アイスランドは7月にも鯨肉輸出をしたがオバマ大統領は経済制裁を一時見送り

アイスランドは商業捕鯨を再開しており、ミンククジラとナガスクジラを捕獲している。
ミンククジラ肉は国内消費用に生鮮肉として流通し、ナガスクジラ肉は日本輸出用に冷凍して保管されている。
アイスランドの輸出統計を見ると、毎月ではないが、冷凍ナガスクジラ肉が一回当たり130トン前後、日本へ輸出されている。

5月と6月には輸出がゼロで、ナガスクジラ捕鯨会社 Hvalur hf. の Loftsson CEO は、日本の鯨肉需要を調査中だと言っていた。
9月3日更新の統計で、日本向けの鯨肉製品(冷凍ナガスクジラ肉)輸出が7月に行われており、その量は 133.951トン、金額は 134,779,969 ISKであった。
キロ当たり約 1,006 ISK で、日本円では約 666 円。
輸送コストなどを考慮しても、日本でのナガスクジラ卸売価格と競合可能だろう。
ただ日本国内業者は、アイスランド産ナガスクジラ肉の品質が悪く、刺身などの生食用には使えないなどと不満を持っている。
そのまま捨てたという話もあるが、低価格ということで通販業者の特売に利用したりするのだろう。

日本に輸出した7月というのは、アメリカ商務長官が、まだ反捕鯨派のゲイリー・ロック氏だったときだ。
アイスランドがナガスクジラ捕鯨と鯨肉輸出を停止しない場合に、経済制裁を実施するよう、7月20日にもオバマ大統領に進言している。
www.commerce.gov/news/press-releases/2011/07/20/us-commerce-secretary-gary-locke-certifies-icelands-whaling-undermine

その後
ロック氏は、8月1日に駐中国大使に正式に任命され、現在の商務長官はレベッカ・ブランク博士(経済学)である。
www.commerce.gov/news/press-releases/2011/08/01/us-commerce-secretary-gary-locke-resigns-and-becomes-next-us-ambassad

商務長官の交代には無関係と思われるが、9月15日にオバマ大統領は、アイスランドへの経済制裁について一時的に見送ることを発表した。
ホワイトハウスからの発表は次の通り。
www.whitehouse.gov/the-press-office/2011/09/15/message-president-congress

この発表に関する時事通信の配信記事は、朝日新聞によると次の通り。
www.asahi.com/international/jiji/JJT201109160031.html

【オバマ米大統領は15日、アイスランドの商業捕鯨などへの経済制裁措置発動の可否について、輸入禁止などの制裁措置は見送り、外交交渉などを通じてアイスランドに捕鯨の制限を求めていく方針を決め、米議会に伝えた。大統領は議会への文書で同国の捕鯨活動に「最高度の注意を払う」とし、監視を強化する姿勢を示した。

米商務省は7月、アイスランドの漁業者による商業捕鯨やナガスクジラ肉の輸出が国際的なクジラ保護の取り組みを妨げていると指摘し、輸入禁止などの経済制裁措置を可能とする米国内法の対象に指定していた。】

クジラ・イルカ保護団体のWDCSは、経済制裁の実施見送りを残念だと言っているが、これまでの要請活動が一定の成果を挙げたと評価し、今後の経済制裁の可能性に期待している。
www.wdcs.org/stop/killing_trade/story_details.php

日本の鯨肉需要が減少していると判断した Hvalur hf. は、在庫を減らすことの方が今年の優先課題かもしれない。
捕鯨船の乗員、そして解体作業員として雇用されていた人たちの現状は知らないが、仕事がない今では、通常の漁船に乗っているのかもしれない。

まあ、EU加盟の条件に捕鯨停止が入るかもしれないので、アメリカが経済制裁を検討する必要はないかもしれない。
それにアメリカとしては、アイスランド産タラを輸入したいので、経済制裁の対象品目は限定されるだろう。
加えて、財政赤字問題とヨーロッパ金融危機の回避が最優先事項なので、捕鯨問題は一時保留となるだろう。

アメリカが動かないとなると、環境活動家たちが何か攻撃的活動を始めるかもしれない。
アイスランドで何か関連した報道があれば、内容をチェックしておこう。

追記(9月27日):
アイスランド漁業農業省は16日にプレスリリースを出しアメリカ商務省の主張に対して、アイスランドでのナガスクジラ捕鯨は科学的根拠に基づいて行われていると反論している。
eng.sjavarutvegsraduneyti.is/news-and-articles/nr/10648 (英語)
www.sjavarutvegsraduneyti.is/frettir/frettatilkynningar/nr/10647 (アイスランド語)

また、アイスランド外務大臣も、アメリカの反捕鯨行動に対して、不当な行為であると反論している。
www.visir.is/ossur--islendingar-eiga-fullt-af-odrum-vinum/article/2011110919271 (アイスランド語)

加えて、アイスランド海洋研究所のクジラ専門家である Gísli Víkingsson は、IUCNが北半球のナガスクジラも絶滅危惧種に指定していることに反論している。
アイスランド付近には約2万頭のナガスクジラが生息しており、157頭の捕獲枠ならば影響はないと言っている。
www.mbl.is/frettir/innlent/2011/09/26/ovenjuleg_og_ovisindaleg_flokkun/ (アイスランド語)
www.icelandreview.com/icelandreview/daily_news/ (英語)

(最終チェック・修正日 2011年09月27日)


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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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