岩波書店の採用条件は以前の教授紹介就職に戻っただけのように思える

私は以前から、反体制派だとか反主流派だとか、科学者のくせにジャーナリスト気取りだ、などと批判されてきた。
そして愛読書と言えば、岩波書店の新書やブックレット、雑誌は「科学」や「世界」だから、左寄り危険分子に分類されても仕方ない。
前にも書いたが、私が岩波書店の本ばかり読むので、戦前教育を受けた母は、「息子がアカと呼ばれると困る」と何度もこぼしていた。

しかもこれまでに、文部科学省を批判する投書が実名でされたことがあるし、このブログでも過去に内部告発をしたことや、原発反対などの意見表明をしており、学界重鎮や政府・体制側、そして会社経営陣から見れば、やはり危険人物だろう。

広辞苑などの辞書類や、各分野の専門書や全集について定評のある岩波書店であるが、2013年度の社員採用条件にコネの有無を明記したことで騒ぎとなっている。
若者の就職支援関連の書籍も出版しているのに、コネ採用を公言したとなれば、非常に残念なことだ。

ただし私が学生だった頃は、教授の推薦状がなければ面接すらしてもらえなかったし、企業側が特定の大学に対して
推薦枠を設定しあらかじめ優秀な学生を各学科から選抜するように要求もしていた。

このコネ採用は、他社でも以前と同様に行われており、私の中途採用がだめだったのも、研究所所長と懇意にしている大学教授の強い要求に逆らえず、その教授の教え子を採用したからだと、内部の知り合いから聞いた。
また、私はコネ入社が嫌いで断ったが、人事部を通さずに取締役に直接要請できる大学教授がいるのも事実だ。

とにかく今回問題となった、岩波書店の採用情報を引用する(テレビニュースに出た2月3日はアクセス殺到でつながらなかった)。
www.iwanami.co.jp/company/index_s.html

通知内にあるリンクをクリックすると、以下のように、詳細な応募要項が表示される。

【募集の種別 2013年度定期採用(経験者含む)
担当業務 出版業務全般
採用人数 若干名
入社時期 2013年4月 (都合のつく方には、上記以前に入社をお願いする場合があります)

応募資格
A: 4年制大学卒業者(2013年3月卒業見込者を含む)
1982年4月2日以降生まれ
B: 出版関連業務(編集/製作/校正/販売/宣伝/経理/総務等)経験者=学歴は問わない
年齢:35歳程度まで
岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること…】

応募資格には実際に、「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」と書いてある。

このコネ採用問題について報じた共同通信の記事を引用しよう。
www.47news.jp/CN/201202/CN2012020301001408.html

【老舗出版社の岩波書店(東京)が2013年度定期採用で、事実上縁故採用に限ると「宣言」していることをめぐり、小宮山洋子厚生労働相は3日、閣議後の記者会見で「早急に事実関係を把握したい」と述べ、調査に乗り出す考えを明らかにした

東京労働局が近く同社から詳しい事情を聴き、今後の対応を検討するという。

岩波書店はホームページで13年度の社員募集要項として「岩波書店(から出版した)著者の紹介状あるいは社員の紹介があること」を条件に掲げている。

同社の就職人気は高く、例年、数人の採用に対し千人以上が応募する。】

あえて擁護すれば、大量のエントリーシートを処理する人事担当者は、通常業務に支障が出るほどの応募人数になったため、必要な人材を確実にピックアップする手法として、やむなく紹介状などの条件を付けてしまったのだろう。

また、岩波書店が求める人材であれば、労働問題や環境問題を研究している大学教授のゼミに参加している学生だったり、市民団体の活動を通して、著者と知り合いだという可能性が高いと考えたのだろう。

しかし、そのような事情があったとしても、応募要項には「出版業務全般」ではなく、岩波書店が求める人材について、具体的な姿を書くべきだったと思う。
応募書類には、【作文:「職業としての出版と私(岩波書店作成原稿用紙使用/800字以内、自筆、縦書)】とあるが、もう1つ、書評を書くことを条件に加えれば、応募者は少しは減ったかもしれない。

大手新聞などメディアの反応が厳しいのは、「あの岩波書店がなぜ」という疑問ではなく、「メディア批判をする書籍・雑誌を刊行している」という反感や、「書店に返本拒否を押し付けていると噂される岩波書店の実態を暴きたい」という意識が、潜在的にあったのではないかと、私は推測している。

岩波書店の社風や出版方針を理解した人材を採用するならば、著者となった大学教授の推薦状があった方が、お互いに無駄を省くことになるかもしれない。
コネ採用という表現を岩波書店側が嫌だと言うならば、もう一度言うが、募集条件にジャーナリスト指向や科学系専門家など、求める人物像を明確に記載すべきだ。

岩波書店を批判するのはメディアの自主的判断だから止められないが、記者クラブ制度の廃止に抵抗し、
警察からの捜査情報リークを元に推測記事を出したり、フリージャーナリストや外国メディアを排除しようとする大手新聞社などに、その資格があるのかどうかは疑問である。

テーマ : 就活
ジャンル : 就職・お仕事

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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