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岩手・陸前高田の松は平泉での送り火に使えばよかったのに

今年の京都五山送り火で、岩手県陸前高田市の松の取り扱いが二転三転した問題は、何かすっきりしない気持ちが残るという、残念な結果になったと感じている。

もっと十分に計画を練っていれば、同じ岩手県内の平泉で送り火に使えたのではないか


大津波で流された松を薪などに加工して支援しようと、NPO法人ふくい災害ボランティアネットが活動している。
陸前高田市の支援に関する特設サイトは次の通りで、この支援事業の目的を一部抜粋しておこう。
www.fukkou.org/

【日本三大松原の一つである陸前高田の高田の松原7万本の木が津波により流され、市内各所に散乱している。多くの国民に愛されてきた松の木を、産業廃棄物として無駄にすることな「薪」に再利用、自然への畏敬の念を高めると共に、全国に「復興支援“薪”」などに加工して販売し、収益を“高田の松原”復興支援資金の一部とする。 】

最新の商品は、木の中心部分を利用した念珠で、朝日新聞の記事で紹介されている。
www.asahi.com/national/update/0821/OSK201108210056.html

【京都の「五山送り火」で使われなかった岩手県陸前高田市の「高田松原」の松を、福井県のNPO法人「ふくい災害ボランティアネット」が念珠に加工して販売している。表皮から放射性セシウムが検出された薪(まき)の販売は12日に中止したが、念珠は幹の中心部で作っているため、販売を続けるという。…】

このNPOは薪への加工と販売をしており、京都五山送り火で使うというアイデアは、大分の藤原了児氏が提案したものだ。
藤原氏は今回の計画について、時系列でまとめている。
okuribi.hujikumi.com/index.html

平泉の歴史遺産(中尊寺・毛越寺など)が世界遺産に登録されてから、観光客は増加している。

送り盆の行事としては
平泉大文字まつり」が、1965年から平泉観光協会主催で行われている。
観光案内での説明は次の通り。
www.iwatetabi.jp/event/detail/03402/103.html
hiraizumi.or.jp/event/daimonji.html

今年の平泉大文字まつりについて、岩手日日新聞の記事から引用しておこう。
www.iwanichi.co.jp/ichinoseki/item_25339.html

【平泉町の「平泉大文字送り火」(平泉観光協会主催)が16日夜開かれた。町民や見物客らが束稲山に連なる駒形峰の斜面に赤々と浮かび上がった「大」の文字を静かに見守り、祖先や東日本大震災物故者の霊を慰めた。毛越寺では初の「法灯会(え)」と町民団体による夢灯(あか)りも行われ、町全体がほのかな明かりに彩られた。

…町内の中高生5人が中尊寺の「不滅の法燈(ほうとう)」から分火した火種をリレーで運び、点火を待った。

今回は先祖に加えて3月11日の東日本大震災物故者の慰霊を目的に、岩手、宮城両県の沿岸被災地14市町村の津波で流された住宅の柱などを火床でたいて供養。…】

また、読売新聞の記事では、放射性物質検査については議論とならなかったとある。
www.yomiuri.co.jp/national/news/20110816-OYT1T00878.htm


【…
平泉観光協会が7月下旬、がれきとなった漁具や住宅廃材を回収。この日は、地元中学生らのリレーで中尊寺本堂の火を駒形山(430メートル)まで運び、午後8時に火が付けられた。約100メートル四方の場所に「大」の字が浮かぶと、住民たちは静かに手を合わせた。
…同協会によると、平泉では放射性物質については議論にならず、測定も行わなかった。京都市の中止発表後、平泉ではがれきを使用することについて、同協会に賛同の声が寄せられたという。】

歴史的背景の異なる京都五山送り火に依頼するよりも、
同じ県内で観光協会が主催しているお祭りの方が、複雑な問題を生まずに済んだと思う。
それに陸前高田に近い平泉の方が、薪の輸送も楽だし、関係者が日帰りで送り火を見に行くこともできたはずだ。

京都の送り火の方が有名だとしても、よく調査をして、地元での追悼・慰霊行事を提案することも検討してほしかった。
そうすれば平泉を訪れる観光客も増えるし、ついでに花巻や盛岡などに寄ってもらえて、経済効果が少しはあったかもしれない。

いろいろ考えているうちに、なんだか会社の研修で出される課題のような気もしてきた。
薪を送り火で使うことはビジネスではないが、反対者とのコミュニケーションも含めて、モデルケースになりそうだ。

テーマ : 日本文化
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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