ドキュメンタリー番組の字幕・吹き替え和訳の間違いを指摘した

2月下旬に始めたデータベース案件は大量であり、2か月経過してやっと、残り約500ワードとなった。
この案件では、原文にスペルミス以外にも様々な間違いが見つかったため、引用文献を確認するなどの調査が増えた。

調べてみても、キーワードをつなげただけのような英文や、前置詞などが欠落している不完全な英文は、和訳不可能として保留することになった。

推敲する時間を入れると、当初予定していた連休前の納品が厳しくなった。
今回は依頼元のデータベース自体に不備があるということで、納期を延ばしてもらい、連休中に訳文の見直しをすることにした。
つまり本業は休みでも、副業は連日営業ということになる。

それでも連休前には仮訳が終わりそうなので、今日の休憩時間はソファーに寝転んで、auひかりTVでナショナルジオグラフィック・チャンネルを観た。
先月観たドキュメンタリーの再放送なので、わざわざ観なくてもと思われるかもしれない。
ただ、字幕の誤訳が一つあることを指摘したので、修正されたことを実際に確認したかった。


第二次世界大戦での連合軍のドイツ爆撃作戦についての番組で、爆撃機の進路が間違っていたことに気付いた。
英語では「.. headed to east.」だったが、日本語字幕では「..西に向けて」となっていた。

この番組は同時録画をしていたので、放送終了後に再確認してみると、やはり字幕の和訳が間違っていることが判明した。

そこでナショナルジオグラフィック・チャンネルに対して、問い合わせメールを送って調査してもらった。
回答まで2週間ほどかかったものの、私の指摘通りに誤訳であることが判明し、再放送時までに修正するとのことだった。
そして本日の再放送を確認すると、修正後の和訳である「東に向けて」になっていた。

イギリスの空軍基地を離陸した爆撃機がドイツを空爆するのだから、進路は東に決まっている。
だから英語のナレーションを確認しなくても、「西に向けて」という誤訳・誤記は、日本語原稿だけでも気付くはずだ。

実際の字幕翻訳は、番組最後に表示されるように、有限会社ワンダフルライフに委託している。
www.wonderfullife.co.jp/index.html

ただ、委託先が誤訳・誤記に気付かなかったとしても、日本語版監修の最終責任は、ナショナルジオグラフィック・チャンネルを運営しているFOX JAPANにある。
www.ngcjapan.com/global/company/

専門知識を持つプロの翻訳者が作業していても、このように単純なミスをしてしまうのだ。
それに納品前後のチェックでも見逃されることがあるのだ。
私も自分の翻訳で誤訳をしないように、そして推敲に時間をかけて、まともな翻訳を納品するように、注意深く作業したい。

ナショナルジオグラフィック・チャンネルの番組では、日本語吹き替え版でも、誤訳が見つかっている。
天文学関連の番組で、「青色巨星」であるオリオン座のリゲルが、ナレーションでは「赤色巨星」になっていた。
これも連絡したので、今後の再放送では修正版となることだろう。

さらに例を挙げると、北大西洋の火山活動の話をしているのに、「アイスランド」のはずが、「アイルランド」と言っていた。
これは国名の勘違いとして、よく例示されるものだが、このようなケアレスミスはなくしてほしい。

また、「放射性物質の崩壊」のはずが、「放射性物質の劣化」と言っていた。
英語版では「decay」だと思われるが、この単語は複数の意味を持つ。
他の単語でも意味が複数あるのは普通のことだから、分野ごとに専門用語の確認が必要だ。

翻訳者を目指す人は多いし、翻訳スクールも日本中にあるが、いくら優秀な人材を育成しても、誤訳というものは根絶できないのだろうか。

追記(4月28日):
データベース翻訳がやっと終わったので、推敲は5月の連休中にすることにして、録画していた番組を観た。
ナショナルジオグラフィック・チャンネルで先週放送していた、ホロコースト関係の番組だ。
死体の山が何度も出てきて緊張するが、ドイツ語翻訳者としては、このようなドイツの負の面も知っておくべきだろう。

ところでこの番組の字幕では、「forenstics team」を「化学捜査班」としていた。
強制収容所のガス室の話も出ていたので、「化学」でもかまわないと言う人もいるかもしれない。
ただ、気になったので戻って英語アナウンスを再確認した。
ここは「科学捜査班」としてほしいので、メールで修正依頼をしておいた。

(最終チェック・修正日 2012年04月28日)

テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

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ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルでの誤訳はケアレスミス?

私は副業で、英語・ドイツ語の翻訳をしており、主な分野は化学・バイオ・機械系の産業翻訳である。 特許や論文の和訳が中心だが、得意分野ではなくても依頼があれば、教育・スポー

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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