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年平均70cm低下する死海の水位回復には年0.9立方キロメートルを超える海水導入が必要

イスラエルとヨルダンの間にある死海は、塩分濃度が高いことで有名であり、リゾートにもなっている。

死海を紹介するサイト(イスラエル)は次の通り。
www.deadsea.co.il/index.php

泥パックが肌に良いと言われ、皮膚病の治療に訪れる人も多く、様々な製品が日本にも輸出されている。

死海の水面は、海面より下にあることも有名で、上記サイトの説明では、-416mである。
ところが最近の論文では、2008年には、-420mにまで下がったことが示されている。

1970年代以降、ヨルダン川流域での水利用が増えたため、死海に流れ込む水量が減ったことが主原因だ。
また、塩の採取も水位低下の原因となっている。

水位回復のため、死海-紅海運河、または地中海-死海運河が計画され、海水を導入しようとしている。

Naturewissenschaften の論文では、年間 0.9 km3 を超える海水導入が必要だと報告されている。
論文本文は有料だが、要約と1ページ目は無料で読める。
www.springerlink.com/content/l1j22233w5g6x4g1/

この論文を紹介する S?ddeutsche Zeitung の記事は次の通り。
www.sueddeutsche.de/,ra16m1/wissen/154/460785/text/

様々なデータの解析の結果、1978年以来、死海の水面は年平均 70 cm ずつ低下している。
面積は年平均 4 km2 の減少で、体積は年平均 0.47 km3 の減少である。

この30年間に失われた湖水の体積は、14 km3 に達しており、計画中の運河を利用して、
元の水面までゆっくと回復させるには、年間 0.9 km3 を超える海水導入が必要だと算出された。

もし300km長のパイプラインを建設すると、約50億ユーロが必要だそうだ。
金額も膨大なので、まだ計画段階だが、実現すると環境保護だけではなく、経済的見返りも大きいという。

死海水面の海抜が低いことから、この落差を利用した水力発電が可能となる。
海水の汲み上げと移送にもエネルギーが必要だが、この水力発電で相殺されて、お釣りがくるのだろう。

移送する海水を淡水化することで、飲料水や農業用水、工業用水にも利用できる。
この淡水化に必要な電力も、水力発電でまかなえるのだろう。

また、水位が維持されれば、リゾートとしての価値が長続きし、経済的にも重要な地域になる。
それに観光産業だけではなく、カリウム塩を利用する工業も存続できる。

水位回復と水力発電、淡水化による水利用を含めて、年間で最低 0.9 km3 の海水が必要というわけだ。


ところで海水淡水化といえば、日本企業もかなり高い技術を有しており、
死海を救うために協力してもよいのではないかと思う。

この地域で日本は、比較的中立的な立場で振る舞うことが可能だから、チャンスはあると思うが。

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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