ドイツの学校給食集団食中毒の原因食材は中国産冷凍イチゴか?

ベルリンを含めた東部ドイツでは9月25日以降、学校給食が原因とされる集団食中毒の患者数合計が増え続けている。
ローベルト・コッホ研究所(RKI)の公式発表によると、10月5日10時発表の時点で、1万1千人を超えている。
この人数は、保育園の児童や学校の生徒だけでなく教師も含み、また、家族などへの二次感染も含んでいる。
www.rki.de/DE/Content/InfAZ/L/Lebensmittel/Gastroenteritis_Ausbruch_2012/Epid_Lagebericht_2012-10-05.pdf

入院した人数は少なくとも32人と、それほど重症ではないようだが、1週間経過しても調査があまり進展していないため、不安感が広がった。
もしかすると、昨年のO104:H4が原因の食中毒事件で、スペイン産キュウリやオランダ産トマトが原因という誤った情報を流して混乱したため、今回の発表は慎重になっているのかもしれない。
実際の原因は、エジプトから輸入したスプラウトの種子の汚染であった。

連邦政府と州政府、そしてRKIが連携して、病原体の特定と同時に、原因食材を特定する作業も日夜進められている。
食中毒の原因病原体は当初、ノロウイルスやサルモネラ菌などが候補であった。
その後、ノロウイルスが患者の便などから検出されたため、今回の集団食中毒はノロウイルス汚染食材が原因と推定された。

学校給食を提供したケータリング会社 Sodexo は、保存してあった給食や食材を提出して、調査に協力している。
念のため、施設の消毒も済ませて、給食の調理を再開している。
ただし当初は、自社の衛生管理体制に自信を持っているという意味の発言があり、原因が特定されていないことを強調しているような印象であった。
Sodex が公開した、10月1日までのプレスリリースのまとめは次の通り。
de.sodexo.com/dede/newsundpresse/2012/artikel_120928.asp

そして、10月5日にRKIと連邦消費者保護・食品安全庁(BVL)の発表では、冷凍イチゴがノロウイルスに汚染されていたことが判明したという(州政府との共同発表のため、公表内容は同じ)。
www.rki.de/DE/Content/Service/Presse/Pressemitteilungen/2012/15_2012.html
www.bmelv.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/2012/BfR-BVL-RKI-Gastroenteritis-Erdbeeren.html;jsessionid=23C9597B56BB8E514034D496F04EE3DA.2_cid288

この公式発表後に Sodexo は、患者とその家族に謝罪の意を表明し、補償金を支払うことを決定した。
de.sodexo.com/dede/newsundpresse/2012/artikel_121005.asp

学校給食の定食(メニュー)は4種類あり、発症しなかった生徒と食べたものが違うという観点から、食材の絞り込みをした。

サンプルの1つから検出されただけなので、これから複数のサンプルを検査するとのことで、まだ確定ではない。
冷凍イチゴはデザートに使われたのだが、コンポートを作るときの加熱が不十分だったり、単に解凍して使ったのではないかと疑われている。

このイチゴの産地について公式発表はないものの、
Sodexo の輸入実績からドイツ通信社のdpaは 、「中国産と思われる」と配信している。
www.sueddeutsche.de/gesundheit/brechdurchfall-in-ostdeutschland-erdbeerkompott-unter-verdacht-1.1488242
www.spiegel.de/gesundheit/diagnose/brechdurchfall-welle-erdbeerkompott-soll-hauptquelle-gewesen-sein-a-859784.html


日本の報道は少なく、発生直後の朝日新聞の他は、患者が増加したことを読売新聞が伝えているくらいだ。
遠いドイツでの食中毒事件ということで、扱いは小さいのかもしれない。
ただし、中国産の冷凍イチゴがノロウイルスに本当に汚染されているならば、日本でも何か影響が出るのではないか。

朝日新聞は6日夜にオンライン版で、冷凍イチゴが原因との発表を伝え、さらに中国産との情報も入れている。
www.asahi.com/international/update/1006/TKY201210060305.html

【ドイツ東部のベルリンやザクセン州などで起きた生徒・児童の集団食中毒で、ドイツ消費者保護・食品安全庁は5日、給食に使われた冷凍イチゴが原因である可能性が非常に高いと発表した。ノロウイルスが原因と疑われているが、まだ完全に解明されていない。

…給食でデザートに出されたイチゴの砂糖煮の可能性が高い。冷凍イチゴの加熱が不十分で、菌が死滅しなかったと見られる。ドイツメディアによると、イチゴは中国から輸入されたという。
…】

イチゴならばヨーロッパでもたくさん栽培されているのに、なぜ中国産をわざわざ使うのだろうか。
Sodexo では、一人当たり 2.10 ユーロの価格で給食を提供していると報道されている。
それで利益を出すためには、安い食材を大量に使う必要があったと思われる。


ところで日本では、冷凍果実の輸入については厚生労働省が所管し、食品衛生法に基づく検査が義務付けられている。
輸入食品監視業務のページは次の通り。
www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/index.html

まだ疑いの段階ではあっても、ドイツで集団食中毒が発生したのだから、産地についての情報を入手して、緊急検査をしてほしいものだ。
ネット通販もしているので、家庭で使おうと思えば、中国産冷凍イチゴなどは簡単に手に入る。

輸入時に抜き取り検査をしているはずだが、デザートやアイスクリームに用いる業務用食材として、外国産の冷凍果実が多数輸入されている。
「風評被害」を本当に防ぐならば、そして食中毒事故を未然に防ぎたいならば、疑いを完全に払しょくする証拠を提示してほしい。
厚生労働省が動かないならば、輸入業者の団体が自主的に検査をしてほしいものだ。

(最終チェック・修正日 2012年10月07日)

テーマ : 食に関するニュース
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中国産冷凍イチゴから今度はA型肝炎ウイルスが検出された

今年9月下旬から10月にかけて、ドイツ東部でノロウイルス集団食中毒が発生し、患者数は1万人を超えた。 主に学校給食のデザートが原因ということが判明し、その原材料を検査し

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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