「止まらぬ鯨肉離れ 値段高く、在庫10年で約3倍」(日経電子版2011年12月18日)
今シーズンも南極海に調査捕鯨団が出航した。
実質的には、科学調査を隠れみのにした商業捕鯨である。
最近は環境テロリスト集団、シーシェパード(SSCS)との小競り合いの映像が有名だが、国内では鯨肉離れが進んでいることは地味なニュースなので、あまり取り上げられない。
日経ビジネス Online では2010年に、「大規模捕鯨の担い手は、もう民間にはいない」という記事を掲載したが、どの程度の反響があったのか、私は情報を持っていない。
business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100215/212813/
12月18日夜に日経電子版に、「止まらぬ鯨肉離れ 値段高く、在庫10年で約3倍/捕鯨に税金、反対の声も」という記事が掲載された。
記事の冒頭部分は次の通り。
【日本の消費者の鯨肉離れが続いている。値段が高く食卓に上る機会が減り、この10年で在庫量は3倍近くに増えた。今年も調査捕鯨船団は6日に南極海に向けて出港したが、在庫は増える一方。10月からは業者への販売を定額から入札方式に変えるなど国は販売促進に力を入れるが、農林水産省の検討委員会からは調査捕鯨の中止を求める声さえ出始めた。「鯨文化」は岐路を迎えている。】
この記事の何か所かを抜粋して、メモ代わりに掲載しておこう。
実質的には、科学調査を隠れみのにした商業捕鯨である。
最近は環境テロリスト集団、シーシェパード(SSCS)との小競り合いの映像が有名だが、国内では鯨肉離れが進んでいることは地味なニュースなので、あまり取り上げられない。
日経ビジネス Online では2010年に、「大規模捕鯨の担い手は、もう民間にはいない」という記事を掲載したが、どの程度の反響があったのか、私は情報を持っていない。
business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100215/212813/
12月18日夜に日経電子版に、「止まらぬ鯨肉離れ 値段高く、在庫10年で約3倍/捕鯨に税金、反対の声も」という記事が掲載された。
記事の冒頭部分は次の通り。
【日本の消費者の鯨肉離れが続いている。値段が高く食卓に上る機会が減り、この10年で在庫量は3倍近くに増えた。今年も調査捕鯨船団は6日に南極海に向けて出港したが、在庫は増える一方。10月からは業者への販売を定額から入札方式に変えるなど国は販売促進に力を入れるが、農林水産省の検討委員会からは調査捕鯨の中止を求める声さえ出始めた。「鯨文化」は岐路を迎えている。】
この記事の何か所かを抜粋して、メモ代わりに掲載しておこう。
【主婦らでにぎわう東京都江東区のスーパー。鯨肉の大和煮などの缶詰を手に取る人はいない。過去8週間で売れたのは7缶(約3千円)。…
流通量は調査捕鯨が近海捕鯨の3倍。調査捕鯨は、商業捕鯨の再開を目指して既に24年間続いているが、その肉が大量に余っている。鯨肉の「月末在庫量の年平均値」は00年の1789トンから10年は4953トンと約2.8倍に急増している。
「消費が伸びない一因は肉の割高感」。共同船舶の担当者は苦しげに話す。流通量が多いミンククジラの赤身の店頭価格は、牛肉並みの100グラム400円前後もする。
本来、在庫が増えれば安くなるはずなのに、鯨肉が高いのは、前年の肉の販売収益で翌年の調査捕鯨の費用の大半を賄うため、定額で販売する仕組みだったからだ。
販売量の減少が続き、費用確保に懸念が出てきたのを受けて、共同船舶などは10月から肉の販売に入札制を採用した。新規参入や取引を増やす狙いだが、値が下がって調査費が減る恐れもある苦肉の策。…
…応札した東京都の仲卸業者は「安くなっても、鯨肉が急にさばけるわけではない。取扱量を今後増やすかは分からない」と話す。
今年度の調査捕鯨には、反捕鯨団体の襲撃による販売収入減を補うためなどとして、従来の4倍超の約32億円を国が投入している。…
捕鯨問題に詳しい石井敦東北大准教授(科学技術社会学)は「これまで計100億円以上の国費が長期展望を示されないまま調査捕鯨に使われてきた。消費が落ち込む中、規模や調査法を見直す時期が来ている」と指摘する。共同船舶の倉庫で最長2年冷凍保存している鯨肉は、税金の使い方も問いかけている。】
日本の全人口から見れば、ほんの一部の鯨肉消費者のために、なんだかんだと理由をこじつけて税金を投入する意味はあるのだろうか。
それに加えて今回の南極海調査捕鯨では、補正予算での増額分が震災復興に役立つという、官僚が得意とする屁理屈の実例として記憶すべきだろう。
ついでに記載しておくが、イギリスの環境保護団体EIAが、アイスランドから日本へのナガスクジラ肉輸出を追跡した。
違法性の証拠をつかんだと宣伝している映像が、National Geographic Wild で放映された(日本では放送未定)。
www.wdcs.org/news.php
日本でも放送されるかどうか、時間があるときに、ナショナルジオグラフィック・チャンネルに問い合わせてみよう。
