小惑星名として東日本大震災の被災地名などが承認・登録された
2011年7月に日本で開催される予定だった国際会議、「小惑星・彗星・流星(ACM、Asteroids, Comets, and Meteors)は、東日本大震災と福島第一原発事故の影響で中止となったが、1年延期して、5月16日から20日まで新潟市で行われることになった。
海外からの参加者は、21日に起きる金環日食の観測もできるので、この日程の設定を喜んでいることだろう。
chiron.mtk.nao.ac.jp/ACM2012/
国立天文台の5月9日のトピックスにあるように、1年延期してでも日本での開催に努力しただけではなく、大震災の復興を祈念して、被災地名などが小惑星名として申請されていた。
そしてMPC(小惑星回報)で、Aizu(会津)、Hamadori(浜通り)などの登録が公表された(注:引用した PDF のサイズは 1.80 MB)。
www.nao.ac.jp/news/topics/2012/20120509-asteroid.html (国立天文台トピックス)
www.minorplanetcenter.net/iau/ECS/MPCArchive/2012/MPC_20120506.pdf (被災地名などの名称は311ページ以降)
www.minorplanetcenter.net/iau/ECS/MPCArchive/MPCArchive_TBL.html (MPCのバックナンバー)
【国際天文学連合は、先頃発行した「小惑星回報」(MPC:Minor Planet Circular)を通じて、新しく承認された小惑星の名前を公表しました。
2012年5月16日から新潟市の朱鷺(とき)メッセで行われる国際会議「小惑星・彗星・流星2012」がアジア初の開催となることにちなんで、日本にゆかりの深い命名も多数承認されました。
今回は東日本大震災からの復興を願い、被害が大きかった地域の地名も多数つけられました。
青森、岩手、宮城、千葉、栃木などの県名や、福島県の会津、中通り、浜通りなどの地方名のほか、岩手県の陸前高田市や長野県の栄村、新潟県の津南町なども含まれています。
なお、今回の会議開催地である新潟市も命名されています。
被災地名が小惑星名になった例は、すでに2012年3月に承認されたTohoku(東北)がありますが、一度にこれほど多数の命名がされたのは初めてのことです。】
国際会議の日本側事務局長は、会津若松市出身の渡部潤一・国立天文台副台長ということもあり、震災関連の地名として、福島県の3地域の名称を含めて提案したようだ。
県名の「福島」が登録できなかったのは、既に人名由来の「Fukushima(福島)」という小惑星3915番が存在しているため。
ただし、20613番 Chibaken と同様に、「Fukushimaken」を代わりにすれば、登録できたと思う。
原発事故でも一番の被災地なので、これから日本人が命名する小惑星に、福島県内の地名を付けるようになるかもしれない。
海外からの参加者は、21日に起きる金環日食の観測もできるので、この日程の設定を喜んでいることだろう。
chiron.mtk.nao.ac.jp/ACM2012/
国立天文台の5月9日のトピックスにあるように、1年延期してでも日本での開催に努力しただけではなく、大震災の復興を祈念して、被災地名などが小惑星名として申請されていた。
そしてMPC(小惑星回報)で、Aizu(会津)、Hamadori(浜通り)などの登録が公表された(注:引用した PDF のサイズは 1.80 MB)。
www.nao.ac.jp/news/topics/2012/20120509-asteroid.html (国立天文台トピックス)
www.minorplanetcenter.net/iau/ECS/MPCArchive/2012/MPC_20120506.pdf (被災地名などの名称は311ページ以降)
www.minorplanetcenter.net/iau/ECS/MPCArchive/MPCArchive_TBL.html (MPCのバックナンバー)
【国際天文学連合は、先頃発行した「小惑星回報」(MPC:Minor Planet Circular)を通じて、新しく承認された小惑星の名前を公表しました。
2012年5月16日から新潟市の朱鷺(とき)メッセで行われる国際会議「小惑星・彗星・流星2012」がアジア初の開催となることにちなんで、日本にゆかりの深い命名も多数承認されました。
今回は東日本大震災からの復興を願い、被害が大きかった地域の地名も多数つけられました。
青森、岩手、宮城、千葉、栃木などの県名や、福島県の会津、中通り、浜通りなどの地方名のほか、岩手県の陸前高田市や長野県の栄村、新潟県の津南町なども含まれています。
なお、今回の会議開催地である新潟市も命名されています。
被災地名が小惑星名になった例は、すでに2012年3月に承認されたTohoku(東北)がありますが、一度にこれほど多数の命名がされたのは初めてのことです。】
国際会議の日本側事務局長は、会津若松市出身の渡部潤一・国立天文台副台長ということもあり、震災関連の地名として、福島県の3地域の名称を含めて提案したようだ。
県名の「福島」が登録できなかったのは、既に人名由来の「Fukushima(福島)」という小惑星3915番が存在しているため。
ただし、20613番 Chibaken と同様に、「Fukushimaken」を代わりにすれば、登録できたと思う。
原発事故でも一番の被災地なので、これから日本人が命名する小惑星に、福島県内の地名を付けるようになるかもしれない。
MPCでは名称の由来について英語で説明があるので、それぞれの背景を知ることもできる。
21966番 Hamadori(浜通り)の解説は次の通りで、地震で被災した地域であることが書いてある。
【(21966) Hamadori = 1999 WJ9
…
Hamadori is a coastal region in Fukushima prefecture, Japan. The area between Abukuma highland and the Pacific coast was seriously damaged during the 2011 Tohoku earthquake.】
22719番 Nakadori(中通り)と14701番 Aizu(会津)の場合、被災地というよりも、福島県の地域名として選ばれている。
不正確な報道になっているものの、あまり細かいことを説明するよりは、被災地福島県の地域名として紹介した方がわかりやすいと判断したのかもしれない。
