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Idiomを使う翻訳開始:100%マッチなのに修正する必要があるとは

夏に新規契約した外資系メーカーの翻訳プロジェクトは、スケジュールの都合で10月に初めて受注した。
製品データベースの和訳なので大量にあるが、週末中心の私には少なめに割り当てられている。

このメーカーでは、Idiom WorldServer という翻訳管理システムを導入している。
http://solutions.sunflare.com/product/idiomws_2/

私たち翻訳者には、Idiom Desktop Workbench という編集ソフトが無償で提供される。
このソフトと、発注時点で最新の翻訳メモリと用語集を利用して、翻訳作業を進めていく。

このプロジェクトでは、翻訳会社を通さない直接契約をしたため、ワード単価は通常の2倍である。
ただ、翻訳メモリとのマッチ率で単価は変化し、100% マッチでは 10% にまで下がる設定だ。

そのため、ワード数は多くても、今回の翻訳料金は4万円強と、期待したほどではなかった。
まあ、このプロジェクトは新製品が出れば続き、終わりがないから、トータルでは家計を助けるはず。

単価のことだが、他の翻訳者の話では、100% マッチの場合はゼロ円のことがあるそうだ。
報酬なしということは、100% マッチの場合は何も確認せずに作業を進めることになる。

ところが私の場合は、100% マッチでも、誤訳がないかどうかの確認が必要と指示があり、10% 分はもらえる。
まあ、作業を一瞬止めて、ちらっと見るだけだし、手間賃として 10% でもいいかなと思った。

実際に作業を始めると、150 セグメント程のファイルでも、
100% マッチなのに2個所の修正が必要だった。

一つは、訳抜けと言える例で、"varying amount of anhydride" が、単に 「無水物」 だった。
100% マッチの修正は適宜行えるとのことで、「不定量の無水物」 を入力して、翻訳メモリにも登録した。

もう一つは、100% マッチであったが、そのセグメント単独では意味をなさないため、後続のセグメント2つを結合して、意味のある文にしてから和訳した。

こ れはシステムの問題だが、原文にピリオドがあると、そこを文末と勘違いして分割してしまう。
そのため、細かく分割されたセグメントが、単独で 100% マッチと表示されることがあるわけだ。

この細切れのセグメントで 100% マッチだったということは、翻訳メモリの登録が変なのかもしれない。
自分の和訳を登録することはできるが、過去訳の削除は権限がない。
そのため、クライアントのチェッカーに申告して、翻訳メモリの修正をお願いすることにしよう。


他にも、原文の英語で、スペルミスを 2個所見つけた。

"quantative determination" は、正しくは "quantitative determination" 、
"oleofins" は、正しくは "olefins" と解釈して和訳し、コメントを入れておいた。

以前も特許文書の和訳で、辞書にない単語で苦労したが、よくあるスペルミスとして登録されていた。
病気の名前などで間違えやすいスペリングをまとめたサイトもあるが、他の分野はどうなんだろう。

まあ、こんなことを言う私も以前、inter- と書き始めるところを intra- と、ミスしたことがある。

人間はミスをするが、複数の目で確認すれば、よりよいものに仕上げていける。
化学者の私がプロジェクトに参加することで、翻訳メモリが改善されるようにしたいものだ。


追記(11月1日):
和訳入力後、原文英語に出ている、 あるパラジウム錯体の組成式が気になった。
パラジウムと配位子の比は2対3のはずだが、1対3で表示されていた。
併記してあったカタログ番号から調べて、2対3が正しく、原文のタイプミスだと判明した。

こういった訳語の選択ではなく、化学の専門知識が問われる場合は、私のような翻訳者が望ましいわけだ。
原文のタイプミスを既に3個所見つけたわけで、これはアメリカ本社に伝えられるだろう。

契約では、2回目の受注からワード単価が1円上乗せされるが、この貢献によって確実だろう。

(最終チェック・修正日 2009年11月 01日)

テーマ : 翻訳
ジャンル : ビジネス

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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