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プルトニウム保有にこだわる日本の核セキュリティー度は32か国中23位(G7で最下位)

The Nuclear Threat Initiative(NTI、核脅威イニシアチブ)は、高濃縮ウランおよびプルトニウムを1kg以上保有する32か国を、核兵器に利用可能な核物質を保有している国として扱っている。
日本はプルトニウム利用を国策として推進し、再処理工場で抽出したプルトニウムを保有しているため、危険な国の仲間入りをしたとも言える。
www.nti.org/

そして1月11日にNTIは、Ecomomist Intelligence Unit(EIU)の協力を得て各国のリスク評価を行い、核セキュリティー度の指数としてまとめたレポートを発表した。
www.ntiindex.org/ (レポートはPDFでダウンロード可能・核物質を少量保有および全く持たない国も含む)
www.nti.org/newsroom/news/nti-launches-nuclear-materials-security-index/

このレポートは主要国のメディアでは取り上げられているが、日本では時事通信が簡単に配信記事を出しているのみで、引用しているメディアは現時点で朝日新聞のみ。
www.jiji.com/jc/c

【米民間団体「核脅威イニシアチブ(NTI)」はこのほど、核兵器の燃料となるプルトニウムなどの物質に関して、国の管理状況など安全度に関する初の調査を実施、国別の順位を発表した。日本は核兵器に利用可能な物質を1キロ以上持つ32カ国の中で23位にとどまり、先進7カ国(G7)では最低だった。…】

日本はロシアより一つ上だが、ウラン産出国のカザフスタンよりも下で、しかもチェルノブイリ原発事故があったウクライナよりも下だ。
他の政治的に不安定な国や、麻薬マフィアが暗躍するような国よりも、残念ながら日本の方が下である。

日本の場合、下に引用した資料でも明らかなように、核物質(特にプルトニウム)の保有量と核施設の数が、順位低下の原因である。
プルトニウム利用の核燃料リサイクル事業に固執しなければ、そして原発を全廃すれば、順位は上がるだろう。



リストを見ると、総合1位はオーストラリアである。
ウラン埋蔵量世界一で、二酸化ウラン(イエローケーキ)を輸出しているが、国際条約を順守しているし、原発も核兵器もないため、国内に高濃縮ウランはないし、プルトニウムもない。

最も低い32位は北朝鮮で、独裁国家であることと、核兵器開発が目的のウラン濃縮施設と原子炉を建設をしているから。
この北朝鮮と、社会的要因の項目で同順位にイスラエルが登場する。
このレポートでは、スラエルを核兵器保有国としているし、国内右派勢力の動向が危険視されているからだろう。

レポート中では、プルトニウム保有量が増加している4か国として、インド・中国・イギリス・日本が名指しされている。
ただし、イギリスと日本は核兵器用ではなく、原発で使用するMOX燃料用にプルトニウムを抽出していると注記されている。。
イギリスは、日本から委託されてプルトニウム抽出をしているので、日本が国内で再処理しきれないから増えたようなものだ。

日本はプルトニウムを貯め込んでいるが、兵器用ではなく、商業用原子炉にだけ使うということで、順位が23位にとどまっていると思われる。
政治家以外にも、日本が核武装するように提言しているので、次回は国内不安要因が増大して、順位を落とすかもしれない。

テーマ : 時事ニュース
ジャンル : ニュース

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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