リビアに残るドイツ外交官を守るために連邦警察対テロ特殊部隊GSG-9が派遣されていた

チュニジアでの革命を発端として、アラブ諸国では不安定な状況が続いているが、リビアでも内戦状態が続いている。
ヨーロッパ諸国やNATOから支援を受けた反体制派が、
8月22日に首都トリポリ中心部を征圧し、カダフィ政権の崩壊は時間の問題だと言われている。

ドイツ政府は、反体制派の方をリビア代表と承認しており、医薬品や生活物資などの人道支援をしている。
また、首都トリポリにあったドイツ大使館を閉鎖して、反体制派の拠点であるベンガジに移動して、
5月23日からは連絡事務所(Deutsches Verbindungsbüro Bengasi)として運営している。
www.tripolis.diplo.de/Vertretung/tripolis/de/Startseite.html (在リビア・ドイツ大使館のHP)
www.auswaertiges-amt.de/DE/AAmt/BM-Reisen/2011/06-Bengasi-PAL-ISR/110614-Bengasi.html
 (ドイツ外務大臣のベンガジ訪問)

ドイツ大使館は首都から移動したものの、内戦中のリビア国内に拠点を設けて、リビアに
残っているジャーナリストなどのドイツ人に対して、情報提供をしたり、保護する職務を遂行している。

それに対して日本大使館は、反政府デモが激しくなってから、2月25日早々に閉鎖して、首都トリポリから退避した。
最初は、在チュニジア大使館内に移動したが、6月10日からはまた移動して、今は在エジプト大使館内で業務を行っている。
www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/6/0610_02.html

確かに海外渡航情報では、内戦状態に陥ったリビアは危険ということで、リビア全土に対して、「 退避を勧告 します。渡航は延期してください。」となっている。
www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp

ドイツは反体制派の拠点に残るのに、日本はエジプトに逃げるとは情けないと思っていた。
しかし、ドイツの SPIEGEL 誌の情報によると、ドイツ連邦警察対テロ特殊部隊GSG-9が、ドイツ外交官を守るためにリビアに派遣されていたという。
www.spiegel.de/politik/ausland/0,1518,781464,00.html

NATO軍司令部でドイツ連邦軍兵士11名が勤務しているが、戦闘任務について、ドイツ政府は否認している。
ドイツ連邦軍は、アフガニスタン派遣だけでも国内で批判が高まっているので、リビア空爆などに直接参加できないのだろう。
また、ドイツ連邦軍は対テロ特殊部隊SSKを持っていて、アフガニスタンでも活動しているという噂があるが、リビアには投入されていないようだ。

その代わりなのか、ベンガジに移動したドイツ外交官の安全を確保するために、連邦警察対テロ特殊部隊GSG-9が派遣されていた。
ベンガジに連絡事務所を移したということで、ドイツは反政府側につくことを明確に意思表示したと、カダフィ政権側からは見られてしまう。
反政府側がいつまで優勢を保つのか不明なので、ベンガジにとどまって業務を続けるには、カダフィ政権側の攻撃を想定しなければならない。
連絡事務所内はドイツ国内法が適用されるはずだから、一応警察に属するGSG-9が警備を担当しているのだろう。

記事を読むと明言はしていないものの、GSG-9を派遣した理由には、もう1つ別の側面がありそうだ。
2005年からリビア政府軍
対テロ特殊部隊に対して民間軍事会社がGSG-9隊員による訓練をしていた。
ベンガジの反政府勢力をリビア軍特殊部隊が急襲すると想定すると、訓練内容や襲撃の手の内を知っているGSG-9現部隊で対抗すべきだろう。


このようにドイツ大使館はリスクを覚悟し、特殊部隊を派遣してまで、リビア国内に残って業務をしようとしている。
2月に危険情報を出したことで免責されると思ったのか、さっさと国外に逃げ出した日本大使館員の行動は残念である。
7月に日本政府は、反体制側を正式な対話相手と認めたのに、拠点のベンガジに事務所を開設していない。
民主主義国家の建設に協力するのであれば、すぐにリビア国内に外交拠点を移すべきだ。

とにかく、政情不安が懸念される国では、日本の警察から機動隊や特殊部隊の経験者くらいは派遣できるようにしてほしいものだ。


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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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