サッカーEURO2012のドイツ対イタリアでのリプレイ映像で意図的な編集があった

今年の6月は、サッカー欧州選手権EURO2012を観戦するため寝不足となり、そして時差ぼけのような変な体調だった。
それでも、私が応援しているドイツが、死のグループBを全勝で首位通過したので、疲れは苦にならなかった。
そしてユーロ危機の発端となり、ドイツに余計な金融支援を出させたギリシャも粉砕したので、この勢いでイタリアも破ると思った。

日本時間6月29日早朝の対イタリア戦は、目覚まし時計をセットしなくても、午前3時には目が覚めて、ライブ中継で観戦した。
ところが、攻撃の起点が封じられ、ディフェンスも対応が遅くて、前半で2失点という最悪の状態に愕然とした。
ただ、過去のワールドカップなどでも、後半で2点差を追いついたことがあるので、選手交代による反撃に期待した。
しかし、イタリアの守備を崩すことは困難で、野獣が突進するような怒涛の攻めにはならなかった。

ところで、このドイツ対イタリアでの得点シーン・リプレイ映像に、無関係の映像が挿入されていたという疑惑が問題となっている。

イタリアの得点後のドイツサポーターを映した場面で、ある女性が涙を流していた。
そしてこの涙の映像は、イタリアの前半2得点目で失望しているドイツサポーターの映像として何度も利用されている。
試合終了後のダイジェスト映像でも、最後に使われているのだ。
(7月1日16時からの録画再放送で確認済み)

しかし、この女性は友人からの連絡で、自分の涙の映像が使われたことに驚き、ドイツの新聞 Süddeutsche Zeitung に真相を話した。
この涙は試合前の国歌斉唱のときに感極まって流れたもので、イタリアの得点とは無関係とのことだ。
この報道を受けて、ライブ映像として放送したドイツのTV局ARDは、UEFAに対して抗議した。
UEFAもこの事実を確認済みで、今後も対応を協議する予定。


ドイツメディアとして、Süddeutsche Zeitung と SPIEGEL Online、そして FOX sports(AP の英語配信記事)を引用しよう。
www.sueddeutsche.de/medien/ard-will-sich-bei-uefa-beschweren-montierte-traenen-1.1397775
www.spiegel.de/kultur/tv/uefa-zeigt-falsche-traenen-nach-balotelli-tor-a-841843.html
msn.foxsports.com/foxsoccer/eurocup/story/uefa-under-fire-for-manipulated-euro-2012-live-broadcast-063012

配信映像は最終的にUEFAが管理する公式のものだが、映像の制作自体は契約した会社が行っており、映像の挿入も現場の判断となるようだ。

事前に撮りためていた観客席などの映像を、いつでも使えるように、映像ライブラリを作っていたのだろう。
しかし、2得点目のリプレイの最後の部分に、区別できない形式で挿入することは、意図的な演出と言われても仕方ない。

ドイツの放送局ARDが抗議している理由は、これが初めてではないからだ。
試合の映像に無関係の映像を挿入したことが、予選リーグの対オランダ戦でも起きた。
試合前にボールボーイとふざけていたドイツのレーヴ監督の映像が、全く異なる意図で使われた。
試合中にいら立った監督が、近くにいたボールボーイからボールを奪ったかのように。
www.spiegel.de/panorama/spass-von-jogi-loew-mit-balljungen-bei-em-fand-vor-dem-spiel-statt-a-838980.html

この最初の映像問題の後、映像制作担当会社はUEFAに対して、二度と同様の演出をしないと約束していた。
それでもやったということは、現場では印象的なリプレイ画像を急いで作成することに追われて、忘れていたのかもしれない。

視聴者としては、ある効果を狙った意図的な創作ではない、本当のライブ映像を観たい。
それに加えて、勝手に撮影されて、無関係な演出に使われた女性の気持ちも考えてもらいたい。
UEFAが対応しなければ、ドイツ人も権利意識が高いので、損害賠償請求をするかもしれない。

今回問題の涙の映像は、ニュース用ダイジェスト版でも、イタリアの得点シーン後に挿入されていて、日本のスポーツニュースでも流れている。
今朝のTBSの番組でも出ていたので、EURO2012の地上波放映権を持っているTBSに対して、質問メールを出しておいた。

WOWOWのEURO2012オフィシャルサイトにある試合ハイライト動画を確認したところ、7分18秒頃に、この問題の涙の映像がある。
www.wowow.co.jp/sports/euro/highlight_movie.html
www.wowow.co.jp/douga/detail.php

このハイライト動画では、2得点目の後ではなく、試合終了後に挿入されているため、WOWOWの判断で残したのだろう。
この動画をアップする前に、英語やドイツ語などの外国語報道を知っていれば、涙の映像を残すことはなかったはずだ。
WOWOWには、創作疑惑のある映像をなぜ残したのか質問したので、回答を待っているところだ。

追記(7月2日):
決勝も終わった後で、やっと日本語での引用記事が出てきた。
www.sponichi.co.jp/soccer/news/2012/07/02/kiji/K20120702003587470.html
【…映像に、視聴者の誤解を招く“演出”表現があったとして試合を中継したドイツ公共テレビARDの担当者がUEFAに抗議する意向を示した。南ドイツ新聞が6月30日に報じた。

…イタリアのFWバロテッリが2点目を決めた際、直後の再生映像で涙を流すドイツの女性ファンの映像が織り込まれた。失点に強い衝撃を受けたかのようだったが、実際は試合前の国歌斉唱で感情を高ぶらせた際の映像だった。…】

追記2(7月4日):
WOWOWのハイライト動画の一部訂正版が、本日4日にアップされた
問題の涙のシーンは、試合終了後の実際のドイツサポーターの映像となっている。
ただし、「一部訂正」という注記がないため、明記するように要望を出した。

またWOWOWでは、8月に再放送の予定があるのだが、問題のシーンに関する注意書きなどのテロップを追加することは、国際映像配信の契約内容から不可能とのことだ。
「意図的な演出」を含む映像であることを、UEFAが認めて謝罪しても、一度作成した国際映像はそのまま使うしかないという。

(最終チェック・修正日 2012年07月04日)

テーマ : 海外ニュース
ジャンル : ニュース

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR