アイスランドのEU加盟交渉でEU側が商業捕鯨についてなぜか言及せず

経済破綻後に成立した現アイスランド政府は、EUに加盟して、ユーロ導入による立て直しを考えている。
アイスランド国民への世論調査では、賛成・反対はほぼ拮抗しているという報告もあれば、反対が多いという結果が出たりで、本当のところは国民投票をしてみないとわからない。

経済再建のためにEU加盟交渉を始めたわけだが、環境問題などの他の分野でも、EUの政策と矛盾しないように調整する必要がある。
アイスランドの加盟は絶対に無理だと噂されているが、それはアイスランドが再開した商業捕鯨がEUの方針に反するから。
クジラだけではなく、野生生物の保護政策について、EUの環境政策基準に合わせることが、加盟条件になると推測されている。

本来EUでは、多様な文化・民族の相互理解を推進するはずなので、アイスランド特有の捕鯨文化は認められる可能性はある。
例えば、国民のほとんどがカトリック教徒のマルタでは最近まで、憲法で離婚を禁止していたのだし。

捕鯨に関してEU内では、デンマークはグリーンランドとフェロー諸島の外交を代理する立場のため中立だ。
しかし、強硬な反捕鯨国であるオランダが特に中心となって、EU議会では捕鯨反対決議を採択している。
そしてアイスランドへの質問書にも、捕鯨に関する質問が含まれていた。

今のEUは、アイスランドの加盟交渉をしている余裕はないと思われるが、先週から環境部会での事前交渉が始まっている。
アイスランドのメディアの報道では、交渉に参加している外務大臣の話として、EU側から捕鯨問題については、何も言及がなかったとある。

Iceland Review Online の英語記事と、アイスランド語の記事を引用しておこう。
www.icelandreview.com/icelandreview/daily_news/
The European Union will not make remarks on commercial whaling in Iceland at the opening of the environmental chapter during the ongoing accession talks, as Icelandic Foreign Minister Össur Skarphéðinsson stated this week. …】

ruv.is/frett/engar-athugasemdir-vid-hvalveidar

【Evrópusambandið mun ekki gera athugasemdir við hvalveiðar Íslendinga við opnun umhverfiskafla aðildarviðræðnanna. …】

まだ会合が始まったばかりなので、この時点では、EU側の態度が変わったなどとの結論を出すことはできない。
環境関連の話題はクジラだけではなく、回遊性魚類や渡り鳥なども含めた広範囲のものだから、最初から商業捕鯨の話を持ち出して混乱させるようなことは、EU側も避けたいはずだ。
まあ今年は、アイスランドがナガスクジラ漁をしなかったため、EU内の強行派を思いとどまらせたのかもしれないが。

捕鯨については、ある種の妥協点・交換条件が交渉議題になると、私は推測している。
グリーンランドと同様の先住民生存捕鯨を選択し、かつ、日本などへの鯨肉輸出を断念すれば、EU加盟が認められるかもしれない。

本格的な交渉は2012年前半に始まるそうなので、アイスランドの捕鯨の扱いについてもフォローしておこう。

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製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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