ドレスデン工科大学での悪臭ガス騒ぎは学生のいたずらが原因だった?

様々な化学物質を用いる実験では、毒物・劇物・危険物の知識が必須だが、悪臭対策も必要である。
快適な実験環境で仕事をしたいこともあるが、他の部屋に悪臭物質が流れ込んだり、外に漏れることは絶対に避けなければならない。
反応中には何も起きなくても、反応後の処理時にpHを間違えたりすると、悪臭がしたり、刺激性のガスが発生することもある。

ドイツでの報道によると、ドレスデン工科大学化学科の学生実験室で19日午後、無機化学の実習中に複数の学生が悪臭に気付いた。
そのうち一人が、めまいと吐き気を訴えたため、病院に搬送された。
何が起きたのか、何が発生したのか不明だったが、ニンニク臭がしたという証言と、その学生の症状から、毒性のヒ化水素が発生したと思われたため、化学棟から全員退去し、学生実験室にいた学生も念のため救急手当てを受けた。

この事故発生後の、1月19日時点でのドイツ語報道をいくつか引用しておこう。
www.sueddeutsche.de/panorama/tu-dresden-mehrere-verletzte-nach-chemieunfall-1.1262494
www.spiegel.de/panorama/0,1518,810247,00.html
www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5hn27A10vVnL0Q1CFG-5sOAqE_YUw

ところが、警察と消防隊の現場検証では何も痕跡が出なかったため、悪臭ガスが一体何だったのかは20日時点でも不明のままだ。
学生が病院に搬送されたものの、健康被害は
特に見られなかったというプレスリリースを、ドレスデン工科大学は発表していた。
また、悪臭騒ぎのあった学生実験室は刑事警察の捜査のために閉鎖されているが、化学棟のその他の場所では、退去措置は解除されている。
tu-dresden.de/aktuelles/newsarchiv/2012/1/chemieneubau/newsarticle_view
tu-dresden.de/aktuelles/newsarchiv/2012/1/chemieneubau/newsarticle_view

現時点では、その悪臭ガスについて不明というのが公式見解だが、ヒ化水素はありえないという報道が20日に出てきた。
以下に引用した報道は、「事故はなかったのではないか?」という主旨のものである。
www.mdr.de/nachrichten/chemieexperiment100_zc-e9a9d57e_zs-6c4417e7.html

ドレスデン工科大学で無機化学を研究している Michael Ruck 教授は取材に対して、「第1セメスター(第1学期)の学生実験で、ヒ化水素が発生するような実験は行っていない」などと答えている。
www.chm.tu-dresden.de/ac2/ (教授の紹介ページ)

ニンニク臭という証言から、何かの実験操作ミスでヒ化水素が発生したと予測されたが、学生が感じたほどの濃度であれば、現場検証時に何も検出されなかったことは不思議である。

ということで、もう1つの可能性として、学生のいたずらが挙げられている。
「建物の外壁にニンニクをこすりつけていた学生がいた」という証言もあり、その臭いが換気システムを通じて、学生実験室内に流れ込んだのだろう。

しばらくすれば真相は明らかになるだろうから、続報をチェックしておこう。

(最終チェック・修正日 2012年01月28日)

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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