超重元素2種類(114番と116番)が正式に承認されて命名を待つだけ

2010年2月に112番元素の名称が、copernicium(和名:コペルニシウム、元素記号:Cn)と決定された。
これまでに報告されている超重元素は118番まであるが、追試を続けて最終的な確認が取れるまでは、仮登録のままである。

113番から118番までの元素について、IUPAC(国際純正及び応用化学連合)が解説した論文「Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113 (IUPAC Technical Report)」は次の通り(2つ目のリンクは訂正)。
iupac.org/publications/pac/pdf/2011/pdf/8307x1485.pdf
iupac.org/publications/pac/pdf/2011/pdf/8309x1801.pdf (上記論文の訂正個所について)

このうち114番と116番について正式に確認され、IUPACが12月1日に、世界化学年2011の終了セレモニーに合わせてプレスリリースを出している。
発見した研究グループに命名権があり、114番は flerovium(フレロビウム、Fl)、116番は livermorium(リバモリウム、Lv)が提案されている(カタカナ表記は字訳した仮の表記)。
www.iupac.org/web/nt/2011-12-01_name_element_114_116

朝日新聞の記事は次の通りで、ついでに113番元素は日本の理化学研究所が発見したことを伝えている。
www.asahi.com/science/update/1203/TKY201112030515.html

【…「国際純正及び応用化学連合(IUPAC)」が原子番号114と116の元素の存在を認め、名前をそれぞれ「フレロビウム(Fl)」と「リバモリウム(Lv)」とする案を発表した。意見募集などを経て半年後に正式に決まる。

元素の命名権は発見者にあり、IUPACが最終承認する。今回の二つは発見した米・ロの研究機関がある地名や設立にかかわった物理学者の名前から取った。…
…未認定の113は理化学研究所が2004年に発見、「日本発」の新元素として注目されている。】

本日19日の日本化学会のメール通信で、112番元素の名称が決定したとあった。 【本日IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry、国際純正・応用化学連合)から 112番元素の名称が決定したとのプレスリリースがありました。       元素名:copernicium       元素記号:Cn       原子番号:112 元素名については、
112番元素の名称がCopernicium(元素記号Cn)に正式決定


先に示したIUPACの解説論文では、113番から118番までの元素について、様々な同位体の壊変だけでなく、発見の優先権を含めた説明をしている。

元素発見の優先権についての争いは昔から絶えず、フランス陣営対ドイツ陣営の例としては、71番元素ルテチウム(カシオペイウム)が有名である。
第二次大戦後の東西冷戦時代には、当然ながらアメリカとソ連との競争が激しくなっていた。

ただし最近では、設備だけでなく研究費の面でも、1か国単独での研究遂行が困難になっているため、国際共同研究として実験が行われている。
引用した朝日新聞の記事では、113番元素は日本の理化学研究所が発見したとなっているが、研究チーム自体は国際共同研究体制になっている。

今回承認された114番と116番についても、ロシアの Joint Institute for Nuclear Research と、アメリカの Lawrence Livermore National Laboratory の共同研究である。
両研究所のニュースリリースは次の通りで、元素名の案について、その由来も含めて触れている。 
www.jinr.ru/news_article.asp
www.llnl.gov/news/newsreleases/2011/Dec/NR-11-12-01.html

114番元素の flerovium は、ロシアの核物理学者 Georgiy N. Flerov にちなんだ名称として提案された。
116番元素の livermorium は、共同研究をした Lawrence Livermore National Laboratory にちなんだ名称である。
ロシアとアメリカとで、一つずつ命名提案を分け合うというのは、冷戦時代を知る人には驚きかもしれないが、国際共同研究時代には当然のことだろう。

もし113番元素が承認された場合、日本だけの研究成果とするわけにいかないので、命名には苦労するだろう。
中国との共同研究なので、日本の国名にちなんだ命名は避けるべきで、物理学者や研究所、あるいは地名から採用するのかもしれない。
とにかく理研には、113番元素の追試を続けてもらい、一日もはやく承認されるように努力してほしい。

追記(2012年06月27日):
元素名命名に関する、IUPACの正式なプレスリリースは次の通り。
www.iupac.org/news/news-detail/article/element-114-is-named-flerovium-and-element-116-is-named-livermorium.html

【IUPAC has officially approved the name flerovium, with symbol Fl, for the element of atomic number 114 and the name livermorium, with symbol Lv, for the element of atomic number 116. 】

これを受けて、日本化学会・命名法専門委員会では、114番元素と116番元素の日本語名称を決定し、以下のように発表した。
www.chemistry.or.jp/international/elements114-116.html

【国際純正・応用化学連合(IUPAC)は114番元素をflerovium(元素記号Fl)および116番元素をlivermorium(元素記号Lv)と決定し、2012年5月30日に発表しました。
これを受けて日本化学会命名法専門委員会は114番元素および116番元素の日本語名称をそれぞれフレロビウムおよびリバモリウムとすることを決定しましたので、お知らせいたします。】

(最終チェック・修正日 2012年06月27日)

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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