ミュンヘンの蚤の市で放射性物質ラジウム入り容器が売られていた

昨年2011年秋に、東京都世田谷区の民家の床下やスーパー駐車場の地中から、放射性物質ラジウム入りのビンが相次いで発見された。
東京電力福島第一原発事故由来の放射性物質による汚染を調査していたら、高線量の場所が見つかり、そこから出所不明のラジウムが出てきて大騒ぎとなった。

海外でも同様の事件はあり、核施設や研究所などの跡地でプルトニウム入りのビンが見つかったこともある。

そしてドイツでは、ミュンヘンの蚤の市で買った古い金属容器に、ラジウムが入っていたことが判明して騒ぎとなっている。


ドイツ語報道は、例えば次の通り。
www.sueddeutsche.de/muenchen/alarm-bei-der-feuerwehr-muenchner-kauft-auf-flohmarkt-radioaktives-geraet-1.1418958
www.abendzeitung-muenchen.de/inhalt.emanator-in-kiste-flohmarkt:-muenchner-kauft-radioaktives-geraet.147136dd-35b5-4b9c-804b-409048f90101.html

44歳の男性は蚤の市で、約100年前と思われる金属容器を見つけて購入した。
その容器を知人に見せたところ、「これは放射性物質が入っている Emanator という容器だ」と指摘されたため、驚いて消防署に持ち込んだ。
警察が鑑定したところ、放射性物質ラジウム226が検出されたものの、健康を害するほどの放射線量ではなかったという。

ラジウム226が崩壊すると、同じく放射性のラドン222になり、これは水に溶ける。
そのため Emanator は1930年代前後に、飲料水やプールの水などにラドン222を溶かす器具として利用された。
リウマチや皮膚病などの治療に効くと言われ、放射能療法という分野で使われた。
ラジウム温泉(ラドン温泉)まで行かなくても、同様の効能が期待できると考えられていたようだ。

健康被害はなかったから良かったものの、まだ100年経たないのに、Emanator という言葉がほぼ死語となっていることが気になった。
その男性の知人が Emanator を知っていたから良かったが、容器の表記が理解できない人ばかりになれば、危険性についても気付くことなく、健康被害のリスクもあった。

つまり、放射性物質だけでなく、保管しているPCBなどの危険物質についても、100年後に理解できない人ばかりになる可能性を考慮して、危険性の表現方法を考えなければならない。


危険性の話ばかり続いたが、この記事を読んで、語学の勉強として役に立ったこともある。
ラドン(Radon)の旧称が、「放射」を意味するラテン語由来の Emanation(エマナチオン)だとか、Emanatorium が「ラジウム(ラドン)療養所」という意味だということを、私は初めて知った。

新しい物がどんどん出てくる時代だが、古い物に関する正確な情報も、すぐに検索・調査できる体勢作りも必要と感じた。

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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