ドイツ語:固有名詞「Pluto(冥王星)」の2格について

冥王星(Pluto)の表面に存在する化学物質のドイツ語記事を読んでいたところ、固有名詞の2格について学ぶことになった。
www.astronews.com/news/artikel/2011/12/1112-035.shtml

Die Oberfläche Plutos ist von gefrorenem Methan, Kohlenmonoxid und Stickstoff bedeckt.
冥王星の表面は、凍結したメタン、一酸化炭素および窒素で覆われている。】

固有名詞が2格付加語となる場合は、通常は前置されて、「Plutos Oberfläche」とする。
ただし名詞に冠詞類が付いている場合には、引用したように後置されて、「die Oberfläche Plutos」となる。

別の個所では2格の代わりに、【… die rötliche Verfärbung von Pluto …】となっていたが、「des Plutos」は使わないのだろうか。
文章をいろいろと検索してみると、「des Plutos」と「des Pluto」の2種類が使われていたが、des Pluto の方が多いようだ。
新聞記事や研究機関の発表など、例文として利用できるレベルの文章なのに、これは困った。

次の Süddeutsche Zeitung の記事では、後置した Plutos の他に、des Pluto が出てくる。
www.sueddeutsche.de/wissen/hubble-blick-ins-weltall-pluto-erroetet-1.141465
【Das Erröten Plutos ist laut Nasa wahrscheinlich damit zu erklären, dass auf dem sonnenbeschienenen Pol des Pluto Eis schmolz und am anderen Pol gefror.】

次のESO(欧州宇宙機関)のプレスリリースでも des Pluto が使われている。
www.eso.org/public/germany/news/eso1142/
【Eris ist demnach von der Größe her nahezu eine perfekte Zwillingsschwester des Pluto und scheint eine stark reflektierende Oberfläche zu besitzen.】

次の Frankfurter Allgemeine Zeitung の記事では、des Plutos が出てくる。
www.faz.net/aktuell/wissen/weltraum/neues-planetensystem-zwangsabstieg-fuer-pluto-1359539.html
【Charon soll ein Mond des Plutos bleiben und nicht in die Liga der Zwergplaneten aufgenommen werden. 】

ということで、私が使っている「独和大辞典第二版(小学館)」と「マイスター独和辞典(大修館書店)」で調べてみると、2格語尾変化はないと記載されている。
また、独和辞典で疑問があった場合に使う DUDEN Deutsches Universalwörterbuch(第6版)によると、Pluto は男性名詞で、「冥王星」の意味のときの2格語尾は Plutos
2Pluto, der; -s: kleinster, (von der Sonne aus gerechnet) neunter, äußerster Planet unseres Sonnensystems.】
(注:2006年発刊のため、冥王星は太陽系第9惑星となっている。)

しかし、オンライン検索の DUDEN-suche で調べると、2格は des Pluto と異なっていて、さらに困った。
www.duden.de/rechtschreibung/Pluto_Planet
【früher als (von der Sonne aus gerechnet) neunter, äußerster Planet unseres Sonnensystems angesehener Zwergplanet

Genitiv   des Pluto

日本で発刊された独和辞典や、オンライン独英辞典などで疑問点があるとき、私は DUDEN の記載を信頼することにしている。
ところが今回のように、DUDEN の独独辞書同士でも記載が異なるならば、情報が更新されているオンライン検索版の方を信じて、des Pluto を使うべきなのかも。

新正書法を調べても、des Plutos と des Pluto のどちらが正しいのか、残念ながらわからなかった。
近いものを挙げると、外国の地理的名称で -s を省略することが多いそうだから、Pluto も外国の地理名と同様の扱いかも。
もしかすると、一つの単語が男性名詞と中性名詞のどちらでも使われるという、いわゆる「性のゆらぎ」と似たことかもしれない。

言葉は変化するものだから、2格支配の前置詞 wegen が、最近では3格名詞支配のように誤用されることも増えた。
他にも、im Begriffe sein という慣用句は、今でもそのまま使うことが多いが、あいまい母音の -e が省略された im Begriff sein という例も散見される。

DUDEN の辞書は今年に第7版が出版されたので、
ユーロ安の今のうちに買い換えるか、CD-ROM版のオンライン更新ライセンスを購入することを検討しよう。

追記(12月31日):
他の惑星名で、例えば天王星 Uranus は s で終わるので、2格ではアポストロフを付けた Uranus' とする。
しかし、このアポストロフを付けていない新聞記事も見かけるので、ドイツ人でも忘れてしまうということなのかも。

(最終チェック・修正日 2011年12月31日)

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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