死海の湖底調査で淡水の湧水が複数確認された
死海は宗教的意味の他に、地表で一番低い位置にあることや、海水よりも塩分濃度が高いこと、または泥パックエステなどがあるリゾート地としても有名である。
そして環境問題の観点では、湖面が毎年約1メートル低下していることから、死海の消滅が懸念されている。
死海の水位回復に必要な水量は既に試算されており、紅海から運河を引いて海水を補給する計画も提案されている。
死海の方が海抜が低いため、その落差を利用した水力発電も可能となる。
その電力で海水の一部を淡水化し、生活用水や農業用水に利用すれば、ヨルダン川などの水源を保全できるだろう。
しかしその運河によって、砂漠に生息する動植物に影響が出ると警告されており、死海の水位回復は単純な課題ではない。
死海という名前の由来について、塩分濃度が高すぎて生物がほとんど生息できない塩湖だから、という説もある。
ただ、淡水の湧水がある一か所では、魚類が生息しているそうだ。
www.kokusai-kyoiku.or.jp/cat08/
また、これまでの調査では、緑藻類ドナリエラや、古細菌の高度好塩菌(ハロバクテリア)が確認されている。
しかし、湖底の様子や生態系の調査が足りないため、マックス・プランク研究所がイスラエルのベングリオン大学と共同で、2011年10月に潜水調査を行った。
すると、淡水の湧水が複数個所で見つかり、また微生物のサンプル取得にも成功した。
研究所のプレスリリースと、潜水調査の様子の動画は次の通り。
www.mpi-bremen.de/Quellen_des_Lebens_im_Toten_Meer.html
www.youtube.com/user/MPIMarinMicrobiology
そして環境問題の観点では、湖面が毎年約1メートル低下していることから、死海の消滅が懸念されている。
死海の水位回復に必要な水量は既に試算されており、紅海から運河を引いて海水を補給する計画も提案されている。
死海の方が海抜が低いため、その落差を利用した水力発電も可能となる。
その電力で海水の一部を淡水化し、生活用水や農業用水に利用すれば、ヨルダン川などの水源を保全できるだろう。
しかしその運河によって、砂漠に生息する動植物に影響が出ると警告されており、死海の水位回復は単純な課題ではない。
イスラエルとヨルダンの間にある死海は、塩分濃度が高いことで有名であり、リゾートにもなっている。死海を紹介するサイト(イスラエル)は次の通り。www.deadsea.co.il/index.php泥パックが肌に良いと言われ、皮膚病の治療に訪れる人も多く、様々な製品が日本にも輸出されている。死海の水面は、海面より下にあることも有名で、上記サイトの説明では、-416mである。ところが最近の論文では、2008年には、-42
年平均70cm低下する死海の水位回復には年0.9立方キロメートルを超える海水導入が必要
死海という名前の由来について、塩分濃度が高すぎて生物がほとんど生息できない塩湖だから、という説もある。
ただ、淡水の湧水がある一か所では、魚類が生息しているそうだ。
www.kokusai-kyoiku.or.jp/cat08/
また、これまでの調査では、緑藻類ドナリエラや、古細菌の高度好塩菌(ハロバクテリア)が確認されている。
しかし、湖底の様子や生態系の調査が足りないため、マックス・プランク研究所がイスラエルのベングリオン大学と共同で、2011年10月に潜水調査を行った。
すると、淡水の湧水が複数個所で見つかり、また微生物のサンプル取得にも成功した。
研究所のプレスリリースと、潜水調査の様子の動画は次の通り。
www.mpi-bremen.de/Quellen_des_Lebens_im_Toten_Meer.html
www.youtube.com/user/MPIMarinMicrobiology
この研究成果を報じた SPIEGEL Online と、Jerusalem Post の記事は次の通り。
www.spiegel.de/wissenschaft/natur/0,1518,787784,00.html (ドイツ語)
www.jpost.com/Sci-Tech/Article.aspx (英語)
ドイツとイスラエルの共同研究と言うと、ホロコーストを知っている人の中には違和感を持つ人がいるかもしれないが、戦後ドイツの信頼回復の努力、そしてヴァイツゼッカー元大統領の演説が、両国の関係改善を進展させたと私は思っている。
今回の潜水調査では、最新設備を使って湖底を詳細に調査して、淡水の湧水を複数個所で新発見した。
そしてその湧水周辺では、微生物がマット状に堆積するほど大量に生息していることがわかった。
動画でも湧水と、サンプル採取時に舞い上がる堆積物がよくわかる。
海水の約10倍という塩濃度であっても、淡水の湧水付近では局所的に濃度は薄くなっているため、微生物が大量に生息可能になっていると思われる。
まだ微生物の分類などの詳細は報告されていないが、これからDNA分析なども含めて、論文が発表されるだろう。
死海の湖底に、実際にどれだけの数の湧水地点があるのか、それはまだ不明である。
そのため湖底の湧水が、死海の水収支にどれだけ影響しているのか、それもまだ不明のままである。
まあ、死海の水位は毎年下がり続けているので、人間がヨルダン川から奪った水を補うほどではないことだけは確かだろう。
このように、地球上のことなのに、まだまだわからないことがたくさん残っているのだから、科学者が取り組むテーマは尽きることがない。
そして、人間側の勝手な常識で、「生物が生息できない死海」というイメージを作ってはならないことも学んだ。
生物多様性の実例として、死海という厳しい環境でも生息できる生物が多数存在していることを知ってほしい。
www.spiegel.de/wissenschaft/natur/0,1518,787784,00.html (ドイツ語)
www.jpost.com/Sci-Tech/Article.aspx (英語)
ドイツとイスラエルの共同研究と言うと、ホロコーストを知っている人の中には違和感を持つ人がいるかもしれないが、戦後ドイツの信頼回復の努力、そしてヴァイツゼッカー元大統領の演説が、両国の関係改善を進展させたと私は思っている。
今回の潜水調査では、最新設備を使って湖底を詳細に調査して、淡水の湧水を複数個所で新発見した。
そしてその湧水周辺では、微生物がマット状に堆積するほど大量に生息していることがわかった。
動画でも湧水と、サンプル採取時に舞い上がる堆積物がよくわかる。
海水の約10倍という塩濃度であっても、淡水の湧水付近では局所的に濃度は薄くなっているため、微生物が大量に生息可能になっていると思われる。
まだ微生物の分類などの詳細は報告されていないが、これからDNA分析なども含めて、論文が発表されるだろう。
死海の湖底に、実際にどれだけの数の湧水地点があるのか、それはまだ不明である。
そのため湖底の湧水が、死海の水収支にどれだけ影響しているのか、それもまだ不明のままである。
まあ、死海の水位は毎年下がり続けているので、人間がヨルダン川から奪った水を補うほどではないことだけは確かだろう。
このように、地球上のことなのに、まだまだわからないことがたくさん残っているのだから、科学者が取り組むテーマは尽きることがない。
そして、人間側の勝手な常識で、「生物が生息できない死海」というイメージを作ってはならないことも学んだ。
生物多様性の実例として、死海という厳しい環境でも生息できる生物が多数存在していることを知ってほしい。