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ドイツのウシから未知のウイルス(オルトブニヤウイルス?)が検出された

ヨーロッパで大騒ぎとなったウシの病気と言えば、BSE(ウシ海綿状脳症)である。
変異プリオンはヒトにも影響し、新型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症が大問題となった。
私がドイツ留学していた時期は、まだイギリスの問題だったため、学食では「安全なドイツの牛肉を使用」という掲示をしていた。

帰国後しばらくしてから、ドイツでもBSEが発生したため、6か月以上滞在した私は、今でも献血ができない。
骨髄ドナーとしての登録情報利用は一時保留となったが、現在ではその制限が解除されている。

BSE騒ぎが終息したドイツだが、今度は未知のウイルスに感染したウシがノルトライン・ヴェストファーレン州で見つかった。
家畜伝染病などの研究をしている Friedrich-Loeffler 研究所(FLI)が、オルトブニヤウイルスの一種と思われるウイルスを検出した。

主に吸血昆虫により媒介されるオルトブニヤウイルス属の病原体は、オセアニア、オーストラリア、アフリカでよく見られるが、ドイツではまれである。

研究所のHPと、この未知のウイルス検出のニュース(ドイツ語・英語)は次の通り。
www.fli.bund.de/
www.fli.bund.de/no_cache/de/startseite/presse/mitteilungen/neues-orthobunyavirus-bei-rindern.html
www.fli.bund.de/en/startseite/press-releases/releases/neues-orthobunyavirus-bei-rindern.html

ドイツのメディアでも取り上げられているので、2つ引用しておく。
www.spiegel.de/wissenschaft/natur/0,1518,799067,00.html
www.sueddeutsche.de/wissen/tierseuche-unbekanntes-rindervirus-entdeckt-1.1196105

今年の夏以降、ノルトライン・ヴェストファーレン州で飼育されているウシで、原因不明の40度を超える発熱や、乳量の減少などが見られた。
通常の検査方法では病原体が判明せず、FLIがメタゲノム解析を行ったところ、あるウイルスが検出された。
そのゲノム解析の結果から、アカバネウイルスによく似ているものの、未知のオルトブニヤウイルス属らしいと判明した。

また、オランダの農場80か所でも同様の発症が見つかっており、同じウイルスが原因と考えられている。
しかし、今回検出された新ウイルスが、本当に原因病原体なのかどうかの結論は、まだ出せないという。


ウイルスの培養法や検査方法の開発が進められているが、元々今回の新ウイルスがどこから来たのか、いつから潜伏していたのか、既知のウイルスがヨーロッパで変異したのか、それは全く不明である。

畜産業では病原性大腸菌やサルモネラ菌の他、チーズのリステリア菌汚染が注目されているが、今回の新ウイルスの情報にも注意していきたい。

テーマ : 海外ニュース
ジャンル : ニュース

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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