MSC認証を日本で2番目に取得した土佐鰹水産が自己破産

私が好きな魚の一つであるカツオに関して、残念なニュースがあった。
MSC認証を日本で2番目に取得した土佐鰹水産が、5月7日に自己破産を申請したのだ。

会社のHPは既に閉鎖されているので、破産の経緯などの情報は、報道に頼るしかない。
高知新聞の記事は次の通り(8日の記事は短いため、9日の記事を引用する)。
www.kochinews.co.jp/

【7日、静岡地裁に自己破産を申請した土佐鰹水産(幡多郡黒潮町佐賀、明神宏幸社長)は、衰退が続く一本釣り漁業の再生を理念に掲げ、一本釣りのカツオだけを原料にたたきなどを製造・販売してきた。しかし、不漁による原料価格の高騰、東日本大震災に伴う一部事業の中断、消費の冷え込みなどに遭遇し、経営は行き詰まった。本県の水産関係者からは「一本釣りの前途に一層の厳しさを感じる」との声が上がっている。

本県だけでなく、三重、宮崎などの一本釣り漁船は、遠洋、近海を問わず長期の不漁に直面している。その背景として、太平洋上での各国大型巻き網による過剰漁獲が指摘されてきた

そうした中、土佐鰹水産は2009年、カツオ漁業としては世界で初めて、国際版「海のエコラベル」を取得。同社と契約した遠洋一本釣り漁船が漁獲したカツオにエコラベルを付けて販売することが認められた。一本釣りは、魚群を取り尽くすことがないため漁業資源に優しく、巻き網のカツオに対抗し、自社商品の優位性を売り込む狙いがあった

しかしその後、遠洋一本釣り漁船は不漁に拍車がかかり、経営環境はさらに悪化。業績拡大へ積極投資を重ねたことなどが裏目に出た。

同社はまた、宮城県気仙沼市で水揚げされる生鮮カツオを缶詰加工して対米輸出する計画を進めていたが、実現直前に東日本大震災が発生。複数企業の冷凍施設が壊滅したため、計画が宙に浮く不運にも見舞われた。

県内各地の一本釣り関係者からは「〝元気な企業〟との印象を持っていただけに、一報に驚いた」「一本釣り漁業が存廃の岐路を迎える中、先頭を切って挑戦を続けた会社。今後の展開に期待していたが残念」などの声が上がった。

持続可能な漁業の支援に取り組む世界自然保護基金(WWF)ジャパン(東京港区)の担当者は「国内漁業でのエコラベル取得は2例目と先駆的だった。しかも日本人になじみが深いカツオという魚種であり、エコラベルの認知度アップにも大いに貢献した」と残念がっている

明神社長は黒潮町佐賀の「明神水産」創業者の三男。同社でわら焼きたたきを売り出して成功を収めた後、独立して静岡に拠点を構えた。

土佐鰹水産は本社を黒潮町佐賀に置いているが、静岡県藤枝市の工場が実質的な拠点として機能してきた。】

このMSC認証エコラベル付きの鰹たたきは、イオングループで販売していたので、何度か購入したことがある。
割高ではあるものの、環境に配慮した商品を望む消費者には受け入れられるはずだった。


私が好きな魚は、サケ・サンマ・アジ・サバ・タイ・ハマチ、そしてカツオである。 高知に旅行に行ったときには、昼食も夕食もカツオのたたきを食べた。 高知から戻る直前にも、空港のレストランで、カツオのたたき定食を食べた。 そのカツオであるが、日本の一本釣りカツオ漁業が、海のエコラベルであるMSC認証を取得した。 カツオ漁業としては世界初であり、これは誇りに感じてもよいだろう。 MSCを推奨
日本のカツオ漁業がMSC認証取得:伝統の一本釣りは持続可能な漁業


太平洋ではマグロ資源量の減少が話題となることが多く、刺身やすしが食べられなくなる、などと毎年大騒ぎしている。
それに対してカツオやサバ、アジ、サンマ、イワシといった他の魚種の危機については、あまり報じられていない。

日本の伝統的な一本釣りカツオ漁が、持続可能な漁業を目指す漁法であると同時に、消費者に対してブランドイメージを持ってもらえるという利点がある。
農産物で例えれば、無農薬・減農薬有機栽培の野菜が、少々高価でも人気があることと同じ心理だ。

ただ、日本のカツオ漁関係者だけが資源管理に努力しても、他の巻き網漁船が根こそぎ捕ってしまうので、無意味だ。
水産庁では、水産資源の国際管理についても担当しているが、各国の利害が絡む問題のためか、現状は変わらないようだ。
kokushi.job.affrc.go.jp/

南太平洋のマアジの場合も、国際管理をしようと会議をしても、中国やロシアなどが不参加のため、何も効果がない。
このままではマアジは絶滅すると言われているが、カツオも問題先送りをしていれば、絶滅するかもしれない。

土佐鰹水産は、鰹たたきの味が落ちない最新冷凍設備を導入したりと、テレビ番組でも紹介されるほど期待された企業だった。
巻き網漁の国際規制ができていないことに加えて、これは震災関連倒産の一つだと思われる。
気仙沼が被災しなければ、事業の多角化は軌道に乗った可能性もあるから。
ただ、不漁を心配してなのか、過剰在庫を抱えたことも倒産の原因になったかもしれない。
MSC認証に加えて、マリン・エコラベル・ジャパンの認証も取得していたが、その登録維持費用も負担になっただろう。

負債総額については、読売新聞の記事にあった。
関連会社も入れれば、40億円に近づくのかもしれない。
www.yomiuri.co.jp/e-japan/kochi/news/20120507-OYT8T01078.htm

【東京商工リサーチ静岡支店は7日、黒潮町佐賀の水産物卸業「土佐鰹水産」と関連5社が同日付で事業を停止し、静岡地裁に自己破産を申請したと発表した。土佐鰹水産単体での負債総額は32億3000万円とみられる。

東京商工リサーチによると、土佐鰹水産は1996年設立。実質的な本社機能は静岡県藤枝市内にあった。カツオのたたきの製造を主力に、マグロなど加工品の卸しを営んでいたという。資本金は1000万円。

大型スーパーマーケットや回転寿司チェーンなど大手に販路を拡大し、2008年には静岡工場を拡張。ピークとなる10年12月期の年商規模は約48億円に上ったが、設備投資に加えて在庫負担が増したことで、資金繰りは余裕を欠いた状態だったという。】

私の希望としては、MSC加工・販売認証を受けているイオングループが、在庫分と工場を買い取って、販売だけは継続して従業員の雇用確保をしてほしい。
www.topvalu.net/brand/csr/msc.html

そして従業員については、イオングループの加工工場や、地元のジャスコなどで再雇用して、失業しないように努力してほしい。

追記(5月13日):
イオンから回答が来たが、残念ながら土佐鰹の商品は、在庫がなくなりしだい販売終了とのことだった。

テーマ : 環境問題
ジャンル : ニュース

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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