気分屋の石原都知事定例記者会見はコミュニケーション論や心理学の教材になる?

石原慎太郎都知事の不愉快な不適切発言は、これまで何度もメディアなどで取り上げられて物議を醸すこともあり、名誉棄損裁判になったこともある。

最近の例では、「フランス語蔑視発言に関する裁判」があり、私も裁判費用を5千円寄付した。
最高裁まで争われたが、名誉棄損ではないという東京高裁判決が支持され、原告のフランス語教育関係者らは門前払いという形で敗訴した。

二審の東京高裁判決後の定例記者会見で石原都知事は、「当然の判決」と言っていたが、「都知事の発言は下品な印象を与える」ことについては、一審でも認定されている。
まあ、判決主文のそんな細かいところは読まずに、「原告敗訴」という4文字だけ聞いて、本人はご満悦だったのだろう。
フランス語についての持論には自信があるはずの石原都知事だが、裁判には代理人だけが出廷し、自分で発言することは一度もなかった小心者である。

石原都知事はコミュニケーションの基礎というものを理解しておらず、自分のことだけを優先して勝手気ままにしゃべりまくる。
相手が反論すると、「ばかなことを言いなさんな」だとか、「もっと勉強してから質問しろ」などと、喧嘩を売っているだけに見える。
他人のアドバイスなど聞く気もないだろうから、心理カウンセラーと面談することを勧める側近もいないのだろう。

コミュニケーションとは相互理解の成立を目指すものであり、その成否は、もし誤解を生じたとしても、相手が受ける印象で決まるものだ。
そういう観点では、石原都知事の定例記者会見の様子は、コミュニケーション論の教材に使ってもよいかもしれない。
会社の研修では、必ず対人コミュニケーションの講座が組み込まれているし、パワーハラスメントを行う可能性が高い上司の特徴を考える素材としても使えるだろう。


ということで、不愉快になるのはわかっていながら、月に1回くらいは都知事会見のサイトを見ている。
今日も真夏日だが、節電でエアコンを使っていない室温は32℃を超えているから、ノルウェー語の勉強をする気も起きない。
他にすることもないので、都知事のアホ発言でも聞いて、不満をぶつけてみようと思った。
www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/kako23.htm

今回は、まだ動画のみ登録の9月16日と、テキスト版もある9月9日の会見を取り上げよう。

まず、9月16日の会見での冒頭発言では、東京新聞の記事を手に持って、海江田万里・前経済産業大臣の批判を始めた。
東京消防庁のスーパーレスキュー隊についての話が違うとして、「嘘つき」と言い放った。

ただし石原都知事は前言と矛盾することを何度も言うので、他人のことを「嘘つき」だなどと、堂々と酷評できるわけがない。
4月の都知事選挙のときに防災服を着たまま選挙運動もしていたが、首相官邸のメンバーが背広姿に戻ったことを批判していた。
このとき都知事は、「東京都も被災地だ。」と強調し、「震災から1か月で背広に着替えるのはおかしい」などと言っていたはずだ。
しかし選挙で当選後、気温が上がってくると防災服を脱いでしまった。
その理由を質問されて、「防災服はネクタイをしなくて済むから着ていた。暑いから脱いだ。夏用を作ってくれ。」と、4月の発言を忘れたかのような回答である。

また、気に入らない記者が質問したためか、逆に記者に文句を言っている場面もあった。
ある記者がフランス核施設での爆発事故を取り上げ、フランスの技術の方が進んでいると発言した都知事に意見を求めた。
すると都知事は、「あれは事故なのか。知らないことは答えられない。あんたも詳細を調べてから質問しろ。」と無視。
この記者は以前も、靖国神社参拝について質問して、都知事に「あんたも日本人なら参拝しろ」と一喝されていた。
このコミュニケーションを拒否する姿勢は、どのようにして生まれるのか、教材の一つにはならないだろうか。


9月9日の会見からは、ロンドンオリンピック女子サッカーアジア予選の北朝鮮戦についてのやりとりを取り上げよう。
これはテキスト版になっているので、そのまま引用する。

【【記者】サッカー女子の日本代表、なでしこジャパンが、オリンピックの出場を昨日果たしましたが、これについて、知事、感想をお願いいたします。

【知事】結構です。うれしいですね。みんな喜んでいるよ。

【記者】試合の方はご覧になりましたか。

【知事】相手がこしゃくな国だから、負けたら嫌らしいんで、結果だけ聞きました。残念だったな、本当に。オウンゴールしたやつが帰ったら死刑になるんじゃないか。あの国だと。はい。】

フランス核施設での爆発事故については、「知らないから答えられない」と言っていたのに、北朝鮮のことは抜群の想像力が働くようで、「死刑になる可能性」という自分なりの推測を堂々と答えている。

北朝鮮チームは、ワールドカップ時のドーピング違反で5名が出場停止になったにも関わらず、強行日程でもオリンピック出場権を得たので、帰国後に制裁措置はないと思われる。

「職務時間内だから、日中の試合をライブで見ていない」と言えばいいのに、それに加えて、どのような状況でオウンゴールとなったのかも知らず、その失点を取り戻すために北朝鮮が後半ロスタイムに同点に持ち込んだことも見ていないのに、こんな発言をする人は信用できない。

北朝鮮が嫌いな石原都知事だから、単なる私見・憶測、あるいはブラックジョークとして、北朝鮮ではミスをした者は強制収容所に送られたり死刑になると、勝手に思い込んでいても自分で責任を取るならいいが、こんな発言をする人がオリンピック招致を提唱すると、世界から笑い物になるのでやめてほしい。

人権無視・報道監視で最悪レベルの北朝鮮を擁護するつもりはないが、石原都知事のようにブラックジョークのつもりでも、「オウンゴールで死刑」という発言は、サッカーファンにとってはコロンビア選手の悲劇を思い出させるので、やめてほしい。

1994年サッカーワールドカップ・アメリカ大会で、コロンビアは優勝候補の一つに挙げられていた。
しかし結果は予想外のもので、予選リーグ2戦目で敗退決定という屈辱的なものだった。

予選リーグ突破のために負けられないアメリカ戦で、アンドレ・エスコバルがシュートコースを消そうとして出した足にボールが当たり、コースが変わってオウンゴールとなってしまった。
一生懸命に努力して、その瞬間の判断でベターだと選択したプレーをしても、それが裏目に出ることもある。
オウンゴールという結果は心理的ダメージは大きいが、それをはねのけて点を取り返すために努力することが大切だ。

そして報復を恐れるチーム関係者はアメリカに滞在を続けたが、彼はキャプテンとしても説明のために帰国した。
しかし帰国後、外出中に、ある男に射殺された。
単独犯なのか、背後に何か組織があるのか未解明のままだが、賭けで損をしたマフィアが暗殺を依頼したとも噂されていた。

しかし、このような事件は八百長問題も含めて、サッカーを取り巻く暗い現状ではあるものの、スポーツ本来の姿ではない。
だからこそ、嫌いな国のチームであっても、オウンゴールによる失点を帳消しにして引き分けに持ち込んだ結果を、本当のスポーツを知る者は認めなければならない。
北朝鮮選手たちの精神力の背後に、帰国後の冷遇への恐怖や、過去の歴史に関して対日憎悪があったとしても。

もし石原都知事が、自分のヨットで尖閣諸島に上陸して国旗を立てたら、有言実行の正直者として賞賛してあげよう。

テーマ : 地方自治
ジャンル : 政治・経済

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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