し、事件の背景について「ノルウェーにも極右の組織はあるが、推測は慎み、警察の捜査の結果を待ちたい」と述べるにとどまりました。】


ヨーロッパは多文化・異文化理解教育を進めていたはずだが、このように極右思想に染まり、特に非白人系・非キリスト教信者を嫌う者は、残念ながらいるものだ。
特に経済危機後のヨーロッパでは失業率も上がり、国民に余裕がなくなったためか、外国人嫌いの本音が噴出している。
そしてヨーロッパに限らず各地で、外国人排斥思想を持つ者による移民や留学生に対する襲撃事件が起きている。

私は旅行資金を貯めて、2年以内にドイツの友人を訪ねた後に、ノルウェーにも観光に行く計画を立てている。
ドイツもテロの危険性があるという警告がされているが、ノルウェーでも同様に周囲に気配りして行動しようと思う。

私が留学していたドイツでも、ネオナチと呼ばれる極右団体は数多くあるし、特に旧東ドイツ地域では失業率が10%を超えていることもあって、外国人研究者の家族が殺害される事件も起きているほど、外国人排斥思想がはびこっている。
そんなこともあってか、ルドルフ・ヘス副総統の墓がネオナチの聖地となっているという理由で、命日の8月17日が来る前、7月20日に既に撤去されている
ただ、今度は教会が襲撃されるのではないかと心配だ。
www.afpbb.com/article/life-culture/life/2815326/7534859
www.sueddeutsche.de/bayern/wunsiedel-ende-einer-nazi-pilgerstaette-grabesruhe-nach-der-exhumierung-von-hitlers-stellvertreter-1.1123075

ところで日本での無差別爆弾テロというと、小学生の時に起きた三菱重工ビル爆破テロが思い出される。
また、サリンによる化学テロも、無差別テロということで、全世界を震撼させた。
その後も各地でテロが起きているが、日本でも狂信的団体がテロを起こす可能性はゼロではない。

また日本では、世界人権宣言や日本国憲法の精神を遵守すべきはずの政治家だけでなく、影響力のある言論人たちが、外国人排斥思想を国民に吹き込んでいる。
社会科教科書での歴史記述内容の問題について、様々な議論があるのは周知のことだ。

それに例えば石原都知事は、原発事故後に住民が避難した福島県沿岸部で空き巣などの犯罪が増えていることについて、「外国人が関与しているのに、政府は国名の公表をためらっている」という主旨の発言をしている。
www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2011/110610.htm

被災地での窃盗事件は増えていることは事実だが、警察の捜査が追い付かず、外国人の犯行という証拠は見つかっていない。
石原都知事は独自の情報源を持っているのか、それとも単なる先入観なのか、国民に外国人犯罪が増えているという不安感をなんとかして植え付けたいようだ。
このような人物の影響のためか、朝鮮学校の生徒を襲う人がいたり、警察や入国管理局で外国人への嫌がらせ行為や暴行事件が起きるのだろう。

日本ではまだまだ人権意識が低く、外国人排斥思想など右傾化しやすいと危惧している。
外国人の人権を擁護するリベラル派日本人を、極右思想を持つ日本人が殺害するという事件も起きるだろう。
そして言論の自由・表現の自由が脅かされるのではないかと心配だ。

また、忘れてならないのは、イスラエルのラビン首相を暗殺したのは、パレスチナ人ではなく、極右思想を持ったユダヤ人であった。
同様に今回のノルウェーでのテロも、自分と異なる考えを持つ労働党員を狙ったもので、自国民同士が対立しているのだ。
ノルウェーを含めたヨーロッパで、これ以上、外国人排斥運動が広がらないことを祈りたい。

追記(7月26日):
非公開審理でのブライヴィーク容疑者の発言の一部が、担当した裁判官から紹介された。
日本のテレビニュースのテロップでは、「イスラム勢力からヨーロッパを守る」 となっていたが、「マルキストとイスラム勢力からヨーロッパを守る」 というのが正確な訳だ。
反イスラム思想の持ち主という前提だから、反マルクス主義という情報は省略してもよいということなのか。

ところで、日本の麻生元首相に会いたいと書いていたそうだが、その理由として、「日本は単一民族・単一文明社会・単一文化・
単一言語・単一人種の国」 という発言を評価していたと思われるそうだ。
しかし、日本には少数民族としてアイヌ民族が住んでいることは国際的常識であり、国会ではアイヌ語も公用語である。

ノルウェーにも北部を中心に少数民族サーミ人が住んでおり、サーミ語もノルウェーの公用語となっている。
移民問題を抜きにして、国内少数民族を無視するという点で、麻生元首相(カトリック)と意見が一致したようだ。
キリスト教団体は、ブライヴィーク容疑者を非難する声明を発表しているが、麻生元首相のコメントも聞きたいものだ。

(最終チェック・修正日 2011年08月15日)

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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