Aizu の場合は、会津大学が探査機はやぶさなどのミッションに参加していたから、今回の国際会議に合わせて命名したと考えた方がよいだろう。
【(14701) Aizu = 2000 AO240
…
Aizu is the westernmost third of Fukushima prefecture, Japan. The Nisshin-kan school of samurai was established there during the Edo period. The University of Aizu, which has participated in space missions such as Hayabusa and Kaguya, was founded in 1993.】
ニュースの大半は震災関連の地名を取り上げているが、実際には今回の国際会議が日本で開催されるということで、国際会議に参加する高校の学校名や、その他の日本以外にもアジア由来の名称が多数登録されている。
スーパー・サイエンス・ハイスクールに指定された高校(小倉、一宮、三田祥雲館)は、小惑星観測をしている生徒もいるので登録された。
例えば、15526番 Kokura(小倉)の説明は次の通り。
【 (15526) Kokura = 1999 XH229
…
Kokura high school is in Kitakyushu City, Fukuoka Prefecture, Japan. Some students are involved in the observation of minor planets, and the school was selected as one of the Super Science High Schools by the Japanese government.】
他の天文学関係者の人名を付けた小惑星では、アジアの小惑星や彗星の研究者に加えて、JAXA関係者、特に探査機はやぶさ関連が目立つ。
科学者だけではなく、事務官や秘書もプロジェクトに貢献したため、名を連ねている。
例えば、22951番 Okabekazuko(岡部和子)、22952番 Hommasachi(本間幸子)など。
ところで、日本名をローマ字表記するときに悩むのが、長母音の扱いである。
今回の命名でも、「Hamadori」を「ハマドリ」と区別するため、「Hamadouri」とすることも可能だった。
震災関連で命名された 23649番 Tohoku(東北)も、日本語の発音を知らない人は、「トーオク」と発音してしまう。
特に人名の「大野」は、「Ono」ではなく、「Ohno」としていることが多い(8410番 Hiroakiohno「大野裕明」など)。
外国語のアクセント記号などの特殊文字は認められているので、「ô」などの長母音を示す表記を使ってほしいものだ。
21966番 Hamadori(浜通り)の解説は次の通りで、地震で被災した地域であることが書いてある。
【(21966) Hamadori = 1999 WJ9
…
Hamadori is a coastal region in Fukushima prefecture, Japan. The area between Abukuma highland and the Pacific coast was seriously damaged during the 2011 Tohoku earthquake.】
22719番 Nakadori(中通り)と14701番 Aizu(会津)の場合、被災地というよりも、福島県の地域名として選ばれている。
不正確な報道になっているものの、あまり細かいことを説明するよりは、被災地福島県の地域名として紹介した方がわかりやすいと判断したのかもしれない。
Aizu の場合は、会津大学が探査機はやぶさなどのミッションに参加していたから、今回の国際会議に合わせて命名したと考えた方がよいだろう。
【(14701) Aizu = 2000 AO240
…
Aizu is the westernmost third of Fukushima prefecture, Japan. The Nisshin-kan school of samurai was established there during the Edo period. The University of Aizu, which has participated in space missions such as Hayabusa and Kaguya, was founded in 1993.】
ニュースの大半は震災関連の地名を取り上げているが、実際には今回の国際会議が日本で開催されるということで、国際会議に参加する高校の学校名や、その他の日本以外にもアジア由来の名称が多数登録されている。
スーパー・サイエンス・ハイスクールに指定された高校(小倉、一宮、三田祥雲館)は、小惑星観測をしている生徒もいるので登録された。
例えば、15526番 Kokura(小倉)の説明は次の通り。
【 (15526) Kokura = 1999 XH229
…
Kokura high school is in Kitakyushu City, Fukuoka Prefecture, Japan. Some students are involved in the observation of minor planets, and the school was selected as one of the Super Science High Schools by the Japanese government.】
他の天文学関係者の人名を付けた小惑星では、アジアの小惑星や彗星の研究者に加えて、JAXA関係者、特に探査機はやぶさ関連が目立つ。
科学者だけではなく、事務官や秘書もプロジェクトに貢献したため、名を連ねている。
例えば、22951番 Okabekazuko(岡部和子)、22952番 Hommasachi(本間幸子)など。
ところで、日本名をローマ字表記するときに悩むのが、長母音の扱いである。
今回の命名でも、「Hamadori」を「ハマドリ」と区別するため、「Hamadouri」とすることも可能だった。
震災関連で命名された 23649番 Tohoku(東北)も、日本語の発音を知らない人は、「トーオク」と発音してしまう。
特に人名の「大野」は、「Ono」ではなく、「Ohno」としていることが多い(8410番 Hiroakiohno「大野裕明」など)。
外国語のアクセント記号などの特殊文字は認められているので、「ô」などの長母音を示す表記を使ってほしいものだ。