追記(2012年01月12日):
東京新聞でも1月12日朝刊で、鯨肉が余っていることを取り上げている。
www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012011202000028.html
【二〇一一年の冷凍鯨肉の流通在庫が五千トンを超え、十年前の三倍近くに膨らんだ。反捕鯨団体の抗議を受けて販売をやめるスーパーが増加。ベーコンや缶詰の製造を打ち切る水産会社も続出したことなどが要因だ。在庫が積み上がれば、鯨の生息状況を目的にした調査捕鯨の見直しを迫られる可能性もある。
…
鯨肉の在庫増について、共同船舶の幹部は「国際展開する大手スーパーが反捕鯨団体に配慮し扱いをやめたのが痛い。外国人株主に配慮する企業もあるようだ」と嘆く。イトーヨーカ堂は数年前に需要減を理由に販売を中止。イオンは全国約千二百店のうち需要の多い地域の二十~三十店だけで販売する。マルハニチロホールディングスは「反捕鯨の意見への配慮が一番大きい」との理由で、〇八年に缶詰の製造をやめた。
このほか「価格が高いことも鯨肉離れを加速させている」との指摘も多い。関東の中堅スーパーでは刺し身用の百グラムが約四百円と和牛並み。担当者は「買うのは懐かしがって買う高齢者が中心。若い客の多い店では売っていない」と話す。
…】
(最終チェック・修正日 2012年01月12日)
流通量は調査捕鯨が近海捕鯨の3倍。調査捕鯨は、商業捕鯨の再開を目指して既に24年間続いているが、その肉が大量に余っている。鯨肉の「月末在庫量の年平均値」は00年の1789トンから10年は4953トンと約2.8倍に急増している。
「消費が伸びない一因は肉の割高感」。共同船舶の担当者は苦しげに話す。流通量が多いミンククジラの赤身の店頭価格は、牛肉並みの100グラム400円前後もする。
本来、在庫が増えれば安くなるはずなのに、鯨肉が高いのは、前年の肉の販売収益で翌年の調査捕鯨の費用の大半を賄うため、定額で販売する仕組みだったからだ。
販売量の減少が続き、費用確保に懸念が出てきたのを受けて、共同船舶などは10月から肉の販売に入札制を採用した。新規参入や取引を増やす狙いだが、値が下がって調査費が減る恐れもある苦肉の策。…
…応札した東京都の仲卸業者は「安くなっても、鯨肉が急にさばけるわけではない。取扱量を今後増やすかは分からない」と話す。
今年度の調査捕鯨には、反捕鯨団体の襲撃による販売収入減を補うためなどとして、従来の4倍超の約32億円を国が投入している。…
捕鯨問題に詳しい石井敦東北大准教授(科学技術社会学)は「これまで計100億円以上の国費が長期展望を示されないまま調査捕鯨に使われてきた。消費が落ち込む中、規模や調査法を見直す時期が来ている」と指摘する。共同船舶の倉庫で最長2年冷凍保存している鯨肉は、税金の使い方も問いかけている。】
日本の全人口から見れば、ほんの一部の鯨肉消費者のために、なんだかんだと理由をこじつけて税金を投入する意味はあるのだろうか。
それに加えて今回の南極海調査捕鯨では、補正予算での増額分が震災復興に役立つという、官僚が得意とする屁理屈の実例として記憶すべきだろう。
ついでに記載しておくが、イギリスの環境保護団体EIAが、アイスランドから日本へのナガスクジラ肉輸出を追跡した。
違法性の証拠をつかんだと宣伝している映像が、National Geographic Wild で放映された(日本では放送未定)。
www.wdcs.org/news.php
日本でも放送されるかどうか、時間があるときに、ナショナルジオグラフィック・チャンネルに問い合わせてみよう。
追記(2012年01月12日):
東京新聞でも1月12日朝刊で、鯨肉が余っていることを取り上げている。
www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012011202000028.html
【二〇一一年の冷凍鯨肉の流通在庫が五千トンを超え、十年前の三倍近くに膨らんだ。反捕鯨団体の抗議を受けて販売をやめるスーパーが増加。ベーコンや缶詰の製造を打ち切る水産会社も続出したことなどが要因だ。在庫が積み上がれば、鯨の生息状況を目的にした調査捕鯨の見直しを迫られる可能性もある。
…
鯨肉の在庫増について、共同船舶の幹部は「国際展開する大手スーパーが反捕鯨団体に配慮し扱いをやめたのが痛い。外国人株主に配慮する企業もあるようだ」と嘆く。イトーヨーカ堂は数年前に需要減を理由に販売を中止。イオンは全国約千二百店のうち需要の多い地域の二十~三十店だけで販売する。マルハニチロホールディングスは「反捕鯨の意見への配慮が一番大きい」との理由で、〇八年に缶詰の製造をやめた。
このほか「価格が高いことも鯨肉離れを加速させている」との指摘も多い。関東の中堅スーパーでは刺し身用の百グラムが約四百円と和牛並み。担当者は「買うのは懐かしがって買う高齢者が中心。若い客の多い店では売っていない」と話す。
…】
(最終チェック・修正日 2012年01月12日)