ヨーロッパ各地で検出された放射性ヨウ素131の発生源は不明(ハンガリーの企業と判明)

国際原子力機関(IAEA)の11月11日付けプレスリリースによると、ヨーロッパ各地で微量の放射性ヨウ素131が検出されたそうだ。
検出された濃度では健康被害は起きず、また半減期が8日と短いことから、フクシマ事故由来ではない。
しかし現時点では、その発生源が特定できていないため、関係機関と協力して調査中とのことだ。
www.iaea.org/newscenter/pressreleases/2011/prn201124.html
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【The IAEA has received information from the State Office for Nuclear Safety of the Czech Republic that very low levels of iodine-131 have been measured in the atmosphere over the Czech Republic in recent days.

The IAEA has learned about similar measurements in other locations across Europe.

The IAEA believes the current trace levels of iodine-131 that have been measured do not pose a public health risk and are not caused by the Fukushima Daiichi nuclear accident in Japan.

The IAEA is working with its counterparts to determine the cause and origin of the iodine-131.
…】
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ロイターの英語配信記事は次の通りで、発生源の可能性として放射性医薬品と原子力潜水艦などを挙げているが、いずれの場合も原則として厳重に管理されているため、なぜヨウ素131が環境中に放出されたのか謎のままだ。
www.reuters.com/article/2011/11/11/us-nuclear-iodine-iaea-idUSTRE7AA4U020111111

日本語記事としては、NHKニュースを引用しよう。
www3.nhk.or.jp/news/html/20111112/t10013913891000.html
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【…IAEAは11日、チェコの原子力規制当局が、この数日間にごく微量の放射性物質のヨウ素131を大気中から観測し、ヨーロッパの各地でも同じように放射性ヨウ素が観測されたと発表しました。また、世界各地で核実験を監視しているCTBTO=包括的核実験禁止条約機構もヨウ素131が先月下旬以降、ロシア、スウェーデン、それにオーストリアに設置している観測施設で検出されたことを明らかにしました。このうち、オーストリアでは、現地の当局が先月17日以降、ヨウ素131を観測していて、その値は最大で1ナノシーベルトと、福島第一原子力発電所の事故のあとにオーストリア国内で観測された値の100分の1程度だったということです。放射性ヨウ素は、ハンガリーやドイツなどでも観測されており、ヨーロッパ各地で放射性ヨウ素が観測されたことについて、IAEAは「原発事故が原因である可能性は低い。検出された値は低く、人の健康への影響はない」と話しています。…

ヨウ素131は、病気の検査や治療など主に医療用にも使われています。ヨウ素131をはじめ、医療や研究目的などで製造される放射性物質については、病院や研究所、企業などに安全に管理する責任がありますが、不適切な管理が報告されるケースも少なくありません。】
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引用した記事にもあるように、IAEAに最初に報告したのはチェコの原子力関係機関だが、その後は核実験監視システムも含めて、ヨーロッパ各地で微量のヨウ素131が検出されている。

ドイツは脱原発路線を選択したということもあり、各メディアで大きく取り上げられている。
代表として、SPEIGEL Online と Süddeutsche Zeitung の記事を引用しておこう。
www.spiegel.de/wissenschaft/technik/0,1518,797269,00.html
www.sueddeutsche.de/wissen/jod-messungen-radioaktive-strahlung-ueber-europa-1.1187120

ヨウ素131は10月下旬から検出されていたそうだが、検出限界ぎりぎりの値、数マイクロベクレル単位であった。
地表に落ちたヨウ素131は、牛乳や野菜を通じて人体に入るが、測定値を信じるならば、健康に影響はないと考えてよいだろう。
「健康に影響はない」という根拠は、「飛行機で大西洋を横断したときに浴びる放射線量の4000分の1」だから。
今回のヨウ素131よりも、25年前のチェルノブイリ事故で放出されたセシウム137の方が、未だに影響が大きいはずだし。

放出源が特定されていないことが不安を増大させているものの、測定値から考えて最も可能性が高いのは、放射性医薬品ではないかと言われている。
患者の尿からなのか、アンプルの不適切な処理なのか、それとも余った放射性医薬品・検査薬を不法投棄したのか、それはまだ不明だ。
ヨウ素131の半減期は8日と短いので、これ以上心配することはないという意見もあるが、発生源を見つける前に検出限界未満に減ってしまうというジレンマもある。

不適切な管理というと、最近ではラジウム入りのビンが見つかったというニュースが続いている。
以前も、大学敷地内の池に捨てたり、JRの駅前で放射性検査薬をばらまいたという事件があった。
今回も処分に困ったある人が、どこかの山にでも捨てたと推測してもよいだろう。
もしかすると、フクシマ事故があったので、捨てても気付かれないと思ったのかもしれない。
チェルノブイリ事故後も、ヨーロッパ各地の核施設で放射性廃棄物の投棄があったという噂が流れたし。

原子力潜水艦の事故では、軍事機密なので情報が出てこないと思われるが、他の核種が検出されない場合は可能性が低いと考えてもよいだろう。

とにかく、発生源の特定がされるまで待つことにしよう。

追記(11月17日):
17日のIAEAプレスリリースによると、ハンガリーの放射性医薬品などのメーカー(The Institute of Isotopes Co., Ltd., Izotop)が発生源と特定されたそうだ。
漏えいの原因は調査中。
www.iaea.org/newscenter/pressreleases/2011/prn201127.html

そのハンガリー企業 Izotop のHPは次の通り(日本語版あり)だが、今回のヨウ素131の件は、まだ何も出ていない。
www.izotop.hu/

ドイツ語記事として SPIEGEL Online を引用しておく。
www.spiegel.de/wissenschaft/technik/0,1518,798441,00.html

(最終チェック・修正日 2011年11月18日)

テーマ : 放射能ニュース
ジャンル : ニュース

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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