駐ドイツ北朝鮮大使が川で密漁したが外交特権で無罪放免:他国の大使館員も交通違反の常連

外交官や一部の大使館員には、いわゆる外交特権があり、駐車違反などの軽微な罪であれば無罪放免となることが多い。
ただし、どんな犯罪でも見逃されるというわけではなく、不適切な行為が続けば国外退去を求められることもあるし、派遣国政府が恥の上塗りを避けるために呼び戻すこともある。

ドイツの複数のメディアでは、この前の日曜日にベルリン西部の小川で北朝鮮大使が無許可で釣りをしていて、警察に注意されたことが報じられていた。
この男性は、漁業許可証だけでなく、身分を証明するパスポートすら持っていなかったが、身元照会をしたところ、本人の申告通り、北朝鮮大使と判明したため無罪放免となった。

ドイツの報道はいくつかあるが、ベルリンの Berliner Morgenpost と B.Z. から記事を引用しておこう。
www.morgenpost.de/printarchiv/titelseite/article1884584/In-trueben-Gewaessern.html
www.morgenpost.de/berlin-aktuell/article1884326/Polizei-ertappt-Botschafter-beim-illegalen-Angeln.html
www.bz-berlin.de/bezirk/spandau/nordkorea-auf-fischzug-in-berlin-article1366105.html
www.bz-berlin.de/bezirk/spandau/ruepel-diplomaten-nutzen-status-aus-article1367059.html


B.Z. に掲載された北朝鮮大使の顔写真と、釣りをしていた現場の橋(撮影:Olaf Wagner)。

また、日本語報道としては、AFP日本語記事を以下に引用する。
http://www.afpbb.com/article/politics/2852141/8336479

【…ベルリン西部のハーフェル川で、無許可で釣りをした駐ドイツ北朝鮮大使が現地警察当局に警告された。…

同国の法律は無許可で釣りをすることを禁じており、違反した場合は罰金や2年間の懲役が課せられることもある。現地警察がハーフェル川で釣りをしていた男に許可証の提示を求めたところ、身分証も許可証も所持していなかった

同警察が男に英語で法律違反行為だと告げると、男は笑顔で自分は北朝鮮大使であると答え、そのまま釣りを続けたという。…

その後の調査で男が本物のリ・シホン(Si Hong Ri)駐ドイツ北朝鮮大使であることが判明し、外交上の免責特権により、警察がそれ以上の措置をとることは出来なかった。

現地警察当局の報道官であるクラウス・アイゼンライク氏は同紙に、「外交官は人々の模範となるべきだ。犯罪をおかしても罰せられないとは、市民は納得がいかないだろう」と語った。

同紙は「リ大使が魚を釣って夕飯用のメニューに加えようとしていたのか、ただ楽しんでいたのかは分からなかった」としている。】

外交的配慮なのか、対応したノルトライン・ヴェストファーレン州の警察のHPには、何も掲載されていない。
www.gdp.de/gdp/gdpnrw.nsf/id/Home_de
AFP日本語記事でも、事件の概要把握はできるが、ドイツ語記事から少し補足をしておこう。

引用した写真にある橋は、リ大使(53歳)のお気に入りスポットで、以前から無許可のままで、何度も釣りをしていたという。
警察に発見されたのは15日14時頃で、その時点では「自称」北朝鮮大使だったが、その後の身元調査で本人と確認された。
一般人ならば罰金200ユーロを払うことになるが、外交特権を持ち出されてしまい、結局は無罪放免となった。
B.Z. が、ベルリンの北朝鮮大使館に電話取材をしたところ、「ジャーナリストは不快だ」と言われたそうだ。

無罪放免となったわけだが、警察は違法行為の現場を押さえ、そして身元照会もしたので、書類作成という事務作業を、ドイツの税金を浪費して行うことになった。
書類の件名は、「大使(朝鮮民主主義人民共和国)による密漁」で、この件についてドイツ連邦外務省に報告した。

この密漁事件が、北朝鮮の新体制を揺るがすことはないが、外交特権を悪用する大使館関係者は他国でも同様に見られる。
サウジアラビア大使館員はオイルマネーがあるはずなのに、病院から請求された治療費について、何と支払い拒否をしている。

特に多いのが交通違反で、駐車違反、飲酒運転、速度違反が大半を占める。
ほぼ泥酔状態のロシア外交官が、駐車車両5台に突っ込んだこともあるし、韓国外交官がアルコール検査で運転不可と指摘されたのに、そのまま運転して立ち去った例などが報告されている。
2010年の罰金総額は、ベルリンだけで15万ユーロを越えて、これまでの記録を更新したほど危険な状況だ。

日本の大使館員は出てこなかったが、彼らは代わりに家賃の高い広い家に住み、ワインや高級調度品の買付などで税金を浪費しているはずだ。

外交官の目に余る行為が目立ち、外交特権のはく奪もできないため、ドイツの政治家の中には、「外交官は目の上のたんこぶ」と呼ぶ人もいる。
受け入れ国の法律を尊重してほしいと、派遣国政府に要請することしかできないようだ。

そう言えば10年くらい前、東京駅前の横断歩道上に外交団ナンバーを付けた大型車が2台駐車して、私の進路を妨害した。
その車から出てきたドライバーに、「ここは横断歩道だ。すぐにどけ。」と何度も怒鳴ったが、「Sorry。すぐ行く、すぐ行く」と答えるのみで無視された。
いくら外交特権があっても、受け入れ国の市民に不愉快な感情を植え付けることは、外交官として失格ではないのか。

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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