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「イタリア産」オリーブオイルの約80%が産地偽装・不正表示疑惑

今年、イタリアのニュースと言えば、ベルルスコーニ首相の辞任にまで発展した財政危機と、国債利回りの上昇という経済面ばかりが注目されているようだ。

それに加えて今月は、有機農法エコラベル不正表示容疑で社長ら7人が逮捕されたり、「イタリア産」オリーブオイルのはずが、実際には安い輸入品だったり、輸入品を混ぜて不当に高い価格で販売していたという疑惑まで発覚している。

ドイツの SPIEGEL Online の記事2本と、オリーブオイルの産地偽装に関するイタリア紙の記事を引用しておく。
www.spiegel.de/wirtschaft/service/0,1518,802161,00.html (12月7日、エコラベル不正表示)
www.spiegel.de/wirtschaft/service/0,1518,805584,00.html (12月23日、オリーブオイル産地偽装)
inchieste.repubblica.it/it/repubblica/rep-it/inchiesta-italiana/2011/12/22/news/agromafia_la_truffa_dell_olio-27042671/ (イタリア紙、La Repubblica、「オリーブオイルマフィア」)

「イタリア産」オリーブオイルの約80%で産地偽装・不正表示が発覚している。
実際の産地は主に、スペイン、ギリシャ、モロッコ、チュニジアで、安価に入手できる。
イタリア産を混ぜていることもあるし、イタリアの工場で最終工程の瓶詰めをしているので、製造場所という意味で「イタリア産」と称しているようだ。

一部の輸入品の価格は、1リットル当たりわずか25セント(約25円)で、それをイタリアで製品にして、1リットル当たり3~4ユーロという、10倍以上の値段にして販売していた。

この産地偽装・不正表示は今年始まったわけではなく、既に2007年にドイツの消費者団体が指摘していた。

www.guter-rat.de/ratgeber/Olivenoel_217765.html

オリーブオイルはイタリア料理だけではなく、地中海食文化では欠かせない食材・調味料だ。
植物油の一種というよりは、オリーブの実のジュースと考えるべきで、加熱しすぎると風味を損なうので、サラダ油代わりに炒め物に使うことは避けたい。
できればサラダ用ドレッシングとして、例えばアンチョビと和えて、砕いたアーモンドやヒマワリの種を少々入れたりしたい。

オリーブオイルについては、健康食品として認識している人たちもいる。
心臓病の発症率が下がるだとか、ビタミンEなどの抗酸化物質が効くとも言われている。

ということで、パンにオリーブオイルを付けて食べる人もいるし、明治乳業では、シチリア産オリーブオイル入りのマーガリン類も販売している。
原材料については確かめているはずだが、先日は粉ミルクの件でいろいろとあったので、もし産地について心配な人は、直接問い合わせてほしい。
catalog-p.meiji.co.jp/products/dairies/butter/020404/4902705106369.html
www.sozaikikou.jp/ (「明治食材紀行」のブランドサイト)

「イタリア産」だけではなく、「シチリア産」や「クレタ島産」という冠がついていると、その品質について、どうしても先入観を持ってしまうものだ。
産地偽装・不正表示をして販売していたイタリアの会社は、そういった消費者側の先入観を悪用しているのだろう。
また、本当に良質なオリーブオイルを見極める能力を持つ人は限られるので、一般消費者が産地偽装に気付くことはないと考えているのだろう。

今回の差額による不当な利益に対して、懲罰的課徴金が決定されることを期待したい。
また、消費者保護関係団体が返金訴訟を起こすかもしれない。
今後の展開もフォローしてみよう。

追記(12月29日):
英語記事として、AFPと Telegraph を引用しておく。
www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5gILs9mRoTd3bHp9Z-8vIZPdilX6Q
www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/retailandconsumer/8978053/Four-out-of-five-bottles-of-Italian-olive-oil-debased.html

(最終チェック・修正日 2011年12月29日)

テーマ : イタリアン
ジャンル : グルメ

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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