アイスランドでナガスクジラの商業捕鯨を1年ぶりに再開予定(中止になったがWDCSは信じていない)

データベース翻訳の推敲は5月に始めることにして、4月中はこれまで保留していた外国報道のチェックをしている。
外国語(英語・ドイツ語・ノルウェー語・アイスランド語)を読むので、頭は疲れるかもしれないが、翻訳の仕事ではなく趣味で読むので、気分転換になるからよいだろう。

日本の南極海調査捕鯨(実質的商業捕鯨)が終わると、次は北大西洋でのノルウェーとアイスランドの商業捕鯨が話題となる。
シーシェパード(SSCS)の妨害行為で、日本の鯨肉在庫が足りなくなると予想され、両国が日本への輸出を狙っているとの噂も聞く。


ノルウェーはミンククジラのみを捕獲しており、捕獲枠は3年連続で1286頭に設定している(2月17日発表、ノルウェー語のみ)。
ノルウェー政府の主張では、科学的根拠に基づく持続可能な捕獲枠とのことだ。
www.regjeringen.no/nb/dep/fkd/pressesenter/pressemeldinger/2012/kvote-for-fangst-av-vagekval-i-2012.html

しかし、ノルウェー国内の消費低迷や燃料費高騰などの影響で、この捕獲枠の半分程度しか獲っていない。
ということで環境保護団体やクジラ保護団体は、アイスランドのナガスクジラ捕鯨にターゲットを絞って活動をしているようだ。

アイスランドの商業捕鯨だが、昨年も実施されたミンククジラの捕鯨は、4月開始予定と報道されていた(政府発表なし)。
去年の鯨肉販売は好調だったので、今年の捕獲枠216頭は、天候次第では達成可能かもしれない。

www.icelandreview.com/icelandreview/search/news/Default.asp

クジラ・イルカ保護団体のWDCSの調査では、4月28日に最初の水揚げがあったと報告されている。

www.wdcs.org/news.php

実際にアイスランド国内の報道でも、写真付きでミンククジラ1頭の捕獲が確認できる。
www.visir.is/hrefnu-landad-a-isafirdi/article/2012304279963

ミンククジラよりも、昨年中断したナガスクジラの捕鯨の再開の方が大きく取り上げられている
保護団体はナガスクジラを絶滅危惧種と主張しているし、日本への輸出目的で捕獲することを違法だとも主張しているからだ。
skessuhorn.is/default.asp (アイスランド語)
grapevine.is/News/ReadArticle/Iceland-Set-To-Hunt-Fin-Whales-Again
www.wdcs.org/news.php

アイスランドでナガスクジラ捕鯨をしているのは Hvalur hf. 一社だけで、Kristján Loftsson 社長は日本の需要動向を見て、今年は捕獲再開を決めたようだ。
予定では捕獲枠内の150~170頭になるとのことだ。
ただし Loftsson は、夏から捕鯨再開するという、Skessuhorn 紙の報道を否定しているそうだ。

昨年2011年は、捕獲枠が設定されていたものの、ナガスクジラ漁は中断していた。
これはEU加盟交渉とは無関係で、2010年捕獲分の冷凍肉が残っていたことと、東日本大震災の影響で日本国内での需要が減ったと判断したからである。
1年以上前の冷凍鯨肉も残っている、という報道は次の通り(輸出量が間違っていることに注意)。
grapevine.is/News/ReadArticle/Years-Old-Whale-Meat-Remains-Unsold

2011年は捕鯨はしていないものの、日本への冷凍ナガスクジラ肉輸出を6回行い、合計で約941トンであった。
肉の部位や品質が違うのか、日本の取引先が毎回変わるのか、価格はキロ当たり約500円から約1100円までまちまち。
2012年は1月と2月に連続して、約130トンずつ輸出しているが、価格には約4倍の開きがある。
4月30日に更新された統計では、3月の輸出量はゼロであった。

それはともかく、SSCSの妨害により、2年連続で南極海調査捕鯨での捕獲頭数が激減したため、日本では鯨肉が足りなくなると予想しているようだ。
それで在庫の輸出だけではなく、捕鯨も再開して対応しようということかもしれない。

6月頃に始まると思われるので、その頃に報道を再チェックしておこう。

追記(5月8日):
アイスランド国内メディアでは、ナガスクジラ漁の再開を断念するという報道がされている。
www.ruv.is/frett/langreydar-ekki-veiddar-i-sumar (アイスランド語)
grapevine.is/Home/ReadArticle/Fin-Whale-Hunt-Likely-Canceled (上記リンクの記事を紹介した英語記事)
 
Kristján Loftsson 社長は日本側バイヤーとの交渉を続けていたが、震災の影響で日本国内での鯨肉需要が回復していないため、予定していたナガスクジラ捕鯨を再開しないとのことだ。

2010年に148頭を捕獲して冷凍保管していたが、2011年は1頭も捕獲せずに輸出のみであった。
まだ在庫があるので、今年も輸出だけになるかもしれない。
既に1月と2月に、約130トンずつ輸出している。

「日本国内での鯨肉需要が回復していない」という言葉が、捕鯨業者と鯨肉取扱業者から出ているが、アイスランド産ナガスクジラ肉の品質が悪いためなのか、それとも日本での鯨肉需要が低迷したままなのか、本当の理由は部外者にはわからない。

追記2(5月12日):
様々な事情でナガスクジラ漁は中止になったと報道されたが、保護団体のWDCSは信じていない。
www.wdcs.org/news.php

以前も、捕鯨をしないと一度発表したのに、しばらくして覆したことがあるからだ。
ということで、7月くらいまではアイスランドの報道をチェックした方がいいだろう。

追記3(6月2日):
ナガスクジラ漁はしていないが、日本への輸出は継続している。
3月はゼロだったものの、4月にはいつも通りに約130トンの冷凍ナガスクジラ肉を輸出している。
在庫がなくなるまで、捕鯨はしないのかもしれない。

(最終チェック・修正日 2012年06月02日)

テーマ : 環境問題
ジャンル : ニュース

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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