ドイツ通信社dpaの誤訳:日本の南極海調査捕鯨でゴンドウクジラを獲る?

このブログの翻訳関連記事では、自分の担当した案件だけではなく、語学・翻訳の勉強中に見つけた誤訳も紹介している。
誤訳事例のほとんどは、外国語のニュース記事やドキュメンタリー番組での和訳が間違っていることの指摘である。
ただしその逆、つまり日本のニュースが誤訳され、外国に配信されている事例も実際にある。

今回取り上げるのは、ドイツ通信社dpaの誤訳記事である。
日本の南極海調査捕鯨船団の出航を伝える共同通信の記事を引用しているのだが、捕獲するクジラの名前を間違えている。
捕獲予定のクジラのうち一種は、正しくは「ナガスクジラ(Finnwal)」だが、dpaは「ゴンドウクジラ(Grindwal)」と誤訳した。

誤訳記事をそのまま掲載している Hamburger Abendblatt と、正しいAFPの記事の2つを引用しておこう。

誤:
www.abendblatt.de/ratgeber/wissen/article112276160/Japanische-Walfaenger-unterwegs-in-die-Antarktis.html
【Japans Walfänger wollen in der Antarktis bis Ende März bis zu 935 Zwergwale und 50 Grindwale fangen und töten.】

正:
www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5guS4qu0Fgonj9zmZMBNersmfkPyg
【Nach Angaben der Fischereibehörde sollen bis März bis zu 935 Zwergwale sowie bis zu 50 Finnwale gefangen werden.】

誤訳の理由として、和歌山県太地町のイルカ漁と混同したのだろうと思われる。
またEUの反捕鯨国では、フェロー諸島のイルカ漁が問題視されているので、dpaの記者が勘違いしたのかもしれない。

誤訳記事をそのまま掲載した Hamburger Abendblatt では、記事内容に合わせて、「コビレゴンドウ」の写真を掲載している。
この写真を選択したことからも、編集者は誤訳に気付いていなかったことは確かだろう。

契約上の問題なのかもしれないが、dpaだけでなく、AFPの配信記事も利用していれば、両者の矛盾から正しいドイツ語訳ができただろう。
他紙のように、複数のニュース配信会社の記事や情報源を基にして、新聞社側で再編集した記事を出す方がよいだろう。

ところが、海外向け短波放送も行っている Deutsche Welle(DW)は、dpaとAFPの配信記事を継ぎ足した情報を引用しただけで、dpaの誤訳がそのまま残っている。
www.dw.de/japan-jagt-wieder-wale/a-16484580
【Japans Walfänger wollen bis Ende März 935 Zwergwale sowie bis zu 50 Grindwale fangen.】

英語報道では、今のところ誤訳は見つかっていないが、過去にクジラ種名の誤訳事例があったので、今後も注意しておこう。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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